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2013年10月26日 (土)

George Duke 「Dreamweaver」(2013)

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残念なことに、この新作をリリースしたわずか1ヶ月後に、ジョージ・デュークは帰らぬ人となってしまった。2013年8月5日のことで、67歳だった。70年代初頭から今に至るまで、フュージョンから、ディスコやファンク、ポップスの世界で、解説不要の偉大なプレイヤー、アレンジャー、プロデューサーであった。またひとり偉大な音楽家が旅立ってしまった。冥福を祈りたい。この新作はリリース直後から気になっていたのだが、ジョージが他界したと聞いて、なんとなく聴くのをためらっていた。「遺作」であるから、イマイチならそれはそれでいたたまれなくなるだろうし、快作ならそれもそれで切なく、意味なく、聴く機会を先送りしていた。でも、もっと早く聴けばよかった。3年ぶりのこの新作は、ジャンル問わず、ポピュラー音楽の形式を通して、彼の「メッセージ」を載せた、リスナーへの「贈り物」だ、それも、残念だけれど「最後の贈り物」になるなんて。先立つ、ちょうど1年前の2012年7月に、彼は最愛の妻コリーンさんを亡くして、音楽への情熱を失っていたという。ジョージ自身がライナーに寄せているように、この作品はその愛妻コリーンさんとの思い出に捧げたもの。失意を克服して、音楽に新たな情熱を込めた想いが伝わる作品になった。収録された作品のスタイルは様々だけれど、ジョージのピアノやボーカルがどの曲でも人間味にあふれた想いが伝わってくる。もしも、「遺作」でなければ、手放しで暖かい気持ちになれるグッド・ミュージックなのに。M-5「Missing You」は、愛妻への想いを込めたラブソングだろう、メロウなアダルト・オリエンテッド・バラードで、ジョージのアコースティック・ピアノがロマンティック。M-6「Change The World」は、異色な曲だけれどこのアルバムのハイライト。「We Are the World」を思わせるようなメッセージ・ソングで、ジョージの語りで始まる。「核の脅威や、世界中は問題だらけで難しいけれど、夢を見れば希望が持てる、この歌で世界の苦しみに元気を与えたい」。参加したコーラスがすごい、ジェフリー・オズボーン、ビービー・ワイナンズ、ララ・ハザウェイ、フレディー・ジャクソンといった、R&B・ソウルを代表するビック・シンガー達。「We Are the World」スタイルに、彼らが交互に「世界を変えよう」と唄う。この歌を、このアルバムに込めたジョージの人間味に感動してしまう。シンプルなメロディーの心に残るポップ・チューンだ。M-2「Stones Of Orion」もハイライト曲。スタンリー・クラークが参加した、ビック・バンド・スタイルのコンテンポラリー・ジャズ・チューン。もちろん、聴きものは、盟友同士である2人の共演で、ジョージのリリカルなピアノと、スタンリーのベースのストレード・アヘッドなアドリブが堪能できる。アルバムタイトルは「夢の織り人」とでも言うのだろうか。「アーティストは、夢の織り人。私は、音楽のキャンバスに絵を描く。」と、ジョージはこのアルバムのライナーに書き記して、旅立ってしまった。もっと描いて欲しかったのに。合掌。

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