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2013年11月の記事

2013年11月30日 (土)

Kim Waters 「My Loves」(2013)

Myloves

サックス奏者キム・ウオーターズは、スムーズジャズのスタープレイヤーの1人。デビューは1989年だから、キャリアは25年近くになる。ソロアルバムも20枚近くになる。ソロ活動以外でも、ジェフ・カシワスティーヴ・コールと組んだサックス・トリオ「ザ・サックス・パック」のメンバーで、2008年と2009年に2枚のプロジェクト・アルバムを残している。最近、サックス・パックの方は、再結成をしたらしいが、キムは参加せず、代わりにマーカス・アンダーソンが参加してツアーを行っているらしい。新しいサックス・パックの方も新録アルバムが待ち遠しい。さて、キム・ウオーターズは、ジェントルでメロー、シルキーのようなサックス音色が持ち味の人。ジェフ・カシワ、ナジー、といったアーティスと近いプレイヤーだけれど、キムが一番スィート・ソウルの路線で最右翼な人。この新作も、全11曲、スィートソウルなキャッチー・チューンが並んで、ハズレ無しの秀作だ。ここには、バリバリのブロウも無いし、ガリガリのアドリブも無いけれど、メランコリー・メロディーがジェントルに続いて、クールでシルキーなサックスと、アーバンなサウンドは、全くストレスを感じない。リスナーに題名通りスムーズなムードを提供するスムーズジャズの王道のようなアルバム。とりたてて、どの曲がいいとかではなくて、サックス中心の流れるようなスウィート・サウンドがいいなあ。結局、ヘビー・ローテーションになるのは、こういうアルバム。誰にも紹介しないで、自分だけで聴いていたいアルバム。

Theresa Grayson 「Live2Love」(2013)

Live2love

スムーズ・ジャズを聴く楽しみのひとつは、カバー曲だ。どんな曲を取り上げるかで、アーティストのセンスが計れて面白いし、クールな演奏ならなおさらそのアーティストの評価が上がる。サックス奏者テレサ・グレイソンのセカンド・アルバムは、おなじみのポップス・カバー曲がなかなかいい。M2「Locked Out of Heaven」(ブルーノ・マーズ)、M3「Sarah Smile」(ホール&オーツ)、M4「Smooth Operator」(シャーデー)、M5「Tonight (Best You Ever Had)」(ジョン・レジェンド)、M6「Moves Like Jaggar」(マルーン5)、M7「Natural Woman」(アレサ・フランクリン)、M12「It Never Rains in Southern California」(アルバート・ハモンド)、いずれもちょっとベタな選曲だけれど、テレサのサックスはクールだし、サウンドはソウルムードたっぷりのスムーズジャズだ。「Smooth Operator」では、テレサ自身も唄っている。この人は、ピーター・ホワイト、マリオン・メドウズ、ジョー・サンプルといったスター級のアーティストと共演しているそうだ。このアルバム全12曲はカバー曲以外もいいのだけれど、彼女のファースト・アルバム「It’s All About You」(2010)収録済の5曲が、そのまま再録されているのが、ちょっとがっかり。上記のカバー曲7曲は新録のようだ。M1「More Pressure」は、キャッチーなスムーズジャズチューンで、オリジナル曲のようだが、この曲もファーストに入っていた「Pressure」という曲と同じ曲。サックスは、クールでファンキーな味のあるプレイヤーなので、次はオリジナルの新録でアルバムを作って欲しいなあ。

2013年11月24日 (日)

Phil Denny 「The Messenger」(2013)

Messenger

フィル・デニーの新作はクリスマス・アルバムだ。前作「Crossover」は、ネイト・ハラシムのプロデュースの上手さと相まって、なかなかいい作品だった。この新作も、ネイトとフィルの共同作品。クリスマス・アルバムといえば、いまの季節の定番で、ジャズやポップス・カテゴリーで旧作の再発を含めて、新作もたくさん出てくるし、正直あまり食指が動かない。アーティストのほうも、一度は出しておくのがクリスマス・アルバムというような感じもあるのか、心に残る作品はそう見つからない。このフィル・デニーのクリスマス・アルバムは、なかなかクールな味わいのある好盤だ。全10曲のうち、M3「White Christmas」、M6「This Christmas」、M7「Have Yourself a Merry Little Christmas」、M8「Little Drummer Boy」、M9「Deck the Halls」、などいわゆるクリスマス・クラシックが網羅されていて、ソウルフルな味わいのあるアレンジと、デニーのサックスのクールなところが都会的なムードに満ちている。ネイトがプロデュースをしたトランペット奏者リン・ラウントリーも客演している。アルバム冒頭と最後の2曲は、フィルとネイトの共作によるオリジナル曲で、クリスマス・ムードにピッタリなポップチューンのM1「Radio Flyer」と、センチメンタルなバラードのM10「The Messenger」。この2曲は特に光っている。また来年聴きたくなるかな。

