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2013年8月 2日 (金)

Earl Klugh 「HandPicked」(2013)

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アール・クルーの新作は、3曲のゲストとの演奏を除いて、他13曲ギターソロによるアルバム。アールのオリジナルが3曲入っているが、ほとんどがジャズやポップスの名曲をカバーした彼のフェバリット・ソング・ブックという感じの選曲。それぞれの曲のオリジナルへの想いというより(かなり古い曲もあるからね)、彼が影響を受けたギターのジャイアンツのカバー演奏を振り返るような意味で、私的な思い入れの曲が選ばれているのかもしれない。ゲストが入る3曲もデュエットの演奏で、アルバムを通して、アールの柔らかいギター音色が堪能できる、なんだかほっとする新作。

1.Alfie(1966):バート・バカラックとハル・デビッドの名曲。パット・メセニーもソロギターアルバム「What's It All About」で演っていた。
2.Lullaby Of Birdland(1952):ジョージ・シアリングのジャズの名曲。チェット・アトキンスもレパートリーにしていたので、そのオマージュかもしれない。
3.Blue Moon:1934年にリチャード・ロジャースとロレンツ・ハートが書いたポピュラーソング。エルビス・プレスリーも唄っている。ビル・フリーゼルのエレキギターと、アールのガット・ギターが対比的な、ジャズ的なインプロビゼーション会話のデュオ演奏。
4.In Six:アールのオリジナル。6拍子の、アールらしい軽快なメロディ。
5.Cast Your Fate to The Wind(1965):チャーリー・ブラウンの音楽で有名なヴィンス・ガラルディの曲。アールは、「Magic In Your Eyes」(1978)でも同曲を演っている。
6.Hotel California:言わずと知れたイーグルスの名曲。ジェイク・シマブクロのウクレレとのデュエット。
7.More And More Amor:ビング・クロスビーの1944年のヒット曲。ハープ・アルパートとティファナ・ブラスや、フリオ・イグレシアスのバージョンが有名。
8.'Round Midnight(1944):セロニアス・モンクの名曲。ジョー・パスの「Virtuoso」(1973)でジャズ・ソロ・ギター演奏の衝撃は忘れられない。そのアルバムでジョー・パスが演奏したスタイルを彷彿とする、アールの演奏。低音を弾く親指の運指のテクはすごいなあ。
9.But Beautiful(1947):これもポップスのクラッシックで、ジャズのスタンダード。ギタリストの演奏では、ケニー・バレルがジミー・スミスと組んだ演奏が印象に残っている。アールの演奏は、さりげない小品だけれど、アールのパッセージはいつになくストレートジャズしている。
10.All I Have To Do Is Dream:エバリー・ブラザーズの1958年のヒット曲。チェット・アトキンスがギターを弾いていたそう。ここではカントリーのビンス・ギルのギターとデュエット。後半に出でくるビンスのボーカルで、あっという間にカントリーの世界。
11.Going Out Of My Head:リトル・アンソニーとザ・インペリアルズの1964年のヒット曲。ウェス・モンゴメリーが同名アルバム(1966)で取り上げた演奏が、ギターファンにはエバーグリーン。
12.If I Fell:ビートルズの曲。ガボール・ザボが「Gypsy'66」(1965)で演っている。
13.Where The Wind Takes Me:アールのオリジナル。シャンソンを思わせる、物悲しいメロディー。
14.Morning Rain:アールのオリジナル。アールの曲って、FM番組のジングルに使われることが多い。この曲もさわやかな朝の雰囲気だから、どこかの番組で使われるかも。ちなみに、「Winter Rain」という曲が「Move」(1994)に入っていた。
15.Love Is A Many Splendored Thing(1955):同名映画の主題歌としてヒットした曲。フランク・シナトラやナット・キング・コールが唄っている。これもストレートジャズ的な解釈の粋な演奏。
16.This Time:アールの初期のアルバム「Finger Paintings」(1978)に入っていた曲の再演。その時もアルバムの最後の曲だったけ。
アールは過去にもソロ・ギターのアルバムを何作か出していて、この新作もいつも通りのスタイルのアール・クルーが聴けるのでファンとしては満足。個人的には、前作「The Spice of Life」(2008)のようなポップなアレンジやオーケストレーションのアール・クルーが好みではあるけれど。ゲストとの3曲はちょっと違和感がある。他曲のソロ演奏が、選曲も、演奏も統一感があるので、特にそう感じる。ジェイク・シマブクロとの演奏は、意外な選曲のイーグルスのバージョンそのままで、なんだかフォークデュオのような感じだし。ビンス・ギルのカントリーボーカルも、ビンスのファンには申し訳ないが、唐突な感じだし。ビル・フリーゼルのエレキギターも、いいけれど。やっぱり、アール・クルーのギターだけ、で十分。

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