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2013年5月の記事

2013年5月28日 (火)

Chieli Minucci & Special EFX「Genesis」(2013)

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スペシャルEFXは、デビューは80年代に遡るフュージョンバンドで、現在は、オリジナルメンバーである、ギタリストのキエリ・ミヌッチの事実上のソロプロジェクト。老舗フュージョンバンドといえば、イエロージャケッツ、リッピングトンズ、などがいるけれど、それぞれメンバーの変動があっても、いずれも現役で「今」も音が聴けるというのはうれしい限り。スペシャルEFXは、キエリのギターが作り出す「音楽性」のショウケースで、ストーリー性を持ち込んだかのようなドラマチックな編曲が妙のプロジェクト。3年ぶりのこの新作も、全12曲の多彩な曲を集めた秀作。キエリのギターは、エコーを聴かせたドリーミーなトーンや、流れるようなパッセージで、ジャズスタイルからプログレ、ヒーリングのような演奏まで多彩で、ギターキッズは必聴のギタリスト。このアルバム、冒頭の、「Crazy Eights」「Till the End of Time」、の2曲、フュージョンのバイブレーションが炸裂する。まずこの2曲を聴いて、相当ガツンとやられた。冒頭2曲だけは、ドラムスがオマー・ハキムで、ビートが違うのだ。オマーのドラムスと、サックスのデビッド・マンと、キエリのギターのアンサンブルは、リズムに重点を置いて複雑展開する。さすがのバイブレーションで、オーバーダビングの音も加えられているけれど、ライブ感のある一級のセッション。その他曲でも、どの曲もキエリの美しい音色のギターが堪能できるけれど、過剰にドラマチックなシンフォニックだったり、ニューエイジ風であったり、ボーカル入りはミュージカル風であったりと、うーん、ちょっと違うんだな。でも、冒頭の2曲、これは必聴。

2013年5月27日 (月)

Cal Harris Jr. 「Shelter Island」(2013)

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先行してリリースされていた「Smooth」を含む、キーボード奏者カル・ハリス・ジュニアの新作フルアルバム。スムース&メローな雰囲気に貫かれた内容。聴き方次第で、ニューエイジやヒーリングミュージックの路線でもあり、そういったジャンルが好きなリスナーにも推薦したい。とは言え、聴き込めば、スムースジャズとして秀逸なアルバム。このカル・ハリス・ジュニアという人、ただならない才能の持ち主。彼の弾くピアノやフェンダーは、ブライアン・シンプソンを継承する正当派のスタイルで好感度抜群。メロディーは、単なるチルアウト的な典型ではない、メローでメランコリックがなんとも美しい。サウンドも、それぞれの楽器が流れるように均整の取れたアレンジで構成されていて、一つ一つの音が聴き込む度に、際立って新鮮。ゲストには、「Smooth」でエラン・トロットマン、「Sunset Chasers」ではマリオン・メドウズ、2人のビッグなサックス奏者が参加。ちなみに、このビビッドでドリーミーなアートワークのジャケットは、なんとマリオン・メドウズの作品。マリオンは、グラフックアートや写真のデザインワークのアーティストでもあり、スティーブ・オリバーの最近作も、彼の作品。才能ある人は、多才に長けているんだなあ。さて、このアルバム、曲ごとの細かいクレジットが無いので詳細が分からないけれど、サックスの注目株キース・マッケリー(1曲目のタイトル曲「Shelter Island」で吹いていると思うのだが・・・)、ウェストコーストのギタリストのジョエル・デル・ロザリオ(ソロ新作が待ち遠しい)が参加しているのは注目。このアルバム、「テイスト」を5つ★で評価すると、ポップス度が3つ★、R&B度が1つ★、ジャズ度が2つ★、イージーリスニング度が4つ★。こんな評価点はいかがだろうか。

2013年5月19日 (日)

ZOE 「Unstoppable」(2013)

