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2014年6月 7日 (土)

Mindi Abair 「Wild Heart」(2014)

Wildheart

ミンディ・エイベアの新作は、なんと、”ロック”な意欲作。スムーズ・ジャズの範疇では異色な作品だけれど、内容はベスト級の傑作で素晴らしい。エイベアのサックス・スタイルは、女性サックス奏者にしてはもともとパワフル・ブローなプレイヤーだけれど、この作品のぶっ飛んだサックスとボーカルは聴きもの。ボーカルは、過去アルバムでも何曲か披露していたが、コケティッシュな声質でちょっと可愛娘ちゃんっぽい唄声が特徴だった。一転、この作品の唄声のロッカーぶりに驚く。白眉は、M11「Just Say When」で、オールマン・ブラザースのグレッグ・オールマンとのデュエット。曲は2人の共作で、ミンディは、サックスを吹かず、ボーカルに徹している。ミディアム・スローのサザン・ロック・バラードなサウンドと、レジェンドと言っていいグレッグの唄声もしびれものだが、エイベアがハモる箇所なんて鳥肌ものだ。M7「I’ll Be Your Home」も歌物で、これまたデルタ・ブルースのレジェンド、ケブ・モとのデュエット。エイベアがリードをとって、ケブが高音で重ねる唄声は、極上品。他に、M2「I Can’t Lose」と、M5「Train」の2曲もボーカル作品。ミンディのサックスとホーン・セクションがパワフルに絡んで、これぞ、ロックなボーカリスト兼サックス奏者ミンディならではの秀作。ロックンロールにも、サックスは欠かせない楽器だけれど、インストでロックするサックス作品は珍しい。そういう企画性で、この作品は「勝ち」だけど、内容も本物のロック。M6「Kick Ass」は、エアロスミスのギタリスト、ジョー・ペリーがゲスト。冒頭から、ファズの効いたジョーのギターのパンチにやられるし、並走するエイベアのサックスのパワフルなこと、圧倒されるロックな演奏。M8「The Shakedown」は、ロカビリー・リズムで、スウィングするサックスがキャッチーな佳曲。M10「Addicted To You」は、これまた殿堂入りオルガニストのブッカー・T・ジョーンズがゲスト。エイベアと、ブッカーに加えて、ベースとドラムスだけのソリッドなコンボ演奏で、ブッカーのオルガンはシブくてたまらない。エイベアのサックスも、骨太なブルースでハートを揺さぶられる、この曲はベスト・トラック。”ロック”だろうが、ググッとくるならば、グッド・ミュージック。スムーズ・ジャズ・ファンとしては、この作品、番外的ではあるけど、ベストな一枚に押したい作品。でも、ミンディのこの次の作品は、スムーズ・ジャズをやって欲しいなあ。

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