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2014年1月の記事

2014年1月26日 (日)

Stephen Bishop 「Be Here Then」(2014)

Beherethen

スティーヴン・ビショップの新作は、スタジオ録音のフルアルバムとしては7年振り。といっても、前作「Romance In Rio」(2008)は、「On And On」などのセルフカバーをボサノバ風にまとめた企画盤だったし、その前の作品「Yardwork」(2003)も、アンプラグドなセルフカバー集だった。その2作を除くと、「Blue Guitars」(1994)以来の、およそ20年振りの新曲フルアルバムということになる。デビュー・アルバム「Careless」(1976)から、「Bish」(1978)、「Red Cab to Manhattan」(1980)の3作品は、AORの名作といってもいいぐらいの、すばらしい作品だった。その後、映画「トッツイー」の主題歌「It Might Be You」(1983)が大ヒット(この作品は彼の作品ではなく、デイヴ・グルーシンの作曲。でも、ビショップ自身、最大のヒット曲)。映画「ホワイト・ナイツ」の挿入唄で、フィル・コリンズとマリリン・マーティンが唄った「Separate Lives」(1986)はビショップの書き下ろしのすばらしい曲だった。その後、数枚のアルバムや、デモ集やライブ盤など、セルフカバー集など、出していたけれど、90年代からはこれといった作品も見られなかった。メジャーレーベルとの契約の問題や、失恋などがあったとか、の話は伝わってきたけれど、ついぞ長いことフルアフバムが出なかった。この新作は、メジャーレーベルからではなく、自己のレーベルから出した、インディーズ作品。音楽業界のことは分からないが、いろいろあっての作品なんだろう。ビショップの作品は、ほとんどがラヴソング。ポップで明るい曲、「On and On」や、「Save It for a Rainy Day」「Everybody Need Love」「Send A Little Love My Way」などは、そういったポップ路線の名曲。方や、ナイーヴな心情を唄ったバラードがこの人の真骨頂で、アート・ガーファンクルが唄った「Looking For The Right One」や、「Red Cab To Manhattan」、「Madge」、「Separate Lives」などこそ名曲中の名曲。この新作でも、久しぶりのビショップの唄声は、さすがに少し年をとったかな、くぐもった感じがするけれど、昔と変わらない。とびきりのヒット曲になりそうな曲はないが、いずれも聴くごとに味の出る珠玉の10曲。やっぱりこの人はバラードで、M6「Vacant」は、それこそガーファンクルに唄ってもらいたい佳作だし、M9「Loveless」、M10「Love Is You」も、ビショップの過去のバラード作品を思わせるいい曲。M4「Make It Last」、M5「Promise Me the World」、M2「Rescue You」は、2003年のデモ集や、「Yardwork」に入っていた曲で、この新作で形を整えての発表だ。ビショップも62才だけど、これからもっと新曲を出して欲しいなあ。

2014年1月19日 (日)

Ed Barker 「Simple Truth」(2014 )

Simpletruth

UKの新人サックス奏者、エド・バーカー。シングル4枚を出していたが、満を持してのフルアルバムの登場。シングルは、ブルーズからバラードなどバラエティに富んで、比較的都会的なサウンドの4曲で、いずれも秀作だった。バーカーのサックスは、なかなか脹よかなトーンで、単にカッコいいというより、ヒューマンな感じがする。そして、このアルバム、統一感のある作品になっていて、一言で評すると、「リズム・アンド・ブルース」。どこかレトロなムードを漂わせて、それでも「バーカー節」が踊るリズム・アンド・ブルースのパレードのようなアルバムだ。M1「Cockney California」は、コーラスが唄うメロディーが、なんとなく「B級」な始まりを感じさせるけれど、盛り上がっていくサックスのムードは、バーカー流のリズム・アンド・ブルースの解釈が伝わる佳曲。続くM2「Push It」も、ファンキーなリズムがノリのいいR&Bで、サックスのアドリブは骨太だけれどヒューマンな音色にハートを捕まれる。タイトル曲M4「Simple Truth」は、美しいバラード曲で、まるでボーカルを聴いているようで、「唄う」サックスが、感動的な曲。M5「The Slink Worm」は、まさにR&Bスタイルのトラックだけれど、パワフルに吹くバーカーのサックスも、「粘着的」ではない、包容力のある音色に魅了される。M7 「Where Your Heart Begins」は注目のトラック。バーカーのソプラノサックスが美しいミディアム・スロー・バラードなのだが、途中で入ってくるサックスは、クレジットは無いのだが、これはデイブ・コーズ(?)、に違いない。2人のサックス・デュエットは聴きもの。もともと、コーズがゲスト参加していると伝わっていて、バーカーが彼のサイトで共演の曲名は「Don't Go Left」だ、と明かしていたので、この曲がそのトラックではないのか。M8「I Remember You」のバラード曲は、R&Bのスピリットで唄い上げるサックスが、美しくハートフルな曲。最後の2曲は、カバーで、ビヨンセの「Love On Top」と、マイケル・ジャクソンの「She 's Out of My Life」。いずれもポップな感じで、サービスかなという感じ。前回紹介のウィル・ドナートといい、このエド・バーカーも、今年のベスト級の作品。今年は新しいサックス奏者の注目株に期待したい。

