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2014年10月の記事

2014年10月25日 (土)

Peter While 「Smile」(2014)

Smile

ピーター・ホワイトの14作目の新作は、全曲オリジナルの珠玉の10曲が並んだ素晴らしい作品。「Good Day」(2009)、「Here We Go」(2012)、そしてこの新作と、近年作は上質な作品が続いて、これはもうピーター・ホワイト・サウンドの完成系。テクニックをひけらかさず、キャッチーなメロディーと、シンプルで流れるようなパッセージのギター奏法は、まるで耳に優しいボーカルのよう。サックス奏者ミンディ・エイベアが参加したM1「Smile」とM7「Hold Me Close」の2曲で、ミンディはサックスを吹かず、コーラスで参加しているのが注目。特に「Smile」は必聴で、コーラスがキー・フレーズを歌う、上質なポップ・チューン。これは、ピーター・ホワイトの新機軸かな。M4「Head Over Heels」は、このアルバムのベスト・ソングだろう。アップ・テンポのメロディーにウキウキする、これぞピーター・ホワイトの定番形。ゲストのリック・ブラウンとの掛け合いも聴きもの。M3「Floating In Air」も、透明感のある明るいメロディーを奏でるホワイトのギター、これこそ彼のスタイル。M9「Don Quixote’s Final Quest」は、アタックの強いスパニッシュ奏法を披露した演奏で、ギタリストとして巧者を印象付ける曲。M10「Awakening」は、ユージ・グルーヴがソプラノでゲスト参加した曲で、これも美しいバラード曲。言ってしまえば、いつも通りのピーター・ホワイトだけれど、これがいいんです。新作だけれど、もうこの「続き」が聴きたくなってしまう、というアーティストもなかなかいないですよ。

2014年10月19日 (日)

Gregg Karukas 「Soul Secrets」(2014)

Soul_secrets

スムーズ・ジャズといっても百花繚乱。どちからと言えば、スムーズ・”ポップス”や、スムーズ・”R&B”、が主流かな。インスト版ヒット・ポップスのような、キャッチーなキー・フレーズを繰り返すスタイルがトレンド。クロスオーバーやフュージョンの信奉者としては、やっぱりジャズにアクセントを置いたスムーズ・”ジャズ”が本流だと支持したい。その「本流」のピアニストと言えば、この人、グレッグ・カルーカス。ちなみに、スムーズ・ジャズ系ピアニストの個人的なベスト・プレイヤーを3人選ぶとすると、間違いなしの当確は、グレッグ・カルーカスでしょう。同時に、ブライアン・シンプソンに、ダン・シーゲル。次点は、ブライアン・カルバートソンジョナサン・フリッツエン、というところかな。 さて、カルーカスのキャリアは80年代後半から、すでにソロ作品も11アルバムに及ぶ。近年作品では、2009年の「GK」は、全11曲、佳曲揃いの彼のベスト作品。彼のアコースティック・ピアノの美しい音粒はもちろん印象的だけれど、スキの無いオーケストレーションがゴージャスで上質な作品だった。でも、個人的には、その前の作品、「Looking Up」(2005)がベスト作品。彼のアコースティック・ピアノが主役で、クワイエット・ストームなムードが漂うアダルトな秀作だった。近年のスムーズ・ジャズ作品の中で、アコースティック・ピアノの代表作といったら、「Looking Up」に票を入れたい。さて、5年振りの新作は、「GK」のようなオーケストレーションを駆使した作品ではなく、音も演奏もヒューマンな感じの伝わる秀作。ゲスト演奏も素晴らしいけれど、カルーカスのピアノ演奏がなにしろ主役なのが嬉しい。右手のパッセージと、さりげない左手のコードワークから繰り出す音がリアルに聴ける録音も秀逸な作品。全14曲、レコードなら2枚組のボリュームだろうに、いずれも佳曲揃い。バラエティな全14曲は、5つの「セッション」もしくは曲想に分けられる。

