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2014年9月の記事

2014年9月27日 (土)

Elan Trotman Group 「#liveanduncut」(2014)

Elantrotmangroup

サックス奏者、エラン・トロットマンは、カリブ海のバルバドス出身。サイドマンとしても売れっ子で、多数のビッグ・アーティストのアルバムに参加している。最近の注目新作では、グレッグ・マニングの「Dance With Me」、ジョナサン・バトラーの「Let There Be Light」、カール・ハリス・ジュニアの「Smooth」、ブライアン・シンプソンの「Just What You Need」、デビッド・P・スティーブンスの「In the Pocket」、オリ・シルクの「In the Thick of It」、等々という次第で、それぞれアルバムの中のの曲でエランがサックスを吹いている。エラン自身、自己の作品も、2001年から5枚のアルバムを出している。近年の作品、「Love and Sax」(2011)は、バラード中心のスウィート・ソウルな佳作だった。サウンドはアーバンなムードたっぷりで、エランのバラード・プレイの、抜けのいい音色と、巧者のフレージングが聴きもの。エラン自身がプロデュースした「Tropicality」(2013)は、トロピカルがテーマの作品。カリプソやレゲエなどトロピカル音楽は、彼のルーツだろうから、それまでのアーバン・スタイルから一転、サウンドも明るくて、エラン・トロットマンのサックスは嬉々として、溌剌としたプレイが好感度の高い作品だった。さて、そして、この新作はライブ録音で、バークレー出身のミュージシャン6人と組んだ自己のバンドによる、スタジオ・ライブ。スティールパン奏者が入ったセットは、それだけでトロピカル・ムードたっぷり。硬派ならソニー・ロリンズ、ポピュラーなところではナベサダを思い出す、カリビアン・ジャズの演奏。前作のカリビアン・テーマを下敷きにしているけれど、まったくの別物といっていい演奏。ライブという臨場感と、バンドのグルーヴ、エランの本格的なジャズ巧者のプレイなど、スムーズ・ジャズではなくて、これは一級のコンテンポラリー・ジャズの演奏。ベスト・トラックは、先行していたシングルのロング・バージョン、M2「Smooth’n’Saxy」だろう。メランコリーなスロー・メロディーが印象的なバラード佳曲で、エランのサックス、アコースティック・ピアノ、のインプロビゼーションも秀逸だし、高揚して行って、最後はクール・ダウンしていくバンドのバイブレーションが鳥肌もの。M3「2000 Miles Away」で聴ける、スティールパンから始まる各プレイヤーのアドリブ・サイクルも、ライブならではの臨場感が聴きもの。M4「Funkalypso」は、前作に入っていた曲。このライブ演奏は、荒削りだけれど、さらにパワフルなアレンジに変わっている。その変化が聴けるのも興味深い。ネットで公開されている生演奏は必見。耳を引くけど、目も引いてしまう。演奏の後ろのポートレートのレイチャールズと、エランのTシャツのジャズ・ジャイアンツ。負けず劣らず、プレイするエランも、雰囲気があって、ソウルフルだなあ。

2014年9月23日 (火)

Nathan Woodward 「Nathan Woodward」(2014)

Nathanwoodward

新人サックス奏者、ネイサン・ウッドワードのデビュー・アルバム。ポートレートのネイサンは若々しくて、サウンドもフレッシュで、好感度の高い作品。ハイスクールを卒業して10年ばかりというから、まだ若干28才ぐらいだろうか。その10年間、演奏活動をしているようで、2012年には「A Quartet Session (Live from Martin Hall)」(2012)というジャズのライブ作品も出していて、そこでは初々しい演奏が聴ける。そして、この新作が、スタジオ録音としてのデビュー作品。おそらく、気心の知れた自己バンドでの演奏で、キーボード、ベース、ドラム、ギターのバンドにネイサンのサックスという編成。オーバーダビングは無さそうな、シンプルなバンド・サウンドが新鮮。全12曲はネイサンと、プロデュースとキーボードを演奏しているクリス・スプリンガーという人の共作で、どの曲もなかなかの佳曲揃い。M1「Better Days」や、M3「Sea Breeze」、M11「Sunrise」などは、メロディアスなポップス系のスムーズジャズで、印象的な作品。ネーサンのサックスは、デーヴ・コーズを思わせるスタイルだけれど、時折聴かせるちょっとゴスペルやブルーズっぽいテイストがこの人の特徴かな。M5「Tuesday Rain」は、R&Bスタイルのゴリゴリ系や、M7「2 O’clock」のハードにスウィングするスムーズ・ジャズだったり、けっこう硬派なパフォーマー。かたや、M8「The Promise」のバラードは、デーヴ・コーズばりの超美メロディーで、引き出しの多さを証明している演奏。これから注目のアーティスト。

2014年9月22日 (月)

U-Nam 「C'est Le Funk」(2014)

