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2013年1月の記事

2013年1月28日 (月)

Kool & Klean 「Volume IV」(2013)

Kk 「クール・アンド・クリーン」は、ウクライナ出身のサックス奏者コンスタンティン・クラストル二のプロジェクト・アルバム。2010年の「Volume I」から数えて、この新作が4作目。そのスタイルは、ポール・ハードキャッスルを彷彿とする。ジャンル分けするなら、チルアウトなムード・ミュージックというところか。このプロジェクトは、彼のサックスが必ずしも主役ではなく、プロデューサーとしてトータルなサウンドデザインがコンセプト。この新作も、シンセ、サックス、ギター、アコピ、打ち込みドラム等が、平均的にミックスされて、不思議な浮遊感とヒーリングムードに溢れている。全11曲、特にハイライトなトラックがあるという訳でもなく、同じムードで淡々と流れていく。その音世界は、終止メローで、耳をそばだてることもなく、空気的でさえある。こういうタイプの音楽は、イージーリスニングと称されて残念ながら評価されにくい。でも、リラックスしたい時にはうってつけのグッド・ミュージック。

2013年1月20日 (日)

Robbie Dupree 「Arc of a Romance」(2012)

Arc_of_a_romance ロビー・デュプリーの新作、5曲入りEP(内1曲はバージョン違い)。ロビーは、AOR系のシンガー・ソングライター。1980年のヒット作「Steal Away(ふたりだけの夜)」はAORファンにとっては忘れられない、エバーグリーンな名作。2010年のアルバム「Time and Tide」は7年ぶりの作品だった。この新作は、「ラブソング」のカバー集。もう66才なのに、80年代と変わらずの繊細で、シブさも加わった唄声。「I Only Have Eyes For You」は、言わずと知れたフラミンゴスの名曲のカバーで、このアルバムのハイライト。アート・ガーファンクルのカバーが有名だけれど、ロビーは、過ぎるほどのゆったりとしたテンポで、なんとも言えない甘美なムードがググッとくる。他3曲も、シブい選曲で、隠れた名曲のカバー。「For The Love of You」は、アイズレー・ブラザースの1975年「The Heat Is On」から。「We Let the Stars Go」は、イギリスのポップ・バンド、プリファブ・スプラウトの曲で、1990年の名作「Jordan:The Comeback」から。「Coronation Street」は、マーク・ジョーダンの「Reckless Valentine」(1993)の中の曲。特に「Coronation Street」は、ウッドベースとピアノをバックに、ジャズのスタンダードのようなバラードに仕上がっていて、ロビーの円熟のボーカルが聴きもの。この路線で、ぜひまたフルアルバム作って欲しい。ところで、「I Only Have Eyes For You」のプロモーションビデオ、往年のハリウッド女優のスライドショーになっていて圧巻。まさに曲の題名通り、釘付けになる演出が心憎い。

2013年1月14日 (月)

『レッキング・クルーのいい仕事』ケント・ハートマン著

Isbn906700592_3 彼らは「レッキング・クルー」と呼ばれた、いわゆるスタジオ・ミュージシャンの覆面チームだった。60年代から70年代に、ヒット・チャートを席巻した名曲の数々は、実際は彼らが演奏をしていた。この本は、当時のヒット曲の裏側を、ミュージシャンが誰だったかという単なる事実の暴露ではなく、それぞれのプレイヤーの人生が語られる。登場するのは、ビーチ・ボーイズ、ママス&パパス、フィル・スペクター、ジム・ウェッブ、ソニー&シェール、フィフス・ディメンション、グレン・キャンベル、モンキーズなどなど、彼らの名曲が生まれたストーリーが、演奏を支えたスタジオミュージシャンを中心に語られる。例えば、モンキーズの各曲は本人たちの演奏では無いということも、また、フィル・スペクターが名うてのスタジオミュージシャンをオーケストラのように使っていたのも、それぞれは周知の事実だし、バック・ミュージシャンに、ラリー・ネクテル、ハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、などのプレイヤー名を、クレジットで見つければ「品質保証」だった。でも、それ以上のストーリーは語られることは無かったから、この本が彼らにスポットを与えただけでも興味深い。でも、この本の面白さは、単にヒット曲の隠された事実の解説だではなく、「アメリカン・ドリーム」の体現と、また栄光からの失墜を経験したような「主人公達」が、ロック・アンド・ロールの世界にもいたことを語っている事だろう。ヒット曲を商業的に大量生産していくビジネスが、70年代以降にはかたちを変えていく。ヒット曲の制作方法も近代化したり、画一的なポップスだけでなく多様な音楽を求められる時代がやって来て、やがて「レッキング・クルー」も消えていく。音楽ファンとしては、当時のヒット名曲にまつわる逸話の数々に胸が躍る。モンキーズの「亀裂」のきっかけや、ブライアン・ウィルソンやフィル・スペクターの制作現場、ジム・ウェッブやグレン・キャンベルの成功秘話や、「明日に架ける橋」や「遥かなる影」の裏話、などがリアルで「そうだったのか」と大いに知って特になる気分だ。読後に、登場する楽曲を、聴き直せば新たな発見がありそうだ。ちなみに、レッキング・クルーとはロサンゼルスを拠点としたチームのことだが、他都市にもご当地版のスタジオ・ミュージシャンのチームがあったそう。書中の解説によれば、例えば、デトロイトのそれは「ファンク・ブラザース」、ナッシュビルのカントリー音楽では「Aチーム」と呼ばれていたそう。以前紹介したナッシュビル発のフュージョンバンド「プレイヤーA」の意味するところも、ナッシュビルのスタジオ・ミュージシャンのことかと、納得した次第。(発行:Pヴァイン・ブックス、訳:加瀬俊、)

