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2013年6月 9日 (日)

Ron Boustead「Mosaic」(2013)

Mosaic1

ロン・ボーステッドは、ソングライターでもあり、シンガーとして3枚のアルバムを出している。加えて、マスタリング・エンジニアとしてのキャリアはトップクラスで、プリンス、ローリングストーンズ、ジャネット・ジャクソンといったポップスのビックネームの作品を手がけている。スムースジャズ系でも、ブライアン・シンプソン、グレッグ・カルーカス、ニルス、カーク・ウェイラム、マイケル・リントン、オリ・シルク、などなどのアーティストの作品を手がける、売れっ子のエンジニアなのである。この新作は、前作「Blend」(2006)に続く作品で、彼の幅広い交友関係から多くのビックミュージシャンが参加している。商業的にサポートミュージシャンを集めて作った作品とは一線を画す、「ロン・ボーステッド&フレンズ」の趣のある、とても暖かい作品。10曲の作品ごとに参加ミュージシャンも異なり、作品性も違うのだけれど、ボーステッドのボーカルが、テクニックを駆使するのではなく、終止「ハート」で歌い、周知の友人と丁寧に作り上げている楽しさが伝わってくる、とてもいい作品なのである。全曲粒ぞろいだけれど、カバー曲の選曲には、うなってしまう。「音」といえば、ボーステッド自らのマスタリングが秀逸で、際立ちのいい音とビートが統一感のある作品になっている。ボーカルアルバムだけれど、サウンドは、クオリティの高いスムースジャズ。5★の大推薦盤です。

① Moon Song - メランコリックなメロディーに、ちょっと個性的なスロー・ボッサのリズム(変拍子?)が心地いい。これは、いい曲だなあ、誰の曲だろうとチェックしたら、ブラジルのシンガーソングライター、レオ・ミナックスの作品。彼の「Aulanalua」(2006)というアルバムに入っている。現代的なサウンドアレンジは、マイケル・フランクスの名曲「アントニオの唄」を思い起こす。最後の当りで、アントニオ・カルロス・ジョビンの「三月の雨」のメロディーを唄うのは、アドリブだと思うが、にくいなあ。トランペットはリック・ブラウン、ベースはブライアン・ブロムバーグ、ピアノとアレンジは、AORファンに懐かしい人、ビル・カントス。
② You're Sensational - この曲もボサノバのリズムにR&Bっぽいメロディー、スキャットが壮快で明るく粋な曲。ジョン・ルシエンの「Listen Love」(1991)の中の一曲。ルシエンは、かつて、デイブ・グルーシン、グローバー・ワシントン・ジュニア、ジェフ・ローバーといったフュージョンのジャイアンツと作品を残したボーカリスト。今となると、ルシエンあたりが、スムースジャズのクラシックと呼んでもいいようなアーティスト。フェンダーで軽快なフレーズを弾くのは、グレッグ・カルーカス。
③ No Me Without You - 沁み入るようなマイナーメロディーで、泣きのスローバラード。ボーステッドと、アンドレアス・オールマンの共作。オールマンもキーボードで参加している。サックスはカーク・ウェイラム。それだけでもすごいのに、バックコーラスも只者ではないと思ったら、アーノルド・マッカラー。ジェイムス・テイラーやリッキー・リー・ジョーンズ、デービッド・サンボーンなどと共演した、「ミスター・バックコーラス」。
④ Wishful Thinking - キャロル・キングの作品。こんないい曲、彼女のどのアルバムに入っていたのか、とチェック。「Colour Of Your Dreams」(1993)に入っていた曲。メロディーも、ボーカルも、円熟の味で、いい感じ。ピアノはビル・カンリフェ、ギターがパット・ケリー、いずれもメインストリームジャズ系の人で、結構知る人ぞ知るアーティスト。まとめているのが、ボーステッドの盟友、キーボードのマイケル・マクレガー。
⑤ And Now ? - ボーステッドの自作曲。スローボッサの雰囲気と、ヒーリング・ミュージックのような、おおらかで丁寧なボーカルが心休まる曲。オーガニックなスキャットがいいなあ、ルネ・スタールという人。
⑥ Careless Wind - この曲は注目。ジャズピアニストのフレッド・ハーシュと、ボーステッドの共作。2人は古くからの友人だとか。ピアノをハーシュが弾いている。スローなボサノバジャズという感じで、軽快なハーシュのピアノが聴きもの。ハーシュはメインストリームジャズだけれど、好きなピアニストで、近作のソロのライブアルバム「Alone at the Vanguard」(2011)は愛聴盤。ボーステッドとの組み合わせに驚きと感激。
⑦ Every Moment Of You - この曲も、ボーステッドの友人でビリー・ランキンというピアニストで作曲家の作品。ジャージーなワルツで、いい曲だなあ。ピアノはビル・カントス、ベースはブライアン・ブロムバーグ、ドラムがマイク・シャピロ、のコンボが生み出すシャープなジャズビートが聴きもの。
⑧ Everything Be OK - ボーステッドとマイケル・マクグレガーの共作。「So Far So Good」と唄うシンプルなテーマの、力強いボーカルが印象的な曲。こんな曲を聴くだけで元気が出ます。
⑨ Whatever Happens - ビル・ウィザースとラリー・カールトンの共作で、ウィザースのアルバム「Watching You, Watching Me」(1985)に入っている。ヴァネッサ・ウィリアムスがデビューアルバム「The Right Staff」(1988)でもカバーしていたっけ。ボーステッドと、ウィンディ・ワグナーという女性ボーカリストがデュエットで歌い、「カントリー」の味付けがピッタリはまったカバーバージョン。
⑩ Secret Love - 最後の曲は、ジェイムス・テイラー。彼の「JT」(1977)の中の曲。ジャズピアニストのミッチェル・フォアマンのピアノは、唄伴というより、ボーステッドとのデュエットのような存在感で、ストリングスを入れた編曲が、エンディングならではの演出がにくい。
(ロン・ボーステッドの本作品は、愛読させて頂いているサイト「Sound of The Breeze」のマスター、「洋楽のソムリエ」さんから紹介を頂きました。Thanks !)

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