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2014年6月の記事

2014年6月28日 (土)

Tristan 「Full Power」(2014)

Tristan

トリスタンは、オランダのバンド。ボーカルに5名のリズム・セクションを配した6人編成。ソリッドなバンド・アンサンブルの音は、ちょっと懐かしいフュージョンやファンク・ジャズ。爽快感と疾走感に満ちていて、久々にガツンとやられる。このバンドを聴いたスティーブ・ルカサーは、「良き70年代を2013年に蘇らせる(バンド)」と評したそう。インコグニートや、ザ・ブランド・ニュー・ヘヴィーズダウン・トゥ・ザ・ボーン、といった、アシッドやファンク・ジャズ系の老舗バンドを追随する、新世代バンドの登場だ。今年のグラミー賞のベストR&Bパフォーマンスに選ばれたアメリカのバンド、スナーキー・パピーも、もっと骨太で複雑系だけれど、ホーン・セクションを配したスタイルで、R&Bやフュージョンを新しく解釈しているところは、このトリスタンと共通点がある。リバイバルのようで、この生き生きとした音こそ新しい潮流かな。このトリスタンは、ボーカリストのエヴェリン・カランシーの歌のうまさに加えて、キーボードのコーエン・モレナールという人が、サウンドの中心人物のようで、タイトなリズム・セクションや、それぞれの楽曲の後半で聴けるプレイヤーの技巧的アドリブ演奏も必聴。楽曲もポップなところも聴きやすい。M1「Keep On」は、AORっぽいメロディーが懐かしい、ローテーションしたくなるベスト・ソング。M4「Step Into Bright Light」は、アース・ウィンド&ファイヤーを彷彿とするホーン・セクションが鳥肌もの。M2「Moontune」は、フュージョンなリズム・アンサンブルが聴きもので、後半のエレピのアドリブにはしびれます。なかなかの掘り出し物のアルバムですぞ。

2014年6月26日 (木)

新作ニュース

注目のスーパー・ユニット、ジェフ・ローバーとチャック・ローブにエバレット・シャープのトリオの新作は「Jazz Funk Soul」。そのままにストレートなタイトルは、ユニット名なのかな。このトリオなら、超技巧派で骨太フュージョンが聴けるに違いない。サックス奏者、トム・ブラクストンの新作「The Next Chapter」は、アール・クルー、ボブ・ジェイムスらのゲストも迎えた、久しぶりのスタジオ録音。トランペッター、リック・ブラウンの新作は「Can You Feel It」。最近は、スタンダードを唄う、歌手としてのリックの作品が続いたので、今度の新作はリックのトランペットのインストがたっぷり聴けるといいなあ。サックス奏者、リチャード・エリオットの新作は「Rip Service」。デイブ・コーズのヒット作「Summer Horns」に参加した後の、久しぶりのソロ作品。リチャードのパワフルなサックスに期待。同じく「Summer Horns」の参加メンバー、ジェラルド・アルブライトの新作「Slum Dunk」も、もうすぐ登場。「Summer Horns」であと残るは、デイブ・コーズだけ。彼の新作は出ないのかな。おおっと、出ますよ、ユージ・グルーヴの新作「Get 2 Be Groovin」。

Jazzfunksoul Tombraxton Rickbraun Richardelliot Slumdunk

Get2

2014年6月22日 (日)

Paul Hardcastle 「The Jazzmasters 7」(2014)

