2017年2月12日 (日)

Paolo Rustichelli 「Soul Italiano」(2016)

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パオロ・ルスティケッリは、イタリアの鍵盤奏者。ルスティケッリの父親は、カルロ・ルスティケッリというイタリア映画音楽の作曲家。「鉄道員」「刑事」など、有名作品を含めて多数の映画音楽を作曲した巨匠。息子のパオロも、10代から映画音楽や鍵盤演奏を始めたそう。1991年にソロデビュー作品「Mystic Jazz」をリリース。その作品は、マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カルロス・サンタナなどのジャイアンツを客演に迎えた隠れた名盤。マイルスのトランペットが美しい「Capri」や、サンタナが自身の演奏ナンバーにもしている「Full Moon」など、必聴の名演が入っている。次作の「Mystic Man」(1996)も、マイルスとサンタナが参加した作品。両作品は、チルアウト・スムーズジャズに繋がる秀作。パオロのフルアルバム・ソロ作品としては、「Nopagan」(2006)に続くのがこの新作。ルスティケッリは、シンセ系鍵盤を中心にほとんどワンマンバンドで作品を作るのがスタイル。この作品も、アコースティック・ピアノの硬質なフレーズを中心に、シンセ系の音の多彩なオーケストレーションが魅力の秀作。M2「Med Groove」の、ヨーロッパを感じるダンス・ビートに乗って浮遊するピアノ・フレージングに引き込まれる。M5「Soul Italiano」は、タンゴ・リズムが印象的なハイライト・チューン。M11「Playa Blanca」は、パワー・ブロウするサックスと、ピアノの掛け合いがクールなファンキー・チューン。M12「Evy & Carlo」は、映画のエンディングを思わせるバラードで、交錯する多彩なシンセの音色が美しい。

2017年1月30日 (月)

Brian Culbertson 「Funk !」(2017)

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ブライアン・カルバートソンの新作は、「Bringing Back the Funk」(2008)の「続編」と言っていい、ディープな「ファンク」でリスナーを圧倒する快作。会話やSEを混ぜて、曲もビートも途切れ無く続く、ファンク・パーティーを体験するような構成。演奏は、「Live - 20th Anniversary Tour」の演奏メンバーに、プリンス・ファミリーのバンド「The Time」にも在籍したことのあるチャンス・ハワード(ボーカル、ベース)が、演奏や曲作りでも中心的役割として参加している。70年代のジョージ・クリントンのP-ファンクや、プリンスやジャム&ライスといったダンス・ファンクの世界を、カルバートソンならではの洗練された技量で料理した作品。M1「Get Ready」や、M2「The Call」で、始まるファンク・ビートは怒とうの重量級。M3「Been Around The World」や、M5「Let’s Take A Ride」での、打楽器のようなハードアタックのカルバートソンのピアノプレイは名演で必聴。エネルギッシュなビートが続いた後の、スローミディアムなバラード、M8「Hey Girl」のリリカルなカルバートソンのピアノがひときわ美しい。M10「Got to Give It Up」、はマービン・ゲイ名曲(1977)カバー演奏。トロンボーンは、カルバートソン自身による演奏で必聴。M12「Play That Funky Music」は、70年代に活躍したファンク・バンド、ワイルド・チェリーのヒット曲(1976)のカバー。M13「Spend A Little Time」はバラード曲。しっとりとしたカルバートソンのピアノは、「Another Long Night Out」などで魅了される「静」の顔。最後は、「To be continued」というから、カルバートソンの「ファンク」は続く?

2017年1月29日 (日)

Rumer 「This Girl's In Love」(2016)

