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2013年12月の記事

2013年12月30日 (月)

新作ニュース

注目は、ブライアン・カルバートソンが、デビュー作「Long Night Out」(1994)を、20年を経て全曲再録音した「Another Long Night Out」。リー・リトナー、チャック・ローブ、スティーブ・ルカサーなど、豪華ゲスト・アーティストも参加も期待が高まる。UKの新人サックス奏者、エド・バーカーが、フル・アルバム「Simple Truth」をリリースする。4枚のシングルは、ポップ感覚に溢れた好盤だった。デイブ・コーズを凌ぐ可能性を感じる大期待のサックス奏者。リサ・スタンスフィールド(!)が、10年ぶりに新作「Seven」を出す。UKブルー・アイド・ソウル・ディーバの唄声がまた聴けるなんて、スムーズジャズファンも大注目。これもスムーズジャズではないけれど、おそらく72才になる、デビッド・クロスビーのソロ新作「Croz」に注目。彼のソロ名義のスタジオ録音では20年振りか。そして、ついに(!)、スティーヴン・ビショップの新作がでるようだ。7年振りのスタジオ録音の新作タイトルは、「be here then」。

Alno

Simpletruth_sm

Seven

Croz

Beherethen

2013年12月29日 (日)

Bob Baldwin 「Twenty」(2013)

Twenty

ボブ・ボールドウィンの2012年の作品「Betcha By Golly Wow」は、トム・ベル作品集で、ソウル・クラッシックへのボブの思い入れが感じられた秀作だった。そして、この新作は、タイトル通りソロ20作目という記念碑的大作で、約75分におよぶ全15トラックは、ジャズ、フュージョン、R&B、ファンク、ゴスペル、ソウル、はたまた、ラップからディスコDJまで、怒濤のように続いて、まさに彼自身が標榜する「ニュー・アーバン・ジャズ」のパノラマのよう。フェンダーローズの鍵盤演奏は、伝統的なジャズのピアノに匹敵して、フュージョンの時代から続く今のコンテンポラリージャズのアイコン的な楽器だと思うのだが、テクニックに加えて、フェンダーらなではの、情緒や「ノリ」の良さ、を兼ね添えたベストプレイヤーは、ジェフ・ローバーと、この人、ボブ・ボールドウィンだと思う。特に、2人とも、近年の活動は精力的で、脂がのった演奏はさらにパワフルになり、ファンとしては嬉しい限り。さて、ボブのフェンダーの「音色」に酔ってしまうハイライトは、M3「Chameleon 3000」、M4「Chamelon 3000 Part II」、M12「Butterfly/Let Her Fly」で、2曲ともハービー・ハンコックの名曲カバー。特に、M4は、ボブのフェンダーが、「カメレオン」のテーマを大胆に展開するフリー的なアドリブの妙は圧巻、必聴。ラジオのDJを演出したMCが、「タテのり(よこのりかな)」よろしく始まる、M5「The Mashup」、M6「Turn the Club Up」、M7「Ain’t Nobody Got Time Fo’ Dat」は、80年代をオマージュしたディスコ・ソウル「大会」。M6もM7も、ダンシング・チューンだけれど、ボブのピアノが、いやあああ、かっこいい。M6の粘着性ファンクは「ザ・ギャップ・バンド」だし、M7の腰ノリビートは「MCハマー」だな。そして、スウィートなボブ・ボールドウィンのアコースティック・ピアノも聴ける。M8「On and On」は、たっぷりクワイエット・ストームで、M14「Music Changed My Life」もメランコリックメロディーのバラード、いずれも美しい。ちょっと、曲の展開に、目が回るけれど、傑作の作品。『洋楽のソムリエ』さんが、今年のベスト1に選んだのも、大納得の作品。

2013年12月24日 (火)

2013年のベスト3+1

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Soul

Sharp

Golub

今年、2013年に聴いたアルバムから、独断と偏見で選んだ、ベストな3枚。

① ボニー・ジェイムス「The Beat」は、ポップス作品としても、文句無しの完成度の高い作品。曲といい、アレンジといい、今年、最高にコンテンポラリーなアルバム。リック・ブラウンのトランペットと、ボニーのサックスが、熱くチェイスする「Batucada」は、何度でもリピートしていたいベスト・トラック。

② パトリック・ヤンダルの「Soul Grind」は、音良し、曲良し、演奏良し、3拍子揃った完成度の高いアルバム。カバー数曲も演っているけれど、彼の自作曲が、どの曲もキャッチーで素晴らしい。どこか、80年代を思わせるファンキーなアレンジメントと、パトリックのギター・プレイは、シンプル・トーンを多用したスムーズな演奏。

