2017年6月18日 (日)

George Anderson 「Body and Soul」(2017)

Bodynsoul

ジョージ・アンダーソンは、シャカタクのベース奏者で、名盤「Night Birds」(1982)以来、今も現役のメンバー。ソロ作品も、「Positivity」(2011)、「Expressions」(2013)、「Cape Town To London(Live)」(2015)とリリースしていて、シャカタクとは別に自身のバンドによる活動も精力的に行なっている。そして、これが「新作」。シャカタクの洗練されたムードとは異なり、ファンク・ソウルのグルーヴをパワフルに全開するミュージック。アース・ウィンド&ファイヤー、ジョージ・デューク、Pファンク、など、80年代のオールド・スクールなファンクを思い出す。疾走するホーン・セクションに、ソウルフルなコーラス、ガツンと来るビートに、チョッパーのベース・プレイ、沁みるスウィート・テイストのバラード、などなど、これでもかと繰り出される隙のないグルーヴにワクワクしてしまう。M2「G_Funk」は、タイム・スリップしたかのディスコ・ビート全開のハイライト・トラック。M6「Miller Time」は、重厚なホーン・セクションと交差するアンダーソンのチョッパー・ベースが疾走する、ガツンと来る曲。スムーズ・ジャズ・ファンにはイチオシの必聴トラック。M3「Joys of Life」は、都会的なメロディーのポップ・チューンで、これはシャカタク的。M11「All Or Nothing」も、シャカタクを思わせるコーラスだけれど、パワフルなサックスの交差がヘビー級。M7「Beautiful」は、3拍子のバラード曲で、スウィート・ソウルなところがグッときます。M15「Can’t Hide Love」は、EW&Fが「Gratitude」(1975)に入れた曲のカバーのライブ演奏。EW&Fのカバーでしめるあたりが、なんともにくいなあ。ブリティッシュ・ファンク・ジャズのファンには必聴の作品。

2017年6月12日 (月)

Marcus Anderson 「Limited Edition」(2017)

Malte

マーカス・アンダーソンの前作「AND Coffee」は、自身のコーヒー・ビジネスの宣伝(?)を兼ねて、リラックスしたムードの「企画作品」の趣だったから、この新作は、久しぶりに、都会的でヒップでパワフルな彼の持ち味がたっぷり堪能できる作品。M1「Limited Edition」は、未来的なトーク・ボックスのボーカルが印象的な、ヒップなビート・チューン。M2「Backseat Drivers」は、オーバー・ダビングのサックスがスリリングな、まるで「ザ・サックス・パック」のレパートリーになりそうな曲。M5「Understanding」は、ブライアン・カルバートソンが参加したスロー・バラード。カルバートソンのピアノと、アンダーソンのサックス、両者のフレージング交差にグッと来るメロウなハイライト曲。M10「The Art of Gold」は、あのプリンスのサックス奏者だったアンダーソンの「持ち味」が発揮された、と言えるような、ヒップなサックスが怪しげでドラマチックな曲。M14「Give Love」も、ポップなプリンスを彷彿させるようなキャッチーなボーカル・チューン。ボーカルは、アンソニー・サウンダースという人。アンダーソンの歌伴もクリーン・フレージングで、なかなかかっこいいボップ・チューン。M12「Stalker!」は、ゴキゲンなビート・チューンだけれど、ストーカーをテーマにドラマ仕立ての演出が面白い異色な曲。ボーカルとセリフもアンダーソン自身なのかな、コメディー的演技力は必聴です。

2017年6月 4日 (日)

Kirk Whalum 「#lovecovers」(2017)

