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2012年1月の記事

2012年1月28日 (土)

スムースなシングル盤4曲

Mjt

最近は、スムースジャズの曲も、フルサイズのアルバムではなくて、シングルだけのリリースというのも結構多い。去年のリリースから、推薦したい以下の4曲。いずれも音源はiTunes Store。

(1)Michael J Thomas 「I Think About Amy」(2011)
マイケル・J・トーマス(サックス)が出したスマッシュヒット・シングル。ファンキーで、パワフルなブロープレイをする人。メロディとアレンジが秀逸な、何度も聴きたくなる曲。ボーカル・バージョンもある。

(2)Jonathan Fritzen「Friday Night」(2011)
ジョナサン・フリッツェン(ピアノ)の新曲。題名どおりの、ダンサブルなビートに、「わかりやすい」ピアノプレイ。これならヒットするなという曲。これも何度も聴いてしまう。今年は、ニューアルバムが出るようなので、この曲も入るだろうし、待ち遠しい。

Friday_2

(3)Renato Falaschi「Where Are You ?」(2011)
レナート・ファラッチ(ピアノ)は、イタリア出身のアーティスト。このシングルは、メランコリックなメロディと、後半のピアノのアドリブが印象的な新曲。ボーカルのバージョンもある。彼は、過去にシングルを数枚出しているが、3曲入りのEP「Summer Rain」(2009)は推薦盤。その中で、ビリー・ジョエルの「Just The Way You Are」を演っていて、これがいい。また、ジョージ・ベンソンで有名な「Breezin'」、ボブ・マーリーの「Waiting In Vain」も、それぞれカバーしたシングル(2010)を出していて、スムースな演奏が気持ちいい。フルアルバムが待ち遠しいアーティスト。

(4)Phil Casagrande 「Island Paradise」(2011)
フィル・カサグランデ(キーボード)は、ニューヨーク出身のアーティスト。シングル6枚がiTunesでリリースされていて、まだフルサイズのアルバムは出ていないようだ。シンセサイザーを多用したワンマンプレイがこの人のスタイルのようで、この新曲も、ミディアムスローなビートに、何層にも重ねられたシンセが行き来して、ピアノやオルガンと絡む佳曲。けだるいムードのスムースジャズ。

Renato_falaschi_where_are_you_ins_2

 

2012年1月15日 (日)

Paul Hardcastle 「Paul Hardcastle VI」(2011)

Ph6
音源:CD(輸入盤)
レーベル:Trippin 'n' Rhythm Records













ポール・ハードキャッスルは、スムースジャズ系のアーティスト(キーボード兼プロデューサー)として、欧米で新作を出せばヒット間違い無しのビックネームだ。この新作も、米国のチャートを見る限り、発売以来チャート上位に長くいるし、評価も高いアルバムだ。残念ながら、あまり、というかほとんど、日本では紹介されない。この新作を含めて、過去作品も、今は、日本盤はリリースされていないようだ。iTunesでは、過去作品も買えるけれど、契約の関係なのか、この新作はまだ登場していない。
ポール・ハードキャッスルのキャリアは、80年代から始まり、イギリスや欧州を中心にヒット曲を放っている。「19」という曲は、1985年に欧米各国で大ヒットしたらしい。当時のアメリカのベトナム戦争への関与をテーマにした反戦的な曲で、オリジナルではニュースのナレーションや兵士のインタビューをコラージュして話題になった。そういったこともあり、彼の評価も欧米では定着している。
このアルバムは、「Hardcastle」と名義したシリーズの新作(6作目)で、これとは別に、「The Jazzmasters」名義のシリーズもあり、こちらも2010年に6作目までリリースしている。どちらかといえば、The Jazzmastersのほうが、楽器やボーカルをフューチャーした正当的スムースジャズのプロジェクトで、方や、「Hardcastle」のシリーズは、打ち込みや、ビートのミニマル処理が、エレクトロ系ソウルミュージックのような感じか。最近、スムースジャズ系でチリー(chilly)と表現するサウンドの傾向が「はやり」らしい、日本的には「ヒーリング」的というのが適切かもしれないが、この人のサウンドプロダクションの特徴のひとつかもしれない。ほのかなマイナーでメローなメロディと、繰り返される打ち込みビートは、軽快さの裏に、何か落ち着かせてくれるバイブレーションを持っている。伝統的なフュージョンや、明るいポップチューンを求めるスムーズジャズの物差しからすると、ポール・ハードキャッスルのサウンドは評価が低いのかもしれない。さらに、ハウス系やエレクトロ系の主流にしては物足らず、というのが、日本での商業的な評価につながらない原因かもしれない。彼のこのミュージックは、ポップチューンの変わりに、スムースジャズを求めるだけでなく、前衛的な要素も受け入れて、精神的なバリューを感じるようなリスナーに支持されているような気がする。
このアルバムのハイライトは、M-1「Rainforest/What's going on」。マービン・ゲイの名曲で、実際にマービンのボーカルをコラージュして、1984年にヒットしたポール・ハードキャッスルの自作曲を再演したものだ。数年前、彼の父親から、「19」と「What's going on」をミックスしたらどうかというアイデアがあり、レコード会社と交渉の末、マービンのボーカルの使用権を得たと、元ネタをライナーノーツで紹介している。マービン・ゲイのボーカルからこのアルバムが始まるからか、続く、M-2「Night Time Hustle」、M-5「Lost For Words」、M-6「Dc Boogie」、M-8「Easy Come Easy Go」が、題名そのままに、ソウルフルでファンキーなメロディーが際立った、いいトラックだ。M-9「Let This Love Begin」、M-11「Into The Blue」はエレクトロ系リズムパターンをバックのボーカルチューンで、どこかユーロビート風で、ヒット性が高い佳曲。
ポール・ハードキャッスルは、なぜか日本であまり紹介されない「大物」。