③ オリ・シルクの「Razor Sharp Brit」は、近未来へ向かう進行形のコンテンポラリー・ジャズの秀作。単にスムーズなだけではない、オリのピアノの、知的で、アーバンなアドリブにはうっとりする。

次点は、ジェフ・ゴラブの「Train Keeps a Rolling」。ジェフが、オルガン奏者ブライアン・オーガーを迎えて作り上げた、壮快なグルーヴが感動的。リズム&ブルースやロックのフォーマットに乗って、ギターとオルガンを中心にしたインタープレイが素晴らしい。トラブルを乗り越えて弾きまくるゴラブの情熱がビンビン伝わってくる。

その他、今年も、すばらしい作品の数々に出会えた。ジェフ・ローバー・フュージョンの「Hacienda」と、スパイロ・ジャイラの「The Rhinebeck Sessions」は、どちらも緊張感あふれるインタープレイがすばらしい演奏で、「フュージョンは死なず」と証明してくれた。BWBの「Human Nature」と、デイブ・コーズ&フレンズの「Summer Horns」は、ブラス・セクションの楽しさが堪能できた秀作。ブライアン・シンプソンの「Just What You Need」、ナジーの「The Morning After」や、キム・ウオーターズの「My Loves」、アール・クルーの「Handpicked」、等々、ベテラン・アーティストの作品は、品質保証間違い無し、のさすがの作品が嬉しかった。

そして今回は、リンクを貼っている「Sound of The Breeze」と、ベストを発表し合う共同企画を行いました。「Sound of The Breeze」は、ヒット・ポップスからスムーズ・ジャズまで、ほとんど毎日更新される、幅広い音楽の話題満載のサイト。マスターである『洋楽のソムリエ』さんの、音楽への造詣と愛情には脱帽。その『ソムリエさん』の選んだ、今年のスムーズ・ジャズのベスト・セレクションです。

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洋楽のソムリエが選んだBest Smooth Jazz Album 3+1 in 2013

Twenty

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1位『Twenty』Bob Baldwin H.ハンコックの「カメレオン」をカバーした「Chameleon 3000」一曲だけ で1位の価値あり。毎回カバー作で見せるボールドウィンの天才的手腕は、 今回も健在だ。 「Ain’t Nobody Got Time Fo’ Dat」で彼が見せた ”時代性” にも脱帽!「Your Love’s Alive」は” The Most Beautiful Tune in 2013” 。

2位『Just What You Need』Brian Simpson 「これぞスムーズ・ジャズ!」という一枚だ。シンプソンは、「都会的でメランコリックな旋律」というスタイルを完全に自分のものにした。「A Love Like This」では、グレッグ・カルーカスのお株を奪うほど。「イパネマの娘」ではデイヴ・コズをフィーチャー。他の客演陣も、派手ではないが実力派ぞろいだ。そんなゲストの選び方や配置も見事。

3位『Train Keeps A Rolling』Jeff Golb ジェフ・ゴルブと、今回一緒に制作をしているオルガニスト、ブライアン・オーガーとのケミストリーは完璧。アルバムとしての深みが生まれた。かといって重くなったわけではなく、全体的なトーンはむしろ軽快だ。聴いているうち心地よいグルーヴに包まれる。また、「How Long」をクリストファー・クロスに唄わせたほか、魅力あるヴォーカル作品が収録されているため、AORファンにも楽しめる出来になっている。

+1『DreamWeaver』George Duke 今年八月に67歳で没した彼の遺作。ここ数作には、ヴァイタリティを感じず裏切られていた。ところが、このアルバムの力強さと切れはどうだ! まるで、「最後の力を振り絞り、命を削って作った」かの様。先だった妻に奉げた「Missing You」は涙なくして聴けまい。「Jazzmatazz」は全盛期を髣髴とさせる。「Change The World」は、彼が音楽に託した遺言であろう。

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2013年12月23日 (月)

Herb Alpert 「Steppin' Out」(2013)

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ハーブ・アルパートのソロ新作は、夫人であるラニー・ホールとの共同プロデュース作品。もちろん、ラニーもボーカルで参加している。全16曲のボリュームで、12曲がカバー曲。取り上げているカバー曲は、ラテンやボサノバ、ポップスのスタンダードで、てらいの無い、インスト・ポップス。かつてのA&Mレコードのサウンドを思い出させてくれる、心温まるアルバム。 カバーの選曲は、次の12曲。