2013年11月23日 (土)

Jeff Lorber Fusion 「Hacienda」(2013)

Hacienda

ジェフ・ローバー(key)が率いる、ジミー・ハスリップ(b)、エリック・マリエンサル(sax)の3人によるユニット、ジェフ・ローバー・フュージョンの新作。前作「Galaxy」(2012)から、わずか1年でリリースされたこの新作を聴けば、このユニットが今や最強のフュージョン・バンドだということを証明してくれるし、乗り乗りのグルーブ・ビートにはガツンの連発で打ちのめされるし、スリリングなインタープレイはまさに鳥肌もの。ジェフ・ローバーの演奏するフェンダーは、煌びやかな音の洪水のようで、いつにも増して弾けている。エリック・マリエンサルのサックスも縦横無尽に、360度の速射砲のようだ。でも、なんといっても、このユニットを最強たらしめているのは、ジミー・ハスリップのベースと、ユニット・メンバーではないけれど11曲中9曲でドラムスを客演しているVinnie Colaiutaのリズム・セクション。まるで複雑な数学の計算式のようで、それでいて疾走するベースとドラムスのリズムに目が回る。ジミー・ハスリップは唯一無比のリズムマシーンで、彼が抜けたイエロージャケッツ、近作「A Rise In The Road」のパワー不足は如何ともし難いなあ。M1「Corinaldo」そんな最高のファンキーなリズム体験ができるベストトラックだし、M2「Solar Wind」では、客演しているラリー・クーンスのギターのスピード感溢れるフレーズが何ともスリリングだ。続くM3「King Kong」は、フランク・ザッパ作曲の「怪」曲、いや名曲で、かつて同名曲を演奏した(1970年のアルバム「King Kong」)ヴァイオリンのジャン=リュック・ポンティ本人が加わったハイライトなトラック。この演奏も、ポンティのバイオリンを中心に、プログレっぽいというかフリー的な演奏だが、インタープレイのバイブレーションが最高。怒濤のようなこの3曲が白眉で、それに劣らず、わくわくするビートがほとんど全編続く、最強のアルバムだ。M9「Playa del Falco」は、バラード曲で、ジェフ・ローバーのフェンダーが印象的な曲。何しろ息もつかせない曲の中の1曲のバラードなので、思いの外美しく聴こえるんだなあ、この曲。

2013年11月10日 (日)

Roberto Vally 「Boom Boom Boom」(2013)

Boom

ロバート・バレーは、かつてスパイロ・ジャイラの「Stories Without Words」(1987)にも参加したベース奏者。マイケル・フランクス、ボビー・コードウェル、ジェシー・ジェイ、ポール・ブラウン、ピーター・ホワイト、ユージ・グルーブなど多くのアーティストのレコーディングやツアーに参加している。最近では、デイブ・コーズ「Summer Horns」のほとんどの曲でベースを弾いている。20年を超えるキャリアを持つ売れっ子ベーシストだが、この作品がおそらく初めてのソロ・アルバム。詳細なクレジットは不明だが、グレッグ・アダムス(トランペット)、ポール・ブラウン(ギター)、スパイロ・ジャイラのトム・シューマン(キーボード)、エンリク・マルチネス(アコーディオン)などのアーティストが参加している。全編、ゆったりとしたリズムに、アコーディオンや、スパニッシュ・ギターの音、ミュート・トランペットのプレイ、すべて哀愁的な雰囲気に満ちていて、ボヘミアン的とでも言うのか、どこか無国籍な音世界が広がる。スムーズジャズのチル・アウトはちょっと食傷気味だから、このアルバムのような音楽は新鮮だ。オルタナティブな音楽だけれど、人間的で、情景的なヒーリングに浸れる。M1「Jazz Trance」は、ミュート・トランペットが哀愁的なメロディーを奏でるアルバムの象徴的なナンバー。M2「Gypsy Dream」は、アコーディオンとスパニッシュ・ギターが情景的な美しい曲。M6「Boom Boom Boom」は、パット・メセニーを思わせるエレキ・ギターと、フェンダーのコードバッキングが幻想的で、休まる気持ちになれる曲。アップ・ビートの曲もいいけれど、たまには落ち着きたいならこのアルバムはオススメ。このジャケットのような、どこかの海岸を歩いている気分になれるかも。

Najee 「The Morning After」(2013)

