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2014年2月 2日 (日)

グラミー賞の結果

第56回グラミー賞が発表された。「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」の受賞は、ハーブ・アルバートの「Steppin’ Out」。カテゴリー名に付いている「ポップ」という捉え方なら、この作品はバラエティに富んだ内容だし、広い層のリスナーを魅了する点では、文句無し。でも、他のノミネートの4作品が、今の時代の「スムーズ・ジャズ」であったから、選ばれなかったのはちょっと残念ではある。中でも、ジェフ・ローバーの「Hacienda」は、ポップ・インストゥルメンタル、いやスムーズ・ジャズと呼ぶより、フュージョン・ジャズと呼びたい、最も近未来的なグルーヴの作品だから、ノミネートされただけでも、これらの周辺音楽の潮流を示しているようで、「快挙」だったのかもしれない。何度か書いたように、グラミー賞に「スムーズ・ジャズ」というカテゴリーが無いのは、まだ「市民権」が得られてないのかなと。日本はまだしも、このブログで紹介しているように、本場の米国発アーティストも作品も人気とクオリティは、もう充分だと思うのだが。グラミー賞の「カテゴリー」というのも、変遷があって面白い。「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」というのも2000年から「新設」されたカテゴリーで、受賞作品はこのようになっている。
Best Pop Instrumental Album:
2013 - Steppin’ Out, Herb Alpert
2011 - The Road from Memphis, Booker T.Jones
2010 - Take Your Pick Larry Carlton & Tak Matsumoto
2009 - Potato Hole, Booker T.Jones
2008 - Jingle All The Way, Bela Fleck & The Flecktones
2007 - The Mix-Up, Beastie Boys
2006 - Fingerprints, Peter Frampton
2005 - At This Time, Burt Bacharach
2004 - Henry Mancini: Pink Guitar, James R.Jensen
2003 - Mambo Sinuendo, Manuel Galban & Ry Cooder
2002 - Just Chillin’, Norman Brown
2001 - No Substitutions Live in Osaka, Larry E.Carlton & Steven Lukather
2000 - Symphony No.1, Joe Jackson
顔ぶれを見ると、歌無しのインスト作品という共通点で、ロックありブルースあり、はたまたカントリーやイージー・リスニングありという訳で、行き場のない良作品が選ばれていて、グラミー賞の「意義」なのだろう。2002年のノーマン・ブラウン「Just Chillin’」は、ポール・ブラウンがプロデュースした作品で、今聴いても「かっこいい」スムーズ・ジャズ作品で、必聴。
スムーズ・ジャズがまだ「中途半端」なジャンルというのも現実かもしれない。「ジャズ」と名前が付いていても、グラミー賞の「ジャズ」カテゴリーにはまったく関係無いようだし。グラミー賞「ジャズ」部門では、メインストリームで、インプヴィゼーションが中心のアーティスや作品が中心。ちなみに、「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム」の近年受賞は次の作品。
Best Jazz Instrumental Album:
2013 - Money Jungle: Provocative In Blue, Terri Lybne Carrington
2012 - Unity Band , Pat Metheny Unity Band
2011 - Forever, Chick Corea, Lenny White & Stanley Clarke
2010 - Moody 4V James Moody
2009 - Five Peace Bank Live, Chick Corea & John McLaughlin Five Peace Band
2008 - The New Crystal Silence, Chick Corea & Gary Burton
2007 - Pilgrimage, Michael Brecker
2006 - The Ultimate Adventure, Chick Corea
2005 - Beyond The Sound Barrier, Wayne Shorter Quartet
2004 - Illuminations, Christian McBride, Gary Bartz, Lewis Nash, McCoy Tyner & Terence Blanchard
2003 - Alegria, Wayne Shorter
2002 - Directions In Music, Herbie Hancock, Michael Brecker & Roy Hargrove
2001 - This Is What I Do, Sonny Rollins
2000 - Contemporary Jazz, Branford Marsalis Quartet
実は、2000年から2010年まで「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」というカテゴリーがあって、受賞作品はこれ。
Best Contemporary Jazz Album:
2010 - The Stanley Clarke Band
2009 - 75 , Joe Zawinul & The Zawinul Syndicate
2008 - Randy In Brasil, Randy Brecker
2007 - River : The Joni Letters, Herbie Hancock
2006 - The Hidden Land, Bela Fleck And The Flecktones
2005 - The Way Up, Pat Metheny Group
2004 - Unspeakable , Willam Frisell
2003 - 34th N Lex, Randy Brecker
2002 - Speaking Of Now, Pat Metheny Group
2001 - M2, Marcus Miller
2000 - Outbound, Bela Fleck And The Flecktones
どちらのベスト作品も、チック・コリアや、パット・メセニー、ハービー・ハンコックといった、今のジャズの巧者達で、「ジャズ」そのものが、「バップ」や「モード」など留まるはずもなく、今やコンテンポラリーそのもので、分ける必要も無くなったということだろう。ジャズの方は、アンサンブルやアドリブの「芸術性」を評価されるジャンルで、スムーズ・ジャズのようなスタイルは、ジャズと名乗ってはいても、相手にしてもらえない。スムーズ・ジャズは、専門家に言わせれば、ジャズのサイドからは「本物」と思われず、ポップスの立場からは「亜流」なのか。スムーズ・ジャズは、要は「スムーズなミュージック」な訳で、ボニー・ジェイムスや、デイブ・コーズらの、ワクワクする音楽が、人気に加えて、音楽としてもっと「評価」されれば、それでいいのだけれど。

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