2013年1月 5日 (土)

James Saxsmo Gates 「Gates Wide Open」(2013)

Jamessaxsmogates3 1曲目「This Day Belongs to Me」は、スムースでコンテンポラリーなトラック。サックスはスウィートで、グローバー・ワシントン・ジュニアか、と思わせて始まるジェイム・サックスモ・ゲイツの3枚目のソロアルバム。ジェイムスは、アートブレイキー、ジェフ・ローバー、ラリー・カールトンなど共演経験があり、ジャズのテクニックは本格派。ノース・カロライナ・セントラル大学(NCCU)で、ジャズ研究で学士を取っている。そのあたりは、このアルバム13曲目で、チックコリアの「Spain」を、NCUUの学友とビックバンドのジャズアレンジで証明してくれる。とは言え、彼のサックスは、さらに情熱的で、ソウルフルでリズム・アンド・ブルースな骨太の音色が魅力。先行してシングルで出した「Detailed」もそんな魅力のトラックだったけれど、マイケル・ジャクソンの「Unbreakable」(「Invincible」の1曲)のカバーも、マイケルのボーカルに負けずヒップなサックスがソウルフルなベストトラック。「Remember the Time」や、「Hannah's Bag」は、ビートに乗ってスイングするサックスブロウが熱くてスカッとする。「Rebirth」は、ブラスセクションをバックに、ジャズスタイルのアドリブは疾走感が鳥肌もので、フェイドアウトするのが残念。バラード「I Cry Out for You」は2分ほどの小品で、ソフトなサックスの後ろに、子供の笑い声がSEで入る、癒されるトラック。スムースジャズに留まらず、ダイナミックなサックスミュージックが魅力の作品。もう、今年のベストの1枚の候補かな。

2013年1月 4日 (金)

Karizma「Perfect Harmony」(2012)

Pharmony カリズマは、キーボード奏者デビッド・ガーフィールドが中心のプロジェクト・バンド。ロサンジェルスを基点としたフュージョンスタイルのインストバンドで、活動の始まりは1975年に遡る。以来、デビットを中心としたカリズマの参加メンバーは、80年代から今に至るまで、フュージョンに留まらず、ウェストコーストのロックからAORやポップスに、直接的、間接的にも、大きな影響を与えたと言っても過言ではない。LA音楽シーンのファンなら、過去カリズマに参加したミュージシャンの名前を聞いただけで感嘆を上げる。トム・スコット、アーニー・ワッツ、ニール・ラーセン、スティーブ・ルカサー、ネーザン・イースト、ジミー・ジョンソン、フィル・ペリー、ジェフ・ポーカロ、デビッド・ペイチ、ジョージ・ベンソンなどなど書ききれない。特に、デビッドと、スティーブ・ルカサーやジェフ・ポーカロ、TOTOメンバーとの関係は深い。デビッド・ガーフィールドはスティープ・ルカサーと、ロスロボトミーズという、カリズマのプログレ版のようなバンドも組んでいる。ジェフ・ポーカロは言わずと知れた、TOTOの名ドラマーで、1992年に38歳という若さで他界。そのジェフ・ポーカロに捧げて、スティーブは1997年にソロ作品「Tribute to Jeff」を作っている。さて、このカリズマの新作は、CD3枚組で、2枚が新録音と、1枚が過去のライブ音源。新録音14曲のメンバーは、デビットに加えて、曲によってセットが異なるが、ギターのマイケル・ランドー、サックスのラリー・クライマス、パーカッションのレニー・キャストロ、ドラムスがオスカー・シートンか曲によってヴェニー・カリウタ、ベースがディーン・コルテスかジミー・ジョンソンかジョン・ペーニャ、といったメンバーが中心。どの新録音も、ウェストコーストのフュージョンスタイルで、時にTOTOや、ボズ・スキャッグス当たりが好きなファンなら、涙もののサウンドが聞ける。「Still Waters Run Deep」は、とりわけ美しいバラード。変拍子の「On Sweet Oso」のマイケル・ランドーのギターリフにTOTOを思い出してしまう。クルセイダースからインスパイアされたという「Pointer」は、マイナーからメジャーへと展開するラリー・クライマスのサックスがグルーヴィー。5回目のレコーディングだという「Donna」はミディアムテンポのフュージョンで、ちなみにこの曲と先の「Still Waters Run Deep」だけがミックスをアル・シュミットが手がけていて、彼のシャープなミックスが光っていて、他トラックと一線を画している。「Shelly」は、美しいメロディのバラードで、唄が入ればAORの名曲のよう。3枚目のライブ音源には、貴重な1975年初期のバンドの音源が聴けて、そのエネルギッシュなビートドライブに圧倒される。その他、2005年の日本でのライブ音源や、1977年のスタジオ録音も聴けるが、なんといっても注目は、ジェフ・ポーカロがドラムを担当した2曲。当時の正式ドラマーのカルロス・ベガの代役で、ジェフが登場したらしい。「Sting」は、ジェフのドラムが、音はあまり良くないけれど、彼の叩く16ビートのスウイングが、一番の聴きもの。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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