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2014年3月の記事

2014年3月30日 (日)

Nick Colionne 「Influences」(2014)

Nick

ニック・コリオーネは、シカゴ出身のギタリストで、「ジャズ界のベストドレッサー」と称されるそう。そのファッションは、アメリカのステイシー・アダムスというデザイナー・ブランドで固めているそうだが、例えば真っ赤な色のスーツに、白いハット帽の出で立ちは、「ミニー・ザ・ムーチャ」のキャブ・キャロウェイや、ハット帽を欠かさなかったブルース・ギタリストのオーティス・ラッシュ、あたりを彷彿とする。レトロだけれども、かっこいい。コリオーネの弾くギターは、ウェス・モンゴメリーからジョージ・ベンソンへと続くスタイルの継承者だ。使っているギターも、ギブソンや、エピフォーンというセミアコ・ギターで、柔らかいジャズ・トーンを、オクターヴやコードストロークの重弦奏法を多用して、ブルージーでファンキーに奏でるギタリスト。スムーズ・ジャズ界でいえば、ユー・ナムや、ティム・ボウマン、ノーマン・ブラウンあたりが同系列のギタリストと言えるが、このコリオーネが最右翼だろう。M1「Slammin’」は、ホーン・セクションがダイナミックな、まさにベンソンを彷彿とさせるギターがポップな曲。M2「Got to Keep It Moving」も、M3「Nico’s Ride」も、スウィート・ソウルなムードがたっぷりの佳曲で、R&Bべったりでなくて、いずれもポップなところがこの人の特徴。M7「Here’s to You」は、ちょっとメランコリックなテーマが印象的で、シングル・トーンのレイド・バックしたギター・パッセージが、沁みるようにメロウな曲。 M5「Born Again」は、典型的なスィート・ソウルなバラード曲で、ドスのきいた自らの唄声を披露して、女性ボーカリストのMaysaとデュエットしている。最後の2曲、M9「Whatta ‘Bout You」と、B10「Sting Like a King B」は、一転、ブルースに弾けるコリオーネが聴けるファンキーな曲。特に、曲名にも冠した最後の曲は、B.B.キングへのオマージュなのか、チョーキングたっぷりのブルース・ギター大会になって、ちょっと聴きものだ。

2014年3月16日 (日)

Chris Standring 「Don't Talk, Dance」(2014)

Dtd

クリス・スタンドリングの前作「Electric Wonderland」は、メローなフェンダーと、プログラム系だけれどラウンジ風のスロウ・ビートがかっこいい作品だった。そんな前作が進化したようなこの新作は、ほぼ全曲がラウンジ風のダンスビートに貫かれて、ボイスやコーラスもプログラムされて、コンピューターゲームのようなピコピコ音やミニマルなリズム・パターンが、未来的だけれど、なんだか、いつか聴いたようなデジャヴも感じる魅力的な作品。スタンドリングのギターは、オンリー・ワンのスタイルで、いつものメローなフェンダーの音で紡ぐパッセージは、浮遊感たっぷり、ファンキーで、ヒップで、かっこいいんだな、これが。冒頭の3曲、M1「Sky High」、M2「Inside Outside」、M3「Sneakin’ Out the Front Door」への流れは、このアルバムのハイライトで、プログラム・ビートはラウンジ・ダンスで、スタンドリングのギターやオルガン、ホーン・セクションもやっぱりヨーロッパ的、ヒップなスムーズ・ジャズが味わえる。「Sneakin’ Out the Front Door」でフューチャーされている、ヴォイス・エフェクターを使ったつくりが、70年代だか80年代を思わせて、どこか古くて新しい。M5「Soul Symphony」や、M7「Crazy Born Baizy」、M12「Scatterfunk」の、ヒップ・ホップ的なエレクトリック・ダンス・ビートにどこか、「ダフト・パンク」のヒットの影響を感じたのは考え過ぎかな。エレキ・フェンダーだけでなくて、スタンドリングの弾くアコースティック・ギターも魅力的だが、今作ではM13「Nothing Lasts Forever」の1曲で、エレキと交互に、演奏しているだけなのが、物足らずちょっと残念。