[A]:このセッションがハイライトで、サックス奏者、ヴィンセント・インガラがフューチャーされた5曲。若いインガラの、枯れたサックス演奏が、いずれの曲も完成度を高くしている。アルバム冒頭を飾る M1「Do Watcha Love」はゴスペルで、M7「Snack Shack」はリズム&ブルースで、2曲ともタイトなリズム・セクションと、カルーカスのフェンダープレイ、艶っぽいインガラのサックス、がファンキーなハイライト・トラック。M6「Only You」はバラード、M9「Secret Smile」はミディアムテンポ、いずれも2人のデュオによるインタープレイが美しい。M11「Walking On Air」は、コンテンポラリー・ジャズ的な演奏曲。カルーカスのピアノと、インガラのサックスのインプロヴィゼーションが堪能できる。

[B]:クールで、コンテンポラリーな曲想の2曲。AORといっていい、アーバンな仕上がりのベスト・ソング。M2「Soul Secrets」は、リック・ブラウンのトランペットをフューチャーした曲。M4「Elegant Nights」は、ゲストはいないけれど、カルーカスのアコースティック・ピアノ演奏だけで聴かせてくれる、沁みるいいー曲。

[C]:リズム&ブルース色のファンキーでちょっとディープといっていい3曲。M3「GK’s Funky Joint」は、ユージ・グルーヴがゲストで、カルーカスはフェンダーを演奏。M12「Told You Twice」も、フェンダーで奏でるゴスペル調ブルース。M13「Randy Heads Uptowon」は、チョッパー・ベースで始まるノリは、80年代フュージョンのようで、アコースティック・ピアノもファンキーで、ちょっとリチャード・ティーのいたスタッフを思い出す。

[D]:ブラジル系リズムのトラックが2曲。ボサノバのM5「Rio Drive」は、コーラスが加わったセルジオ・メンデス的な曲。リック・ブラウンに加えて、ルイス・コンテ(パーカッショニスト)が参加したM8「Cafe Agogo」は、本物級で、カリビアン・スタイルの盛り上がるカルーカスのピアノが聴きもの。

[E]:ヒーリング・ムードな、情景的でニューエイジ・スタイルの2曲。M10「Above the Clouds」は、ニューエイジ系バイオリニスト、チャーリー・ビシャーラットが参加したバラード。感傷的なバイオリンと、ピアノのインタープレイが聴きもの。M14「Time Alone」は、ヒューマンなメロディーを奏でるピアノが、ニューエイジな沁みる曲。前半は、ほとんどカルーカスのピアノ・ソロで、後半はブラジルのギタリスト、リカルド・シルベイラのスパニッシュ・ギターが絡んで、最後にチャーリー・ビシャーラットのバイオリンがしめるという、映画音楽的な曲。

ファンとしては、満足の14曲。次は、ヴァイブレーション全開のバンド演奏で、彼のピアノのアドリブが堪能出来るライブ録音を出して欲しいなあ。

2014年10月13日 (月)

Al DeGregoris 「All In Good Time」(2014)

Allingoodtime

キーボード奏者、アル・デグレゴリスの3作目になる新作は、ギタリストのニルスがプロデュースした作品というのが注目。ただし、ジェフ・ローバーとの共作共演の2曲を含んでいる。ジェフ・ローバーとの2曲は、M4「Hey You」とM7「Abloute」で、いずれも、聴いたらすぐに分かるローバー・スタイルのファンキー・フュージョン。なにせ、一緒にセッションしているのが、チャック・ローブに、ジミー・ハスリップ、エリック・マリエンサル、というから、ジェフ・ローバー・フュージョンと、ジャズ・ファンク・ソウルが合体したような、オール・スターズのような面子。ローバーとデグレゴリスの二人のフェンダーローズのチェイス・プレイと、リズム・サポートのグルーヴは聴きもの。さて、ニルスのプロデュース曲は、こちらも聴いたら納得の、ニルス節といっていい演奏が並んでいる。ニルスのギターの替わりに、デグレゴリスのキーボードが乗ったようなサウンド。M2「Into the Night」は、ニルスのオリジナル曲で、ニルスのおなじみワウワウ・コード・ストロークから始まる演奏。シンプルなメロディーでスウィングするアコースティック・ピアノが印象的な、スムーズ・ジャズ・トラック。ニルスがデグレゴリアスと共作した作品が3曲、M1「JD’s Groove」、M6「All in Good Time」、M10「Connect the Dots」。いずれも、デグレゴリスのキーボードを除けば、ニルスのワン・マン・バンドのようなファンキー・トラック。デグレゴリス自身のオリジナル曲、M3「Sunnyside」は、ミディアム・テンポで奏でるピアノが美しい曲。作曲の才能も秀逸な人で、M8「After a Rain」や、M9「Tranquility」は、美しいマイナーな曲。ピアノは、ソフトに奏でる奏法が印象的で、これがこの人のスタイルかな。