2014年1月18日 (土)

Will Donato 「Universal Groove」(2014)

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スムーズジャズやコンテンポラリージャズ、その周辺の専門レーベルはいくつかあって、ソニー・ミュージックの傘下の「トリピン・アンド・リズム」は、メジャー・レーベルのひとつ。契約しているアーティストはビッグネームばかり。ポール・ハードキャッスルシンディ・ブラッドリーオリ・シルクダーレン・ラーン、などなど。最近のトップチャートは、その傘下アーティストの作品が占めるほど。そのうち、旬なアーティストはほとんど抱えてしまうのではないかという勢いで、やっぱり資本力なのか。「シャナキー」(Shanachie)は、ジャズからポップスまでカバーしているレーベルで、比較的にR&Bからアーバン系ソウルのアーティストが多い。マリオン・メドウズナジーピーセス・オブ・ア・ドリームなど、スムーズジャズでもR&B寄りのアーティストがいる。大手ではないが、「ウッドワード・アヴェニュー・レコード」は、ポール・ブラウン、エラン・トロットマンなどが作品をリリースしている、これも注目しておきたいレーベル。そして、「インナーヴィジョン・レコード」も、スムーズジャズ専門といっていいレーベル。これからの注目株がいる、元気なレーベル。パトリック・ヤンダルグレイグ・シャーマットブレーク・アーロンなど、いずれもサウンドがキャッチーでポップなところがこのレーベルの特色。そして、この人、ウィル・ドナートも、インナーヴィジョン・レコードのアーティストで、デビッド・サンボーンからデイヴ・コーズへの系統を、進化させる期待のサックス奏者。デイヴ・コーズをさらにパワフルにしたようなブローに、彼のパッションがハイテンションで伝わってくるし、ポップなメロディーと、疾走感溢れるビートが大きな魅力。M1「Jaywalkin’」は、ヒット間違い無しのポップチューンで、大音量で聴きたい曲。M3「Grand Slam」は、シングルで先行していたトラックで、この曲を聴いた時は、そのポップなビートにガツンときたけれど、このホット・グルーヴがこの一曲に限らずアルバム全曲で聴けるのが嬉しい。M6「Play That Funky Music」も、題名通り、彼のファンキーで熱いサックスが堪能できる曲。(2管のチェイスプレーが出てくるが、ゲストはだれだろう?)M8「Show and Tell」は、スウィート・ソウルなメロディーがジンとくる佳曲。全11曲、同じヴァイブレーションで繋がって、サックスのパンチがストレートに繰り出されるような作品。早くも出てしまったかな、今年2014年のスムーズジャズ・ベスト候補の一作。

2014年1月13日 (月)

Antonio Alma 「Personal Encounter」(2013)

Antonioalma

サックス奏者、アントニオ・アルマは、イタリアはシチリア島、タオルミーナの出身。情報としては、それぐらいしか分からないが、アルマのサックスはメローなトーンで、心地いいし、サウンドを彩る、ブラスセクションや、コーラス、リズムセクションがさりげなくゴージャスで、なかなかの好盤だ。ゆったりとしたリズムと、おおらかでキレのいいサックスは、地中海的なのかな。M1「Have a Good Trip」の、ミディアムスローなリズムに、ブラスセクションや女性コーラスが絡むサウンドは、ゴスペルのムードもあって、キャッチーなトラック。M3「Mr.Sam」は、ゆったりとしたビートに、明るいメロディーを丁寧に吹くサックスがハートフル。M5「The Water of the Life」は、ソプラノで奏でるマイナーなメロディーの曲が美しい。M6「Intus」とM8「Song for My Rosy」の、サックスに絡むアコーディオンやストリングの音を聴くと、これは、ヨーロッパ的なムードかな。アメリカのメジャーレーベルの作るスムーズジャズは、「売れ線」狙いで、ちょっと最近、同質的。むしろ、ヨーロッパ系のこのアルマのようなアーティストはオリジナリティがあって、いいなあ。掘り出し物の作品。