2014年3月15日 (土)

新作ニュース

スムーズ・ジャズ・ファンとしては、狂喜の新作が続く。話題沸騰、リリースが待ち遠しい、ネーザン・イーストの初ソロ・アルバム。そして、奇しくも、同じフォー・プレイの盟友ドラマー、ハーヴィー・メイソンの新作ソロ・アルバムは「Chameleon」。名曲「カメレオン」の再演しているらしい。あのヘッド・ハンターズのリユニオンなのか、これも大期待。あのメローなサックスが、またたっぷり聴けるかな、ポール・テイラーの新作は「Tenacity」。先行シングルの「Supernova」では、ピアニスト、ジョナサン・フリッツエンがゲスト。マイケル・リントンの新作は「Soul Appeal」。タイトルからして、そうとうファンキーな作品の臭いがする。前作「Pure」もよかったけれど、ちょっとポップス路線だったから、今回は彼の持ち味のパワフルなブローが聴きたい。デイブ・コーズらと組んだ「Summer Horns」は、惜しくもグラミー賞は逃したけれど、その大ヒットを受けて、ミンディ・エイベアのソロ新作は「Wild Heart」。エアロスミスのジョー・ペリーやグレッグ・オールマンも参加したというから、ロックな作品なのか。

East Chameleon Tenacity

Soulappeal

Wildheart

2014年3月 2日 (日)

Brian Culbertson 「Another Long Night Out」(2014)

Alno

Long_night_out_cover

ブライアン・カルバートソンの、デビューアルバム「The Long Night Out」がリリースされたのは、1994年2月1日。彼が若干21才の時。それから、20年を経て、デビューアルバムの全11曲を、新たに演奏し直したのが、この新作「Another Long Night Out」。カルバートソンは、デビュー後、12枚の作品を出していて、今やスムーズ・ジャズ界のビッグ・ネーム。デビュー作品を、そのままの全曲、やり直すという企画はなかなかに興味深い。デビュー盤は、カルバートソンが、まだシカゴでジャズを専攻してた大学生の時に、下宿のアパートで、マッキントッシュと当時出回り始めた録音ソフトを使って作ったらしい。そんな思入れのある全ての作品を、カルバートソンは、今のスムーズ・ジャズ界をリードする多数のプレイヤーをゲストに迎えて、最高に洗練されたサウンドで蘇らせた。この機会にと、20年前のデビュー・アルバムと聴き比べてみた。もちろん新録音盤は音もいいし、ゲストのプレイヤーの演奏も豪華で、進化した作品になっているのは当然。面白いのは、新録音は、デビュー作品の基本アレンジはそのまま踏襲していて、曲によってはラップタイムもあまり変わらないというところ。20年前のアレンジをそのままに、原点に帰るのというのが、カルバートソンのコンセプトなのだろう。 M1「City Lights」:アルバムのハイライト曲は、アレンジもデビュー・バージョンにほぼ忠実。新録では、リー・リトナーのギターが冒頭から入ってきて、シャープでのびのある音色が聴きもの。リトナーのこのギターは、パット・メセニーのよう、といったらどちらのファンにも怒られるかな。ちなみに、デビュー盤のギタリストは、全曲ハリー・ムーラ。 M2「Fullerton Ave.」:デビュー作品を録音したカルバートソンのアパート兼スタジオがあったシカゴの通りの名前を付けた曲。この曲もデビュー・バージョンのアレンジを踏襲している。カルバートソンのピアノは、デビュー・バージョンでもリリカルにスウィングしていて聴きものだったが、やはり20年を経て、磨きがかかった彼のピアノはさらに洗練されている。新録でのギターは、チャック・ローブで、ダイナミックな音を聴かせてくれる。 M6「Double Exposure」:この曲も、デビュー・バージョンに忠実なアレンジ。ジェフ・カシワのサックスが入って、ギターはラス・フリーマン。この2人ということは、そうです、このサウンドはザ・リッピングトンズ。 M10「Long Night Out」:デビュー・バージョンも、ファンキーな曲だったが、新録は2人のサックス奏者キャンディ・ダルファー、エリック・マリエンサルが加わったブラス・セクションが、思いっきりパワフルでガツンなトラック。 その他ゲストはすごい面子で、デヴィッド・ベノア、レイ・パーカー・ジュニア、ジミー・ハスリップ、スティーヴ・ルカサー、リック・ブラウン、などなど。90年代のフュージョンから、今のスムーズ・ジャズ・ファンなら必聴の作品。企画的な内容を差し引いても、今年のベストの一枚。ところで、過去作品を、改めてそのまま再録するというのも、他にもあるのかなと、チェックしてみたら。プログレ・ロック・バンドの、キャメルの「The Snow Goose」(2013)は、1975年の作品の再録音。また、テイク6が、デビューアルバム「Take 6」(1989)の再録音版を次回作品にするらしい、というニュースもあり。寺尾聰が、「ルビーの指輪」で大ヒットしたアルバム「Reflections」(1981)を、まるごと新録した「Re-Cool Reflections」(2006)なんてのもありましたね。

