2019年8月11日 (日)

Mel Holder 「Music Book Vol. III - Magnificent」(2019)

Musicbook3

メル・ホルダーは、ニューヨーク出身のサックス奏者。ゴスペル/クリスチャン・ミュージックにカテゴリー分けされる人で、1999年のデビュー作から5枚のソロ・アルバムをリリースしている。ブルックリンにある教会の敬虔な信者であり、20年以上に渡り音楽を担当する聖職者として活動している。多くのゴスペル系アーティストとの共演や、教会が行う米国内外の布教/演奏活動を行なっている。

近年の教会は、メガ・チャーチと呼ばれる数千人超の信者を集めるコンサート規模の集会が大人気だそうだ。そのステージでは、ゴスペルはもちろんロックやカントリーをベースにしたバンドやシンガーが参加者を高揚させるという。そんなムーブメントも昨今のクリスチャン・ミュージックの多様化の一因と想像する。私は宗教的な解説を述べる知識はないが、音楽目線では近年のゴスペルやコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックは気になる存在だ。インストゥルメンタルの楽曲もあり、特にスムーズ・ジャズのアーティストが登場するのは聴き逃せない。

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2019年8月 4日 (日)

Walter Beasley 「Going Home」(2019)

Goinghome_beasleyウォルター・ビーズリーの新作は全11曲、数曲を除いて、ほぼ同じメンバーによるグルーヴィーな演奏が光る秀作。キー・パーソンは、キーボードのフィル・デイビスと、ドラムスのジョン・ロバーツ。ビーズリーは、ほとんどの曲でソプラノ・サックスを吹いている。

何より5曲のカバー演奏に惹かれてしまう。グローヴァー・ワシントン・ジュニアや、ウィルトン・フェルダー、ジョージ・ハワード、ロイ・ハーグローヴらの楽曲を演っているのだが、いずれも80年から90年代をピークに活躍した、スムーズジャズの先駆者と言える偉大なミュージシャン。ビーズリー自身のヒーロであり、オマージュなのだろう。自らが継承者であることをアピールするような、ビーズリーの演奏が素晴らしい。

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2019年7月28日 (日)

David Nevue 「in the soft light of grace」(2019)

Softlight

デイビッド・ネビューは、ニュー・エイジ系のソロ・ピアニストだ。この最新作まで、デビュー作「The Tower」(1992)から15枚のアルバムをリリースしている。ビルボードのニュー・エイジのチャートでは常連の人気アーティスト。

10代の頃はピンク・フロイドやカンサスといったプログレッシブ・ロックに夢中だったが、ジョージ・ウィンストンに魅了されてソロ・ピアノ演奏を目指したのだという。90年代にネビューはインターネット関連企業に努めるビジネス・マンをしながら、自主制作でアルバムを作り始めた。95年に、当時としては先駆けのオンラインで自身の作品を販売する。そのオンライン販売で人気を博して、2001年には会社勤めを辞めてプロのピアニストになる。

ソロ・ピアノのアルバム制作だけでなく、2003年からは、これもユニークな、ソロ・ピアノ専門のインターネット・ラジオ局「Whispering: Solo Piano Radio」の運営を始めた。2005年からはコンサート演奏も初めて、ソロだけでなくニュー・エイジ系の他のソロ・ピアニスト、デイビッド・ランツ、ピーター・ケーターらと共同コンサートも行なっている。オンラインの音楽販売や、インターネット・ラジオ曲の運営などの経験を書いた著作や、情報配信の活動もしている。

 

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2019年7月14日 (日)

Torcuato Mariano 「Escola Brasileira」(2019)

Tmarianoescolabrasileira

トルクアート・マリアーノはアルゼンチン生まれでブラジルで活躍するベテラン・ギター奏者。ソロとしては5枚の作品をリリースしている。

世界的な評価も高いブラジルのシンガー、カズーザ、イヴァン・リンス、ガル・コスタ、ジャバンなどとも共演。作編曲家でプロデューサーとしても、フラヴィオ・ヴェントゥリーニ(Flavio Venturini)、ファビオ・ジュニア(Fabio Junior)、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ( Paulinho da Viola)、ベロ(Belo)といった、ブラジルの錚々たるシンガー/アーティスト達の作品に関わっている。

ギター奏者としても、スムーズジャズ系ミュージシャン、イエロージャケッツ、マイケル・リントン、ボブ・ボールドウィンらと共演も多い。最近ではボールドウィンの『The Brazilian-American Soundtrack』でも、マリアーノがフューチャーされていた。

 

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2019年7月 7日 (日)

The Braxton Brothers 「Higher」(2018)

Higher

サンフランシスコ出身のザ・ブラクストン・ブラザースは、双子の兄弟、ネルソン(ベース)とウェイン(サックス)のデュオ・ユニットだ。デュオとして、『Steppin Out』(1996)、『Now & Forever』(1999)、『Both Sides』(2002)、『Rollin’』(2004)、『True Love』(2013)の5枚のアルバムをリリースしている。6枚目となるこの新作は5年ぶりの作品ということになる。

久しぶりの新作は、2人の原点回帰を思わせる作品。デビュー当初から、メロウなRB/スムーズジャズ・ユニットというスタイルだったが、前作ではボーカル(Chandlar)やラップ(Clister)をフューチャーして、ピップホップな方向転換の作品だった。この新作は、メロウなグルーヴに溢れた演奏作品で、その点で『Rollin’』以来14年ぶりのスタイルに回帰したといえる。

 

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2019年6月30日 (日)

Cal Harris Jr. 「Soulful」(2019)