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ルーマーの新作は、バート・バカラックとハル・デヴィッド作品のカバー集。ルーマーの繊細な歌声はもちろん、オーケストレーションの世界観に魅了される秀作。オーケストレーションとプロデュースは、ロブ・シアックバリの手による。シアックバリは、ディオンヌ・ワーウィックのプロデューサーや、バカラック自身のバンドのアレンジャーやキーボード奏者を務めた人。ルーマーとは、「Into Colour」(2014)、「B-Sides & Rarities」(2015)に続くプロデュース作品。ルーマーのパートナーでもある。シアックバリこそ、バカラック・サウンドを知り尽くした現代の表現者だろう。弦や管の情緒的なオーケストレーションは、バカラックの黄金時代を蘇らせる王道のポップス・オーケストラ。アレンジの中核となるのは、しっとりとしたピアノ演奏で、M1「The Look of Love」や、M7「Land of Make Believe」などで聞けるピアノ・フレーズが印象に残る。取り上げている曲のオリジナルは、ほとんどがディオンヌ・ワーウィックが60年代後半に歌った曲。M2「The Balance Of Nature」、M9「Walk On By」などのワーウィックの名唄曲も、ルーマーの透明感ある歌声で新鮮な趣き。ルーマーは、カレン・カーペンターの再来とも評価されるけれど、M5「Close To You」のスローなテンポで丁寧に歌い込む歌声は、カレンとは重ならない。落ち着いたピアノの演奏と相まって、ルーマーらしい名唄のベスト・チューン。アルバムを通して統一感のあるサウンドと、ルーマーのささやくような歌声をリアルに記録した録音も素晴らしい。

2017年1月15日 (日)

Peter White 「Groovin'」(2016)

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ピーター・ホワイトの新作は、全10曲すべてカバー作品集。卓越なメロディー・メーカーでもあるホワイトのオリジナル曲が無いので、残念ではある。それでも、彼のガット・ギター演奏は、いつも以上にリラックスして聴こえるし、選曲もポピュラーな名曲揃いで、オリジナルを逸脱しないアレンジも素晴らしい。どこを切っても、ホワイト流の「グッド・ミュージック」だから、気がつくと愛聴盤になってしまう。M1「Groovin’」(ラスカルズ)、M2「Do I DO」(スティービー・ワンダー)、M8「Sleepwalk」(サント&ジョニー)、など、聴き慣れたメロディーを奏でるギターが心地いい。M4「How Long」は、ポール・キャラックが在籍していた英国のバンド「エース」の隠れた名曲で、ジェフ・ゴラブの名演カバーが記憶に新しい。ホワイトのカバー演奏も、メランコリックで素晴らしい。サックスの客演は、ヴィンセント・インガラ。この選曲はゴラブへのオマージュかな。ステファニー・ミルズのM7「Never Knew Love Like This Before」と、ザ・スリー・ディーグリースの名曲M9「When will i see you again」は、聴き逃せない演奏。いずれも超ヒットのオリジナル曲だけれど、ホワイトのギターで聴けるとは嬉しい。最後の曲M10「Here, There and Everywhere」(ビートルズ)も、心に沁みるギターの名演。ピーター・ホワイトのファンには、彼からの「ギフト」のような作品。

2017年1月 9日 (月)

Paul Brown 「One Way Back」(2016)

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ポール・ブラウンの新作は、いつものポップな路線と変わって、ブルースやゴスペルなムードが特色の意欲作。1曲目「Put It Where You Want It」は、クルセイダーズのカバー。クルセイダーズの初期作「Crusaders 1」(1972)に収められている曲。オリジナル演奏のギターは、ラリー・カールトン。ブラウンの、カールトンばりのブルージーな演奏が聴きもの。加えて、M6「Well Alright」は注目曲。サザン・ソウルの歌手で、レジェンドと言っていいドン・ブライアント(74才)がボーカルで参加した演奏。ブラウンのオリジナル曲のようだけれど、メンフィス・ソウルのクラッシックのようで、シブいブライアントの唄が聴きもの。M10「Heaven」も、ゴスペル・ブルースな曲。オルガンもギターも、ディープなムードたっぷり。シブいボーカルは、ブラウン自身。M3「Hush」は、ソウル・ジャズと言っていい曲調で、ブラウンのブルージーなフレージングが光る演奏。いつものメローなブラウンが聴けるのは、スムーズジャズ系のメジャー・ギタリスト4人が客演した曲。M4「Piccadilly Circus」(クリス・スタンドリング)、M5「River Walk」(マーク・アントワン)、M7「Take Flight」(ピーター・ホワイト)、M9「Riar View Mirror」(チャック・ローブ)、いずれもメロー・ムードのポール・ブラウンのファンなら安心できる佳曲。できれば、「Put It Where You Want It」で、ラリー・カールトンをゲストに迎えて共演してくれたらサイコーだったのに。