① M1.「Puttin’ on the Ritz」 邦題「踊るリッツの夜」は、フレッド・アステアが映画「ブルー・スカイ」(1946)のなかでステップ・ダンスで披露した、 アーヴィング・バーリン作(1929)の名曲。スウィング・ジャズの軽快なメロディーを、ハーブのトランペットが奏でる。万華鏡のようなアレンジが素晴らしい。スウィングを、現代的ダンシング・チューンにしてしまう、80歳のハーブ・アルパートに、脱帽。このトラック、わずか3分で終わってしまうのが、贅沢でもあり、残念。
② M3.「Our Song」 アート・ペッパーの、アルバム「Winter Moon」(1980)の一曲目に入っている曲。「Winter Moon」は、アート・ペッパーがストリングスをバックに演奏した作品。アートへのオマージュのように、ハーブは同様にストリングスをバックに、美しいミュート・プレイを奏でる。
③ M5.「I Only Have Eyes For You」 アート・ガーファンクル他、多数のアーティストがカバーしている、ザ・フラミンゴスのポップス名曲。ミュート・トランペットとストリングスで、スローバラードに仕上げて、アニー・ホールの唄が魅惑的。
④ M6.「Good Morning Mr.Sunshine」 ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス名義のアルバム「The Brass Are Comin’」(1969)に入っている同名曲があり、その再演だろう。ラテン系で壮快なトラッペット。サウンドもA&Mっぽい。
⑤ M7.「Oblivion」 アルゼンチンのバンドネオン奏者、アストル・ピアソラ(1921-1992)の哀愁的旋律が印象的な曲。イタリア映画「ヘンリー4世」のために書かれたという映画音楽。ピアノをバックしたハーブのトランペット・バージョンは、タンゴ風でもあり、まさに映画音楽のようなドラマチックな仕上がり。
⑥ M8.「What’ll I Do ?」 これもアーヴィング・バーリンの作品。ハリー・ニルソンや、アート・ガーファンクルもカバーしていたっけ。
⑦ M10.「La Vie en Rose」 エディット・ピアフの代表曲「ばら色の人生」。
⑧ M11.「It’s All In The Game」 黒人歌手トミー・エドワーズ(1922-1969)の代表曲で、邦題「恋のゲーム」。ナット・キング・コール、クリフ・リチャード、エルトン・ジョンなどがカバーしている。
⑨ M12.「Europa」 サンタナの「哀愁のヨーロッパ」(1976)。
⑩ M13.「And The Angels Sing」 ジョニー・マーサー(作詞)と、ジギー・エルマン(作曲)のジャズ・スタンダード。ジギー・エルマンは、ベニー・グッドマン楽団のトランぺッターだった人で、この曲はグッドマン楽団のクロージングだったそうな。トラッドなスタイルで吹くハーブのトランペットは、ジギーへのオマージュかな。
⑪ M14.「Skylark」 ホーギー・カーマイケル(作曲)が1942年に作り、後にジョニー・マーサーが詩をつけた、今やスタンダードの名曲。
⑫ M16.「The Lonely Bull」 A&Mレコードは、ハーブ・アルパートとジェリー・モスが1962年に設立したレコード会社。その記念すべき第1作は、ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスの、この曲で、大ヒットを記録。ハーブ・アルパートの代名詞となった曲。
そして、カバー12曲以外は、ハーブ・アルパートと、ジェフ・ローバーが共作した4曲が入っている。2人はかつて、アルパートの作品「Second Wind」(1996)、「Passion Dance」(1997)で、共演。この新作の4曲は、いずれも、ポップで、クールなスムーズ・ジャズの秀作。
① M2「Jacky’s Place」は、ラニーのボーカルが入る、メロディーがスティーリー・ダンを思わせる曲。
② M4「Green Lemonade」は、ミディアム・テンポのフュージョン風な曲で、ラニーのスキャットが印象的。
③ M9「Cote d’Azur」は、ハーブのトランペットと、さりげないジェフのエレピがしびれる佳曲。
④ M15「Migration」は、ジェフのフュージョン・スタイルは押さえ気味で、トランペットとボーカルが際立ってクールで都会的な曲。
この作品、グラミーにノミネートされている。内容は、納得の上級作品。音の粒立ちのいいミックスも特筆もの。もしかすると、選ばれるかな。

Reza Khan 「Dreamwalker」(2013)