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バンド名の「ZOE」は、「ゾー・エイ」と発音するようだ。5人組で、サックスとトランペットの2管にキーボード、ドラムス、ベースという編成のバンド。出身と活動はフィラデルフィア、というから、まさにフィリーサウンドを継承するスムースジャズバンド。結成は2001年で、いままで「Long Time」(2001)、「Heaven Bound」(2004)、「Let's Fly」(2009)、の3作品をリリースしている。そしてこの「Unstoppable」が最新作品。このアルバム、まさに題名通り、「止まらない」全18曲の力作。6曲は各1分足らずの間奏的な曲で、12曲がフルトラックで、それぞれ各6分におよぶ演奏。レコードなら2枚分はありそうなボリュームなので、正直言って、アルバム全部はちょっと長くて、聞き通しても盛り上がりに欠けるのは否めない。パーティーバンドを聴いているような趣があって、オンビートの曲から、トーチソングのバラードまで、多様な演奏が出てくるのは、まさにリゾート地でディナーやバーで、耳を傾けたり、踊ったりと、そんなシチュエーションが思い浮かぶ。おそらく、このバンドは、そういったところでいつも「営業」しているのだろうなあ。このバンドのバイブレーションは、洗練されているかというと、ちょっと違うところがあって、「田舎臭い」というと失礼だし、「B級」なんてもっと失礼だし、クオリティが劣るわけでもないのだけれど、なにか荒削りで、粗野な「ノリ」を感じるのだけれど、それが魅力なのかな。「Always Thinking of You」が出色の佳曲で、明るくキャッチーなメロディーに、フィリーサウンドも感じるが、どこか荒削り。でも、なぜかリピートして聴いてしまう。「Top Down」も、どこかあか抜けないオンビートの曲。「This One's for You」は、リゾートのステージで聴くような、健康的なミディアムバラード。「A Time for Love」は、トーチソングタイプのバラードで、ちょっとレトロな感じは、中年カップルが踊るのにピッタリかもしれない。最後の曲、「Mister Magic」は、ジェフ・ローバーが参加した演奏で、ジェフのフェンダーが入っただけで、躍動感のあるピカイチのフュージョン・チューンになるというのは、さすがジェフ・ローバー。このバンド、「ゾーエイ」、そのうちいずれヒットアルバムを出すかもしれないかな。

2013年5月11日 (土)

Boney James 「The Beat」(2013)

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ボニー・ジェイムスの新作「The Beat」。タイトルは、収録されているセルジオ・メンデスとブラジル66の「Batucada(The Beat)」のカバー曲から。このトラックは名演奏で、このアルバムのハイライト。セルジオ・メンデスを取り上げるというは、ボニーのブラジルミュージックへのリスペクトなのかな。カバーの演奏は、ゲストのリック・ブラウンのトランペットと、ボニーのテナーのフロント2管が、ユニゾンしたり、ハモったり、チェイスし合ったりのノリが聴きもの。リックのトランペットはシャープで、ハーブ・アルパートの「ライズ」を思い出させる。ボニーのブロウも、負けるかって感じで、情熱的で、2管の絡みはぞくっとくる。リズムセクションのアタックも、ズシンと重量級で、タイトル通りのビートな演奏。この曲以外も、このアルバムはオン・ビートがテーマと思いきや、反して、バラードやスローな曲が多い。全10曲中、スローバラードが6曲なので、アルバムタイトルからノリノリのボニー・ジェイムスを期待すると、ちょっと違う。でも、結論から言うと、完成度は5つ星以上で、間違いなく今年のベストな1枚。もともと、ボニーのサックスの特徴は、ボーカリストだとすると、ハスキーでセクシーなところ。バラードやムーディーな曲で本領発揮。ボニー自作曲「Mari's Song」は、明るめのバラードで、ドラムレスで、ピアノとパーカッションで対話するジェントルなボニーのテナーにうっとりする。「Acualento (Lullaby)」は、マイナーなスローバラードで、コンテンポラリーなメロディーを、ささやくような、丁寧なテナートーンがググッとくる。R&Bテイストのとりわけ美メロディーの「Missing You」は、ポップなバラード。この演奏も、ドラムレスで、コーラスと対話する、ボニーのテナーが、セクシーだけどちょっとシニカルでクール。このアルバムの、もう一つの聴きものは、リズムセクション。ほぼ全曲、パーカッションはレニー・カストロ。ドラムスのオマーリ・ウイリアムス。ベースのアレックス・アル。このセクションが、繰り出すタイトなバッキングリズムが、このアルバム全体のシャープなグルーブを作っている。ミディアムテンポの「Sunset Boulevard」と「Powerhouse」では、ムーディーでセクシーなボニーのテナーの後ろで聴けるバッキング、キックでシャープなドラムスと、よけいなおかずを入れない忠実なベースラインと、さりげないラテンビートのパーカッションに耳を奪われる。各曲わずか4分ほどの10曲、無用に長い曲が無いだけ、完成度が高い。ゲストプレイヤーをたくさん入れて作ったアムバムでもなく、バックのリズムセクションも前に出過ぎず、ストレイトアヘッドなボニーのサックスが主役のベスト作品。

2013年5月 5日 (日)