2017年1月 3日 (火)

スムーズなシングル盤 ㉘

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ホットなシングルを3枚。ヒットチャートを賑わしているダミアン・エスコバーの「Get Up And Dance (G.U.A.D.)は大注目の曲。エスコバーは、ニューヨーク出身のバイオリン奏者。かつて、兄弟であるトゥーリーと、バイオリン・デュオ「Nuttin’But Stringz」を組んで活躍。デュオとして、フルアルバム「Struggle from the Subway to the Charts」(2006)がある。デュオ解散後、ダミアンはソロ・アーティストで活躍中。ダミアンのソロ・アルバムは「Sensual Melodies」(2014)がある。R&B/ソウル、ヒップホップのクロスオーバーと言っていいユニークな音楽スタイル。この新曲は、題名通りのダンス・チューン。繊細なバイオリンの音色が、ダンス・ビートに乗って浮遊するかっこいい曲。サックス奏者ライリー・リチャードは、クリーブランド出身の新人アーティスト。新曲「Family Ties」は、ダーレン・ラーンのプロデュース。ボニー・ジェイムスあたりのポピュラー路線のキャッチーなメロディがなかなかにいい。ギター奏者ドゥリュウ・デヴィッドソンの新曲「East Moon」は、R&Bテイストのスウィートなメロディーにソリッドなギターと、ハートにグッとくる良質な作品。新作アルバムはかなり期待できそう。

2016年12月31日 (土)

Ken Navarro 「Bonfire」(2016)

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ケン・ナヴァロの23作目となる新作は、例によって彼自身のワンマン多重録音。彼のアイコンであるナイロン弦ギター演奏に限らず、今まで以上に多様な楽器をこなして、ワンマンのスタイルが進化したことろが聴きどころ。特に、ホーンセクションやストリングまでこなして、それらを効果的に使った重厚なアレンジが素晴らしい。 M1「My Best Friend」のアップビートな主題をサポートするホーン・セクションが、スリリング。M2「Refuge」は、ベスト・トラックだろう。イントロから始まるホーンセクションとストリングス、中盤からエレキギターで展開する曲想はドラマチック。 M5「One Summer Day」は、いつものナヴァロ節のロマンティックなメロディーで定番的1曲。それでも、上品なバックグランドのホーンセクションが新鮮。M6「Hammocks & Swings」の、ミュート・トランペット演奏。M9「A Dozen Roses」では、アコースティック・ピアノとベース・ギター。いずれも、ワンマンで演奏しているとは信じられないほど、完璧なオーケストレーション。M10「Glen Echo」は、ストリングスとホーンだけで奏でる、クラッシックの小品のような曲。これがワンマン演奏とは。感激。

2016年12月30日 (金)

第59回グラミー賞ノミネート作品

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59回グラミー賞の、「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門のノミネート作品は、次の5作品。受賞決定は、2017年2月13日。

