2020年6月26日 (金)

拙著『スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム』

<お知らせ>
拙著「スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム」についてのお知らせを追記いたします。

 

【Version 4】をアップデートしました。
下記5枚のジャケ写真を追加しました。

1. ヴィンセント・インガラ『コースト・トゥ・コースト』
2. アルティア・ルネ『アンストッパブル』
3. リック・ブラウン『キャン・ユー・フィール・イット』
4. BWB『ブラウン・ウェイラム・ブラウン』
5. イエロージャケッツ『ライジング・アワー・ヴォイス』

掲載ジャケット写真は、合計18枚になりました。

» 続きを読む

| | コメント (6)

2020年6月21日 (日)

Konstantin Klashtorni 「7 x 7」(2020)

コンスタンティン・クラストルニは、ウクライナ出身のサックス奏者/マルチプレイヤーです。現在は、ドイツのデュッセルドルフに住んでいるようです。ホーム・スタジオで、サックス、ギター、キーボードなどを操りワンマン音楽を創り出すアーティストです。

ポール・ハードキャッスルブライアン・カルバートソンの影響を受けていると自ら明言するように、そのスタイルは、チルアウトに徹したムードを演出する音楽です。

デビュー作「Down Town」(2003)から、自己名義のソロ作品はこの新作が8作目です。他にも、「Kool & Klean」(通算9作)、「Groove Jazz N Chill」(通算7作)、「Love Suggestions」(通算3作)、「Smooth Pack」など、それぞれチルアウトやエレクトロトニックな共通性があるシリーズを精力的に多作しています。

スタジオ・ワークを駆使した音楽は、整地された安定感と完成度に貫かれています。刺激性はないけれど、メロー・ムードがループのように続いて、思いがけず心地よい中毒性に酔わされます。

タイトルの「7X7」は、クラストルニの年齢49歳を意味しているとか。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年6月14日 (日)

Tony Saunders 「Sexy Somethin」(2020)

トニー・サンダースは、サンフランシスコのベイエリアを拠点に活躍するベース奏者です。

父親は、70年代に活躍したキーボード奏者マール・サンダース(2008年没)。マールは、ジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッド)と活動を共にしたロックのレジェンド・プレイヤーとして有名です。ふたりは、双頭バンド「サンダース/ガルシア・バンド」だけでなく、2000年代初頭までコラボレーションを続けた盟友でした。

そのレジェンドを父親に持ったトニーは10代から演奏活動を始めて、およそ50年のキャリアを有する音楽家(ベース/キーボード/アレンジ/プロデュース)です。ソロのベース奏者として、デビュー・アルバム『Romancing the Bass』(2011)から3作品を発表しています。この新作は、4年ぶりの4作目となるスタジオ・アルバムです。

豪華な参加ゲストに注目です。3曲を共作・共同プロデュースしたニルスを筆頭に、ゲイル・ジョンソン(キーボード)、マリオン・メドウズ(サックス)、ポール・ブラウン(ギター)、ポール・ジャクソン・ジュニア(ギター)、ジェフ・ローバー(キーボード)、ジェフ・ライアン(サックス)ら、スムーズジャズ・ファンにとっては興奮が抑えられないメンバーです。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年6月 7日 (日)

Chris Standring 「Real Life」(2020)

ギター奏者クリス・スタンドリングの、13枚目のソロ・アルバムです。前作『Sunlight』(2018)の後、リミックス集『Best of Chris Standring Remixed』(2019)をはさんで、スタジオ作品としての新作です。

サポート陣は、前作にも参加していたアンドレ・ベリー(ベース)、クリス・コールマン(ドラムス)、デイヴ・カラソニー(ドラムス、ザ・リッピングトンズ)らのリズム・セクションと、ゲストはミッチェル・フォアマン(ピアノ)、マット・ロード(フェンダー)、ヴァネッサ・へインズ(ボーカル、インコグニートのシンガー)の顔ぶれです。

オリジナル9曲(1曲は共作)を含む全11曲の内容です。近年の、『Electric Wonderland』(2012)や『Don't Talk, Dance!』(2014)の、ラウンジ・ビートが際立った秀作に比べると、比較的にオーセンティックな味わいの作品です。ギターも従来のエレクトリックに加えて、アコースティックな音色が新鮮です。

» 続きを読む

| | コメント (2)

2020年5月23日 (土)

Skinny Hightower「Blue Moon」(2020)

スキニー・ハイタワーの前作『Retrospect』(2018)は、みなぎる創造力が溢れた力作で、強く印象に残ったアーティストでした。この新作は、CDで二枚組、全24曲のボリュームで、さらなる音楽性の才気煥発に圧倒されます。
全曲が新作オリジナルで、編曲からキーボードを中心にほとんどの演奏を、ハイタワーがこなしています。

本人のホーム・ページには、興味深い制作経緯が書き綴られています。それによると、前作の後、うつ状態に悩んだことを明らかにしています。愛妻が所有していたレコード・コレクションを聴き込んで救われたといいます。ウォー、アイザック・ヘイズ、アース・ウィンド&ファイアー、カーティス・メイフィールド、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、といった70年代の名作の数々でした。全てを深く聴き、感動とともに自分を取り戻したと。それらの楽曲を分析することに至り、その後最終的に100曲をレコーディングしたそうです。その中から、本作の24曲が選ばれました。

全曲が、一気呵成で創られたエネルギーにあふれています。サウンドは粗削りなテクスチャーを感じますが、湧き出す発想を記録したリアリティが迫ります。聴き込んだという名作のエッセンスに気が付きますが、オマージュではなく、消化して生み出されたオリジナリティに他なりません。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年5月10日 (日)