Dreamwalker

ギタリスト、リーザ・カーンの新作は、前作「A Simple Plan」(2011)に増して、5スター級のコンテンポラリー・ジャズの秀作。演奏は、「Painted Diaries」と名付けられたユニットによるもので、なんと、フィップ・セス(キーボード)、アンディ・スニッツアー(サックス)が名を連ねる。このユニットは、リーザー・カーンのデビュー・アルバム「Painted Diaries」(2008)のタイトルでもあり、リーザの演奏バンドとして、固定ユニットなのか、プロジェクトなのか、分からないが、スムーズ・ジャズ・ファンなら注目したいメンバー。さて、この新作、前作のような雰囲気で始まる、シタールのイントロのM1「Night Watch」と、続くM2「Dreamwalker」、M3「Face It」、の3曲は、まさに前作の続編。どこかの民族的な旋律が、無国籍なムードを感じさせる、特に、タイトル曲「Dreamwalker」は秀作。その後の9曲は、前作には見られなかった、コンテンポラリーで多彩な楽曲が並ぶ。M4「Drifter」は、マーク・ノップラーを思わせるピッキング・ギターと、アンディの都会的なサックス、まるでストリングスに聴こえるセスのシンセが美しい佳曲。M6「Funkonomics」は、ブラスセクションをバックに、ロックとギターや、フェンダーとサックスがファンキーでかっこいい。M12「Miles Away」は、ジェフ・ローバー当たりを思わせる、ヒート・アップするフュージョン。M9「Sky Lights」は、なんと、アール・クルーかと思わせるアコースティック・ギターの、メロー・チューン。M10「Summer Secrets」は、スティーブ・オリバーのプログレ系のギターに、セスのピアノの軽快なアドリブが聴きもの。M11「Balance」は、ラテン系のリズムを残しながらも、都会的なアンサンブルで、情熱的なアンディのサックスが魅力的。ラストのM12「Unsigned Victory」は、軽快なジャズ・チューンで、ギター、ピアノ、サックスのインタープレイが楽しい。曲の終盤は、クラッシック調のストリングス・アンサンブルに変わり、まるで映画音楽のラスト・シーン。フィリップ・セスならではの、SF映画のようなアレンジ。このジャケット・アートも、意味深で、秀作。

2013年12月22日 (日)

スムーズなシングル盤⑯

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レベル10は、フロリダで活躍する、フュージョン・スタイルのコンテンポラリー・ジャズ・バンド。そのサウンドは、スパイロ・ジャイラや、イエロー・ジャケッツを、彷彿させる。メンバーは、Levy DeAndrade(key)、Rex Freligh(sax)、Yovannis Roque(b)、Ivan Diaz Avila(dr)、の4人。バンドの中心人物は、ブラジル出身のキーボード奏者Levy DeAndrade。過去に、「Together」(2009)、「Crossover」(2011)、の2枚のアルバムを出している。この新作「Imagine That」は、新アルバム「Vector」からの先行シングル。なかなかにキレのいいサウンドで、80年代のフュージョンが、洗練されて蘇ったようなかっこ良さ。このバンド、注目です。

サックス奏者エドガー・ウォーレス・ジュニアは、ホール&オーツの名曲をカバーした前作シングル「I Can’t Go for That」で、軟弱系なヤワ男を演じたプロモーション・ビデオが面白かった。この新作シングル「Groove With Me」でも、美女をバックにサックスを吹く姿は、またも、軟弱系なのが笑ってしまう。それでも、この人のサウンドは、けっこうなかなかのもの。ちょっと、グローヴァー・ワシントンJrを思い起こす、さらに若々しい壮快な音に、ググッと惹かれてしまう。もしかすると、「大物」になるかも。

2013年12月14日 (土)

Igor Gerzina 「One Click World」(2013)

