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2013年10月22日 (火)

Spyro Gyra 「The Rhinebeck Sessions」(2013)

Rhinebecksessions

スパイロ・ジャイラの新作は、ニューヨーク郊外の街、ラインベックにあるスタジオでレコーディングされた。メンバーは、ジェイ・ベッケンスタイン(sax)、トム・シューマン(key)、スコット・アムブッシュ(b)、フリオ・フェルナンデス(g)、リー・ピアソン(dr)、の5人。ジェイとトムは、1978年のアルバム・デビュー当時からのオリジナル・メンバー(35年!)。フリオとスコットは、「Three Wishes」(1992)あたりから、定着しているようなので、その4人としては、20年近く不動のメンバーだ。ドラムスは、前作までのボニー・Bから、新しくリー・ピアソンに変わっている。この人のドラムスがすごいのだ。タイトで、完璧なリズムキープと、色彩豊かというか、縦横無尽に音が炸裂するドラムスだ。ピアソンの加入が、スパイロ・ジャイラに新しい息を吹き込んで生き返らせたと言ってもいい。今回の作品は、即効演奏を主体としたセッション・レコーディングということもあるが、ライブに近い臨場感に溢れた、ビビッドなバイブレーションが爆発する、このバンドの近年のベストと言ってもいいすばらしい演奏だ。80年代初頭の、デビューの頃のビートが感じられて、加えて上級のテクニックが加わった、久しぶりに硬派のフュージョンに、ガツンとくる。改めて、スパイロ・ジャイロに惚れ直してしまった。80年代から今も活躍している老舗フュージョン・バンドといえば、イエロー・ジャケッツザ・リッピントンズ、がいるけれど、この新作を聴けば断然にスパイロ・ジャイラに軍配を上げる。イエロー・ジャケッツは、ベースの重鎮ジミー・ハスリップから、フェリックス・パトリアスに変わってしまい、正直、失速の感が否めないし。ザ・リッピントンズは、ラス・フリーマンのワンマンバンドだから、アンサンブルのバイブレーションという点では比較にならないし。前作「A Foreign Affair」は、色々な曲想が入った作品だったので、ちょっと散漫な感じが否めなかった。この新作は、まさにストレート・アヘッドなフュージョン・サウンドに彩られていて、バンドが生み出すバイブレーションは本当にスリリング。M-3「Not Unlike That」は、パワフルなチョッパーベースが脳天をヒットしてくれる。こんなハードなフュージョン・サウンドを聴くのは久しぶりで、歓喜の、ベスト・トラック。M-5「I Know What You Mingus」は、チャールス・ミンガスをタイトルに入れた通り、4ビートをハード・バップの解釈で展開させるストレート・ジャズ・チューンで、バップ・スウィングが壮快な演奏。M-7「Clubhouse Jam」と、M-8「Odds Gets Even」の2曲は、今回のアルバムを象徴させるハイライト曲。いずれも、プログレ路線でフリーなアドリブ応酬がヒートアップする演奏。このファンキーで、洪水のようなサウンドは、昨今のヤワなスムーズ・ジャズへのアンチテーゼなのか。「Clubhouse Jam」での、ピアソンのドラムスが刻む16ビートは、まるでマシーンのごとく正確に、スリリングに疾走して行く。他メンバーの個々のアドリブは、フリー・スピリットに溢れていて、ここには美メロなんてないけれど、これこそフュージョンだ。

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