Jazzmasters7_2

ポール・ハードキャッスルは、「Hardcastle」と、「Jazzmasters」の、別名義の代表的プロジェクトを定期リリースしている。初期の作品では、「Hardcastle」は、フロア・ダンスやR&Bのスタイルで、ボーカリストも多用したシリーズ。「Jazzmasters」の方は、サックスやアコピを中心に、今のスムーズ・ジャズを先駆けていたような、チル・アウトなムード・ミュージック志向。名義は違っても、いずれもシンセを駆使したエレクトロ・ジャズと形容できるハードキャッスル「節」で貫かれている。「Jazzmasters」が93年、「Hardcastle」が94年に第一作を出して、20年も続いている定番人気シリーズだ。去年は、「Hardcastle 7」で7作品目、「Jazzmasters」もこの新作で7作品目。近作は、正直言って、シリーズの違いはあまり感じられないが、いずれもチル・アウトでメランコリーなムードに酔える、揺るぎないいつものポール・ハードキャッスルというところがいいのかな。最近は、作品ごとに、ポールの心酔するアーティストをオマージュするのがテーマのようだ。「Hardcastle 6」ではマービン・ゲイ、「Hardcaslte 7」ではクール&ザ・ギャング。そして、この新作ではバリー・ホワイト。M1「Unlimited Love,Pt.1」が、バリー・ホワイトをオマージュした作品で、トランペットはシンディ・ブラッドリーをフューチャーしている。タイトルからして、バリー・ホワイトのラブ・アンリミテッド・オーケストラへのリスペクト。バリー・サウンドの特徴のストリングを強調したアレンジや、リズム・セクションが、「Love’s Theme」を思わせる。シンディのトランペットも、もともと哀愁的なフレーズを吹く人だから、楽曲にピッタリ。その他の楽曲も、70年代のディスコ・ソウルをオマージュしているようで、とは言えそのままのディスコ・リズムが出てくるのではなく、いつものハードキャッスル節のサウンドだ。サックスや、アコースティック・ピアノ、ヴィブラフオンなどを多用して、ヒューマンで哀愁的なムードを作るサウンド・デザインは完成度が高くてさすが。シンセのリズムも気にならず、録音のレンジに奥行きがあって、リスナーのイメージ・トリップを後押しする。シンディ・ブラッドリーは1曲しか出てこないが、サックスはその他曲で多用されて印象的なプレイが聴ける。サックス・プレイヤーは、おそらく、近作で採用しているロック・ヘンドリックスや、ポール・ハードキャッスル・ジュニアだと思うが、このサックスがなかなかいい。それでも、ハードキャッスル演出の中のサウンド・パーツのひとつという位置づけなので、ハードキャッスル・サウンドを離れたそれぞれのサックス・プレイヤーのソロ作品が聴いてみたい。

2014年6月21日 (土)

JJ Sansaverino 「Waiting for You」(2014)

Waitingforyou

JJ・サンサヴェリーノは、ニューヨークで活動するギタリスト。マキシ・プリーストのツアーで、リード・ギターを担当したというキャリアもあり、デビュー・アルバム「Sunshine After Midnight」を2005年にリリースしている。この新作が2作目。先行シングル「Gravy Train」は、キャッチーなナンバーで、スピード感のあるラテン風なフレーズが印象的な、なかなかの佳曲。個人的今年の「ベスト・ソング」候補にキープしたい曲。ストロークやシングル・フレージングは、ジョージ・ベンソン的な技巧派プレイヤー。この人、ブラジルの家系のようで、どうりでラテンや、レゲエ、マヌーシュっぽいフレーズもあったりと、ジャマイカのギタリスト、アーネスト・ラングリンの影響を受けたような「味」を思わせる。サウンドは、アシッドやヒップ・ホップ的だったり、フュージョン風、という具合に都会的ミックス状態で、そこにJJのラングリン似のちょっとスカっぽいギター・フレージングが重なり、なんとも言えない魅力。M5「Montego Bay」は、サックスが絡むラテン・メロディーの曲で、JJのギターの哀愁的フレーズがいい。M10「The Struggle」の、粗っぽいけれどファンキーなギターで、ジャズの理論的なアドリブも聴かせてくれる演奏。M2「Back Talk」は、スパイ映画のテーマのようなムードの楽曲で、ソリッドなギター・プレイがファンキー。このアルバム・ジャケットの、悪童っぽい感じ、ピッタリですな。

2014年6月15日 (日)

Sam Rucker 「Tell You Something」(2014)

