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2014年7月の記事

2014年7月31日 (木)

スムーズなシングル盤 ⑲

Summerbreeze_2

Pressure

Maurizio

ヨーロッパ発のクールなスムーズ・ジャズを3曲。クロアチア出身のサックス奏者、イゴール・ジェルジーナの新曲「Summer Breeze」は、ユーロ・ビートの香りもするダンス・チューン。去年のアルバム「One Click World」もなかなかの好盤だったけれど、この新曲もアタック感のあるサックスとサウンドの「ノリ」が何度も聴きたくなること間違いなし。スウェーデンのキーボード奏者、マティアス・ルースの新曲は「Pressure」。前作「Feels Like Home」同様、オーソドックスなスムーズ・ジャズ・チューン。今作のゲストのサックスは、ドイツのスムーズ・ジャズ・ユニット、スリー・スタイルの「金髪美人」サックス奏者マグダレーナ・チョバンコーバという人。アコースティック・ピアノの分かりやすいフレーズの繰り返しと、ちょっとチープな(失礼)サックスの音色が何とも言えず不思議な魅力の曲。これは懐かしや、ギャップ・バンドの名曲「Yearning for Your Love」をカバーしたのは、イタリアのギタリスト、マウリツィオ・グロンドーナが率いる自己名のグループ。セミアコのソリッドなギターの音色は、ウェス・モンゴメリーを思わせて、最後はパット・メセニー的に盛り上がるサウンドがニクい。マティアス・ルースと、マウリツィオ・グロンドーナは、フル・アルバムを期待したい要注意アーティスト。

2014年7月20日 (日)

Greg Manning 「Dance With You」(2014)

Gregmanning

今年、アース、ウィンド&ファイアーのモーリス・ホワイトが、新たにレコード会社として新生させたのがカリンバ・ミュージック。そのレーベルと契約した初めてのアーティストが、スイス出身のキーボード奏者グレッグ・マニング。過去にソロ・アルバム「The Calling」(2010)を出している。2作目となる、カリンバからのこのフル・アルバムは、アーバンなヴァイブレーションに満ちた、素晴らしい作品だ。アタック感たっぷりのドラムスと、炸裂するチョッパー・ベースのリズム・セクションに、そこかしこにEW&Fを感じるホーン・セクション。エクゼクティヴ・プロデューサーがモーリス・ホワイトだから、やっぱり影響なのかな。でも、マニングのキーボード演奏や、サウンド・デザインは、ダンス・ビートをベースにしたゴージャス感もあり、ジャズのスピリットも伝わるアダルトなコンテンポラリー・ミュージック。新生カリンバのサウンド・カラーを方向付ける象徴的な作品になっている。M2「Phenix Rise!」のホーン・セクションは、まさにEW&F的で、からむアコースティック・ピアノのスウィング感が素晴らしい。先行してリリースされていたシングル3曲は、いずれもキャッチーなダンス・ビートが共通なヒット・チューンで、このアルバムのハイライト。M5「Groove Me」(ポール・ブラウンがミックスしたシングルより長いロング・バージョン)のゲストは、エラン・トロットマンで。M6「Cruisin’ Down The Road」は、ヴィンセント・インガラ。M9「Dance With You」は、ミンディ・エイベアと。それぞれ、注目のサックス奏者を配して、多彩なサウンド・アレンジを聴かせてくれる。M10「Wayman」は、マニングのちょっとゴスペルっぽい技巧的ピアノ・プレイが聴きもの。(この同曲は、「The Calling」にも入っていた曲の再演。)個人的にググッと来たのが、M11「Look Up」。リードを奏でるクロマチック・ハーモニカがハートフルで美しい。ハーモニカ奏者はクレジットが無いので、分からないけれど、前作でも参加していたパトリック・ベティソンという人かな。マニングの演奏者として、サウンド・デザイナーとして、素晴らしい才能を体験できる、これは、イチオシの作品。

2014年7月13日 (日)