2014年1月 1日 (水)

Thierry Condor 「Stuff Like That」(2013)

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スイスのシンガー、ティエリー・コンドルの新作は、80年代の西海岸ポップスをオマージュした、あの時代を彷彿とする作品だ。最近は、新しいAORもあまり聴けなくなったからといって、ノスタルジックというのではなく、このアルバムは生き生きとしたサウンドで、ピュアなAORなのが驚きであり嬉しい。なにしろ、コンドルのボーカルが、中性的というか、ちょっと女性的で、透明感のある中高音も伸び良くて、これは、AORにピッタリの声で、唄もうまい。ジャケットのフツーのオジさん風貌から(失礼)は、意外だけれど。プロデューサーは、ウーズ・ウィーゼンダンガーという人で、デイブ・コーズやジェフ・ローバーとも共演している人で、この作品のクオリティの高さは彼の手腕によるものだろう。全12曲のほとんどが、80年代90年代のカバーで、選曲は隠れた名曲も並んでなかなかニクい。AORファンなら、歓喜するに違いない。

M1.「Blue Looks Good On You」
ソング・ライター、トム・スノウの作品。未発表曲なのか、新曲なのか、いい曲。のっけから、TOTOあたりを彷彿とする西海岸サウンドで、ワクワクする。
M2.「Lucky Man」
デイブ・コーズのアルバム「Luck Man」(1993)収録曲。オリジナルのボーカルは、チャールズ・ペティグリュー。プロデューサーのウィーゼンダンガーは、コーズのアルバム「The Dance」(1999)にゲストで参加している。
M3.「Lazy Nina」
グレッグ・フィリンゲインズのアルバム「Pulse」(1984)に入っている曲。ドナルド・フェイゲンの作品だが、スティーリー・ダンか、フェイゲンのバージョンは無いようだ。
M4.「Memories」
ライターのクレジットは、デイヴィッド・バトウ、ドナルド・J・フリーマン。 ザ・テンプテーションズ「A Song for You」(1975)収録に同名曲があり、ライターも同じなのだが、このアルバムのこの曲は違うように聴こえるのだが(?)。演奏に、ジェイ・グレイドン(ギター)が参加していて、ギターもコーラスも、80年代のウェストコースト・ソフト・ロック。
M5.「Where is the love」
オリジナルは、ラルフ・マクドナルドのアルバム「Sound Of A Drum」(1976)に入っている、バカラックを思わせる名曲。マクドナルドはパーカッション奏者だけれど、なんといっても、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの「Just the Two of Us」を共作した人で、素晴らしいメロディー・メーカー。
M6.「Lonely Weekend」
イエロー・ジャケッツの「Samurai Samba」(1985)収録曲。ボビー・コールドウェルがボーカル。
M7.「If I Could Hold On To Love」
ケニー・ロジャースが、アルバム「They Don’t Make Them Like They Used To」(1986)で唄った、スティーブ・ルカサーとランディ・グッドラムの共作。TOTOを思い出してしまう、美しいバラード。
M8.「All I Know」
ライター・クレジットは、スコット・クロスと、ピーター・ロバーツ。先行シングルで出ていた曲。コンドルのオリジナルかな?スコット・クロスは、ボビー・コールドウェルの「Stuck On You」や、「Cry」「Without You」など、コードウェルと共作が多い。この曲も、ボビー・コールドウェル風の都会的バラード。コールドウェルより、透明感のあるボーカルがいいなあ。
M9.「Lite Me Up」
ハービー・ハンコックの「Lite Me Up」(1982)のタイトル曲。ロッド・テンパートンが唄った。
M10.「We Will Dance」
クリスチャン・ミュージック・シンガー、スティーブン・カーティス・チャップマンのアルバム「All About Love」(2003)に入っている曲。チャップマンの自作曲。イエロージャケッツのラッセル・フェランテのピアノだけで唄う美しいバラード。
M11.「Is It You」
リー・リトナーの「Rit」(1981)に入っている、エリック・タッグが唄ったAORの隠れた名曲。
M12.「Malibu」
この曲もリー・リトナー。リトナーのアルバム「Color Rit」(1989)で、フィル・ペリーが唄った曲。

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