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2013年2月の記事

2013年2月23日 (土)

Paul Hardcastle 「Paul Hardcastle 7」(2013)

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ナイアガラの滝かもしれない、沈むのか昇るのか、太陽が眩しい。LPなら間違いなくジャケ買い。ポール・ハードキャッスルの新作。ポールのシンセが生み出す音楽世界は、まるで喧噪からのエクソダス。ミニマルリズムにかぶさる音のコラージュは万華鏡のよう。この新作は、未来的なシンセの音世界に、対照的にフューチャーされる、人間的なサックスの「音」。すでにビルボードでチャートインしている、「No Stress (At All)」は、クール&ザ・ギャングの「Summer Madness」(1974)というインスト曲をイントロにサンプリングした曲で、サックスがフューチャーされたクールなダンサブルチューン。サックスを吹いているのは、ロック・ヘンドリックスという人で、前作「ハードキャッスル6」でもほとんどの曲でサックスを吹いていた。彼は、ハワイに住んでいて、セシリア・アンド・カポーノ他のハワイのアーティストと共演しているサックス奏者。ゴリゴリ吹くようなタイプでなく、メローなブローがなかなかの魅力。このアルバムのクレジットを入手していないので、どの曲で吹いているか分からないのだけれど、同様にサックスがフューチャーされた曲がほとんどで、想像するに彼が吹いているのだろう。「Dance of the Wind」は、シンセの打ち込みエイトビートなのに、サックスのストレートジャズの「音色」がして、そのブレンドがクール。「Easy Street」も、スムースジャズタイプの佳曲で、ビートはR&Bのテイストを感じて、サックスが熱くブローする、コンテンポラリーな演奏。ポール・ハードキャッスルというと、マービン・ゲイをオマージュした前作もそうだったこれど、いつもメッセージを楽曲に込める人。おそらくメッセージをこめたこの新作のハイライトは、12分近い冒頭曲「The Truth(Shall Set You Free)」と、エンディング曲「The Truth, Pt.2」。でも正直言って、何度も聴いてみたのだけれど、感情移入が出来なかった。音とリズムがめまぐるしく変化するドラマ展開には、ちょっとついて行けない。でも、彼の欧米での人気は、むしろこういうところにあるのだろうなあ。あまり、プログレ的になるとついていけない。

2013年2月18日 (月)

Andreas Aleman「It's the journey」(2012)

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アンドレアス・オールマン、彼はスウェーデンはストックホルム生まれのソングライターでありシンガー。この新作CDから飛び出してくるソウルフルな彼の唄声とビートを聴いて、これがストックホルム発と知り、なんとも驚き。唄声はマイケル・マクドナルドを彷彿とさせて、サウンドはウエストコーストそのままで、ファンキーなグルーブに、ググッとくる。この作品は、デビュー作「This is Life」(2008)に続く2作目。全10曲をセルフプロデュースしていて、1曲以外は自作曲(共作)。「Power」や「Keep on keepin' funky」は、タワー・オブ・パワーのノリで、ブラスセクションを従えた彼のソウルフルな唄声がかっこいい。「If it's a dream」や「When it happens」の、TOTOばりのサウンドにニンマリ。「I knew it was you」や「Helplessly in love」の2曲は、アダルト・オリエンテッドでアーバンなサウンド。キャッチーなメロディーは、AORファンが聴いたら、「これ誰?」と必ず気になるはずだ。スウェーデンといえば古くはABBAだけど、こんなファンキーなシンガーがいるなんて、今のスウェーデンのポップスシーンが気になるなあ。How does Stockholm link to such a funky music. he is a groovy vocalist to deliver his 2nd album mixing funk, soul, R&B , AOR with the tast like Michael McDonald or Ray Chales. His journey must go world out of Sweden.(thanks to Tsutsui San )

2013年2月17日 (日)

