2020年9月27日 (日)

Dee Lucas 「The Time Is Now」(2020)

サックス奏者ディー・ルーカスは、デビュー作『Remembrance』(2004)をスタートに『Going Left』(2018)まで、8枚のソロ・アルバムを発表しています(うち1枚はコンピレーション)。ソプラノ・サックスに徹して、メロウなスムーズジャズからブレないスタイルをキープしています。

9作目となるこの新作は曲ごとに、ダリル・ウィリアムズ、ジョージ・フリーマン、アダム・ホーリー、ジノ・ロザリオ、デヴィッド・P・スティーヴンス、ルー・レイン・ジュニア、らにプロデュースを任せた7曲からなるアルバム。いずれも、スムーズジャズ/コンテンポラリージャズの気鋭ミュージシャンで、ルーカスの過去作品でも共演したことのある人たちです。異なるプロデューサーとのコラボでも、サウンドの統一感は失われず、ルーカスの流麗なサックスの存在感が光ります。

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2020年9月13日 (日)

Special EFX 「All Stars」(2020)

スペシャルEFXの、『Deep As The Night』(2017)に次ぐ新作です。

スペシャルEFXは、ギター奏者キエリ・ミヌッチによるコレクティブ・プロジェクトです。メンバーが流動的に集合して音楽作品を創るのがコレクティブというスタイル。この新作は「オール・スターズ」と名付けられた通り、ミヌッチが総勢18名におよぶトップ級のミュージシャンを迎えて創り上げた作品です。

ソロをフィーチャーしたアーティストは、リン・ラウントゥリー(トランペット)、ディビッド・マン(サックス)、エリック・マリエンサル(サックス)、ネルソン・ランジェル(サックス)、ラオ・タイザー(キーボード)など、過去作品やツアーでの共演を重ねた人たちが並んでいます。また、レジーナ・カーター(バイオリン)、アントワン・シルバーマン(バイオリン)、ミノ・チネル(パーカッション)、メイザ・リーク(ボーカル)といった逸材を起用しているのが興味を引かれます。

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2020年9月 6日 (日)

Paul Brown 「Ones Upon A Time」(2020)

ポール・ブラウンの新作は、ブラウンが過去にプロデュースした曲を自ら再演した10曲の作品集。スムーズジャズ界を代表するプロデューサーとして、数多くのアーティストの作品を生み出した経歴を振り返るというコンセプトです。

ブラウンのプロデュース業のスタートは、サックス奏者サム・リニー(Sam Riney)のデビュー作『At Last』(1989)。その後、ボニー・ジェイムスのデビュー作『Trust』(1992)から8作品連続して『Ride』(2001)までプロデュースを手がけた実績で、スムーズジャズ界のプロデューサーとして評価を高めました。

ブラウンが過去30年間にプロデュースしたアーティストと楽曲は枚挙にいとまがないほどですが、珠玉といえる10曲が選ばれています。全てビルボードのチャートで1位を記録した曲だそうです。

オリジナル・トラックのアーティストと収録アルバムは以下の通りです。

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2020年8月23日 (日)

Euge Groove 「Sing My Song」(2020)

ユージ・グルーヴの新作は、「Groove On」(2017)に続くソロ12作目。

近年作品で常連のリズム・セクション、コーネリウス・ミムス(ベース)、レニー・カストロ(パーカッション)、ジョン・スミス(ギター)、トレヴァー・ローレンス(ドラムス)に加えて、カーネル・ハレル(キーボード)が参加して安定したサウンドを固めています。

ゲストも常連の、ダリル・ウィリアムズ(ベース)、ピーター・ホワイト(ギター)、ポール・ブラウン(ギター)や、フィリップ・セス(ピアノ、オーケストレーション)が参加しています。

全11曲は、10曲の自作オリジナル(共作が1曲)とカヴァー1曲。上質なミドル・オブ・ザ・ロードの楽曲と演奏が並んでいます。アクセントの強いビート感より、洗練されたソフト路線だが、完成度は有無も言わせない内容です。

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2020年8月22日 (土)

拙著『スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム』

<お知らせ>

拙著「スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム」についてのお知らせを追記いたします。

【Version 8】をアップデートしました。

ジャケ写真を1枚追加しました。


マーカス・アンダーソン「スタイル・ミーツ・サブスタンス」

掲載ジャケ写真は合計29点になりました。

 

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2020年8月18日 (火)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その2)

ポールのソロ・アーティスト名は、トゥルー・テイラー(True Taylor)という名前でした。サイモン親子は出来上がったシングル盤の表示を見て驚きました。てっきり、ジェリー・ランディスだと思っていたのです。2人はプロセン氏にクレームしましたが、そのままになったようです。公式には、ポールのトゥルー・テイラー名義の作品はこの2曲のみです。エルビスのコピーとはいえ、溌剌にシャウトする、10代のポールの純真な歌声が活き活きとしています。

トゥルー・テイラーとは、唐突なネーミングのようですが、ポールの祖父、ポール・サイモン(ポールは祖父の名前を引き継いだ)はオーストリア出身の移民で、職業は仕立て屋(Tailar=テイラー)でした。もしかすると、祖父を由来に、プロセン氏かルーが意図的に付けた名前なのかと勘ぐります。

ちなみに、ポールはジェリー・ランディスという名前を、その後もデモ歌手やソング・ライターとして活動している時期に長く使っています。ポール・ケーンと名乗った時代もあります。今ではそれぞれの名前で、多くの非公式の音源が公表されています。