Lovecovers

カーク・ウェイラムの新作は、ゴスペルとポップスのカバー集。ウェイラムは、ソロに限らず、BWBユニットの活動など、スムーズジャズやコンテンポラリージャズのプレイヤーであるが、「The Gospel According to Jazz」シリーズを代表として、ゴスペル音楽をテーマにした演奏活動に取り組んでいる。今回の新作は、ゴスペルというのか、クリスチャン・ミュージックのカテゴリーに入るポピュラー曲集であり、全曲が歌入りのカバー集。クリスチャン・ミュージックというジャンル自体は、宗教的な違いもあり、日本では馴染みがないが、アメリカのポピュラー音楽界ではメジャーなカテゴリー。歌詞には信仰に基づいた啓示的なメッセージが強い内容ではあるが、カントリーやR&B、ジャズやロックなど多様なカテゴリーがクロスオーバーした音楽シーンで、その分野に特化したメジャー・アーティストも多い。 12曲中には、ビヨンセの「Love Top」(M1)や、スティービー・ワンダーの「Have a Talk with God」(M2)、マービン・ゲイの「God is Love」(M4)、ホイットニー・ヒューストンのカヴァーで有名な「I will Always Love You」(M10)など、ポップスの有名曲もセレクトされている。 参加ミュージシャンには、ゴスペルの名門ワイナンズ・ファミリーからビービー・ワイナンズ、同じくカルヴィン・ワイナンズ。男性歌手ドニー・マクラーキンや、女性歌手ニーア・アーレン、など、いずれもゴスペル音楽界のメジャー級アーティストが参加している。感動的で必聴のトラックは、M11「Tomorrow」。これはワイナンズの名曲(1984)で、メンバーでもあるカルヴィンがボーカルで参加したカバー演奏。過去のニュース速報が引用される演出で、マイケル・ジャクソン、モハメド・アリ、ホイットニー・ヒューストン、プリンス、スティーヴ・ジョブスなど、偉大な人たちの急逝をアナウンサーが伝える。ウェイラムのソプラノ・サックスのなんと美しい音色。ウェイラムがこのアルバムに名付けた「lovecovers」というタイトルは、聖書の言葉からの引用、「愛こそ多くの罪をおおう(cover)」に意味を込めている。つまりは、「love will cover」で、愛をテーマにした「カバー」曲集というわけ。この作品のウェイラムのサックスと演奏は、コンテンポラリーで、清々しく繊細なフレジージングとサウンドに満ちている。スムーズジャズの視線(いや聴線か)でも、ベスト級で魅力的な秀作。

2017年5月27日 (土)

Valeriy Stepanov 「New Beginnings」(2017)

Newbeginning

「スカイタウン・レコード」は、ギター奏者ユーナムが創設したレーベル。スムーズジャズに特化した大注目の新興レーベルだ。ユーナム自身以外にも、サックス奏者シャノン・ケネディと組んだ「グルーヴ・リミテッド」も所属アーティスト。いずれも、ファンク・グルーヴに満ちた「音色」が、このレーベルの特色。そして、このヴァレリー・ステファノフが、スカイタウン・レコードの新たなアーティスト。ヴァレリーは、ロシアのイルクーツク出身、モスクワ音楽院の卒業という経歴の持ち主。ロシアや東ヨーロッパで演奏活動や、レコードのリリースもある、若干27才のキーボード奏者。「スカイタウン・レコード」からのこの新作は、素晴らしい才能の発掘であり、「大型新人」の表舞台での登場だ。チック・コリアを思わせるような、力強くかつ技巧派のピアノ・フレージングや、フェンダー・ローズの弾けるような音色とグルーヴが、この人の特色。M1「Happy People」は、チェロやホーン・セクションと絡んで、フェンダーのグルーヴィーな音色が印象的なトラック。M2「Tonight」は、リリカルで疾走感のあるピアノが爽快で、ユーナムも客演した曲。M3「Walk in the Park」は、前2曲からのビートを引き継いだ、ポップなメロディーを奏でるピアノに惹きつけられる曲。M9「In Common」は、明るいミディアム・バラード、ここで聴けるフェンダー・ローズの、流れるようなフレーズにうっとりさせられる。M10「Butterfly」は、比較的このアルバムの中では異色だけれど必聴の演奏。ヒップなコーラスを使ったアシッド・ジャズのムードで、中盤から展開する疾走するリズムでの、速弾きピアノ・フレージングは、この人の「本格派」な音楽性が聴けるトラック。今年のベスト級の作品であり、将来性有望なアーティストの出現。

2017年5月20日 (土)

Norman Brown 「Let It Go」(2017)