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ユー・ナムの新作は、彼のギターが冴え渡り、ゴージャスなファンク・サウンドが鳴り響く5スター級の傑作。ジョージ・ベンソンをトリビュートした前作「Weekend In L.A.」で炸裂したベンソン節が、今作ではベンソン以上にベンソンらしくて、もうここまでくるとオリジナリティに溢れるギター・プレイだ。「これがファンクだ」の題名通り、全10曲、スキの無い佳曲揃いで、80年代や90年代を彷彿とするダンス&ファンク・ビートに乗って縦横無尽に疾走するギターが、かっこいいことこの上ない。アルバム冒頭の3曲は、シングルで先行していた曲。8ビートから16ビートへと炸裂するノンストップ・ヴァイブレーションがたまらない。M1「Smoovin’」は、トレードマークのベンソン節がはまったポップ・チューン。M2「Something’s Up」は、レイ・パーカー・ジュニアを思わせるイントロや、EW&Fのヒット曲を思わせる女性コーラス・ワークに、早弾きのギター・パッセージと、聴き所が満載のベスト・ソング。M3「C’est Le Funk」は、サックス奏者シャノン・ケネディーとのプロジェクトNIVO DEUX名義で出した、16ビートのファンク・チューン。ホーン・セクションが重量級のゴージャス・サウンドが炸裂する。スロウ・ビートのM5「Risin’ to the Top」や、ダンス・フロアでかかりそうなM6「Throwback Kid」、カラッとしたウエスト・コースト的ディスコ・チューンM8「City Lights」など、どの曲もクオリティが高い。最後の曲、M10「Act Like You Know」は、ボーカル曲で、前作でも参加していたティム・オーエンスが歌っている。この曲が唯一のボーカル曲なんだけれど、終盤はユー・ナムのギター・オンリーの演奏に変わってアルバムを終える、という展開で、これがなんともカッコいい。

2014年9月21日 (日)

スムーズなシングル盤㉑

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新作で、なかなかの秀作シングルを3曲。キーボード奏者、パトリック・ブラッドリーの新作シングル「Can You Hear Me」は、パトリックのアコースティック・ピアノがハートフルでヒューマンなバラード。ゲストのデイヴ・コーズのソプラノ演奏は、視界が開けるような、美しい演奏で必聴もの。トランペッター、ライアン・モンタノの新曲「I’d Like That」は、ダーレン・ラーンがプロデュースしたキャッチーな1曲。この人、モデルや俳優もやっているという「イケメン」トランぺッター。サウンドも、なかなかで、中盤に出てくるトランペットのアドリブ・パッセージはなかなのもの。クリス・ボッティに続く、イケメン・トランペット・スターになるかな。ベーシスト、チップ・シーリンのデビュー作「Truth Be Told」は、マリオン・メドーズがゲスト参加した、マイナーな曲調が印象的なファンク・チューン。チップは、サポート・ベーシスト、プロデューサー、テレビや映画など映像作品の音楽も数多く手がけてきたキャリアのある人。アメリカの「シュガーヒル・ギャング」というヒップホップ・グループがあって(このへんは不得意で良く知らないけれど)、彼らのヒット曲「Rapper’s Delight」でベースを弾いているのは、この人だそう。小刻みなチョッパー・ベースと、マリオンのサックスが重なる、ハード・ボイルドな一曲。3曲とも、新作アルバムの先行シングル。いずれのアルバムも期待できますね。

2014年9月 8日 (月)

Greg Chambers 「Can't Help Myself」(2014)

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サックス奏者、グレッグ・チェンバースの新作。前作「After Hours」は、7曲のミニ・アルバムだったけれど、なかなか質の高い楽曲と演奏のいい作品だった。さて、この新作は、ネイト・ハラシムがプロデュースした11曲フル・サイズ・アルバム。好みの分かれるところだけれど、ハラシムの手腕で、なんだか優等生的にまとまり過ぎた感じ。ハラシムのサウンド・プロダクションは、プログラミングのオーバー・ダビングが特徴で、それがグルーヴを感じるかどうかで好き嫌いの分かれるところ。M1「Can’t Help Myself」は、ハラシム流のスムーズ・ジャズ・チューンで、グッド・ソングだけどググッとは来ない。M2「In The Moment」は、ベーシストのジュリアン・バーンが参加して、彼のベースのおかげでヴァイブレーションが光っている演奏。M4「Off The Cuff」は、ハラシムとチェンバースの共作で、ギターのニルスとハラシム自身が演奏に参加しているグルーヴィーな演奏で、この曲もちょっとグッとくる。それ以外の曲も完成度は高いけれど、感情移入できないのはどうしてかな。前作で、「Human Nature」を自己のバンドで演っていたような、荒削りだけれど、緊張感のあるような演奏が無いのかなあ。M7「It’s On」では、ポール・ブラウンが参加しているけれど、このブラウンの演奏はレイジーな感じで、これは意図的なのか、それとも中途半端なのか、なんだかバイブレーションが感じられない。前作のポール・ブラウンが参加した曲「In the Pocket」の方が何倍も良かった。という訳で、グレッグ・チェンバースを聴くなら前作のほうがオススメ。

