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2013年3月の記事

2013年3月31日 (日)

Marion Meadows 「Whisper」(2013)

Mead

スムースジャズはポップスのカラオケだ、なんて思っている人に、ぜひ聴いて欲しい。マリオン・メドウズの新作、これは最高のクオリティの「ポップス」アルバムだ。マリオンは、ビックネームのソプラノサックス奏者で、過去のソロアルバムは11作。前作は2009年の「Secrets」だから、4年ぶり12作目のアルバムだ。ラテン系のメランコリックなメロディーをボーカルのごとくメローに吹くソプラノがこの人の特徴。1曲目の「The Visitor」から「Whisper」「Black Pearl」と続くメローなソプラノ音色の3連発にうっとりしてしまう。もちろん唄を歌っているわけではないけれど、ボーカルがある無しに関わらず、いやそれ以上に「唄っている」マリオンのソプラノは、最高のポップスチューンだ。一方で、ボブ・ボールドウィンが客演している「Bottoms Up」はコンテンポラリージャズで、「Sky Dive」(フレディ・ハバードのカバー)はビックバンドのアンサンブルで、それぞれメインストリームなソプラノサックスのアドリブプレイを演ってくれる。「Wild Thing」はヒップなダンスチューンで、この当りの音を聴くと、ケニーGと持っているものが違うんだなと。ラストチューンの「Turn Up the Quiet」は、明るいミディアムバラードのポップスチューン。最後もやっぱり、メローなソプラノサックスが心地いい。

2013年3月30日 (土)

Craig Sharmat 「Bleu Horizons」(2013)

Blue

ニューヨーク出身のクレイグ・シャーマットは、テレビ、映画、コマーシャルの作編曲を多く手がけて、ギタリストとしても過去に2枚のソロアルバムを出している。この新作は、コンセプトアルバムで、世界の幾つかの都市をめぐる風景をテーマにしている。良くありそうなテーマで、ミュージックアーティストなら取り組みたくなるテーマなのかな。とは言え、クレイグのこの新作は、10秒程度のSEを挟んで、各地を回る仕立てになっていて、オーケストレーションが豊かで、映像のサントラを思わせるアプローチと、コンテンポラリージャズのミクスチャーが楽しい。マンハッタンのストリートの音をひろって「旅」は始まる。エイトビートのブラスセクションに、スチール弦のギターがファンキーな「Manhattan Morning」。テイクオフのジェット音が聴こえて、次はパリ。先行シングルで、スムースジャズチャートにも上がっていた「A Day in Paris」は、ジプシーなマヌーシュバンドの音がパリをスケッチ。シングルだけあって、この曲のクレイグのマヌーシュスタイルの早弾きパッセージが光っているリーディングトラック。続くのは、タブラの音が聴こえて向かうのはインドのムンバイ。「Munbai Mojo」は、スチールギターでシタールのような旋律を展開する。一風変わっているけれど、シタールの「ものまね」では無いギターのグルーブが感じられる佳曲。カーニバルのSEをはさんで、続くのはリオをテーマにした3曲。「Sol E Oceano」は、ソフトなエレキギターがほっとするバラード。アメリカと題されたSEに続く「Open Plains」は最後の曲で、ダイナミックなオーケストレーションでエンディングを迎える。ゲストプレイヤーは、リック・ブラウン、ピーター・ホワイト、グレッグ・マニングなど、豪華な音をサポートしている。クレイグは、「Comfort Zone」というスムースジャズバンドにも参加している。まだ聴いていないけれど、最近「SideWays」というアルバムをリリースしているので、そちらも注目したい。

2013年3月26日 (火)

Ed Barker 「We Jus' Bimblin'」(Single)(2012)

Ed

エド(エドワード)・バーカーは、UKのサックスプレイヤーで、ジョージ・マイケル(もちろん、あの「ワム」の)が、2012年に行ったツアーに抜擢されたラッキーボーイ。1984年生まれだから若干29才、ビックプレイヤーになりそうな注目の人である。しっかりしたジャズのバックグランドのある人で、2009年にはロンドンの「ナショナル・ユース・ジャズ・オーケストラ」(NYJO)で、リードアルト奏者を務めた。NYJOは、UKジャズの著名プレイヤーを輩出している由緒あるビックバンドで、あのエイミー・ワインハウスも参加していたそう。(そういえば、エイミーの唄声にはサラ・ボーンみたいなジャズのスピリットがあるなあ)エドは、4枚のシングルをリリースしている。ちょっとヒップなブルースの「'sup Baby」。アシッド系のファンクな「Three Way」。R&Bっぽくてポップな「We Jus'Bimblin'」。トーチソングのようでムーディーなメロディーが耳に残るバラードの「Your Secret」。彼のサックスは、グローバー・ワシントン・ジュニア、デイビッド・サンボーン、の系統。そして、デイブ・コーズを彷彿とする音色。ビートアップした曲では熱くブロウするし、バラードでは艶っぽく、アドリブの展開は正当派ジャズの安定感がある。フルアルバムを録音中で、なんと、デイブ・コーズとデュエットするトラックがあるというから大期待。まさにイギリスのデイビッド・コーズという形容詞が合うのかもしれない。ジョー・リーダーカール・スタンレー、などUKのプレイヤーだし、UKのスムースジャズが注目。ポップスでもメインストリームのジャズでも、英国や欧州の「音」に惹かれてしまうのは、なんでだろう。