Letitgo

ギター奏者ノーマン・ブラウンのソロ10作目となる新作は、ギター・プレイはもちろんサウンド・プロダクション全て、「上質」という点で、右に出る進行形のアーティストは見当たらない、完成度の高いスムーズジャズ作品。アルバムのコンセプトは、ブラウン自身のライナー・ノーツから理解するに、生命や幸福、愛、といった奥深いスピリテュアルなテーマで作られた作品。ブラウン節のギター・フレーズとサウンドは、いつもどおりグルーヴを感じるが、上品で透明感のある音の奥行には、彼の精神的なメッセージが隠れているのだろう。M2「It Keeps Coming Back」、M3「Let It Go」の2曲はいずれも、ミディアム・スロウ・メロディのコンテンポラリー・インスト曲で、上品なギターとサウンドが秀逸なベスト・トラック。M10「Liberated」は、BWB名義のファンキー・チューンで、BWBファンには嬉しいハイライト・トラック。曲中から聴ける、カーク・ウェイラムリック・ブラウン、ノーマン・ブラウンのボーカルとギター、3者の「がっぷり四つ(三つ?)」の演奏は鳥肌モノ。ちなみにノーマン・ブラウンは、過去のソロ作品に、BWB名義の演奏を入れている。BWBのフルアルバムは3枚しかないけれど、それぞれのソロ・アルバムに「隠れた」BWB演奏が見つけられるので、ファンは要チェック。さて、M11「Remember Who You Are」も、BWB盟友のカーク・ウェイラムがソプラノ・サックスで参加した演奏で、ブラウンのフレージングがたっぷり聴けるコンテンポラリー・ジャズな曲。M4「Ooh Child」は、70年代ソウルのヒット曲、兄弟ソウル・グループの先駆け、ザ・ファイヴ・ステアステップスによるミリオンセラーのカバー演奏。こちらのボーカルは、トレイシー・カーターという人で、キーボードも演奏している。また、ノーマン・ブラウンの実娘である3人姉妹のボーカル・トリオ「S.O.U.L.(Sisters of Unbreakable Love)」が参加した、M5「Conversations」、M6「Living Out Your Destiny」の2曲が興味深い。いずれ、彼女たちもメジャー・デビューするだろうから、注目したい。もちろん、ノーマン・ブラウンのプロデュースだろうから。アルバム最後の曲、M10「Man in the Mirror」は、言わずと知れたマイケル・ジャクソンのカバー曲。ブラウンは、アコースティク・ギターを演奏している。ゴスペル・グループの「サウンズ・オブ・ブラックネス」が参加して、アルバムを締めくくる「賛歌」に仕上げている。ところで、BWBのアルバム「Human Nature」(2013)は、マイケルの作品集。そのアルバムの最後の曲も、「Man in the Mirror」だった。聴き比べてみてはいかがかな。

2017年5月 5日 (金)

Cindy Bradley 「Natural」(2017)

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シンディ・ブラッドレイの新作は、サックス奏者デヴィッド・マンを共作者に迎えた作品。「Bloom」(2009)、「Unscripted」(2011)、「Bliss」(2014)の過去3作品では、マイケル・ブルーニングがプロデュースと楽曲の共作を手がけたサウンドのキーマンだったので、この新作での変化が注目。M1「Girl Talk」は、サックス奏者ポーラ・アサートンとの共演で、両者のファンキーな掛け合いが必聴。アサートンの「Ear Candy」(2015)で、ブラッドレイがゲスト共演したトラック「Between You & Me」があったので、今回はお返しということ。いつか、この2人でフル・アルバムを作って欲しいなあ。きっと傑作になるはず。M2「Category A」は、ギター奏者クリス・スタンドリングの共作とゲスト参加した曲で、これはハイライト・トラック。聴いたらすぐに分かる特徴的なスタンドリングのギター・サウンドとメロディ。ブラッドレイのフレージングも、ヒップでアシッドなところが新鮮な演奏。タイトル・トラックのM7「Natural」でも、スタンドリングが参加していて、ブラッドレイとのインタープレイがクールな味が印象的。M6「Clean Break」では、ファンキーなビートに乗るエコーの効いたトランペットが、彼女の傑作アルバム「Unscripted」のムードを思い出す。M9「She Bop」は、スウイング・ジャズを思わせるミュート・スタイルで終始演奏する意欲的な演奏。M3「Everyone But You」はメランコリーなメロディの曲、M10「Crush」は爽やかなメロディの曲、いずれもポップス・チューンと言っていい聴きやすいサウンド。このあたりは、今までに見られない新しい路線だろう。過去作品では、シャープでエッジの効いたサウンドが、この人の持ち味だった。それに比べると、今回は少しソフトなムードの印象が残る作品かな。次作では少しハードなビートの演奏が聴きたい。

