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2011年10月の記事

2011年10月30日 (日)

Jens Haack 「Smokers Lounge」(2011)

Smokers_lounge
音源:iTunes Store
レーベル:Sundance Music











イェンス・ハックはデンマークのサックス奏者。ギターはミケル・ノルドソー、キーボードはベン・ベシャコフ。この3人のアンプラグドなアンサンブルを、管弦楽がサポートする。全8曲、心憎いほどのムーディなミュージックのアルバム。
ストリングスの導入で始まる1曲目、ジャズのスタンダード「Autumn In New York」は、4ビードでなく、ボサノバのリズム。イェンスのサックスは、淡々と落ち着いたフレーズを奏でて、アコースティックギターとエレキピアノが続く解釈は、やっぱりどこかヨーロッパ的。M-2のタイトル曲は、ストリングスがからんでも、品のいいファンクの香りがする佳作。M−3「Skylark」のバラードは、「泣き」のサックス。M-4「It's All About Love」もラテンのリズムに「歌う」サックス。M-5「I Can't Get Started」は、月並みだけど「甘くせつない」と表現したいフレーズが耳に残るし。M−6「Souls Eyes」から、M−7「Alone Together」まで、息づかいが聴こえるようなサックスのフレーズがムードを盛り上げてくれる。最後のM-8「Haacks Mood」は、ボサノバのリズムに、エレピがアクセントをつけて、どこか明るく聴こえるサックスのフレーズが、楽しい気持ちにさせてくれる。
ベースとドラムスの基本のリズム隊がいないので、いわゆるジャズ特有の「ビート」は無いけれど、ジャズだとか呼ぶのは意味がないな。この「ムード」は、ビーティフルでスムースなミュージック。制作者の意図にまんまと乗せられるのは悔しいけれど、こんな音楽を聴きたくなる夜は、やっぱり、ある。

2011年10月29日 (土)

Richard Elliot 「In The Zone」(2011)

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音源:iTunes Store
レーベル:Mack Avenue Records













ミュージックを聴いて、思い浮かぶイメージはリスナーに委ねられているけれど、このジャケットを見てから聴けば、どの曲も夜のハイウエイで聴きたいドライビング・ミュージック。M-7「Just A Taste」のようなミディアムスローも、車窓を流れる夜のシティライツを見ながらの車中のしずけさ。タイトル曲のM-8「In The Zone」のサックス・プレイは、スピードを上げていくドライブ。M-2「Boom Town」は、右と左に定位しているカッティングギターが左右の車輪で、センターで熱くブローするサックスはスピードを操るハンドル。とはいえ、もしも、このリチャード・エリオットの新作のジャケットが、夏の海であっても、冬の雪山であっても、白紙のジャケットだとしてもだ。彼のサックスと、サウンドのバイブレーションから思い浮かぶイメージは、変わらない。おおらかに吹き捲くる彼のサックスは、疾走感あふれいているし、共同プロデューサーのジェフ・ローバーのサウンドプロダクションは、乾いた空気感とクールなファンクムードに酔わせてくれる。それに、サウンド・ミックスが秀逸で、音の定位がしっかりしていて、サックスの際立ちはもちろんだけれど、その他のサポートプレイの音がとてもクリア。大音量で聴いたら気持ちいいだろうなあ。

リチャード・エリオットは、タワー・オブ・パワーのサックス奏者(1982年〜1988年)で有名になり、その後ソロに転じて、今やスムースジャズ界の人気サックス奏者。この新作の意図を、かつて70年代から80年代初頭にインストルメンタル・ミュージックでありながら、ヒットチャートをにぎわしたボブ・ジェイムスやグロバー・ワシントン・JR、デビット・サンボーンらのような音楽を作りたかったと、公式サイトやYou Tubeで披露している。


2011年10月15日 (土)

Chuck Loeb 「Plain 'n' Simple」(2011)

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音源:iTunes Store
レーベル:Tweety Records













スムースジャズ界の正当派ギタリスト、チャック・ローブの新作ソロアルバム。昨年から「フォープレイ」に参加してスポットライトが当たっているけれど、歴代ギタリストのリー・リトナーやラリー・カールトンに比べると、日本では知名度が無かった。90年代は「メトロ」というバンドのギタリストで、エッジでクールなフュージョン・バンドだった(1994年〜2002年)。そのバンドと前後して、ソロワークも今まで積極的に発表している。近年は、聴きやすいスムースジャズ系の自身アルバムや、プロデュースが多い。そういった彼のキャリアから生まれたこの新作は、メインストリームのスムースジャズではなくて、70年代のオルガンジャズの演奏なのだ。

彼は自身のウェッブサイトでコメントしているが、彼のルーツである60年代〜70年代の、ジャズギターのジャイアンツ、ウエス・モンゴメリーやケニー・バレル、グラント・グリーンなどが残した幾つかの名作で聴ける、ギタートリオにオルガンが加わった演奏をやりたかったとのこと。アルバムの題名にあるとおり、プレーンでシンプルなギターとオルガンがクールに絡む「ジャズ」アルバムである。アルバムの始まりM−1「D.I.G」は、まさにケニーバレルが、ブルーノート・レーベルに残したジミースミスとの名演奏を彷彿とさせるビートで始まる。M−3「Red Suede Shoes」の演奏は、「スイング」のバイブレーション。オルガンは、パット・ビアンチという人で、オルガンが入ると、なんというかクールなのだ。これがピアノだと、フォービートのオーソドックスジャズだろう、けれど、オルガンは、なんだろうこのクールさは。M−5「Plain 'n' Simple」と、M−12「The Hello」は、編成は他の曲同様、ギターとオルガンのジャズコンボなのだけれど、チャックの弾くコンテンポラリーなメロディとアドリブプレイと、R&Bのさり気ないビート感が、けっして懐古でなく新しさを感じる名演奏だと思う。ゲストで、チャックの奥さまカルメン・クエスタが歌うボサノバM−6「E Comme Esse Que Vou Eu」、実娘のリジー・ローブが歌うM-8「Skylark」は、どちらもほっとするチャーミングな歌声。その2曲は、アルバムのテーマとちょっと違うけれど、違和感がまったくないのは、不思議だな。