Rick Braun 「Can You Feel It」(2014)

Canyoufeelit

リック・ブラウンの新作は、待望の、ビート全開、今年ベスト級の「傑作」。リック・ブラウンは、20年超のキャリアを持つ、スムーズ・ジャズ界ではビック・ネームのトランペッター。ソロ以外にも、他アーティストとのプロジェクトやゲスト演奏も多いが、去年はカーク・ウェイラムとノーマン・ブラウンと組んだグループBWBの10年振りの新作アルバム「Human Nature」が話題だった。でも、ソロとしては、近年の作品「Sings With Strings」(2011)は、ジャズ・スタンダードを歌い上げたボーカリストとしての作品で、「Swingin’ In The Snow」(2012)も、クリスマス・ソングを唄い上げる作品だった。トランぺッターで、シンガーと言えば、ルイ・アームストロングに、チェット・ベイカー。リックも、まさかスタンダード・ジャズ・シンガーの方向に行っちゃうのかなと、心配してました。でもこの新作、やっぱり、これでしょう。突き抜けたり、泣かせてもくれるペット・サウンドがたまらない。白眉は、M1「Can You Feel It」と、M5「Get Up And Dance」。「Can You Feel It」は、ディスコ・リズムにホーン・セクションが乗って、リックのペットが飛び跳ねるビート・チューン。「Get Up And Dance」は、アーバンなポップ・メロディーを、ゲストのデイブ・コーズのサックスと、リックのユニゾンがしびれる。アル・グリーンの曲をカバーしたM3「Take Me to The River」もググッと来ます。エリオット・ヤミンのソウルフルなボーカルもクールだし、ゲストはユージ・グルーブで、リックのペットとユージのサックスのチェイスがブルージーでたまらない、けれど、フェイド・アウトするのは酷でしょう。メローなリックのペット・サウンドも、この人の魅力。そんなメローでジェントルな音色に酔えるのは、M4「Mallorca」と、M8「Silk」。この2曲は、リックの自作曲で、メロディー・メーカーとしての才能も素晴らしい。ジェフ・ローバーをゲストに迎えての、M7「Delta」と、M9「Radar」は、聴いたとたんに納得のローバー流フュージョンで、リックのペットは風を切るごとく疾走する。ファンキーなビート・ミュージックに、アーバンなポップ・メロディーが詰まった作品は、全11曲例外なくワクワクさせてくれる。リックいわく、昔のCTIサウンドが好みだそう。ボブ・ジェイムスや、デオダート、あの頃のフュージョン・サウンドにはワクワクしたっけ。リックのこの作品、あの頃のエネルギーに通じて、ガツン。YouTubeにアップされているスタジオ・ライブ版「Get Up And Dance」は必見(必聴)。アルバムのデイブ・コーズに替わって、ユージ・グルーブが共演している。終盤のリックとユージのチェイス・プレイは、アルバムのデイブ版よりパワフルな演奏。エリオット・ヤミンがボーカルで参加する「Take Me to The River」も、フェイド・アウトしない、熱いパフォーマンスが必見です。

2014年7月12日 (土)

Tom Braxton 「The Next Chapter」(2014)