2012年1月 9日 (月)

Player A 「Our Own Devices」(2011)

Ourowndevices
音源:iTunes Store
レーベル:Creative Soul Jazz











「プレイヤーA」とは、ナッシュビルを拠点とするスタジオ・セッション・ミュージシャン複数のプロジェクトチームらしい。率いるはプロデューサー兼キーボード奏者、エリック・コープランドという人。この人は、レーベル「クリエイティブ・ソウル・ジャズ」の社長。このサイトを見ると、このレーベル傘下のアーティストに、このプレイヤーAに加えて、ギタリストのドリュー・デビッドソンなどがいる。ドリュー・デビッドソンの近作「Spin Cycle」は去年のチャートでも上位に入った作品で、プロデューサーがエリック・コープランドで、バックがプレイヤーAのチームによるもの。プレイヤーA名義の作品は、6曲入りのEP「On the Side」と、初めてのフル・アルバムがこの作品。演奏は、キーボード、ベース、ギター、ドラムの4ピースバンドが基本で、サックスが入ったり、ツインギターになったりと曲によって編成が異なる。打ち込みのような音ではなく、バンドセッションの音。それも、すごくベースやギターがとてもシャープに、レゲエやファンクのリズムを8ビートで刻む。これは、やはり名うてのセッションマンだなという感じ。競演したアーティストは、バネッサ・ウイリアムス、マイケル・マクドナルド、ルーサー・バンドロス、ケニー・ロギンス、チャカ・カーン、などビックネーム多数。

このアルバムは全12曲。バラエティに富んだ曲群だが、R&Bテイストの曲がこのバンドの持ち味発揮している。シングルカットされているスムースジャズチューンのM-4「Coming On」はサックスがリードを取るポップなメロディーがローテーション間違い無しの佳曲。ビージーズの名曲M−2「Staying Alive」や、M-11「Chiller」は、シャープな8ビートリズムと、チョッパーするベースがファンキーでかっこいい。一番黒っぽいM-6「Steppin'」や、M-12「A Fitting End」でも、メロディーリードを取るエレキベースと、エレピやピアノとのからみがいい。M-3「The Deepest Love」は、レイドバックしたテンポのバラードで、アコースティクピアノとギターがメランコリックで美しい。プレイヤーAは今後も、注目の(セッション)バンド。


2012年1月 5日 (木)

Westbound 「Gone for a Walk」(2011)

Westbound3
音源:iTunes Store
レーベル:Westbound














無骨な感じの青年2人のポートレートジャケットを見れば、アシッド系のジャズでもやるバンドかなと。意に反して、これがレイドバックしているというか、リズムのバイブレーションより、アンサンブルのムードを優先した都会的サウンド。マイナーなメロディで展開するギターのアドリブはメランコリックで、バックのドラムも淡々とサポートして控えめなほど。リック・ブラウンのトランペットや、フルート、ピアノがゲストで入る曲もあるが、演奏は3ピース(ギター、ドラム/パーカッション、ベース)を基本にしたイタリアのセッションミュージシャン。
ウエストバウンドは、ギタリストのクリスチャン・ロッコと、ドラムス/パーカッションのエンリコ・カテーナの二人組。彼らのウェッブサイトによれば、それぞれ、イタリアのセッション・ミュージシャンで、2001年からコラボレーションを組んでいる。2006年にデビューアルバム「Miles away」を出して、今作が2作目。80年代のGRPレーベルのアーティスト、リー・リトナー、ラリー・カールトン、デビット・ベノアなどの「西海岸サウンド」の影響を受けた正当派のスムースジャズを指向している。今作の共同プロデューサーがロベルト・バレーという人で、西海岸を拠点に、ポール・ブラウン、ボブ・ジェームス、ボビー・コードウェルなどと競演経験があるらしい。
録音はソリッドだけれど、ミディアムなレベルとレンジで、まったりと落ち着いたトーン。録音とミックスはイタリアのスタジオで、最近のアメリカのチャートを賑わすヒットチューンと違うなという印象の音。ヒットねらいという意図が見えない、良い音している。
全12曲中、アル・グリーンのカバー曲「Let's stay together」を除いて、ギタリストのクリスチャン・ロッコの作品。どの曲もキャッチーで、作曲の才能も秀逸。
イタリアの最近のジャズというと、「ハイ・ファイブ」のような新世代バード・バップが人気だが、このウエストバウンドのような正当派スムースジャズバンドが出てくるのは嬉しい。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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