2017年4月16日 (日)

Geoff Alpert 「Open Your Heart」(2017)

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トロンボーン奏者ジェフ・アルパートのデビュー・フル・アルバム。女性アーティストのバンド、ジャズ・イン・ピンクのキーボード奏者ゲイル・ジョンソンのプロデュースをはじめとして、ベース奏者ダリル・ウィリアムス、ギター奏者アダム・ホーリー、キーボード奏者グレッグ・マニング、フルート奏者アルティーア・レナ、などスムーズジャズ系のアーティストが多数ゲスト参加している。ハワイの「カラパナ」にも参加していたサックス奏者マイケル・パウロもゲスト参加していて懐かしい。デビュー・アルバムといえ、豪華なゲストは、アルパートのサポート・ミュージシャンの30年のキャリアの交友関係を物語っている。1曲目は、「Heartbreak Hotel」で、懐かしいザ・ジャクソンズのヒット曲のカバーで、ハイライト・チューン。アダム・ホーリーのオン・ビートなギターや、アルパートのファンキーなトロンボーンが、オリジナルのマイケルの歌声を思い出す、秀作のカバー演奏。M3「Don’t Ask My Neighbors」は、ザ・エモーションズのヒット曲のカバーで、スウィート・ソウルなスロー・バラード。歌うようなトロンボーンのフレージングが印象的。これは、かつてジョージ・デュークのプロデュースで、トロンボーン奏者のラウル・ジ・スーザがカバーした名演(1978年同名アルバム)へのオマージュに違いない。タイトル曲M6「Open Your Heart」は、サンバ・リズムの佳曲。アルティーア・レナのフルートが客演している。M7「Aloha Nights」は、マイケル・パウロのサックスが客演した曲。スロウなメロディからオン・ビートに変わるあたりのサックスとトロンボーンが交差するフレージングが、なんだか80年代のクロスオーバーを思い出して懐かしい。M8「Thinking About You」は、ゲイル・ジョンソンのピアノと、アルパートのトロンボーンのデュエット演奏。トロンボーンのどこかヒューマンな音色が際立って染みるような演奏。スムーズジャズ界はサックスが花形で、あまりトロンボーン奏者のリーダー作品に出会えないけれど、このアルパートのトロンボーンはベスト級の秀作。ぜひ聴き逃さないように。

2017年3月26日 (日)

Rick Braun 「Around The Horn」(2017)

Aroundthehorn

リック・ブラウンの新作は、アーバンなムードのサウンドに満ちた秀作。ドイツのトランペット奏者ティル・ブレナーが参加したタイトル・トラック、M8「Around The Horn」では、両者のトランペット掛け合いや、交流はおなじみのギター奏者ピーター・ホワイトが参加した2曲(M4「We Don’t Talk Anymore」とM9「Vila Vita」)など、必聴の曲が並ぶ。カバー曲も3曲、M4「We Don’t Talk Anymore」はチャーリー・プース、M6「In Common」はアリシア・キーズ、M10「Yellow」はコールドプレイと、いずれも近年の新しいアーティストの曲を取り上げているところなど、聴きどころが満載。そんな中で、ジョン・ストッダートとコラボした5曲は、ブラウンの新境地。ジョン・ストッダートは、フィラデルフィア 出身の、シンガー、キーボード奏者。このアルバムで、2人は5曲を共作共演していて、いずれもキャッチーなメロディーが印象的な楽曲。M1「So Strong」はラテン・メロディーの曲で、エコー処理のブラウンのトランペットが、ちょっとハープ・アルパートを思わせる。M3「Love Take Me」は、話題の女性ボーカリスト、リンジー・ウェブスターが参加した、ミディアム・バラードで、ヒット性のアーバンな楽曲。M5「Everything Is Alright」は、ブラウンらしいファンキー・チューン。ストッダートのボーカルと、ブラウンのトランペットもグルービーで、まるでBWBの演奏を思わせるところが興味深い。M7「I Love You More」も、ストッダートのボーカルとブラウンのトランペットが絡む、メロウなソウル・バラード。M11「One South Beach Night」は、メロウでキャッチーなポップ・チューンで、ストッダートのスキャットと、ブラウンのミュート・プレイのインタープレイが魅力的で、何度もリピートしたくなる。今年のベスト級作品として、イチオシの作品。