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イゴール・ジェルジーナ(Igor Gerzina)は、東欧は、クロアチアのサックス奏者。15年ほどのキャリアを持ち、クロアチア放送楽団ジャズオーケストラの一員であるとともに、映画音楽、ポップスにいたる作編曲など幅広い音楽活動を行っているプレイヤー。いままで3つのソロ・アルバムを出していて、この新作が4枚目。この人、初めて聴いたのだが、5スターレベルのなかなか素晴らしいサックス奏者だ。東欧も、ジャズやポップスの盛んなところだし、彼のような素晴らしいプレイヤーが沢山いるのだろう。イゴールのサックスは、どちらかというと、骨太のブロースタイルだけれど、ビートに乗っておおらかに吹く音色が壮快。ヨーロッパ発のスムーズジャズの特徴かもしれない、インストゥルメンタル・ポップス指向のビートやメロディーが、次から次に出てきてワクワクする作品だ。リズム・セクションもタイトな演奏で、ダンス・ミュージック的なビートを感じるところもあってなかなかいい。バック・ミュージシャンは、クロアチアのプレイヤーのようで、アメリカのメジャー級スムーズ・ジャズに慣れた耳には、特に新鮮だ。最近のスムーズ・ジャズも、どちらかというとマス・マーケット的で、売れっ子アーティストが、どのアルバムにも登場したり、プロデュースをし合ったり。チャートの上位の作品は、どうも同質的なのが気になる。ジェフ・ローバーとか、ポール・ブラウンとか、最近はどの作品にも関わっているからね。それでも、聴いてしまうけれど。このアルバム、おそらくイゴールの自作曲がほとんどで、ポップでキャッチーなメロディーも素晴らしい。M2「Counting Stars」は、ワンリパブリックのヒット曲のカバー。オルタナ・ロック的な原曲を、ディスコっぽく仕上げたところがなかなか面白い。

2013年12月 8日 (日)

Jamie Cullum 「Momentum」(2013)

Momentum

ジェイミー・カラムは、ブルー・アイド・ソウルなその唄声が魅力だし、ピアノ・マンとして、ビーバップやスウィングも弾きこなすピアノ・プレイも大きな魅力。ポップな曲もやれば、ジャズのコンボからビック・バンドまでこなしてしまうクロスオーバーなアーティスト。小柄で少年のような風貌は、見る度に、マイケル・J・フォックスを思い出してしまう。ずっと追いかけている訳ではないけれど、「Everlasting Love」(2004)や、「Mind Trick」(2005)の、ポップなヒット曲はヘビー・ローテーションだったし、映画「グラントリノ」の主題歌の、ピアノ弾き語りのソウルフルなバラードも感動的だった。「Twentysomething」(2004)のように、ジャズやR&Bを下敷きにした、アダルトオリエンテッドで、ボーカルに加えて、たっぷりジャージーなピアノも披露してくれるのがこの人の持ち味、というのが個人的な評価。さて、この6枚目のアルバムは4年ぶりの新作。もう、固定的なジャズ路線から大きく飛躍して、音楽性バラエティな曲が満載で、この人の才能の大きさを感じるアルバムだ。のっけから、ポップス路線で始まるM1「The Same Things」や、続くM2「Edge of Something」は、マイナーなメロディーやアレンジと、ソウルフルなボーカルが、どこか、あのアデルを思い出してしまうのは、「ねらい」なのかな。実際、プロデューサーに、アデルの「19」を手がけたジム・アビスが参加している。M3「Everything You Didn’t Do」も、ドウ・ワップを新しく解釈したような曲調で、これもヒットねらいかな。UKラッパーのルーツ・マヌーヴァをゲストに迎えたM5「Love For $sle」は、新境地のヒップな曲だが、ジェイミーのエレキ・ピアノのアドリブに耳が引きつけられる。M6「Pure Imagination」は、「グラントリノ」のような雰囲気を持った曲で、個人的にはこういう曲が、ジェイミーの魅力だと感じられて、このアルバムの中でも光っている曲。彼のピアノも美しいベスト・トラック。M10「Save Your Soul」も、同様のムードを持った佳曲だし、最後の曲M12「You’re Not the Only One」は、ビリー・ジョエルのような、ドラマティックな雰囲気のポップ・チューンだ。その2曲は、傑作「Mind Trick」を共作した兄弟のベン・カラムとの共作。いつか、ピアノ・トリオのジャズ・アルバムを作って欲しいなあ。

2013年12月 7日 (土)

第56回グラミー賞ノミネート

Steppin

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Sumhorns Hacienda

第56回グラミー賞のノミネーションが発表された。今回も、スムーズ・ジャズ賞というジャンルは無いのだが、「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」というジャンルが、もう名実ともにスムーズ・ジャズの賞と言ってもいい。今回、ノミネートされた5作品も、全員スムーズ・ジャズ系のアーティストだし、リスナーの認識はこれは「スムーズ・ジャズ」だから、回りくどい言い方をやめて、「スムーズ・ジャズ賞」にして欲しい。というわけで、ノミネートされたのは下記の5作品。