Soulful

キーボード奏者カル・ハリス・ジュニアの新作。

父親はモータウン・レコードのレコーディング・エンジニアのカルヴィン・L・ハリスという人で、マーヴィン・ゲイ、コモドアーズ、ダイアナ・ロス、ナタリー・コール、ライオネル・リッチーなど名だたるアーティストの録音やミキシングを担当して功績を残した。昨年に他界したというその父親に、この新作を捧げている。その父親の影響で、ハリス・ジュニアは幼少の頃から音楽世界を体感していたのだろう。

この新作は、前作『Shelter Island』(2013)に続く3作目の自己プロデュースによるフル・アルバム。前作以降に発表されていたシングルの5曲とその内1曲のリミックス・バージョンを含み、初出の5曲の新曲を加えた全11曲の内容。共演者との共作も含む全曲がオリジナル楽曲だ。

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2019年6月22日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 3)

1. ジェリー・ラファティ:「霧のベーカー・ストリート(Baker Street)」(1978)

Citytocityアルト・サックスは、 ラファエル・レイブンスクロフト Raphael Ravenscroft)という人。

この超印象的なサックス・リフで、レイブンスクロフトは一躍注目された。ラファティの次のアルバム『Night Owl』(79年)では、登場が増えてタイトル曲のリリコン演奏や複数曲のサックス演奏で起用されている。

ピンク・フロイドや、マキシン・ナイチンゲール、クリス・レアなどのレコーディングにも参加。79年にはソロ・アルバム(『Her Father Didnt Like Me Anyway』)をリリースしている。

 

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2019年6月 9日 (日)

Jimmy Webb 「SlipCover」(2019)

Slipcover ジミー・ウェッブの新作は、彼のピアノ・ソロ演奏による異色のアルバムです。アメリカやイギリスのポップス名曲10曲と、セルフカバー1曲を演奏しています。今までも、ウェッブの作品にはピアノ弾き語りによる曲は多かったが、歌無しでピアノ演奏だけの作品集とは嬉しい驚きです。演奏曲の多くは70年代のポップス名曲で、それぞれの作者へ敬意を込めた選曲となっているようです。

自身の曲「The Moon Is A Harsh Mistress」に加えて、ブライアン・ウィルソンの「God Only Knows」、ランディ・ニューマンの「Marie」、ジョニ・ミッチェルの「A Case of You」、ポール・サイモンの「Old Friends」、ビルー・ジョエルの「Lullaby (Goodnight, My Angel)」、スティービー・ワンダーの「All In Love Is Fair」、ポール・マッカートニーの「Let It Be」といった、あらためての説明は不要の名曲の数々です。ちょっとレアな選曲は「Pretty  Ballerina」でしょうか。これは60年代後半のポップ・グループ、ザ・レフト・バンク(The Left Banke)の1966年の曲。インド音階を思わせるユニークなメロディーが印象的です。

 

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2019年6月 2日 (日)

Pieces Of A Dream 「On Another Note」(2019)

Anothernoteジェームス・ロイド(キーボード)とカーティス・ハーモン(ドラムス、キーボード)の2人によるピーセス・オブ・ア・ドリームの新作。

全10曲は、ロイド作の楽曲、プロデュースによる4曲。ハーモン作(共作含む)の楽曲、プロデュースが4曲。ロイドとハーモン2人による共作とプロデュースが2曲、という構成。1曲目「On Another Note」とラストの10曲目「Last Call」は、2人の共作楽曲で、やっぱりこの2曲がハイライト。

ロイドの楽曲は、彼らしいロマンティックなムードの曲が聴きどころ。「Take Me There」は、メロウ・メロディを奏でるロイドのピアノ・ソロのバラード。「Floating」はサックスとアコースティック・ギターがムードを盛り上げるミディアム・テンポのマイナー曲。他の2曲、「Images of Peace」も「Rolling Along」もキャッチーなフレーズが印象的な曲。こういうポップな曲がロイドの持ち味だ。

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2019年5月28日 (火)

Dave Sereny 「Talk To Me」(2018)

Bb48df9996644ebe942e1a83f6f542f0 デイヴ・セレニーは、カナダ出身のギター奏者。カナダのスムーズ・ジャズ系のギター奏者というと、スティーヴ・オリバーや、ロブ・ターディック、といった巧者が思い浮かぶ。このセレニーも負けず劣らずハートに響くアーティスト。ジョージ・ベンソンのフォロワーといったスタイルで、カラッとしたグルーヴが持ち味のブルー・アイド・ソウルのような趣き。

2007年に「Take This Ride」を出して以来10年ぶりというこの新作アルバムは、RBムードの曲からポップな曲も並ぶ多彩な佳作だ。

About Her」は、ギブソンの骨太なフレージングや、コーラスが印象的な、メロウなソウル・ムードのハイライト曲。ファンキーなサックスは、同郷カナダ出身のウォーレン・ヒルの客演。セレニー本人が今回初めてボーカルを披露したというナンバー「Talk To Me」はキャッチーなメロディーが上質感を漂わせる佳曲。

Spotlite」はビート・ナンバーで、スピード感のあるフレージングがかっこいい。「Freedom」では、ブルージーなパッセージを披露して、ギタリストとしての本領発揮を聴かせる。カバー曲は、ボブ・マーレーの「Jammin」、スティーヴィー・ワンダーの「Id Be A Fool Right Now」の2曲。いずれも原曲のメロディーに忠実なプレイがなかなか良い感じ。

キャッチーなオリジナル曲の数々に作曲の才能も光る。ヒット性を予感させる好感度の高い作品。

 

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