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2013年8月 1日 (木)

「フレディ・マーキュリー 孤独な道化」レスリー・アン・ジョーンズ著

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フレディ・マーキュリーが45歳で他界したのは、1991年11月24日。それから22年も経つというのに、彼の唄声は色褪せないし、史上最高のロックボーカリストの1人。とりたててクイーンのファンではなくても、「ボヘミアン・ラプソディ」や一連の名曲に魅せられない人はいない。この本は、フレディ・マーキュリーの伝記であるが、偉大なロック・ボーカリストの業績を詳細に掘り起こす内容ではない。彼の残した作品にまつわる裏話などももちろん出てきて興味深いが、コアなファンなら周知かもしれないので、そういった興味だけで読む本ではない。かくいう筆者も、クイーンはもちろん嫌いではないけれど、特にファンというわけではない。けれどこの評伝に引込まれてしまった。希代稀に見る成功の階段を駆け上がり、奇異に満ちた人生を最後は悲劇的に終わらせた、フレディ・マーキュリーというひとりの人間の姿に。彼の死因がエイズだったことや、男性女性に限らない奔放な交友関係、または、金任せの豪遊癖など多々のゴシップなどは、彼がいなくなった今でも、時にはおもしろおかしいく流布されている事実である。そういった「事実」の裏側で、フレディという人間が、彼自身の性癖に戸惑い、いつも罪の意識に苛まれ、家族を求め続けた人間で、その苦悩の表現として、対極的な生命力のあふれた楽曲を作り出していたのだ。フレディは、アフリカはザンジバル島のパールシー教徒の一家に生を受けた。彼はいわゆるペルシャ人であって、厳格な信教徒の家庭で育った。厳格ゆえに、家庭内の堅苦しい愛情表現で幼少期を過ごしたことが、大人になってから肉体的な愛情に固執してしまうと、フレディ自身も思っていたようだ。いわゆるアングロサクソン系の白人のロックスターが主流の時代に、フレディは自分自身の出自にしても隠していたから、フレディーのボーカルスタイルが、ステージに上がったとたん神がかりにパワフルなパフォーマンスを見せていたのも、コンプレックスの解決方法だったのかもしれない。彼がクイーンを率いて、怒濤のヒット曲を連発して成功して行く反面、私生活ではいつも苦悩していて、時に破壊的で、かつシャイで、友達や家庭を愛し、ユーモアに富んでいた人間性には、読んでいて心が打たれる。ちなみに、クイーンの「輝ける日々(These Are The Days Of Our Lives)」のプロモーションビデオでは、公式ビデオとしてはフレディの生前最後の姿が見れる。見るのも痛々しい姿だけれど、優しい唄声と彼特有のスタイルに拍手したい。ところで、ハリウッドではフレディの伝記映画の企画が進んでいるらしいが、監督も決まらないようで、主役に決定していたサシャ・バロン・コーエンも最近、降板したとかで、迷走中。(岩木貴子訳 出版:ヤマハミュージックメディア)

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