Samrucker_lg

サックス奏者、サム・ルカーのデビュー・アルバム。プロデューサーが、ノーマン・コナーズ。ノーマンは、70年代からジャズ、フュージョン、R&B、ソウルの名ドラマーとしてセッションやソロ作品も多数、リジェンドと言ってもいいビッグ・ネーム。ゲストも、ボビー・ライル(kbd)、トム・ブラウン(tp)や、演奏ではなくミキシングをユージ・グルーヴが担当したというから、デビュー作といえ、これは只者ではない。全編、コンテンポラリーなR&Bスタイルのサウンドで固められていて、完成度の高いスウィート・ソウルなアルバムになっている。共作を含めたサムの自作曲が8曲と、カバーが3曲。カバーのセレクトが、これまた、70年代80年代のしぶーいソウルの名曲で光っている。M4 「You Are My Starship」は、プロデューサーのノーマンの同名ソロ・アルバム(1976)のタイトル曲(作曲とボーカルは、ベース奏者マイケル・ヘンダーソン)のカバー。アコースティック・ピアノはボビー・ライルで、トランペットはトム・ブラウン、だと思うが、いずれもハートフルなプレイが絡むところが秀逸で、ベスト・トラック。M2「Before I Let Go」は、これも懐かしいソウル・バンド、メイズの1981年の曲(フランキー・ビヴァリーの作品)。M7 「Footsteps In the Dark」は、アイズレー・ブラザースのアルバム「Go For Your Guns」(1977)の中の曲で、ファンク・バラードの名曲。このカバー3曲だけでも、ググッと来てしまうけれど、サムのオリジナルも負けず劣らず秀作揃いだ。スウィート・ソウルなバラードが多いが、M1「Tell You Something」、M11「Love Way To Go」のサックスは特に「沁みる」プレイが聴きもの。サムのサックスは、丁寧に吹くジェントルな演奏で、熱くならないけれど、パッションを感じる嫌みのないプレイ。ユージ・グルーヴを、もう少しソウルフルにした感じかな。M5「Be Tru 2 Who U R」の、ハスキーなボーカルのような、唄うソプラノ・サックスがこれまたググっとくる。

2014年6月 7日 (土)

Mindi Abair 「Wild Heart」(2014)

Wildheart

ミンディ・エイベアの新作は、なんと、”ロック”な意欲作。スムーズ・ジャズの範疇では異色な作品だけれど、内容はベスト級の傑作で素晴らしい。エイベアのサックス・スタイルは、女性サックス奏者にしてはもともとパワフル・ブローなプレイヤーだけれど、この作品のぶっ飛んだサックスとボーカルは聴きもの。ボーカルは、過去アルバムでも何曲か披露していたが、コケティッシュな声質でちょっと可愛娘ちゃんっぽい唄声が特徴だった。一転、この作品の唄声のロッカーぶりに驚く。白眉は、M11「Just Say When」で、オールマン・ブラザースのグレッグ・オールマンとのデュエット。曲は2人の共作で、ミンディは、サックスを吹かず、ボーカルに徹している。ミディアム・スローのサザン・ロック・バラードなサウンドと、レジェンドと言っていいグレッグの唄声もしびれものだが、エイベアがハモる箇所なんて鳥肌ものだ。M7「I’ll Be Your Home」も歌物で、これまたデルタ・ブルースのレジェンド、ケブ・モとのデュエット。エイベアがリードをとって、ケブが高音で重ねる唄声は、極上品。他に、M2「I Can’t Lose」と、M5「Train」の2曲もボーカル作品。ミンディのサックスとホーン・セクションがパワフルに絡んで、これぞ、ロックなボーカリスト兼サックス奏者ミンディならではの秀作。ロックンロールにも、サックスは欠かせない楽器だけれど、インストでロックするサックス作品は珍しい。そういう企画性で、この作品は「勝ち」だけど、内容も本物のロック。M6「Kick Ass」は、エアロスミスのギタリスト、ジョー・ペリーがゲスト。冒頭から、ファズの効いたジョーのギターのパンチにやられるし、並走するエイベアのサックスのパワフルなこと、圧倒されるロックな演奏。M8「The Shakedown」は、ロカビリー・リズムで、スウィングするサックスがキャッチーな佳曲。M10「Addicted To You」は、これまた殿堂入りオルガニストのブッカー・T・ジョーンズがゲスト。エイベアと、ブッカーに加えて、ベースとドラムスだけのソリッドなコンボ演奏で、ブッカーのオルガンはシブくてたまらない。エイベアのサックスも、骨太なブルースでハートを揺さぶられる、この曲はベスト・トラック。”ロック”だろうが、ググッとくるならば、グッド・ミュージック。スムーズ・ジャズ・ファンとしては、この作品、番外的ではあるけど、ベストな一枚に押したい作品。でも、ミンディのこの次の作品は、スムーズ・ジャズをやって欲しいなあ。

2014年6月 6日 (金)

Jazz in Pink 「1st Collection」(2014)