「Human Nature」Herb Alpert
ハーブ・アルパートは、近年の「Steppin’ Out」(2013)で、「ベスト・ポップ・インストルメンタル・アルバム賞」を受賞。その後も、「In The Mood」(2014)、「Come Fly With Me」(2015)と、80歳(!)を超えて、精力的に新作をリリースしている。新作「Human Nature」は、マイケル・ジャクソンの表題曲や、オリジナルの「Doodle」など、打ち込みのディスコ・ビートを多用したアレンジが新機軸。個人的には、オリジナルの「Mystery Mann」がジャズ・ムードのポップ・チューンで、一番光っている。
「When You Wish Upon Star」Bill Frisel:
奇才のジャズ・ギタリスト、ビル・フリーゼルは、前作「Guitar In The Space Age」で、第58回グラミー賞候補作になったので、2年連続。前作ではビーチ・ボーイズやベンチャーズを取り上げたり、ジャズの範疇にとらわれず、進歩的にテーマに取り組むところが芸術的で、グラミーに評価されるのかな。今回は、映画音楽の作品集。タイトル曲や「The Shadow Of Your Smile」「Moon River」「The Godfather」などポピュラーな曲を取り上げている。フレーゼルのギターや、ビオラ奏者の入ったバンド・サウンドは、フォーキーで牧歌的。ボーカルは、ジャズ・ベーシストのチャーリー・ヘイデンの実娘、ペトラ・ヘイデン。
「Way Back Home 」Steve Gadd Band:
2015年に行われた、スティーヴ・ガッドの70才誕生日を記念したコンサートのライブ録音。バンドはマイケル・ランドゥ(g)、ジミー・ジョンソン(b)、ラリー・ゴールディングス(kbd)、ウォルト・ファウラー(tp)の4人。ガッドのリーダー名義のバンド編成としては、25年ぶりという「Gadditude」(2013)の演奏メンバー。「Gadditude」から数曲演奏している。メンバーの巧みな技量と、ライヴならではの奔放なパフォーマンスのフュージョン。
「Unspoken」Chuck Loeb:
チャック・ローブの新作は、曲ごとに、ジェフ・ローバー、ブライアン・カルバートソン、エヴェレット・ハープなど、大物ゲストを迎えての演奏集。どの曲も、ローブの繊細で流れるようなパッセージが美しい。ティル・ブレナーが客演した「Si Se Puede」や、奥様のカルメン・クエスタが歌う「Way Up High」、いずれもボサノバ・スタイルで聴かせるメロウなフレージングは、この人ならでは。
「Culcha Vulcha」Snarky Pappy:
スナーキー・パピーは、「Sylva」が2016年グラミー賞のベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバムを受賞しているので、2年連続のノミネート。このバンドの予想不可能なリズムやメロディーの展開は、攻撃的で終始スリリング。流動的なメンバー構成や、目まぐるしく展開するオーケストレーションは、演劇的でもある。この新作も、このバンドの「尖った」音楽性が発揮された秀作。収録曲の「Tarova」はレゲエとファンク、「Go」はファンクとロック、というように融合的なグルーヴは親近感がわく曲だが、展開は意表も突かれる。
受賞を予想するなら、スナーキー・パピー、ひょっとして、ビル・フリーゼル、かな。スムーズジャズのファンとしては、チャック・ローブのノミネートが嬉しいけれど、スムーズジャズから選ぶならもっといい作品があるのに。スナーキー・パピーの先進的な音楽性は、注目に値する。ただし、リスナーはリラックスすることは許されず、聴くためのエネルギーが必要。でも、聴き終わると爽快感を感じる、不思議で、ちょっと中毒性の魅力。

2016年12月25日 (日)