「Steppin’Out」 ハーブ・アルパート
ハーブ・アルパートの作品以外は、当ブログで紹介した作品なので、ぜひレビューをお読み下さい。ハーブ・アルパートの作品は、奥さまのラニー・ホールとの共同プロデュースの作品。ハーブ・アルパートは80歳近いだろうし、かつてのセルジオ・メンデルとブラジル’66の歌姫も70歳近いはず。まだ現役で、グラミー賞クラスを発表するのだからすごい。ジェフ・ローバーも参加しているこの作品、絶対にチェックしておきたい。他の4作品も、いずれもビッグ・ネームの作品で、選ばれて当然の今年のベスト級作品。予想するなら、ボニー・ジェイムスかな。授賞式は、来年の1月26日。

2013年12月 2日 (月)

Chuck Loeb 「Silhouette」(2013)

Silhouette

チャック・ローブの新作。 M1からM5までの5曲は、「The Appreciation Band」と名付けられたユニットでの演奏。メンバーは、ミッチェル・フォアマン(キーボード)、ネーザン・イースト(ベース)、ピーター・アースキン(ドラムス)、デビッド・チャールズ(パーカッション)。チャック・ローブとミッチェル・フォアマンは、フュージョン・バンド「メトロ」結成以来の同士。ネーザン・イーストは、フォープレイでの同士、というわけで、気心知れたインタープレイが伝わってくるユニットだ。 タイトル曲M1「Silhouette」は、ウェス・モンゴメリーのCTIサウンドを思わせるハイライト曲。チャックのオクターブ奏法は流れるようなパッセージでセクシー。 M2「Silver Lining」は、ユニゾンを刻むリズムが壮快な曲で、まるで、初期のフォープレイがよみがえったようなビートが嬉しい。ファンキーなサックスは、売れっ子セッション・プレイヤーのデビッド・マン。 M3「Present Sense」は、チャックの、エコーの効いたフェンダーの音色が幻想的で美しい曲。 M4「Appreciation」は、フォアマンのアコースティック・ピアノと、チャックのギターのアドリブ・インター・プレイが聴きものの、コンテンポラリー・ジャズ・チューン。 M5「JT」は、チャック自身がファンだというジェイムス・テイラーへオマージュした曲。ジェイムス・テイラーのボーカルのように、ゆったりとしたリズムに流れるようなメローなメロディーを奏でるサックスが印象的な曲。 M6「Lockdown」は、メンバーが変わって「The Family Band」と名付けたユニットでの演奏。メンバーは、ウィル・リー(ベース)、スティーヴ・ガッド(ドラムス)、オリ・ロックバーガー(ピアノとメロディカ)、ジュリオ・カルマッシ(トランペット)。ウィル・リーとスティーヴ・ガッドのパワフルでタイトなリズム・セクションと、ファンキーなチャックのギターと、トランペットがブルージーで、かっこいい。 M7「Stompin’」は、一転、ブルージーなオルガン・ジャズで、前作「Plain ’n’ Simple」を再びという演奏。それもそのはず、前作同様、オルガンはパット・ビアンチ。それに、アンディー・スニッツァー(サックス)と、「メトロ」での同士であるウォルフガング・ハフナー(ドラムス)が加わった。 そして、恒例の、ローブ・ファミリーが登場する曲が、最後の3曲。M8「Esta Tarde Vi Llover」は、チャックの奥さんカルメン・クエスタが唄うボサノバ。M9「My One and Only Love」は、娘のリジー・ローブが唄うスタンダード。M10「Las Heras」で聴こえるウクレレは、もう1人の娘さんクリスティーナ・ローブの演奏。 このアルバム、M1からM6までの演奏は、コンテンポラリー・ジャズとして、また、チャック自身の作品でも、おそらく最高レベルの作品だ。オールスターといってもいい、客演メンバーも豪華だし、もちろんそれぞれのインタープレイは文句無し。この6曲は、グラミー賞レベルの作品だけど、残念なのは、M8からM10のローブ・ファミリーの作品。前半のビート感覚にあふれたグルーブを断ち切って、アルバムの統一感には不要な感じがする。それはそれで、微笑ましい作品だけれど、まことに残念。日本盤のみボーナス・トラックで、マイルス・デイビスのスタンダード「Four」が入っている。これもオリジナルに入っていないだけあって、ちょっとフツーにフォー・ビートをやってみましたみたいな、軽いのりのトラックで、特にチャック・ローブのキャラクターも感じられない。息抜きのセッションなのかな。やっぱり、おまけ。

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