« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

2012年4月の記事

2012年4月24日 (火)

Pete Gitlin 「Amplify」(2012)

Amplify

ピート・ギトリン(たぶん、そう読むと思うのだが)は、かつてフォーチュン500クラスの企業で、副社長をしていたそうである。そのキャリア同様に、このギターアルバムはかなりユニークである。1曲目の「Lucky in Love」は先行して出ていたシングルで、70年代のフュージョンのような、ブラスセクションがからむファンキーチューンで、かなり好みの演奏だった。その曲を聴いて、このアルバムを期待していたのだけれど、いろいろなスタイルの演奏がつまっていて、一言で表現できないようなユニークなギタリストだ。M-8「Cowboys and Indians」は、タイトルそのままに、カントリー&ウェスタンだし。M−7「Across the Endless Ocean」は、フォークソングのようで、シングルトーンのギタープレイとストリングスがレトロな感じ。M-6「Reggaetown」は、ファズを効かせたエレキギターのレゲエチューン。M-2「Soul Connection」はボーカル曲で、どこかスティーリーダンのよう。M-4「If You Say So」は、スローボッサで、シンディー・ブラッドリーのトランペットと、アコギが目一杯メランコリー。M−9「Another Day in Paradise」は、プログレしているエレキギターがドラマチックに盛り上げる、ロックバンドの組曲風。M−3「Amplify」は、ジェフ・カシマのサックスが客演するオーソドックスなスムースジャズで、もっとこのスタイルでやって欲しいなあ。ちなみに、彼のギターは、フロリダの小さいメーカーで「ステラ」というギターで、セミアコのような音がどこかレトロでいいのだが、ソロプレイが驚くほど少なくて、残念。それから、このジャケットは秀逸。今年の「ベストジャケット」候補。


2012年4月22日 (日)

Peter White 「Here We Go」(2012)

Herewego

ピーター・ホワイトは、「ミスター」スムース・ジャズ・ギタリストと呼びたいほどの、スムース系ジャズギタリストとしてはベスト10に入るプレイヤーである。90年代から、ほとんどブランクが無いほど毎年アルバムを発表している、安定したプレイヤーである。イギリス出身で、プロキャリアは、シンガーソングライターのアル・スチュワートとの競演からで、彼の名作「Year of the Cat」に参加している。マット・ビアンコのメンバーであるダニー・ホワイトは、彼の弟だそうである。その関係で、メンバーだったバーシアのソロ活動を、ピーターもサポートしている。ピーターのギターは、いわゆるガットギターで、スタイルにフラメンコ的なノートを、力強く弾くプレイヤー。メロディーメーカーとしても秀逸で、メランコリックでキャッチーな楽曲が魅力だ。同じナイロンのガット・ギターを弾くギタリストは、スムースジャズ系には結構多いのだけれど。例えばアール・クルーや、マーク・アントワンといった、これもベストなギタリストだけれど、ピーター・ホワイトは甘過ぎず、ラテン過ぎず、一番コンテンポラリーなギタリストだと思う。この新作も、どの曲も、まずメロディーがいいし、全11曲をシャッフルしても、ラテンビートのバイブレーションとムードがぶれない、ヘビーローテーションにピッタリなアルバムである。タイトル曲M-3「Here We Go」では、あのデイビット・サンボーンが客演していて、ピーターとの掛け合いがファンキーなハイライトチューン。今年のベストアルバムに間違いなく入れたい一枚。

2012年4月21日 (土)

Bob Baldwin「Betcha By Golly Wow : The Songs of Thom Bell」(2012)

Baldwin

ボブ・ボールドウィンのニューディスク。トム・ベルの曲を集めたトリビュートアルバムである。ボブ・ボールドウィンは、ニューヨークのコンテンポラリージャズピアニスト・プロデューサー。プレイスタイルは、ゴスペル・グルーブがあるのが特徴。近作もマイナーレーベルからゴスペルアルバムを出しているので、ゴスペル系リスナーにも支持されているピアニストなのだろう。スムース系の近作では、トリピン・リズム・レコードからマイケル・ジャクソンのトリビュート「Never Can Say Goodbye」(2010)を出していたので、今回はそれに続くトリビュートのプロジェクト。取り上げたのは、フィリーソウル系のヒット曲のソングライターとして有名なトム・ベル。演奏は、ボブ・ボールドウィンのピアノやキーボードが中心だが、いろいろなアーティストを迎えてのサウンドプロダクションは、「クインシー・ジョーンズ」スタイルかな。内容は、トム・ベルのエバーグリーンメロディーを、スウィートメローに料理した、上質のアーバンコンテンポラリーアルバムになっている。トム・ベルは、70年代から80年代にかけてのフィラデルフィアサウンドを代表するソングライター・プロデューサーであり、スタイリスティックス、スピナーズなどの代表的なヒットチューンの作者。


