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2012年9月の記事

2012年9月30日 (日)

Nicholas Cole「Endless Possibilities」(2012)

Nicks
今やスムースジャズ界のメジャーレーベルとなったトリッピン・リズム・レコード。その傘下に、新しいレーベル「カットモア・レコード(Cutmore Records)」が生まれた。コンテンポラリージャズの若いアーティストを発掘することをコンセプトにしたレーベルだ。その第一弾が、ニコラス・コールの本作品。ニコラスは、18歳の若きキーボード奏者。過去に1枚アルバムを出しているが、このメジャーデビューアルバムは、全14曲、自己プロデュースで、自作自演の才能を発揮した、スムースジャズのピアノファンとしては見逃せない1枚だ。ピアノのスタイルとしては、ブライアン・シンプソンや、ブライアン・カルバートソンの影響大で、同系の若手ジョナサン・フリッツエンを、アタックを押さえてもっとマイルドにした感じ、と言えばいいか。アルバムを通して、マイルドなチルアウト・ムードが漂い、コンテンポラリーなアコースティックピアノの旋律が堪能できる。バックリズムがほぼ打ち込み系で、個人的にはちょっと好みではないので、そこだけが残念。けれど、スティーブ・コールやジュリアン・バーン、ヴィンセント・インガラ、ティム・ボウマン、スティーブ・オリバーなどビックネーム客演のサウンドは豪華で、期待を裏切られることはない。ジャケットの本人写真、チンピラ風?、ちょっとイケてないなあ。でも、内容を聴けば、これはいずれビックになりそうな可能性を秘めているアーティストだ。

2012年9月18日 (火)

Fourplay 「Esprit de Four」(2012)

Esprit
前作から、チャック・ローブを加えたメンバーでの第2作目。チャックが加わったメンバーの成熟度が増したアンサンブルが聴きもの。四人のテクニックはもちろんだけれど、相互のインタープレイにお互いの信頼の深さが伝わってくるようなパフォーマンスに感激してしまう。アルバムジャケットからして、きずなのような精神性を感じる深みのあるアルバムだ。「Venus」や「Put Our Hearts Together」のボブのピアノとチャックのギターは美しく、静謐だし、このあたりが新しいフォープレイと言えるかもしれない。「Espit de Four」の、聴きやすいテーマメロディは、今までのフォープレイ十八番のポップなテイストだけれど、視界が広がるような演奏表現に感動。いつものソリッドなリズムセクションも、チャックが加わってさらに磨きがかかっている。「Sonnymoon」や「Firefly」の、複雑系でかつスウィングしているリズムアンサンブルには、もう脱帽。NHKのドキュメンタリーでも取り上げられていたが、ボブは、東北の震災後に地元のアマチュアプレイヤーと親交を深めたり、仙台でコンサートをしたり、日本のファンへの「想い」を強く持っている人だ。「Put Our Hearts Together」は、そのような過程で作られた曲だそう。最後のボーカルトラックは松田聖子が歌っていて、日本盤だけのボーナストラックかなと思いきや、正式盤にも入っている。彼女の歌はうまいし、このボーカル曲が最後を占めているのが、今回のアルバムの最大のメッセージだろう。

2012年9月17日 (月)

The Rippingtons 「Build to Last」(2012)