Nils 「Caught In The Groove」(2020)

ニルスの新作は、非の打ちどころがない傑作です。10作目となるソロ・アルバムは、全12曲、カヴァー曲なし、自作オリジナルで固めた会心の作品。

演奏陣は、ミッチ・フォアマン(キーボード)、ジョニー・ブリット(キーボード、コーラス、ホーン・セクション)、ダリル・ウィリアムス(ベース)、クリデン・ジャクソン(コーラス、キーボード)、オリバー・C・ブラウン(パーカッション)など、前作『Play』(2018)でも参加していた布陣が中心です。

演奏陣の創るサウンドは隙がなく緻密ですが、今回はゲストの独奏はほとんどなく、終始にわたりニルスのギター演奏が主役として躍動します。オーガニックなリズム・セクションに、ホーン・セクションやシンセを配したアレンジは絢爛で、ヒット・ポップスのように均整のとれたサウンド。ニルスのギターは、派手にテクニックをひけらかすのではなく音色の変化を繰り出して魅力的です。シャープな音粒や、スイングするコード・ストローク、エコーによるトリップ感など、惹き込まれるディテールが途切れません。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年5月 2日 (土)

Keith McKelley 「Liquid Smoke」(2020)

キース・マッケリーは、ロサンゼルスを拠点に活動するサックス奏者です。サイド・マンとして、ボブ・ジェームス、マーカス・ジョンソン、アダム・ホーリーなど多くのミュージシャンと共演をこなしています。

自身の作品は、『Keith McKelley』(2010)、『Eclectic Christmas』(2011)の2枚のアルバムを発表。シングルのみの「Serpentine Fire」(アース・ウインド&ファイアー)は、なかなか豪快なカヴァー演奏で強烈に記憶に残りました。この新作は、久しぶりのフル・アルバムです。

詳細なクレジットは不明ですが、ゲストには、ボブ・ジェームス、ハービー・メイソン、カル・ハリス・ジュニアアダム・ホーリー、ダン・ウィルソン(ギター)などを迎えています。パワフルなブロウ・スタイルのサックスを主役に、シンセや多様な音色による重層な音像で固めた意欲作です。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年4月25日 (土)

The Smooth Jazz Alley 「Let's Ride」(2020)

ザ・スムーズ・ジャズ・アレイは、サンフランシスコを拠点に活動する2人組のユニットです。

キーボード奏者マルコ・モントーヤ(Marco Montoya)とギター奏者スタン・エヴァンス(Stan Evans)が、2016年に第1作『Been A Long Time Comin』をリリース。その後エヴァンスと入れ替わりに、ドラム奏者ケヴィン・ルイス(Kevin Lewis)が参加しました。第2作となる本作は、モントーヤとルイスによる新生ユニットの新作です。

ゲストは、キエリ・ミヌッチ(ギター)、ジョエル・デル・ロザリオ(ギター)、アンディ・スニッツアー(サックス)、レブロン(サックス)、エリック・マリエンサル(サックス)、トニー・ゲレロ(トランペット)、ロバート・バレー(ベース)、マット・ゴーディナ(プロデュース/ギター)など、スムーズジャズ・ファンには馴染みの深い代表的なアーティストが多数参加しています。
第1作のメンバーであったスタン・エヴァンス(ギター)も半数の曲で、共作と演奏に参加しています。

» 続きを読む

| | コメント (3)

2020年4月12日 (日)

Roman Street 「Balcony of the World」(2020)

ローマン・ストリートは、トンプソン兄弟(ジョシュとノア)によるギター・デュオです。フラメンコをベースに、ラテン系の音楽、ジャズやポップスを取り込んで、ギター2本で表現する気鋭の二人組。

現代的なフラメンコ、いわゆる「ニュー・フラメンコ」の世界には、ギター2本による達人デュオが何組もいます。例えば、ララ&レイズ(Lara & Reyes)、ヤング&ロリンズ(Young & Rollins)は、両組とも2000年初頭に活躍したユニット。ストランズ&ファラ(Strunz & Farah)は、現役で活動中の二人組。いずれもアメリカ出身ユニットで、2本ギター、フラメンコのクロスオーバーという音楽スタイルは共通で、ローマン・ストリートの二人にとっての”ロール・モデル”でしょう。

先人の3組は、ギターの至芸をアピールする、まさにヴァチュオーゾの演奏が魅力ですが、ローマン・ストリートの二人はポップス寄りのソフィスティケートな音楽性が魅力です。わたしも、彼らの音楽には強く惹かれています。ポップなセンスもあり、ソフトな音像でもグルーヴを感じます。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年4月 4日 (土)

Four80East 「Straight Round」(2020)

カナダのトロントを拠点に活動する二人組(ロブ・デボール、トニー・グレイス)、「Four80East(フォー・エイティ・イースト)」の新作です。1997年の『The Album』を皮切りに、エレクトロ系のコンテンポラリー・ジャズ・ユニットとしてユニークな作品を発表しています。

エレクトロ系と形容してもその音楽性は、一筋縄ではいかないところが、このユニットのユニークなところです。とりわけ前作『Four on the Floor』(5曲入りEP)では、全編ダンス・グルーヴが扇動する圧巻の“フロア・ミュージック”でした。

この新作は、前作のダンス・グルーヴは引きずらないで、本来のアバンギャルドな音楽性が発揮された作品です。一見(聴)、エレクトロ系のミニマリズムに覆われていますが、ソリッドなグルーヴが充実した秀作です。

» 続きを読む

| | コメント (2)

«Emilio Diaz 「Adiós」(2020)