日本のジャズとラジオとジャズ喫茶「あの頃」を読む三冊

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音楽評論家・相倉久人さん著「至高のジャズ全史」(集英社新書)は、日本のジャズ黎明期を、証人ならではの視点で語る。それはまるで格闘技のように、ジャズと闘うプレイヤーたち。著者の切り口は鋭くナイフのようで、まるでジャズのアドリブ。日本のジャズが、イデオロギーであり、熱狂であった時代。ピーター・バラカンさんの「ラジオのこちら側で」(岩波新書)。ラジオでおなじみのバラカンさんの、日本にやってきて異文化や音楽シーンと関わる半生。DJやラジオに対する思い入れと、音楽の多様性の支持は、Jポップばかりや商業主義への批判で、同感。ぼくもバラカンさんの番組は好きで良く聴くのだけれど、彼の番組でかかる音楽は、他では紹介されないような曲がかかり、開眼することが多い。彼は「音楽にはメジャーもマイナーも存在しない」と言っている、つまり、いい音楽とだめな音楽だけで、売れてるとか売れてないとか、ではないんだよね。音楽をどこで聴くのかも重要な要素。かつて、ジャズ喫茶が重要な場所だったあの頃。シュート・アロー著「東京ジャズメモリー」(文芸社)は、80年代の東京にたくさんあったジャズ喫茶を解説したエッセイ。かなりアナログでディープな解説が面白い。70年代後半から80年代初めに、東京のジャズ喫茶に入り浸っていた人には懐かしいはず。本の最後に語られる、ジャズ喫茶と関係はない、おまけのような、ネイザン・イーストとハンドパワーの逸話は、スムースジャズファンはぜひ読まれたし。

2013年2月16日 (土)

Duncan Millar 「Fresh Air」(2013)

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UK出身のキーボードプレイヤー、ダンカン・ミラーの超クールなミュージック。アメリカのスムースジャズとは違う。アシッド・ジャズの香り、ビートよりムード、レイド・バックな脱力系、ダンス・クラブのグルーブ。この人、ダンカン・ミラーは、80年代からUKのポップ・シーンで、幾つかのバンドへの参加やプロデュースをしたり、セッション・プレイヤーとしても活躍。スムースジャズ系のソロ作品は、「Dream Your Dream」(1998)、「Good to Go」(2001)、「Comin' Thru」(2002)にさかのぼるので、しばらくぶりの新作。ピアノが主役だけれど、ユニークなのは、アコースティック・ピアノに加えてフェンダー・ローズやエレキ・ピアノが、縦横に交差する演奏。このエレキ・ピアノの音が、何となく、レトロで、ムーディなのだ。フェンダーローズは、フュージョンやスムースジャズで今でも主流のエレキピアノ。かたや、ここで彼が使っているのは、ウーリッツアーピアノという、エレキピアノで、70年代にはカーペンターズやクイーンが多用していた鍵盤だそう。ウェッブで調べた「聞き」かじりによると、ローズは音叉を叩いて共鳴させる鍵盤で、ウーリッツアーは振動板を叩く構造で、ウーリッツアーのほうがローズに比べてピアノに近い、という違いがあるそう。これ以上専門的なことは分からないのだけれど、これで、レトロだと感じたわけか。タイトルの「Fresh Air」は、ダンサブルでノリのいいハイライト・チューン。リゾートリズムを使う曲も印象的で、「Ilhabela」はカリプソ、「Buenas」はボサノバ、リズムにかぶさるアコピやエレピのアドリブが、どこか旅行的。「Get What You Give」はダンス・フロア系リズムに、キレのあるアコースティック・ピアノとフェンダーが交差する、アシッドな曲。メランコリックなエレピのメロディーと、ミュートのトランペットが、映画音楽のような「Autumn Mood」。「Blue Cool」は、メローだけれどアタックのあるアコピが、感傷的なムード満点。全10曲、やっぱりどこかロンドンの香りがするなあ。

2013年2月 9日 (土)

スムースなシングル盤 ⑧

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3曲とも、ポップで、エイトビートのノリにググッとくる、飛び切りスムースな曲。ニューヨーク出身で、ポストンのバークレー音楽カレッジ出身のギタリスト、"JJ"サンサベリーノ。レゲエ歌手マキシ・プリーストのツアー・リード・ギタリストも務めたらしい。2005年にソロアルバム「Sunshine After Midnight」をリリース。新曲「Gravy Train」は、ソフトファンクと言ったらいいのか、シングルトーンで小気味良く響くギターがかっこいい。疾走感が、題名のトレイン(汽車)をイメージさせると思っていたら、Gravy Trainとは、辞書で引いたら、俗語で「もうけ話」のことらしい。うーん、なかなか意味深。グレッグ・マニングは、スイス出身のキーボードプレイヤー。長い間、ジョナサン・バトラーのツアー・ディレクターとキーボードを務めていたそう。2010年、アルバム「The Calling」でソロデビュー。アメリカやスイスの映画、TV、コマーシャルの作編曲、プロデューサーなどを手がけているそう。この新曲「Dance With You」は、ダンサブルなポップ・チューン。パワフルなサックスと、アコースティックピアノのメローな旋律とプレイ、16ビートのコード・ストロークで疾走するギター、そしてズシンズシンとくるベース。このミックスがなんともゴージャスな1曲。シングル「D-Phunked」は、グレッグ・マニングも参加していたプロジェクトの3trac名義だったけれど、この「Dance With You」も、もしかして同じメンバー(サックスのブラッド・ランブール、ベースのジェームス・イースト)がやっているのかな。サックスプレイヤー、アンディ・ウオールの「What It Is」。既にシングル紹介した、ミディアムバラードな「Stay (With Me)」もよかったけど、この曲も、アダルト・オリエンテッドでメランコリックなメロディーと、クリアなサックスのブローが、ググッとくるなあ。この人のメロディーメーカーの才能は注目。フル・アルバムが待ち遠しい。