このアルバムのセレクション(オリジナルアーティスト):
1. Didn't I(Blow Your Mind This Time)(デルフォニックス)
2. The Rubber band Man(スピナーズ)
3. La La Means I Love You(デルフォニックス)
4. Gonna Be Sweeter
5. Break Up to Make Up(スタイリスティックス)
6. You're As Right As Rain(スタイリスティックス)
7. I'll Be Around(スピナーズ)
8. Bell And Creed
9. Betcha By Golly Wow(スタイリスティックス)
10. People Make the World Go Round(スタイリスティックス)
11. You Are Everything (スタイリスティックス)
M−4とM-8は、ボブ・ボールドウィンのオリジナル曲。特に、M−4はトム・ベルの名前が共作者としてクレジットされていて、他の名曲とひけをとらないスウィートチューン。M-11は、ボーナストラックなのだが、ボブのピアノソロプレイが中心の演奏。アレンジは他曲と比べると、ゴージャス感というよりシンプルで、この名曲のメロディが彼のピアノで引き立つ美しいプレイ。グルーブ感が違うのでボーナストラックになったのか。この路線で、スタイリスティックスの名曲「You Make Me Feel Brand New」を演って欲しかったな。

2012年4月 8日 (日)

スムースなシングル盤②

Michaelvince2_2

Lucky_single_2

Jcolahprojecttobewithyou150_3












1. 「Shelby St. Bridge」は、テキサス生まれのギタリストMichael Vinceのシングル。2006年デビューのアルバムではポール・ブラウンがサポート。このシングルは、レイドバックした彼のギターを中心に、アンビエントなピアノがからむ。ポール・ハードキャッスル風のチルアウトなナンバー。
2. 「Lucky in Love」は、ギタリストPete Gitlinの、4月に出るアルバムの先行シングル。2008年にデビューアルバムを出しているだけだが、サウンドはキャッチーなスムースジャズ。ギターが前面に出るというより、ホーンセクションとのアンサンブルが印象的な、アップビートな楽しいナンバー。4月のアルバムに期待。
3. 「To Be With You」は、James Colahの6作目新作シングル。いつもの通り、いかにも西海岸という心地よいスムースサウンド。テーマメロディを、ギターとスキャットがユニゾンするアレンジは、ジョージベンソン風で、キャッチー。シングルだけでなく、アルバムを早く出して欲しい。

2012年4月 7日 (土)

Patrick Yandall 「Acoustic Dreamscape」(2012)

Patrickyandall12

パトリック・ヤンダルは、1994年以来13枚のアルバムを出しているギタリスト。新作は、全曲スチール弦のアコースティックギター、いわゆるアコギのアルバム。キャリアの積んだギタリストが普段のエレキからアコースティックに持ち替えて、アルバムを作るというのは、企画としては良くあるパターン。最近も、パット・メセニーのアコギアルバム「What's It All About」が話題になったし、このパトリックもその路線かなと。パットのアルバムは、もちろん演奏はすばらしいけれど、ムードは内省的だったので、それがギタリストのアコギに持ち替えるときのコンセプトだろうと。その予想は外れ、このパトリックのアルバムは、素晴らしくスムースで上質なコンテンポラリー・ギターアルバム。どの曲も、メロディが素晴らしくキャッチー。アコギの録音がダイナミックで、他楽器に埋もれることなく、常にメインプレイヤーに定位するミックスが素晴らしい。この人のギタープレイの、流れるようなインプロビゼーションは時に大胆で、時にスムースで心地よいのだが、アドリブに見え隠れするブルースノートに、この人のギタリストとしてのバックグラウンドはブルースなのが良く分かる。この人の曲は、TVやラジオステーションで採用されることが多いそうで、この新作もテーマ曲としてはピッタリの曲ばかり。FMなら、朝の番組に流れてきそうな曲がたくさん。最後のM-11「Mood for a Day」だけは、アコギ1本のソロ演奏。バッハのような旋律曲の超テクを聴かせてくれる。パットのアコギとは違って、気持ちのいいスムースなアコギアルバム。

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

About This Blog

  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

2015 Top Recommend (click)

  • Bob Boldwin「MelloWonder」
  • Brian Simpson 「Out of a Dream」
  • Jonathan Fritzen 「Fritzenized」

2014 Top Recommend (click )

  • Greg Manning 「Dance With You」
  • Rick Braun 「Can You Feel It」
  • Michael Lington 「Soul Appeal」
  • Ed Barker 「Simple Truth」

2013 Top Recommend (click)

  • Jeff Golub 「Train Keeps a Rolling」
  • Oli Silk 「Razor Sharp Brit」
  • Patrick Yandall 「Soul Grind」
  • Boney James 「The Beat」

2012 Top Recommend (click)

  • Euge Groove 「House of Groove」
  • Paul Brown 「The Funky Joint」
  • Chris Standring 「Electric Wonderland」
  • Vincent Ingala 「Can't Stop Now」
  • Phil Denny 「Crossover」