2014年9月 7日 (日)

Leslie Drayton 「Free and Easy」(2014)

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レスリー・ドレイトンは、初期のアース、ウィンド&ファイアーにも参加していたこともあるトランペット奏者。EW&Fの作品では、デビュー作「Earth, Wind and Fire」(1971)、セカンド・アルバム「The Need of Love」(1972)に参加している。また、レスリーは、マーヴィン・ゲイの音楽監督をしたり、自身のオーケストラを率いたりと、長いキャリアを持つベテランで、リーダーとして10作品以上のアルバムをリリースしている。この新作は、レスリーのトランペットもしくはフリューゲルがメローに響いて、「クロスオーバー・イレブンン」から聴こえて来そうなサウンドと形容したい。M3「Alone in the Dark」のトランペットなんて、「もうすぐ時計の針は12時を回ろうとしています・・・」なんてナレーションがぴったりなメロー・チューン。フリューゲルホルンの音色は、そもそも、トランペットより柔らかな音質だけれど、M1「Remember When」や、M10「Hip Hop Fantasy」で奏でるレスリーのフリューゲルは包容力に満ちていて、ヒーリング効果間違いなし。全12曲、BGMのジャンルに入れられてしまうかもしれないほど、ソフト&メローだけれど、BGMなんて呼んで欲しくない。スムーズ・ジャズ・リスナーなら、こういう路線こそ「クワイエット・ストーム・ミュージック」と呼びたい。

2014年9月 6日 (土)

Freeze Frame 「Experience」(2014)

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フリーズ・フレームは、「Best in Life」を紹介した時にも書いたけれど、実態は、レイ・バッハという人のワン・マン・プロジェクト。レイは、キーボードから、シンセ、ギター、ベース、ドラムスまで演奏して、作曲、編曲までこなしている。この新作も、共作を入れても全ての14曲を作曲。曲によって、ゲストが入るが、その他の演奏はバッハによるもの。サウンドは、ラウンジ寄りのクールなインストゥルメンタル。ライナーノーツに、本人が影響を受けた過去のレコードとして、ソーラー・ファイアー、サカモト、イエロー・ジャケッツをあげている。「ソーラー・ファイアー」は、マンフレッド・マンズ・アース・バンドのプログレ・ジャズ・ロックの「隠れた名盤」のことかな?というわけで、この新作の内容は、プログレ、ラウンジ、スムーズ・ジャズ、のミックスされたクールで情景的なサウンドで、一言で言ってしまうと、ポール・ハードキャッスル的かな。M1「Moods of New York」は、サックス(ペトラ・ラースマン)とギター(リッキー・ガルシア)がゲストで、ハードキャッスル風で、ビートが心地いい佳曲。M2「The Groove Agent」や、M11「The Night Comes Down」も、ハードキャッスル風であっても、クールな音質感は魅力的。M9「One More Lie」は、ボーカル曲で、スティーリー・ダン風な、ちょっぴりハイライトなAOR曲。M10「Same Time, Next Year」、あっ、これはYMOのサカモト風で、ちょっとニヤリ。正直、14曲をリピートして聴き込むまでの「引き」は無かったけれど、ハードキャッスルのリスナーはうれしいかもしれない。

2014年9月 3日 (水)

Jeff Gaeth 「Portrait」(2014)

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サックス奏者ジェフ・ゲスは、ハワイ在住のミュージシャン。でも、ニューヨーク出身で、ロサンジェルスで音楽キャリアを積んだ人らしい。自己4枚目となるこの新作は、ハワイで活動している自己のバンドや、西海岸のミュージシャンが参加しての演奏。ハワイ発というだけあって、この人のサックスの音色やサウンドは、乾燥した空気感が漂っていて、爽やかな音質を感じる。ジャズでもロックでも、西海外やハワイからの音楽というは、視界の広がるような空気感があって、何でだろうか、不思議なものだ。サックスのスタイルは、ウィルトン・フェルダーだったり、グロバー・ワシントン・ジュニアを思わせる、オーソドックスで、熱くもならず落ちついて聴ける音色。M1「Tangled Up」は、アルバム中のベスト・ソング。テナーで奏でるメランコリックなメロディーや、ちょっとソウルっぽいノリは、クルセイダースの「ストリート・ライフ」的で、どこか懐かしい。M2「Portrait」や、M11「Keep It Simple」も、ちょっと胸キュンなメロディーと、爽やかなアルトが印象的なメローな佳曲。全11曲は自作曲で、なかなかの佳曲揃い。メジャーな作品のような、ウェル・プロデュースされた作品では無いけど、ピュアな音楽性で、安心感があって、なんとなくほっとする。ハワイのクルーズの上とか、レストランのバック・バンド的な、ジャマしない演奏。おそらくそういったところで演奏しているのかもしれないなあ。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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