2014年3月 1日 (土)

Dean Grech 「We Got Lost」(2014)

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ディーン・グレッチという人の新作。西海岸を中心に活動している、ギタリストであり、ボーカリストでもあり、作曲家でもあるアーティスト。初めて聴いたアーティストなのだが、これがなかなかいい。まず、ボーカルがいい。中性的でソフトな声で、ジャケットのオジさん(失礼)風貌からは想像出来ない魅力的な唄声だ。チェット・ベイカーとか、ニック・デカロ、はたまたマイケル・フランクスも入っているような感じ、と言ったら想像が付くだろうか。そして、ギターはオーソドックスなジャズ・ギターで、これもなかなか。ウェス・モンゴメリーが乗り移ったようなオクターブ奏法に、ビーバップ・スタイルのセミ・アコがあり、アコギありの巧者だ。過去作品は「Look Out」(2009)というファースト・アルバムがあり、その中の「Funky Talk」という曲は、日本のマクドナルドの宣伝用音楽に採用されたこともあるそうだ。マックを食べながら、知らずに聴いていたのかもしれない。そして、この作品がセカンド・アルバム。クレジットが無いので詳細は分からないのだが、全12曲がグレッチの自作曲だろう。いずれの曲も佳作揃いで、作曲の才能にも目を見張る、いや耳を見張る、か。6曲が歌入りの曲で、残りの6曲がインスト。M2「We Got Lost」は、かつてのボビー・コードウェルかと思わせるキャッチーなメロディーの曲で、グレッチのソフトな唄声がぴったりのAORチューン。ブラスやリズムアレンジをもっとパワフルにしたらヒットしそう。M7「Feeling I Can’t Undo」は、チェット・ベイカーしているスタンダードなジャズ・バラード、でもグレッチのオリジナルなのかな。からむギター・プレイも、スロー・スウィングしたジャズ・ギターのパッセージが、ジャズ・クラブのムード。M8「Suddenly」は、これはマイケル・フランクスかな、リピートしたくなるポップ・チューン。これは、ルーマーのような女性歌手が唄ったらいいと思うのだけれど。インスト曲M6「Playa Rosa」は、フラメンコ調のアコギを奏でる曲で、絡むオルガンやアルペジオがヨーロッパを思わせる哀愁的な曲。M9「Let’s Go」は、ビーバップ・ジャズで、ここで聴けるグレッチのオクターブ奏法は、ウェスそのままに、もっとシャープなアドリブがかっこいい。M12「Altercation」も、ビッグ・バンド・ジャズで、ジミー・スミスを思わせるオルガンとブラス・セクションの4ビートを、グレッチのギターが、ウェスはもちろん、ケニー・バレルが見えたりして疾走するクールな演奏。チェット・ベイカーの唄声と、ウェス・モンゴメリーのギター、合体という感じかな。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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