2013年2月 3日 (日)

おすすめサイト:「Sound of The Breeze」

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おすすめのサイト「Sound of The Breeze」のリンクを貼りました(右バーLINKS)。このブログは、スムースジャズやポップス、「クールでおしゃれな音楽」をテーマにした、音楽通好みの情報サイトです。特に、ウェブマスター「洋楽のソムリエ」さんによる、驚きのアーティストの人脈や、豊富な音楽経験から「語られる」ポップス談は興味深いストーリーばかり。青森で同名のラジオ番組をされているとか。(私は東京在住なので、聴けないのが残念。)この「スム明日」を紹介とリンクを貼って頂きました。余談ですが、昨年は数年ぶりにCDの売上が上昇に転じたとか。ジャンル別では、Jポップスを代表とする邦楽が体勢を占めて、洋楽は人気が落ちているそう。Jポップスもいいですが、色々な音楽を聴きたいもの。ポップスやスムースジャズの多様なアーティストや上質の楽曲が聴けるような選択肢は必要。でもビジネスとなると、売れるJポップスに偏るのでしょうか。この「Sound of The Breeze」のような、洋楽ファンのための熱いサイトに拍手。

2013年2月 2日 (土)

Dave Koz 「Live At The Blue Note Tokyo」(2012)

Kozlive 今年のグラミー賞にノミネートされているデイブ・コーズのライブ盤。これが、ちょっと感動ものの内容。2011年9月に、ブルーノートトーキョーで行われた公演のレコーディング。日本人のオーディエンスを前に、デイブが「コンバンワー!トウキョウ!ゲンキデスカー!」に始まり、「アリガトーゴザイマース!」日本語のかけ声を連発。「この曲を(日本の)みんなに捧げたい。半年前(の東日本大震災)に君たちは世界に感動を見せてくれたよね。」と「It's Always Been You」のバラードを始めるんだから、うるっ。という訳で、日本のデイブのファン、スムースジャズファンにとって、彼の初めてのライブ盤を日本での録音でリリースしてくれるのは光栄なこと。それにも増して、音楽的内容がすばらしい。全12曲を通して、ライブならではの疾走感と、名うてのリズムセクションと生み出すグルーブに、ググッと感動間違い無し。何より、デイブのサックスプレイヤーとしての力量と、オーディエンスを盛り上げるエンターテイナーシップが、びんびんと伝わってくる。強力なサポートバンドは、ブライアン・シンプソン(!)とティオ・バンクスのツイン・キーボード、ランディ・ジェイコブス(g)、アンドレ・ベリー(b)、ジェイ・ウィリアムズ(ds)。それぞれのプレイヤーの見せ場(聴かせどころ)も曲ごとに作られていて、プレイヤーをデイブが「さん」付けで紹介するのも微笑ましく、バンドの息もピッタリ。録音もなかなかいい。iTunesの音源で、いい音だなと感じたほどなので、CDフォーマットならサウンドチェックに耐えられるはず。各楽器の定位とレンジバランスが安定していて、クリアな録音。デイブのサックスのハイレンジな高音ノートもリアル。ヘッドフォンで大音量で聴くのをオススメ。演奏曲はどれもおなじみの曲ばかりで嬉しい。「Hellow Tomorrow」(2010)から4曲(「Put the Top Down」「Anything's Possible」「It's Always Been You」「What You Leave Behind」)、「Saxophonic」(2003)から3曲(「Honey Dipped」「All I See Is You」「Let It Free」)、「The Dance」(1999)から2曲(「Together Again」「Love Is On The Way」)、「Lucky Man」(1993)から3曲(「You Make Me Smile」「Faces Of The Heart」「Silverlining」)、の全12曲。内容を聴けば、グラミー賞のノミネートに納得。この作品が「最有力」と断言。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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