2011年10月10日 (月)

Jessy J 「Hot Sauce」(2011)

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音源:iTunes Store
レーベル:Heads Up













今やサックスやトランペットの女性プレイヤーはめずらしくはないけれど、硬派のジャズリスナーには、どうも信じられない存在かもしれない。メインストリームのジャズには、優れた女性ピアニストも多けれど、例えばサックスとなると、見当たらないかもしれない。一方、最近のスムースジャズの世界には、ほとんどの楽器に女性プレイヤーが進出している。それでも、サックスという楽器の表現力には、力強いブローのアドリブという固定観念を持っていると、女性プレイヤーの存在に違和感も覚える。それに、レコード会社の戦略だろうが、CDジャケットの写真に、その美貌に焦点を当てたものが多くて、音楽性ではなくて、ビジュアル重視が見えすいたものも多い。

このジェシーJも、前2作のアルバムは、へたするとピンアップガールかと思うほどの美貌プッシュのジャケットだった。前作の「売り方」に対する反発なのか、この新作はノーマルな写真で、音楽性で勝負する意気込みを感じる(まったくの想像だけど)。中身が重要というわけで、聴いてみると、とっても良い、本当にいい。ラテンリズムが持ち味だと思うが、タイトル曲のM-3「Hot Sauce」のラテンビートが心地よく、3分ちょっとで終わるのが残念。同様にラテン系の物悲しいメロディーを奏でてくれるM−6「Mean to Be」、M-2「Rio Grande」。師匠である、売れっ子プロデューサーでギタリストのポール・ブラウンがサポートした、M-1「Remember The Night」は、コンテンポラリーでアダルトオリエンテッドな曲。ヒーリングミュージックのようなM-8「Leave Right Now」の、ソプラノは心が休まる。M−9「In a Sentimental Mood」は、歌伴奏をストレートジャズのアプローチでプレイする。アドリブに見え隠れするジャズのスピリットは本物。このアルバムのハイライトは最後の曲M−10「Last Night」。サポートにジョー・サンプルのピアノと、レイ・パーカー・ジュニアのカッティングギターを配した曲。70年代のファンクフュージョンのようなセッションサウンドが、とってもかっこいい。彼女のブロープレイに、ビジュアル否定の意気込みとジャズのバイブレーションを感じる。個人的には、バックでさりげなくコードをカッティングするレイ・パーカーのギターが気になってしかたがない。(レイ・パーカーさん、ギターアルバムを作ってくれないかな、)


2011年10月 5日 (水)

Euge Groove 「S7ven Large」(2011)

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音源:iTunes
レーベル:Shanachie













ユージ・グルーヴは、スムースジャズ・シーンで今最も売れっ子サックス奏者のひとり。キャリアのスタートは、タワー・オブ・パワーでリチャード・エリオットの後任サックス奏者から始まり、2000年からソロアルバムを6枚発表している。このアルバムは、7枚目ということもあり、つづりにも「7」をいれた題名(セブン・ラージ)の最新アルバム。乗っているプレイヤーのノリノリの出来のアルバムで、発売以来チャート上位にいる。ハズレ曲なし。どの曲もキャッチーで、ステーションでヘビーローテーション間違いない曲ばかり。今のコンテンポラリーなスムースジャズを聴きたいという人がいたら、このアルバムを大推薦する。

彼のサックスは、曲調がR&Bやブルースまたはストレートジャズ風であっても、くどすぎずさらりと奏でる音色と「グルーヴ」にある。ソプラノも吹くのだが、これがとてもチャーミング。このアルバム1曲目の、味気ない題名「Track 01」で始まるソプラノサックスのなんとチャーミングな音色。M−7の「Welcome to the Journey」のソプラノサックスは、アーバンポップなメロディをさりげなく奏でる。ベストトラックはアルバムタイトル曲のM−3「S7even Large」で、彼の真骨頂のキャッチーな極上ポップチューン。ドラムのスティックカウントから始まる2曲、M-2「The Funky Bunch」とM-6「Gimme 6」は、さりげなくファンキーでR&Bテイストの演奏で、さらりと顔を出すブルージーな音色が印象的。ピアノのイントロから始まるバラードM-8「Love Won't Ket Me Wait」は、題名からして、都会的音色で涙もののソウルバラード。出だしでビリージョエルの「New York State Of Mind」から思ってしまった、M−10「Ten 2 Two」。ブルージーなメロディを「熱く」ブローするこの曲を最後にもってくるとはたまらない。

ちなみに、「セブン・ラージ」とは、例えばピザをオーダーする時に「ラージ(サイズ)を7枚ちょうだい」という言い回し、にひっかけたのかもしれない。最後の曲名は、「(夜中の)2時10分前」。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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