2016年のスムーズジャズ・ソング15(+1)曲

G

今年のスムーズジャズ・ソング、オススメのゴキゲンな15と1曲。

①「Taking Control」ジェラルド・アルブライトの「G」から。グルーヴ全開のパワー・チューン。ホーンセクションもベースも彼の多重録音。サックス以上に、ベース演奏のファンキーなところが必聴。
②「Tuesday Swing」スーパー・ユニット「Juzz Funk Soul」の「More Serious Business」の1曲。ポップなメロディーに乗って、ジェフ・ローバー、チャック・ローブ、エヴァレット・ハープ、3人のスリリングな演奏がたまらない。
③「Overdrive」注目のデュオ「The JT Project」の「Moments of Change」から。疾走感のあるアンサンブルに惹き込まれること間違いなし。
④「Can’t Let Go」ロック・ヘンドリックスの同名デビュー・アルバムから。ポール・ハードキャッスル作品を支えてきた、サックス奏者のソロ作品。官能的なフレージングがたっぷり聴ける。
⑤「Wonderland」ブライアン・シンプソンの「Persuasion」から。共作のスティーヴ・オリバーのテイストがブレンドされた、上品なポップ・チューン。
⑥「Moving On」タイラー・リース「Reminiscence」からの、爽快なポップ・チューン。ポップな曲とはいえ、リースの超テクなギター演奏に注目。
⑦「Take Me Away」オリ・シルクの「Where I Left Off」から。客演ピーター・ホワイトのギターと、シルクのピアノのインタープレイが素晴らしい。
⑧「Soul Vibration」クリス・スタンドリング「Ten」から。浮遊するメロウなサウンドとギターなら、この人。ラウンジ的なグルーヴがカッコいい。
⑨「Bring It」キム・ウォーターズの「Rhythm and Romance」から。文句なしのスムーズなサックスならこの人。メロディ、演奏、鉄板の1曲。
⑩「Sassay」ポール・ジャクソン・JRの「Stories from Stompin’Willie」から。ソリッドなフュージョン・スタイルで、こんなにもポップなギターに感動の1曲。
⑪「East Moon」ドゥリュー・デビッドソンの新作シングル。オクターブ奏法で奏でるソウルフルなフレーズがたまらないミディアム・バラード。
⑫「Mr.Morris」ローマン・ストリートの「Bohemia」から、ヴィンセント・インガラのサックスと共演した曲。
⑬「Twelfth Night」ユージ・グルーヴの「Still Euge」から。ソプラノのメロウな音色がたまらない。
⑭「Triple Dare」BWBの「BWB」から。リック・ブラウン、カーク・ウェイラム、ノーマン・ブラウンのリラックスしたインタープレイが聴きどころ。
⑮ 「Joy Ride」アダム・ホーリーの「Just the Beginning」から。共作のグレッグ・マニングらしいメロディを、ファンキーでソリッドなギターが疾走するビート・ナンバー。
⑯「Midnight Drive」マイケル・リントンの「Second Nature」から。リントンのサックスが歌う、メロウなAORチューン。リントンの泣きのサックスが沁みる。

2016年のベスト3+1

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今年聴いた作品の中から、独断で選んだベスト作品です。

1. ボブ・ボールドウィン 「The Brazilian-American Soundtrack」

2. ユー・ナム 「Surface Level」

3. フィリップ・ドック・マーティン 「Pocket Love」
(次点)デイブ・ブラッドショウ・ジュニア 「Set Me Free」
近年のボールドウィンは毎年のように新作を発表して、ますます脂がのった活動は精力的。今年の新作は、オリンピック・イヤーにブラジルをテーマにした作品。ニューヨークでの演奏セットを対にした企画も秀逸な内容。ほぼ2時間半に及ぶ全26曲のボリューム、全曲クオリティの高さは圧巻で感動の力作。ジョー・サンプル、ジョージ・デュークら巨匠に勝るとも劣らない、現役のプレイヤーとして突出した才能を聴かせてくれる。
ユー・ナムの新作は、彼がジョージ・ベンソンをフォローする演奏スタイルにかたくなに取り組んできて、現時点での頂点と言ってもいい力作。たとえベンソン・スタイルと形容されても、オリジナルの域に届くかのような演奏が情熱的。90年代のディスコ・ビートを下敷きに、グルーヴ重視のギター・リフが、怒涛のごとく全曲を貫く。ビートのみならず、縦横無尽なギター・テクに惹き込まれる。
フィリップ・“ドック”・マーティンの新作は、オーソドックスと言っていいスムーズ・ジャズの秀作。奇をてらわない、健康的なサックスの音色が魅力。名作「Two Of Us」も、原曲を崩すことなく、むしろ忠実なアプローチが潔良くて心地いい。R&Bやポップな曲も並んで、いずれも上品なマーティンのサックスは、グローバー・ワシントン・JRの再来と言ったら褒めすぎかな。
デイヴ・ブラッドショウ・JRは、デビュー作品とはいえ、完成度の高い作品。「このピアノは誰?」と聞かずにはいられない。サックス奏者ダーレン・ラーンの客演やプロデュースのサポートも好影響。ゴスペル・テイストを感じるアタックなフレーズや、ソフトでメロウなところもある、彼のピアノ・プレイに魅了される作品。
さて、毎年恒例の、「Sound of The Breeze」のマスター、「洋楽のソムリエ」さんによるベスト作品は。下記がそのコメント再録です。(当サイトと同時掲載です。下記のコメント内のリンクは、当サイトのレヴュー記事です。)

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Large_3 Silk Change Ken_navarro_bonfire