2017年3月20日 (月)

Herman Jackson 「The Cool Side」(2016)

Coolside

少し時間が経ってしまったけれど、第59回グラミー賞の「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門は、スナーキー・パピーの作品だった。予想していたとは言え、スムーズジャズ・ファンとしては、チャック・ローブが入選できないのは残念。スナーキー・パピーの芸術的な音楽性に反論はないけれど、スムーズジャズには依然としてスポットが当たらないのだろうか。スムーズジャズに批判的な評価があったとしても、ファンとして、筆者はそんなスムーズジャズが好きなのだから仕方が無い。理屈じゃないからね。今回も、そんなグルーヴィーでイチオシな作品を紹介。 ハーマン・ジャクソンは、キーボード奏者であり、プロデュースやアレンジもこなすアーティスト。スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、ベイビーフェイス、ロッド・ステュワート、ジョー・コッカー、といった多くのメジャーなポップス・アーティストから、ノーマン・ブラウン、ボニー・ジェイムス、ピーター・ホワイト、ユージ・グルーヴなど多数のスムーズ・ジャズ・アーティストまで、広範囲な共演経験を持つベテランの売れっ子サイドマンである。今作は、初めてのソロ作品。全曲、彼のピアノ演奏を中心にしたメロウなサウンド。「クワイエット・ストーム」系といっていい、都会的で艶っぽいムードのスムーズ・ジャズ。M4「Celia」は、コロコロと流れるような彼のピアノ・フレーズが堪能できるトラック。M2「The Cool Side」は、ギター奏者ノーマン・ブラウンが参加した演奏。軽快で清涼感を浴びるようなグルーヴが心地いい。M6「Rise up」は、サックス奏者エヴァレット・シャープが参加した、スピードのあるビートに乗ったサックスとピアノの交流が聴きもの。M9「Always There」は、ジョニー・ブリットがトランペットとボーカルで参加した、艶っぽいムードのバラード曲。M1「Downtown」は、キャッチーなハイライト・トラック。彼のピアノ・プレイに、ジョー・サンプルや、ジョージ・デュークが見え隠れして嬉しくなってしまう。

2017年2月26日 (日)

Johnny Britt 「Marvin Meets Miles」(2016)

Britt

マイルス・デイビスとマーヴィン・ゲイが、実際に共演したことはなかったはずだが。もしも共演したら、歴史的なパフォーマンスになっていたに違いない。ジョニー・ブリットの新作は、マイルスとマーヴィンのそんな「邂逅」をテーマにした作品。ジョニー・ブリットは、シンガーでトランペット奏者、プロデュースもするマルチ・アーティスト。「Impromp2」というスムーズ&メロウ路線のR&Bデュオを経て、ソロ作品「Feel So Good」(2012)をリリース。スムーズジャズ系でも、ジェシーJのプロデュースを手がけるなど注目のアーティスト。アカデミー賞で注目の「La La Land」でも、サウンドトラックのトランペット演奏もこの人だとか。この作品は、テーマトラックのM1「Marvin Meets Miles」はブリットのオリジナルで、それ以外の8曲は、マーヴィン・ゲイのカバー演奏。いずれもマーヴィンを彷彿とするボーカルと、マイルスばりのミュート・トランペットが交錯する、メロウでクールな秀作。M4「You Soure Love to Ball」や、M5「Let’s Get It On」、M6「What’s Goin’On」、M9「Got to Give It Up」などの名曲の再演も、トラッペットの絡むサウンドが新鮮。ボーカル無しのインストバージョンを「Miles Mix」と称して収録していて、その「Marvin Meets Miles」と「You Sure Love to Ball」の2曲が、スムーズジャズ・ファンとしては注目してしまう。「You Sure Love to Ball」のインストは、ボニー・ジェイムスのサックスがフューチャーされているトラックで、マーカス・ミラーとワー・ワー・ワトソンも客演。アルバムには未収録の、シングル・カットだけで聴ける「What’s Goin’On」のMiles Mixは、トランペット奏者ブリットを堪能できるカバー・バージョン。

«Paolo Rustichelli 「Soul Italiano」(2016)

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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