2013年3月24日 (日)

Drew Davidsen「True Drew」(2013)

True

自ら、「シックス・ストリング・キング(6弦王)」と名乗るギタリスト、ドゥリュウ・デビッドソン。彼のこの新作を聴いて、こんなすごいギタリストだったとは驚き。「6弦王」と名乗るのに拍手を送りたい。楽曲良し、録音よし、演奏よし、の3拍子揃ったアルバム。彼自身、これが5枚目の作品で、自己ベストに違いないはず。彼の弾くギターは、カルビンというメーカーのギターで、スティーブ・オリバーなど信奉者多数の人気のギター。このアルバムでも、ドゥリュウはエレキ、ナイロン、セミアコなど多数の音色を駆使して、すごくクリアで抜けのいい音を披露している。「Hi5」、「95 South」、「Sweet Spot」「Do Right」の4曲は、重量感あるれるリズム隊のビートに、疾走する彼のギターにガツんとやられるハイライトチューン。いずれも、サビのオクターブと、シングルトーンのパッセージがなにしろかっこいい。「Im Into You」なんて、エコーを効かせたギターとコーラスがユニゾンする、ブラコン調のメロディーにうるっとくる。「Double or Nothin'」、「All Night and Forever」、「Give Me Your Heart」は、ゲストのボビー・ライルやボブ・ボールドウィンらのピアノと、絡むドゥリュウのギターも、たっぷりなスウィートソウル。エリック・クラプトンの「Change the World」のカバーも出色のトラック。なんとゴスペルのリズムに、サビはオクターブ奏ギター。この曲は、ブルースだったのかと再認識。「All Creatures」は、ジョナサン・クローン(ドゥリュウのギター技術者らしい)という人との、アコギデュオの演奏で、これがすごい。スムースジャズではないけれど、どこか牧歌的でシンプルなメロディーを奏でるアコギは、ペンタングルのジョン・レンボーンとバート・ヤンシュのような、イギリスのトラッドの臭いもする。もしかしてオープンチューニングかな?今年のスムースジャズアルバムの間違いなくベスト級の一枚。

2013年3月17日 (日)

Kris Brownlee 「Sincerely Yours」(2013)

Krisbrownleeセールス的なねらいだろう、チルアウトなムードのアルバム。チルアウトが、こんなにもてはやされる理由が、個人的にはちょっとよく分からない。アップテンポなダンス系と対極な、ダウンテンポであるけれど、これも実は、ダンス系リスナーがターゲットで、踊りの後には、レイドバックな「冷却」を、ということなのだろう。スムースジャズのここしばらくのトレンドで、アンビエントなものから、セクシームードのものまであるくらいで、聴くシチュエーションも、ダンスフロアから、ベッドルームまでということなのか。正統派スムースジャズファンとしては、ちょっと、「冷却」過ぎるのは、ひいてしまうだが。このクリス・ブラウンリーの新作は、さりげない「冷却さ」のムードがなかなかの出来。冷却ムードたっぷりな「Closer」やタイトル曲「Sincerely Yours」は、低音のテナーがセクシーなベストチューン。全13曲、彼の自作共作でチルアウトなムードの中で、光っているトラックが、ソフトなダンシングナンバーの「Solstice」。ハンドクラップが印象的で踊りだしたくなる。ヴィセント・インガラほど弾けていないし、フィル・デニーをもっとセクシーにした感じがいい。テナーの音色が上品に響いてクールな演奏。マイナーなエイトビートの「Up Front」も注目のトラック。ゲストのシンディ・ブラッドリーのフリューゲルフォンが出てくると、いきなりテンションが変わって、クリスのテナーもさらに艶っぽく聴こえる。プロデュースは、マリオン・メドウズの作品を手がけている売れっ子、マイケル・ブローニングという人。シンディ・ブラッドリーの「Unscripted」や、マイケル・リントン「Pure」、マリオン・メドウズの最新作「Whisper」などヒット作を連発している人。クオリティとしては悪いわけない。分かる大人向けのクールなアルバム。