Morning

ナジーは、ソロ・アルバム・デビューが1986年(「Najee’s Theme」)だから、27年にわたってフュージョンからコンテンポラリージャズやスムースジャズの一線で活躍しているサックス(フルートも吹く)奏者。2〜3年ごとにコンスタントにアルバムを出す人で、この新作15枚目のが作品。前作「Smooth Side of Soul」(2012)からもわずか1年での新作で、驚くような新機軸は無いけれど、クオリティの高いコンテンポラリー・ミュージックを届けれくれる「安心印」のアーティスト。シルキートーンというか、澄み切った音色がこの人の持ち味。アーバンでアダルト・オリエンテッドなメロディーとサウンドは、上質なポップスで、スムーズジャズ・ジャンルでは最もポップス寄りのアーティスト。この人は、ソプラノやフルートも吹くのだが、楽器の特性もあって、特にフルートのプレイのシルキーな音色が魅力的。今回のアルバム全11曲中、フルートが1曲、ソプラノが2曲、を吹いている。フルートが1曲というのはちょっと残念。このアルバムのコンセプトは、サブタイトルになっている「A Musical Love Jorney」。旅がテーマということで、サントロペ、シャンゼリゼ、マファララ(モザンビークの街らしい)、新宿、ブロードウェイなど、都市が曲名になっている。この手の、世界各地をまわる旅をテーマにしたアルバムは最近多いので、企画自体はちょっとありきたりだけれ、いずれも曲が素晴らしい。あたかもその地方の旋律や、楽器を使うといった陳腐な演出もなく、いずれもコンテンポラリーでポップなメロディーが秀逸だ。1曲を除いて、プロデュースと楽曲の共作は、Deomonte Poseyという人で、キーボードの演奏もしている。ソウル・シンガーのエリック・ベネイのアルバムにも参加している人。この2人の組み合わせが成功して、メロディアスで、ポップなスムーズジャズの秀作になっている。M2「Randezvous」や、M4「Champs Elysees」は、いずれもナジーとデモンテの共作で、コンテンポラリーなポップ・チューンとして秀逸な曲。最後の曲M11「W 72 and Broadway」だけは、ストレートなジャズ・セッション。ブライアン・ブロムバーグ(b)が参加したピアノ・トリオをバックに、ナジーのちょっとモードなサックス・プレイが聴けるトラック。

2013年11月 4日 (月)

Joel Del Rosario & Surewill 「Side By Side」(2013)

Side

ジョエル・デル・ロザリオは、いままで3枚のソロ・アルバムを出しているギタリスト。ソロ名義アルバムは、「All Him」(2005)、「Calm in the Storm」(2006)、「Coast to Coast」(2011)。ウェスト・コースト系のカラッとしたサウンドと、オクターブ奏法をさりげなく取り入れたメロディアスで華麗なフレージングが特徴で、ベンソン・フォロワーといっていいいギタリスト。シュア・ウィルことウィル・クラークは、キーボード奏者。アル・ジャロウ、ジョージ・デューク、シャーデー、ジャネット・ジャクソンなど、トップクラスのアーティスト多数と共演してきたそうだ。シュア・ウィル名義のソロ・アルバムは、「After the Show」(2008)、「Out Of The Shadows」(2010)。その2人が組んだコラボレーションがこの新作。全編にループする打ち込み系リズムが浮遊感を生み出して心地よい。ジョエルのギターと、シェアウィルのピアノやキーボードの作り出すフレーズやパッセージは、エイトビート主体のリズムに乗って、R&Bテイストで都会的だ。メローでスウィートな音世界は、いやし系でもあるが、お決まりのチルアウトでなく、ヒューマンなコンテンポラリージャズ。全10曲中、例外の4曲があって、M1「Miles Away/Feelin’ Dizzy」は、トランペット(Sam Hankins)とシェア・ウィルの共演で、ジョエルは参加していないようだ。M6「Buffalo All Stars」は、ジョエルと、エレキピアノはシェア・ウィルではなくてToney Rohodesという人の演奏ようだ。M7「George」は、シェア・ウィルの1分わずかのピアノソロ小品。(ジョージ・デュークへのオマージュだろうか。)M8「Cali-Sol」は、サックス(Tony Exum Jr)の客演とブラスセクションが入った、スロービートでファンキーな佳曲だが、この曲はシェア・ウイルは参加していないようだ。この曲のジョエルのメロウなオクターブ奏法は聴きもの。というわけで、全10曲中、上記の例外4曲以外の6曲が、ジョエルとシェア・ウィル2人のコラボ演奏で、統一感があってメローなスムーズジャズだ。

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