2014年10月12日 (日)

スムーズなシングル盤㉒

Night Staycool Masterpiece

ヨーロッパ系アーティストの新作3枚。ハンガリー出身のピート・プロジェクトは、ピートことピーター・フェレンツが率いる5人編成バンド。バンド編成とはいえ、バイオリン奏者のピートが中心のポップ・インストルメンタル・バンド。フル・アルバムは、「Pink Spirit」(2010)、「Turn You On」(2011)、「Overseas」(2013)をリリースしている。この新作シングル「Night Is Fallin’」は、制作中の4枚目のアルバムからの先行カットらしい。クロアチア出身のイゴール・ジェルジーナは、骨太でファンキーなサックス奏者。アルバム「One Click World」(2013)、その後のシングル「Summer Breeze」、いずれも好感度の高い作品だった。この新作シングル「Stay Cool & Play Sax」は、タイトルそのままの、ハードボイルドなファンク・ナンバーで、注目の作品。スウェーデンのキーボード奏者、マティアス・ルースの新作シングルは「Masterpiece」。この作品のゲストのサックスは、グレッガー・ヒルマンという人で、この人もスウェーデンのスムーズ・ジャズ系のサックス奏者。同じスウェーデン出身のジョナサン・フリッツエンの作品にも参加演奏がある人。いずれの3枚とも、8ビートのダンス系の「ノリ」が特徴。踊れるスムーズ・ジャズというのが、ヨーロッパのトレンドなのかな。

2014年10月11日 (土)

Kim Waters 「Silver Soul」(2014)

Silversoul

アーバンでロマンティックなシルキー・トーンのサックスと言ったら、この人でしょう、キム・ウオーターズ。「My Love」(2013)に続く、彼の新作は、キャリア25年を記念した作品。25年記念を象徴する「シルバー」を冠したタイトルになっている。全12曲アーバン・ムードの曲がずらりと並んでいて、ちょっとクラシックなスウィート・ソウルの作品だけれど、これがこの人の持ち味。8曲はウオーターズの自作もしくは共作の曲で、カバーが2曲。ジョン・レジェンドの大ヒット曲M7「All of Me」は、ソプラノ・サックスが原曲を忠実に奏でる美しいカバー・バージョン。M8「Fireflies」は、劇場型の盛り上がるバラード曲で、ゼンデイヤがボーカルで参加した曲。ゼンデイヤ(コールマン)は、テレビドラマシリーズの「シェキラ!」に出演している18才の人気女優。「Fireflies」はゼンデイヤのデビュー・アルバムに入っていた彼女の持ち歌の再演。ゼンデイヤとウオーターズのつながりが、いまいち分からないのだけれどね。記念の作品らしくウオーターズのファミリーが参加している。妻のダナ・ポープがボーカル参加したM5「Anything You Need」や、実娘のカイラ・ウオーターズはピアニストで、M1「Dreaming of You」で共演している。R&Bボーカリスト、エリック・ロバーソンが参加したM12「Laying Beside Me」は、ロバートソンのボーカルと、ウオーターズのサックスのスィート&メローな絡みが聴きもの。M4「Go-Go Smooth」やM6「Crusing Round Rock」は、ウオーターズのサックスが軽めにスウィングする、ライトなダンシング・チューンで、これぞウオーターズの「定番」という感じで嬉しい。泣きのバラードは、M3「Stay Together」で、ウオーターズのエキゾチックなサックスの音色に、グッと、きますよ。

2014年10月 5日 (日)

John Tropea 「Gotcha Rhythm Right Here」(2014)