Nextchapter

トム・ブラクストンは、90年代から活躍しているサックス奏者。デビュー作「Your Move」(1992)から、8作品を残している。元NBA選手でありベーシストであったウェイマン・ティスデイル(2009年にガン闘病の末他界)のツアー・サイドマンを17年間務めた。トムの2009年作品「Endless Highway」には、ウェイマンを忍んだ「That Wayman Smile!」という曲も入っている。それからほぼ5年振りの新作がこの作品。ゲストに、アール・クルー、ピーター・ホワイト、ボブ・ジェイムスが参加。また、イエロー・ジャケッツのオリジナル・メンバーであり、フュージョン系セッション名ドラマーだったリッキー・ローソンが参加しているが、リッキーは2013年の年末に他界、享年59才だった。M5「New Horizons」で聴けるドラムスは、リッキーのラスト・レコーディングだそう。この曲の後半にタイトにブレイクしていって、終盤にスウィングするドラムスは聴きもの。また、オージェイズの名曲のカバーM7「I Love Music」でも、リッキーのドラム・プレイが光る演奏だ。この他にも、70年代クラッシックのカバーを演っていて、M3「I’ll Be Around」(スピナーズ)、M6「Make It With You(邦題:二人の架け橋)」(ブレッド)、いずれもベタな選曲だけれど、オリジナルの曲想を崩さないアレンジがいい。トムのサックスは、個性的とは言えないけれど、技量にも裏付けされたクセの無いところこそ貴重なプレイヤー。サウンドも、これぞスムーズ・ジャズの王道で、ミドル・オブ・ザ・ロードなところがいい。音量を落としたらBGM的で、注意を引く事は無いかもしれない。でも、音量を大きくして聴いたら、このリアルなグルーヴと、技量的な演奏にググッと来てしまう。地味な作品かもしれないが、チル・アウトのようなトレンドに寄らない、オーソドックスなスムーズ・ジャズのスタイルを堪能できる好盤。

2014年7月 5日 (土)

Jonathan Butler 「Living My Dream」(2014)

Jonathan

南アフリカ出身のジョナサン・バトラーのこの新作は22作目。もう30年近くも前なのか、デビュー作「Introducing Jonathan Butler」(1985)や、ヒット・シングル「Lies」の入った「Jonathan Butler」(1987)などは、印象的な作品だった。アコースティック・ギターのプレイヤーとして、またボーカリストとして、アール・クルーや、ジョージ・ベンソンあたりの名前を挙げられるけれど、ギターもボーカルもオリジナリティ溢れるメジャー・アーティストだ。南アフリカでは7才からステージ・キャリアがあり、いくつかのヒット作品を放つティーン・アイドルだった人で、メジャー・デビュー作からも、長いブランクもなく、ほぼコンスタントにアルバムをリリースしている。最近は、ゴスペルや、クリスチャン・ポップス、ホリデイ・アルバムといったボーカル作品が続いて、ボーカリストに比重を置いている活動のようだった。そろそろ、彼のコンテンポラリーな、ギター・プレイが聴きたいなあ、と期待していた。この作品は、11曲中、6曲がインスト作品で、いずれも、コンテンポラリーな曲想で、これを待っていたリスナーは満足のいく秀作。ジョナサンのギターも、テクニックより、情緒豊で、円熟を感じる演奏が素晴らしい。M3「Be Still」は、ジョージ・デュークとの共作のバラード曲で、ジョージのピアノに、ジョナサンのギターもハートフルで、美しい。ベースはマーカス・ミラー。ジョージ・デュークとの共演はこの一曲だけだけど、大満足のベスト・ソング。M10「Sweet Serenade」も、ミディアム・バラードで、丁寧にシングル・トーンを紡ぐギターは、何とも沁みてくる味わい。M1「African Breeze」は、軽快なラテン・ポップ・チューンで、もともとは、映画「ナイルの宝石(主演:マイケル・ダグラス)」(1985)のためにジョナサンが作った曲。オリジナル・トラックは、フュー・マセケラのトランペットと、ジョナサンのギターが絡むポップな演奏。そのサントラ盤は廃盤のようだが、iTunesでもフュー・マセケラのベスト盤で聴くことができる。さて、他のボーカル曲は、この人の歌い方の特徴、ソウルフルで、ゴスペル・テイストの、パッションを感じる曲が集まっている。M2「Living My Dream」は、シブい唄声と、ジョージ・ベンソン張りのギターとユニゾン・スキャットを披露する秀作。実の娘のJodie Butlerが、コーラスやデュエットでも参加していて、M9「All About Love」は、そのJodieの作品で、コンテンポラリーで美しいバラード曲。今度は、ギタリストとして、インストのフル・アルバムを作って欲しいなあ。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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