スムースなシングル盤 ⑩

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キース・マッケリーは、2010年にデビューアルバムをリリースしているクリーブランド在住のサックスプレイヤー。新曲シングル「Serpentine Fire」は、あのアース・ウィンド&ファイアーの名曲。キースのパワフルなサックスが炸裂する。エネルギッシュでファンキーなキースのサックスは、EWFのオリジナルを、パワーで上回る出色の名演。最近、どうもチルアウトが多くて、こういう元気の出るプレイが聴きたかった。久しぶりにガツンとやられて、豪快な1曲。カナダのギタリスト、ロブ・ターディックの「One World」は、スティーブ・オリバーと共同プロデュースした新曲。リリース間近の新アルバム「LIMITLESS」からの先行シングル。新アルバムでは、スティーブが演奏に参加した曲も入っているそう。前作「B.E.L.L.」は、なかなかポップないいアルバムだった。「One World」も、ラテンのリズム、ロブのギターのフラメンコ調パッセージ、キャッチーでポップなコーラスが耳に残る、病みつきの佳曲。新アルバムが待ち遠しい。エドガー・ウオーレス・ジュニアは、ホール&オーツの名曲「I Can't Go For That」のカバー。こんな軽いノリで、あのホール&オーツへのリスペクトが感じられないのが気になる。プロモーションビデオも、ナンパ系寸劇の軟弱さに苦笑い。でも、サックスも結構壮快だし、何しろ曲がいいから許してしまおう。

2013年5月 4日 (土)

新作ニュース

キエリ・ミヌッチ率いるスペシャルEFXの新作「Genesis」は5月にリリース。ノーマン・ブラウン、カーク・ウィラム、リック・ブラウンのコラボバンドBWBの新作「Human Nature」は、2002年の「Groovin'」以来の待望の新作で、6月リリース予定。イエロー・ジャケッツの新作が出るようだ。「A Rise in the Road」というタイトルで、6月にリリース。ジミー・ハスリップに代わってメンバーとなった フェリックス・パストリアスのベースプレイに大期待。何しろ、 フェリックスは、あのジャコの息子なのだから。フュージョンの大御所、ジョージ・デュークの新作「Dream Weaver」は、7月リリース。

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2013年5月 3日 (金)

Brian Simpson 「Just What You Need」(2013)

Brian_simpson ブライアン・シンプソンの、「South Beach」(2010)以来3年ぶりの新作。待望の第一印象は、今までの雰囲気と違い、チルアウトなムードの曲が並ぶ。この人も「はやり」のチルアウトなのか。前半の5曲と、後半の5曲のムードが違う。まるで、レコードのA面とB面のよう。チルアウトなのは前半の5曲。後半の5曲は、彼の今までの路線を感じるし、明るくてポップなムードで、個人的には後半を聴いて安心。デビューアルバムを出したばかりの若き新人ニコラス・コールを抜擢して、曲とプロデュースを3曲共作している。その3曲、「Wherever You Go」、「Emerald City」、「A Love Like This」が前半のチルアウトなムードを作っている。この3曲、ニコラス・コールのデビューアルバム「Endless Possibilities」の再演のよう。主役のブライアン・シンプソンのカラーが薄まってしまい残念。まだキャリアも若きニコラス・コールは、恐るべし才能なのだろう。でも、そんな必要あったのかなあ、と思ってしまう。後半は、デイブ・コーズが客演した「The Girl From Ipanema」で始まる。これがとってもいい。数多のアーティストが演ったこの名曲を、デイブ・コーズとブライアンが、主旋律を忠実に、軽快に奏でる。ジャズの名演も多いけれど、この2人の演奏の爽やかさは光っている。いつか、こんなワンホーンの編成で、スタンダードのアルバムを作って欲しいなあ。続く「D'Groove」は、ジェラルド・アルブライトのサックスがファンキーな演奏。やっぱり、これがブライアン・シンプソン。オンビートなリズムに乗る流れるような、リリカルなピアノ。バラードの「Castaway」は、このアルバムの中で一番ブライアンのピアノが堪能できるトラック。このアルバム、曲によって客演しているプレイヤーが変わり、ジョナサン・バトラー、エラン・トロットマン、マーク・アントワンなど、豪華なメンバー。でも、唯一、「Castaway」は、ゲスト無しの演奏。地味だけど、こんな演奏が一番。最後の曲はボーカルチューンで、イギリスのR&B歌手デズリーが、1994年に大ヒットさせた「You Gotta Be」のカバー。唄っているのはジェフ・ロビンソンという人。心暖かくなり、何度もリピートしたくなる、グッド・チューン。後半の5曲で、ほっとはした新作だけれど。前作「South Beach」は、夏をテーマにしたような、メローで爽やかな好盤だった。もちろん、この新作、悪くないけれど、比べるとどうだろう、「South Beach」に軍配が上がるかな。総合的に、ブライアンのベストはと問われれば、この新作より「Above The Clouds」と「South Beach」を上げさせてもらう。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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