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2020年8月16日 (日)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その1)

ポール・サイモンとアート・ガーファンクルが16歳の時、トム&ジェリー(Tom & Jerry)の名前で発売したシングル「Hey, Schoolgirl」(1957)は、ビルボードでは最高位49位のヒット曲になり、10万〜15万枚超のセールスを記録しました。ポップ・スターを夢見ていた10代の少年2人が、舞い上がるには充分過ぎる大成功でした。

しかしその後リリースした2枚のシングルはパッとせず、わずか半年で活動を終えます。レコード・ビジネスの現実と、取り巻く「大人」の事情に翻弄されて、2人の友情にも亀裂を残した苦い出来事になりました。2人がフォークソングのデュオとして再結成するのは、6年後の1963年でした。

ポールとアートは、ニューヨーク・クイーンズ地区のハイスクールの同級生で、エバリー・ブラザースの「Hey, Doll Baby」を下敷きに共作したオリジナル曲が「Hey, Schoolgirl」でした。2人に目を止めたのは、マンハッタンのレコード会社、ビッグ・レコード(Big Records)のオーナー、シドニー(もしくはシド)・プロセン(Sidney or Sid Prosen)という人でした。

ビッグ・レコードは、シングル盤をわずか10枚ほどを出しただけの小さなマイナー・レーベル。オーナーのプロセン氏は、自らも歌い、作曲編曲もこなす音楽家でもあり、プロモーター/プロデューサーでした。

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2020年8月 9日 (日)

Under The Lake 「Your Horizon Too」(2020)

アンダー・ザ・レイクは、キーボード奏者ジェイソン・ティップ(Jayson Tipp)が率いるコンテンポラリー・ジャズ・ユニットです。ティップがこのユニットを結成したのは28年前、1992年に遡ります。

アルバムは、『Dive In』(1993)『Up For Air』(1996)をリリースした後、活動を休止します。10年のブランクを経て再結成、『People Together』(2007)を発表します。それからまた10年後に、『Jazz, Groove & Attitude』(2018)をリリース。今回の新作は、同ユニットの作品としては5作目となります。

ティップ以外は、アルバムごとにメンバー編成が変わっています。本作のメンバーは、ジェイソン・ティップ(キーボード)、ネーサン・ブラウン(ベース)、リチャード・セラース(ドラムス)、クワンタン・ジェラルド・W(サックス)に、パトリック・ヤンダール(ギター)が加わりました。ヤンダール以外は、3作目の『People Together』と同じメンバーです。ブラウンは、2作目にも参加していました。ジェラルド・Wとヤンダールは、それぞれソロとして活躍するミュージシャンで、ソロ・アルバムも多数リリースしています。

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2020年7月26日 (日)

Boney James 「Solid」(2020)

サックス奏者ボニー・ジェイムスのアルバム・タイトルは、ワン・ワードが多いのです。

デビュー作「Trust」(1992)から始まり、「Backbone」(1994)「Seduction」(1995)と続いて。8作目の「Ride」(2001)「Pure」(2004)「Shine」(2006)。13作目が「Contact」(2011)、定冠詞が付きますが「The Beat」(2013)に、「Futuresoul」(2015)「Honestly」(2017)。

そして、ソロ17作目の今回の新作は、「Solid」です。17作中11作がワン・ワードのタイトルは、ジェイムスなりのこだわりでしょうか。

今回の新作は、共作を含めたオリジナル11曲。「Futuresoul」から、ジェイムスのサウンドは、バラードを中心に、サックスのソウルフルな感情表現を突き詰めているようです。クールな味わいは、「Honestly」と今作も連続性を感じます。

「Futuresoul」から参加している、ジャイラス・モジー(Jairus Mozee)の影響が大きいのでしょう。モジーは、ネオ・ソウル系の気鋭のギタリスト/プロデューサー。ネオ・ソウル・シーンの注目アーティスト、BJザ・シカゴ・キッド、ジル・スコット、アンダーソン・パック、エリック・ベネイらと共演/プロデュースに深く関わっている気鋭のアーティストです。

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2020年7月11日 (土)

Charlton Singleton 「Date Night」(2020)

ランキー・タンキー(Ranky Tanky)は、アメリカ、サウスカロライナ州チャールストンを拠点に活動する5人組のバンド。「ガラ」(Gullah)と呼ばれるアメリカ南部の伝統的音楽をジャズのアンサンブルで演奏しています。

『Ranky Tanky』(2017)でアルバム・デビュー。2作目の『Good Time』が、第62回(2019)グラミー賞「ベスト・リージョナル・ルーツ・ミュージック・アルバム」を受賞しました。ジャズ・シーンで 注目のバンドです。

ランキー・タンキーのメンバーのひとり、チャールトン・シングルトンは1971年生まれのトランペット奏者。バークレー音楽大学を卒業した、アカデミックな音楽経歴を持つジャズ・ミュージシャンです。チャールストン拠点のスウィング・ジャズ・バンド「チャールストン・ジャズ・オーケストラ(CJO)」の音楽監督と指揮者を、バンド創設(2008)からおよそ10年間にわたり務めていました。

トランペット奏者としてのソロ・アルバムは、「Delicate」(2015)「Soul Cavern」(2013)「The New Deal」(2011)を発表しています。この新作が4作目です。

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