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ちょっと、ガツンとくるフュージョンでも聴きたいなと思っていたら、ありました。それも、70年代のフュージョン・ファンならご存知、ジョン・トロペイの新作。ジョン・トロペイといえば、ニューヨークのセッション・ギタリストで、70/80年代のデオダートや、デビッド・サンボーン、ラロ・シフリンのアルバムや、ランディ・ブレッカー、リチャード・ティー、スティーヴ・ガッド、デイヴィッド・スピノザといった名うてのセッション・ミュージシャン達と同時期の活躍が記憶に残るギタリスト。ポップス系のセッションにも多数参加していて、ポール・サイモンの「Still Crazy After All These Years」の「50 Ways To Leave Your Love」で聴けるジョン・トロペイのギターは名演。ちなみに、ジョン・トロペイは「Tropea 10 The Time Is Right」(2007)というソロ・アルバムで同曲をインストで再演している。オリジナルにほぼ忠実なアレンジ、包み込むようなイントロや、ビート・インしてからのファンキーなギターは必聴ものです。さて、この新作はその「Tropea 10〜」以来7年振りの作品。レコーディング・メンバーは、スティーヴ・ガッド、ウィル・リー、ルー・マリー、ランディ・ブレッカーなど、フュージョン・ファンなら狂喜乱舞しそうな面子。プロデュースとオーケストレーションをトロペイと共にまとめているのは、キーボード奏者のクリス・パルメイロ。ホーン・セクションは攻撃的で、疾走するトロペイのギター・パッセージは、色なら極彩色と言っていいほどカラフル。タイトル曲のM12「Gotcha Rhythm Right Here, Pt.2」はもちろん、M2「Black Eyed G’s」、M3「Sould Surfin’」、M4「7th Avenue South」と続く、パワフルでキックな速射砲さながらのグルーヴには卒倒しそうだ。M6「Always in My Heart」は一転超メローなギターで、パット・メセニー的だけど、なんのことはない、メセニーがトロペイ的だと証明できる美しい演奏。M8「Bikini Beach」は、掘り出し物の曲で、70年代のクロスオーバーのような、キャッチーでポップなインスト。知らずにFMの番組で流れたら、身を乗り出しそうなグッド・ソング。御年70才近くという、ジョン・トロペイ。スムーズ・ジャズなんて目を向けず、フュージョン一筋のスタイルに脱帽。

2014年10月 4日 (土)

Dennis Angel 「On Track」(2014)

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トランペット/フリューゲルフォーン奏者、デニース・エンジェルの新作アルバム。この作品の前に、「Timeless Grooves」(2012)という作品を出している。デニースのキャリアの詳細は分からないけれど、どちらもプロデューサーがジェイソン・マイルスという人。ジェイソン・マイルスは、ジャズ・キーボード奏者で、マイルス・デイビスの「Tutu」や、デイビッド・サンボーン、ルーサー・バンドロスのレコーディングに参加した経歴の持ち主。自身のアルバムも多数あり、最近は、グローバル・ノイズというグループの中心人物。というわけで、このデニースの作品は、ジェイソン・マイルスの料理によるレトロなジャズのムードを感じさせる作品。ハイライトは、先行シングルで出ていて、冒頭を飾る「Soul Strut」。大御所ジャズ・ピアニストのケニー・バロンがピアノを弾いている。ケニー・バロンは、70才を超えて現役のピアニスト。この曲は、デニースのオリジナル曲だけれど、ジャズ・ファンなら誰もがピンと来るに違いない、ソニー・クラークの名曲「Cool Struttin’」(1958)の現代版のような曲。あのハード・バップのムードそのままで、ケニー・バロンがソニー・クラークで、デニース・エンジェルがさしずめアート・ファーマー。サックスはGottfried Stogerという人で、デニースとの2管がフロントを固めるファンキー・サウンドに、思わず身を乗り出してしまう。ケニー・バロンの、枯れたピアノもしぶい。でも、わずか4分弱のトラックなので消化不良になってしまう。ケニー・バロンが、もう一曲参加している曲が、M8「Sunset Cafe」。ファンク・ジャズといっていいムード満点の演奏で、デニースのトランペットはチェット・ベイカーのよう。ケニー・バロンのピアノも、サックスも、リズムを刻む、ベースとドラムのビートも、ファンキーのかたまり。ところで、このジャケットは、今年の「ジャケット賞」上げたいくらい、そんなのないけれど。シングルの「Soul Strut」も秀逸。「Cool Strutin’」のあの有名すぎるジャケット、ハイヒールを履いた女性のショットを彷彿とする写真。音といい、この写真といい、グッとくるセンス、脱帽ものです。「Cool Struttin'」が久々に聴きたくなってきた。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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