Jazzinpink

「ジャズ・イン・ピンク」は、スムーズ・ジャズ系の女性アーティストだけのプロジェクト・バンド。中心人物でプロデュースをしたのはゲイル・ジョンソン(キーボード)で、旬な女性アーティストが集まったオール・スター・バンドだ。他のメンバーは、アルシア・ルネ(フルート)、マリエア・アントワネット(ハープ)、ロビン・ブラムレット(ベース)、カレン・ブリッグス(バイオリン)、ダニエル・ブラウン(ドラムス)で、ライブでも他のゲストを迎えて演奏しているようで、キム・スコット(フルート)、カット・ダイソン(ギター)、パメラ・エレーヌ(ボーカル)、ジャネット・ハリス(サックス)、シンディ・ブラッドリー(トランペット)、ポーラ・アサートン(サックス)が参加している。この作品が第一作集ということで、作品によって、リードするアーティストが変わる。M3「Seasons」は、ボーカル。M4「Katgirl」は、ピアノ(ゲイル・ジョンソン)。M5「Strings to My Heart」は、バイオリン(カレン・ブリッグス)。M7「Queen」は、ハープ(マリエア・アントワネット)。M9「Flower for Her」は、フルート(アルシア・ルネ)。M10「Hott」は、ベース(ロビン・ブラムレット)。M2「Sisterness」は、印象的なサックス(パメラ・ウィリアムス)と、フルート、ピアノのムーディーなアンサンブルが聴けるベスト・トラック。M1「Pink Symphony」や、M11「Pink On This」は、ビッグ・バンド風の楽曲で、新しい方向性の意気込みが感じられる演奏。多彩な展開の曲(11曲)が多いが、ちょっと散漫な感じは否めない。こういうオールスター・バンドの場合、アーティスト全員を公平に「登場」させるのも大変だろうなあ。ところで、スムーズ・ジャズ界には他にも目を見張る(あくまでも実力ですよ)の女性アーティストは多数。そのうち、女性アーティストが賞を総なめにするかも。ミンディ・エイベア、ジェシーJエリザベス・ミステレサ・グレイソン、など、新譜が出たら聴きのがせない。そういえば、フュージョン・ギタリストのジョイス・クーリングはどうしているのだろう、新譜出ないかなあ。

2014年6月 1日 (日)

Vladimir Cetkar 「Heavenly」(2013)

Cetkar

ウラジミール・チェトカーは、ボーカリスト兼ギタリストの新鋭アーティスト。名前から想像できるとおり、東欧のバルカン半島に位置するマケドニア共和国の出身。現在はニューヨークで演奏活動をしている。マケドニアでもライブ・アルバム「Live at Ohrid Antique Theater」(2005)を1枚出しているが、スタジオ録音のデビュー作品は「We Will Never End」(2008)で、この新作は2作目のスタジオ・アルバム。80年代90年代のディスコ・ソウル、そして近年のジャミロクワイあたりをブレンドしたようなポップな音楽性。ホーンセクションやストリングス、ファスセットを多用するチェトカーのボーカル、そのサウンドはダンス・ミュージックをベースにしたゴージャス系だ。そして、ギタリストとしての才能も、ジョージ・ベンソンの影響を受けたであろう、注目のプレイヤーだ。荒削りなところも見えるけれど、才能の片鱗が見え隠れして、この人はいずれビッグになるような気がしてならない。何と言っても、このアルバムのハイライト曲、M8「Heavenly」にガツンとくる。ポップなメロディーはもちろん、ストリングスから入ってジャズ・スタンダードのような冒頭から、一転ディスコ・ビートへの展開にワクワクするし、中盤のギターとスキャットとセルフ・リエゾンは、ジョージ・ベンソンさながらで、鳥肌ものの聴き所。M2「Time Goes By」や、M5「Lucky Pair」、は、ジャミロクワイそのまんま、でニンマリしてしまう。チェカーのボーカルも、技量の点では心もとないところはあるけれどスウィング感はバッチリで、バックのコード・ストロークのギターの音には「耳」が離せない。M6「All For You」や、M9「Born For The Screen」は、ポップなメロディーに、バックのホーンセクションとファルセット・ボーカルがアース・ウィンド&フィアーを彷彿とするダンシング・チューンで、かっこいい。インスト曲5曲で聴けるギター演奏は、ボーカル曲のダンス・ミュージックとは異なり、アシッド・ジャズの解釈で、奏法はアバンギャルドな早弾きにフレーズを重ねていく、なかなかユニークなプレイだ。このアルバム、デビューアルバムの7曲を含んでいて、デビュー作は未聴なので厳密には分からないが、おそらくバージョンも同じだとすると、新曲を加えた編集盤のようだ。「Heavenly」も、ミックス違いの3バージョンを含んでいて、正味の新曲は7曲(内3曲がインスト)。いずれにしても、新旧録音合わせて、初めて聴くウラジミール・チェトカーにググッと来る好盤。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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