2013年3月10日 (日)

Tim Cunnigham 「Reflection」(2011)

Timcunningham

ティム・カニングハム、初めて聴いたのだが、結構キャリアの長いサックス・プレイヤー。1996年にアトランティックレコードから「Right Turn Only」をリリースしてソロデビュー。このアルバムは、今となってみるとすごい顔ぶれで、ボビー・ライル(ピアノ)、ブライアン・カルバートソン(キーボード)、ウィル・ダウニング(ボーカル)、ティム・ガント(キーボード)など、ビッグネームが参加している。アルバム自体は廃盤のようで、iTunesにもAmazonのMP3ストアにも無かった。なんとなく、隠れた名盤の臭いがするのだが・・・。その後、ティムは5枚のアルバムを出しているので、安定した支持を受けているプレイヤーのようだ。そして、このアルバムのプロデューサーは、ダーロン・ステュワードという人で、デビュー作の「Right Turn Only」のプロデュースをしていた。ということで、15年ぶりのリユニオンの作品ということらしい。アルバムの内容のほうは、R&Bのスウィートメロディーを吹くティムのサックスは、グローバー・ワシントン・ジュニアを思わせる。「Love Is a Gift」と「Speak to Me」は、スウィート・ソウルなバラードで、いずれもソプラノ・サックスを吹いている。曲調にもピッタリで、この人はアルトよりソプラノのほうがいいなあ。テナーも吹いている「R.W.Fifty Seven」「So Right」では、R&Bメロディーが耳に残るし、アドリブもクール。題名どおりファンキーな「L.Y.Funky」や、「Driveway Friday」、フィラデルフィアソウルのような「Famous 58」は、ちょっと典型的だけど、R&Bタイプの佳曲。全12曲、特にこれだというトラックは無いけれど、曲はいずれもスウィートメロディーだし、ティムのサックスが堪能できる演奏。プロデューサーのダーロンがベース、ギター、キーボードを演っていて、プログラムされたリズムセクションが、ちょっと機械的で単調なのが残念。リアルなバンドのバイブレーションで聴きたかった。この作品の後に、ライブアルバム「Tim Cunningham Live」(2012)を出しているので、きっと打って変わってグルーブなノリのライブだろう。今度聴いてみたい。

2013年3月 7日 (木)

Lori Andrews 「After Hours」(2007)

Loriandrews ハープという楽器の印象は、共鳴しあう弦の調べが、どこか夢の世界でも浮遊するよう な幻想的なもの。このアルバムの演奏を聴いたら、そんなイメージは覆される。これは 骨太な、フュージョンジャズのアルバムだ。それも、ハープが入ったバンドの、ビート とグルーブが一体となったすばらしい演奏。ハープの演奏は、やわなイメージを払しょ くするのに成功している。録音も、一発撮りのようでライブ感たっぷり。バンド編成は、ハープ、サックス、ベース、ドラムの4人に、曲によってパーカッションやシンセが入ったりの全14曲。特に、ベースとド ラムのリズム隊の音が際立って、サウンドのシャープさにガツンとくる。ハープ奏者、 ローリー・アンドリュースを冠にしたアルバムなので、彼女が主役だとしても、彼女は バンドの一員としての立ち位置で、目立つわけでもなく、アンサンブルの一人として、 他のプレイヤーと同等にアドリブをやり、このバンドの一体感を生み出している。演奏 は、友好的なスウィング感にあふれている。タイトル曲「After Hours」のメローなメ ロディや、「City Lights」のポップな色彩は、リピートして何度も聞きたくなる、ス ムースジャズの一級品。「L's Blues」や、「Steppin' Out」、「A Late Night Affair」、 「Cruisin'」で聴ける、グルービーな演奏は、ソリッドなフュージョンの音だし 、ピアノやギターの代役なんて感じさせない、ハープの魅力が発揮されている。 「Midnight Rendezvous」は、セミアコっぽいギターとハープのデュエットのような演奏で、バックにシンセが鳴っているけれど、4ビートを基本に、上質のコンテンポラリー ジャズに仕上がっている。なんとなくビーバップのにおいも感じて、 この演奏が個人的にはこのアルバムのベストチューン。最後の曲「Reflections (of a city asleep)」は、ハープのソロ演奏による小品で、このアルバムの中では際立って美しく て、休息感を与えてくれる。ローリー・アンドリュースは、ジャズハープ奏者として第 一人者で、活躍はジャズからポップスなど幅広く、過去ソロアルバムも7枚出ている。 このアルバムは現時点で最新作。スムースジャズがもっとクラッ シックになっても、きっと「名盤」と言われるに違いない。(thanks to Tsutsui San)

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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