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2014年10月19日 (日)

Gregg Karukas 「Soul Secrets」(2014)

Soul_secrets

スムーズ・ジャズといっても百花繚乱。どちからと言えば、スムーズ・”ポップス”や、スムーズ・”R&B”、が主流かな。インスト版ヒット・ポップスのような、キャッチーなキー・フレーズを繰り返すスタイルがトレンド。クロスオーバーやフュージョンの信奉者としては、やっぱりジャズにアクセントを置いたスムーズ・”ジャズ”が本流だと支持したい。その「本流」のピアニストと言えば、この人、グレッグ・カルーカス。ちなみに、スムーズ・ジャズ系ピアニストの個人的なベスト・プレイヤーを3人選ぶとすると、間違いなしの当確は、グレッグ・カルーカスでしょう。同時に、ブライアン・シンプソンに、ダン・シーゲル。次点は、ブライアン・カルバートソンジョナサン・フリッツエン、というところかな。 さて、カルーカスのキャリアは80年代後半から、すでにソロ作品も11アルバムに及ぶ。近年作品では、2009年の「GK」は、全11曲、佳曲揃いの彼のベスト作品。彼のアコースティック・ピアノの美しい音粒はもちろん印象的だけれど、スキの無いオーケストレーションがゴージャスで上質な作品だった。でも、個人的には、その前の作品、「Looking Up」(2005)がベスト作品。彼のアコースティック・ピアノが主役で、クワイエット・ストームなムードが漂うアダルトな秀作だった。近年のスムーズ・ジャズ作品の中で、アコースティック・ピアノの代表作といったら、「Looking Up」に票を入れたい。さて、5年振りの新作は、「GK」のようなオーケストレーションを駆使した作品ではなく、音も演奏もヒューマンな感じの伝わる秀作。ゲスト演奏も素晴らしいけれど、カルーカスのピアノ演奏がなにしろ主役なのが嬉しい。右手のパッセージと、さりげない左手のコードワークから繰り出す音がリアルに聴ける録音も秀逸な作品。全14曲、レコードなら2枚組のボリュームだろうに、いずれも佳曲揃い。バラエティな全14曲は、5つの「セッション」もしくは曲想に分けられる。

[A]:このセッションがハイライトで、サックス奏者、ヴィンセント・インガラがフューチャーされた5曲。若いインガラの、枯れたサックス演奏が、いずれの曲も完成度を高くしている。アルバム冒頭を飾る M1「Do Watcha Love」はゴスペルで、M7「Snack Shack」はリズム&ブルースで、2曲ともタイトなリズム・セクションと、カルーカスのフェンダープレイ、艶っぽいインガラのサックス、がファンキーなハイライト・トラック。M6「Only You」はバラード、M9「Secret Smile」はミディアムテンポ、いずれも2人のデュオによるインタープレイが美しい。M11「Walking On Air」は、コンテンポラリー・ジャズ的な演奏曲。カルーカスのピアノと、インガラのサックスのインプロヴィゼーションが堪能できる。

[B]:クールで、コンテンポラリーな曲想の2曲。AORといっていい、アーバンな仕上がりのベスト・ソング。M2「Soul Secrets」は、リック・ブラウンのトランペットをフューチャーした曲。M4「Elegant Nights」は、ゲストはいないけれど、カルーカスのアコースティック・ピアノ演奏だけで聴かせてくれる、沁みるいいー曲。

[C]:リズム&ブルース色のファンキーでちょっとディープといっていい3曲。M3「GK’s Funky Joint」は、ユージ・グルーヴがゲストで、カルーカスはフェンダーを演奏。M12「Told You Twice」も、フェンダーで奏でるゴスペル調ブルース。M13「Randy Heads Uptowon」は、チョッパー・ベースで始まるノリは、80年代フュージョンのようで、アコースティック・ピアノもファンキーで、ちょっとリチャード・ティーのいたスタッフを思い出す。

[D]:ブラジル系リズムのトラックが2曲。ボサノバのM5「Rio Drive」は、コーラスが加わったセルジオ・メンデス的な曲。リック・ブラウンに加えて、ルイス・コンテ(パーカッショニスト)が参加したM8「Cafe Agogo」は、本物級で、カリビアン・スタイルの盛り上がるカルーカスのピアノが聴きもの。

[E]:ヒーリング・ムードな、情景的でニューエイジ・スタイルの2曲。M10「Above the Clouds」は、ニューエイジ系バイオリニスト、チャーリー・ビシャーラットが参加したバラード。感傷的なバイオリンと、ピアノのインタープレイが聴きもの。M14「Time Alone」は、ヒューマンなメロディーを奏でるピアノが、ニューエイジな沁みる曲。前半は、ほとんどカルーカスのピアノ・ソロで、後半はブラジルのギタリスト、リカルド・シルベイラのスパニッシュ・ギターが絡んで、最後にチャーリー・ビシャーラットのバイオリンがしめるという、映画音楽的な曲。

ファンとしては、満足の14曲。次は、ヴァイブレーション全開のバンド演奏で、彼のピアノのアドリブが堪能出来るライブ録音を出して欲しいなあ。

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