« Bobby Caldwell 「house of cards」(2012) | トップページ | 第55回グラミー賞ノミネート »

2012年12月 2日 (日)

Art Garfunkel 「The Singer」(2012)

Thesinger 番外編。敬愛するアート・ガーファンクルの2枚組ベストアルバム。アートのベストは、今までも数多く、今回も新曲2曲を除くと新しい音源はないのだけれど、本人が選んだ珠玉の全34曲はマストディスク。もう71才になるらしい。最近はのどを壊したとかで、もう歌えないのではと心配していたから、このアルバムに入った新曲2曲が嬉しい。どちらの2曲も、マイア・シャープがプロデュースしたトラック。マイア・シャープは、2002年のアルバム「Everything Waits to Be Noticed」で共演したシンガー・ソング・ライター。その新曲、「Lena」が白眉。問題を抱えた主人公、レナ。彼女の哀れみを歌う、ジーニアスなアートの歌声のなんと美しいこと。もう一曲の新曲、「Long Way Home」は、マイア・シャープの作品で、アートが彼女の作品を敬愛しているのが伝わってくる。このベストアルバム、ポール・サイモンが去年出したベスト「The Songwriter」に答えるように、タイトルは「The Singer」、まるで対をなしているよう。CDに封入されたブックレットに映っている、小学生かと思う肩を組んだ2人の写真が微笑ましい。全曲の解説を、アートが詩人のような文章を綴っている。良く知られた話だけれど、アートの悲しき名作「Scissors Cut」(1981)は、当時の恋人女優ローリー・バードが自殺した後の傷心の録音。このベスト盤に収録されたS&Gの「April Come She Will」へのアートのコメントには、そのローリー・バードに捧げると一言だけ書かれていて、聴いて胸が詰まる一曲。傷付けあう恋人を歌う「Scissors Cut」、アートの美しく悲しい歌声。裏ジャケの半身の女性ポートレートはあのローリーだと、当時そのレコードを買った時は知らなかった。アートのソロワークの音源はほとんどCD化されているけれど、実はまだ1曲残っている。ジム・ウェッブの作品を歌った「Watermark」(1977)、ちなみにジャケットの海岸で幸せそうに横たわるアートの写真は、恋人だったローリーの撮影。このアルバムがオランダで先行発売された時は、「Fingerpaint」というトラックが入っていた。その後ワールドリリースの際、ポール・サイモンとジェイムス・テイラーと歌った「(What A)Wonderful World」に差し替えられてしまった。という訳で、今でも「Fingerpaint」はCD化されていないし、オリジナルの曲順の「Watermark」も再発されていない。地味な内容に、レコード会社が差し替えたらしい。ファンとしては、完璧な「Watermark」を望んでいるのだけれど。いつか出して欲しい。それと、次作はオリジナルの新作アルバムを期待。美しきアートの歌声、スムース以上。

« Bobby Caldwell 「house of cards」(2012) | トップページ | 第55回グラミー賞ノミネート »

ボーカル」カテゴリの記事

About This Blog

  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

2015 Top Recommend (click)

  • Bob Boldwin「MelloWonder」
  • Brian Simpson 「Out of a Dream」
  • Jonathan Fritzen 「Fritzenized」

2014 Top Recommend (click )

  • Greg Manning 「Dance With You」
  • Rick Braun 「Can You Feel It」
  • Michael Lington 「Soul Appeal」
  • Ed Barker 「Simple Truth」

2013 Top Recommend (click)

  • Jeff Golub 「Train Keeps a Rolling」
  • Oli Silk 「Razor Sharp Brit」
  • Patrick Yandall 「Soul Grind」
  • Boney James 「The Beat」

2012 Top Recommend (click)

  • Euge Groove 「House of Groove」
  • Paul Brown 「The Funky Joint」
  • Chris Standring 「Electric Wonderland」
  • Vincent Ingala 「Can't Stop Now」
  • Phil Denny 「Crossover」