Builttolast
ザ・リッピングトンズ(略してリップス)は、1986年結成の26年キャリアのバンド。バンド編成ではあるが、実態はリーダーでありギタリストのラス・フリーマンのワンマンバンド。録音作品においては、ほとんどラスのソロ作品といってもいい。過去の正式メンバーには、ケニーG、デイビッド・ベノア、グレッグ・カルーカスなどといった大物も参加していたバンドで、最近は、ジェフ・カシワを含む5人のメンバーに固定しているようだ。この新作も、バンドメンバーも参加しているが、バンドサウンドというより、プロデューサーでもあるラスのコンセプトに基づいた作品になっている。全曲11曲はすべてラス・フリーマンの作品。この新作は、オーケストレーションが多用された組曲のような壮大でドラマチックな作品。リップスのジャケットにはいつもキャラクターの「ジャズ・キャット」が登場するのがおきまりで、今回のジャケットは、アメリカのサウスダコタ州にあるラシュモア山の有名なモニュメント。実際は、アメリカ歴代大統領4人(ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーン)がモニュメントになっているのだが、イラストでは左から3人目のルーズベルトが、「ジャズキャット」に変わっているのがなんとも秀逸。このジャケットがテーマを表しているようで、全曲を通してアメリカの「開拓讃歌」という感じ。こういうところが、アメリカのリスナーに支持される要因だと思うが、そういったところが分からないと、イマイチ感情移入できないかもしれない。個人的には、メンバーのジェフ・カシワをもっと聴きたいので、次回はぜひ、ジェフのサックスも聴けるライブアルバムを出して欲しい。

2012年9月15日 (土)

Jonathan Fritzén 「Magical」(2012)

38xmagicalcd

大期待の、ジョナサン・フリッツエンのニューレコーディング。前作のタイトル曲「Diamonds」や、シングルの「Fiday Night」もそうだったけれど、8ビートに乗せて哀愁的なメロディでスイングするピアノがこの人の持ち味。コード展開や、「さび」メロも、まあ似通っているけれど、なぜかその「歌謡曲風」な「のり」のピアノプレイが飽きない。この新作でも、その路線は期待通り。「Magical」は、ボニー・ジェイムスのサックスと絡んで、思いっきりスウィートな出来上がりだし、「To the Top」は、ヴィンセント・インガラのサックスとユニゾンする十八番のダンシングチューン。「Electric」や「Turn Back Time」は、客演無し、ピアノ中心の「安心できる」ポップチューン。この新作がちょっといままでと違うのは、対照的なチルアウトなナンバーが多いからかもしれない。営業的な理由なのか、「Can't Get You Out of My Mind」や、「Nordic Night」、「Nostalgia」は、ヒーリングムードなチルアウトナンバーで、ポール・ハードキャッスルの影響を感じてしまう。どこかブライアン・カルバートソンの新作「Dreams」とカブっている雰囲気もする。むしろ、「Lullaby」や、ポールブラウンが客演した「Sweet Spot」のような、バラードでもブラコン風な料理のほうがこの人らしい。スムースジャズ系のピアニストと言えば、ブライアン・シンプソンやグレッグ・カルーカスが大御所。(この二人、早く新作出してほしい。)ジョナサン・フリッツエンは間違いなく、ブライアンやグレッグの王道を引き継いでいる新世代のスムースジャズピアニストだ。

2012年9月 8日 (土)

Julian Vaughn 「Breakthrough」(2012)

Julianvaughn
ジュリアン・バーン、カンサス・シティ出身のベーシストである。メジャーレーベルのトリピン・リズム・レコードからの第一作である。見たことのあるような風貌は、ホワイト家族のダンテ・カーヴァーのよう。彼のベースプレイは、リズム隊の役割のベースというより、ギタープレイのようにフロントでメロディを縦横無尽に奏でる。比較的ハイトーンを多用する旋律は、ベースの重厚なイメージを覆すほど、繊細で美しいプレイ。スタイルとしては、2009年に他界してしまった希代のベースプレイヤー、ウェイマン・ティスデールを思い起こさせる。ウェイマンは、NBAのプロバスケットプレイヤーであったので、2メーターを超す巨体の人であったが、このジュリアンも2メーターを超す人で、そんなところも似ている。ビデオで見ると、ジュリアンは、かなりスレンダーな感じだけれど、プレイはダイナミックだ。このアルバムは、R&Bの佳曲揃い。M-10「Right On Time」や、M-2「J's Jammin」、M-8「Rock Steady」のような、キャッチーで、どこか80年代風のジャンピングナンバーがいい(曲名からしてそれ風)。派手ではないけれど、チョッパープレイがさらりと出てくるあたり、やっぱりベースはチョッパーでしょう。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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