1位 The Brazilian-American Soundtrack Bob Baldwin

内容の濃いアルバムを毎年途切れることなく発表するだ

けでも評価出来るのに、今回は二枚組 ! 二枚ともそれぞ

れに特徴があるのだが、筆者はブラジルがテーマである

Disc 1にぞっこんだ。「Ipanema Fusion 」は、今年のベ

スト・ダンス曲に認定した程である。「コルコヴァード」

やイヴァン・リンスの楽曲でもボールドウィンの編曲センス

は光る。横綱が横綱相撲を取ったということで1位認定。


2位 Where I Left OffOli Silk 

もはや彼にグレッグ・カルーカスやブライアン・シンプソンの

後継者といった表現は失礼だろう。むしろ、このアルバムで

両者を凌いだ観さえある。軽めのグルーヴが心地よいふたつの

ヴォーカル作品も秀逸だ。「今年の正統派スムーズ・ジャズはこ

! 」という作品を選ぶなら、このアルバムかも知れない。この

アルバムのように、一曲一曲に納得がゆくというものは極めて稀

である。

 

3位 Moments Of Change The JT Project

全曲をオリジナルで攻めて来たデュオの最新作は、今年

のスムーズ・ジャズ・シーンの質を底上げしてくれた一枚

だ。このような らしい作品 がシーンに存在する限りは

スムーズ・ジャズの行く手は、まだまだ明るい。特に「Limbo

と「Overdrive 」には、他のジャンルでは味わえない爽快

感がある。個人的にだが、マスタリングで友人のロン・ボー

ステッドがかかわっているのも、うれしい。

  

次点 『Bonfire Ken Navarro

ケン・ナヴァロは1990年代後半から2000年代前半に一旦

ピークを迎えたギタリストだ。選者(=筆者) は当時、そん

な彼の作品をライセンス契約のもと日本で発売していたの

だ。この作品は、彼が再び当時の路線に戻り(One Summer

Day)、さらには新たな境地に果敢に挑戦したものと捉える

ことが出来る。ナヴァロを再評価する契機となる一枚として

推奨したい。

 

その他の「推奨盤」 

グラミーにノミネートされたChuck Loeb の『Unspoken 』は、グラミー獲得に値する一枚。本来であれば、このような作品がBest “ Smooth Jazz “ Albums というカテゴリーのもとに候補として挙がるべきなのだ。本来であれば” Best に食い込んでいい作品なのだが、完璧さが鼻について減点した。

Jazz Times誌」はKim Waters Rhythm and Romanceスムーズかつ完璧と評している。異性を恍惚に導く際の極めて上質なBGMとしても使えそう。

The Rippingtons True Stories も、ベスト級のデキだ。

Gerald Albright Gは、マイケル・マクドナルドが唄う「Lovely Day(ビル・ウィザース)が聴けるというだけでも買う価値あり!

いつもであれば上位に推すEuge Groove Still EugeMarc Antoine の『Laguna Beach 』は、前作以上には魅力的と思えず、今回はパス。

Peter White の『Groovin’ は彼のカバー作品が好きな人にはお薦め。筆者には書き下ろし作品がなかったことに不満が残った。

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奇しくも、同じ1位が、「The Brizilian-American Soundtrack」でした!スムーズジャズ・ファンなら必聴の作品です。もう一度聴き通して、今年を締めくくろうかな。

«Tyler Reese 「Reminiscence」(2016)

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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2015 Top Recommend (click)

  • Bob Boldwin「MelloWonder」
  • Brian Simpson 「Out of a Dream」
  • Jonathan Fritzen 「Fritzenized」

2014 Top Recommend (click )

  • Greg Manning 「Dance With You」
  • Rick Braun 「Can You Feel It」
  • Michael Lington 「Soul Appeal」
  • Ed Barker 「Simple Truth」

2013 Top Recommend (click)

  • Jeff Golub 「Train Keeps a Rolling」
  • Oli Silk 「Razor Sharp Brit」
  • Patrick Yandall 「Soul Grind」
  • Boney James 「The Beat」

2012 Top Recommend (click)

  • Euge Groove 「House of Groove」
  • Paul Brown 「The Funky Joint」
  • Chris Standring 「Electric Wonderland」
  • Vincent Ingala 「Can't Stop Now」
  • Phil Denny 「Crossover」