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2015年2月の記事

2015年2月28日 (土)

Ben Tankard 「Full Tank 2.0」(2015)

Fulltank

ベン・タンカードは、キーボード奏者として、20年超えるキャリア、18枚に及ぶソロ・アルバムを持つメジャー・アーティスト。彼の音楽スタイルから、「ゴスペル・ジャズのゴッド・ファーザー」や、「ゴスペルのクインシー・ジョーンズ」と称されている。その経歴は異色で、6.6フィート(2メートル)の身長がある人で、NBAのプロ・バスケットボールの選手であったが、怪我で挫折、音楽キャリアを始めた。今では、音楽プレイヤーやプロデューサーに加えて、自己のレーベル、トリビュート・レコードの社長でもあり、NBAではモチベーション・スピーカー(自己啓発演説家)として選手教育にも携わっているそうである。彼のファミリーで出演するTV番組もあって、人気を博しているそう。コンサートには自身の飛行機で出向くという、パイロットでもある。近年作「Full Tank」(2012)は、グラミー賞の6部門でノミネートされたヒット作品だった。さて、その続編を思わせるタイトルが付いた「Full Tank 2.0」が、19作品目となるこの新作。並んだ10曲のタイトルを見ると、例えば「Reach Out and Touch」とか、「Far Beyond Words」や、「Last Minute Changes」、「Every Minute」、「Thicker Than Water」など、クリスチャン・ミュージックの典型的な精神教育路線。でも音楽は、メローなスムーズジャズで、ヒーリング・ムードで貫かれている。M1「Rainy Sunday」は、メローなハイライト曲。タンカードのピアノは、リリカルで洗練されていて心地いいし、客演のポール・ジャクソン・ジュニアのギターも都会的。サックス奏者カーク・ウェイラムの参加した、M2「Reach Out and Touch」も、終始、クールというかまったりとした、サックスとピアノに癒される。タンカードのピアノ・プレイは、時折にゴスペル・フレーズが出るけれど、熱くならず終始クールなところが特色。M9「BENspirations」は、シンセのバックはあるけれど、ほぼソロのピアノ演奏がエモーショナルで印象的な演奏。最後のM10「Thicker Than Water」は、アーバンなムードのある、クールなスムーズ・ジャズ・チューン。この曲は、彼のTV番組の主題曲。その番組の視聴者は1300万人というから、この人の人気はすごいらしい。

2015年2月22日 (日)

Jonathan Fritzén 「Fritzenized」(2015)

Fritzenized

スムーズジャズの中でポップな路線と言えば、この人ジョナサン・フリッツエンが最右翼。前作「Magical」に続いて、洗練されたポップなサウンドがさらに磨きがかかったベスト級の新作。彼のピアノは、シングル・トーンを極出せたプレイが特徴。オン・ビートな曲でも、抑揚を抑えながら、現代的なスゥイング感があるし、ミッド・テンポやバラードでの、メランコリーなフレージングにもグッときてしまう。彼自作のメロディーの素晴らしいところも、この全10曲の新曲で磨きがかかっている。どの曲も、曲想は異なっても、清潔感があって、ソフィスティケートで、分かりやすくて、王道的でポップなメロディー・ラインにはうっとりしてしまう。アメリカのソウルやR&Bとは違うムードは、同じスウェーデン出身スーパー・グループのアバから続く伝統だと形容したら、こじつけ過ぎかな。シングルで先行したM10「A New Beginning」はハイライト曲。シンプルでキャッチー、甘いメロディーとポップなサウンド。これはもう代表的なフィッツエン・サウンドと名付けてもいいぐらいの完成度。アルバム・バージョンは、シングルより少し長いトラックなのが嬉しい。参加しているゲストも注目。ポール・テイラーがM2「Euphoria」、ジェラルド・アルブライトがM5「Celebration」、ニルス・ラングレン(トロンボーン)がM7「Guacamole」。特に、「Celebration」は、強弱のあるドラマチックな曲想で、アルブライトのサックスと、ジョナサンのピアノのビートに乗った掛け合いがかっこいい。M6「Sailing Away」はメローでアーバン・ポップな曲。ジョナサン自身のコーラスが聴けるのだけれど、これがムードを盛り上げる。短いけれど、ジョナサンの弾くメロディアスなインプロヴィゼーション演奏に耳が奪われる。ヘビ・ロテ間違いなしの素晴らしい作品。

2015年2月 8日 (日)

J.LaRoi 「Ear Candy」(2015)

Laroi

J・ラロイは、ニューヨークのギター奏者で、ベースや鍵盤も演奏するマルチ・プレイヤー。「West End of the Sky 」(2013)という作品がデビュー作のようで、その前作に続くこの新作は、素晴らしい作品。CDだったら2枚分だろう、全17曲のボリュームに関わらず、スムーズ・ジャズからコンテンポラリー・ジャズ、フュージョンやラテンにファンクなど、多彩な曲想と、変化に富んだアレンジの表現力、エネルギッシュなグルーヴに圧倒される。まさに、このジャケットの極彩色のペイントが、内容を表しているようだ。M1「5th House of the Sune」は、ポップでキャッチーな曲、スキャットと絡むサックスが爽やかなスムーズ・ジャズ・チューン。タイトル曲のM2「Ear Candy」は、ジャズ・ジャイアンツにオマージュした、ダイナミックなコンテンポラリー・ジャズ演奏。M5「Secrets of Paradise」は、波音や鳥の効果音も入る情景的な曲、アコースティック・ギターがメランコリック。M8「Afro’s & Bell Bottoms」は、オルガンとブラスがパワフルなビート・チューン。M10「Cardina’s Smile」はバラードで、ソプラノ・サックスとアコースティック・ギターがヒーリングなムードの曲。M11「B-More Strut」はファンクなフュージョン曲で、スキャットとギターのユニゾンがかっこいい。M13「Son Bien」は、フランス語(?)のラップから始まるアシッド・ジャズ。M16「A Rose Coloured Life」は、ピアノとソプラノが主役で、視界の広がるドラマチックな曲。多彩な17曲は、情景の浮かぶストーリーのある組曲のようでもある。詳細な演奏クレジットは分からないけれど、情報など無くても、この17曲のドラマティックな展開に、最後まで引き込まれてしまった。久々に感動を覚えた秀作。

2015年2月 7日 (土)

Jarez 「Sexy Saxy, Vol.1」(2015)

Sexysaxy

ジャレスは、ヒップ・ホップのスター・ラッパーのクーリオに見出されたサックス奏者。クーリオとの共演と並行して、ジャレスは2001年から5枚のソロ・アルバムをリリースしている。クーリオの秘蔵っ子という感じで、ジャレスのサックスも、ヒップでファンキーなフレージングが魅力。この新作は、7曲入りのミニ・アルバム。M3「Hold On Tight」がハイライト曲、サックス奏者ヴァンデル・アンドリューをゲストに迎えての、ツイン・サックスが情熱的に盛り上がるのが聴きどころ。ちょっとディープ・ソウルなバラード集で、サックスも官能的で艶っぽいところが、「Sexy」と謳ったコンセプト。ムードを盛り上げたいシチュエーションの時のBGMということで、ビジネス的には狙いの分かりやすい作品。「Vol.1」となっているから、次作もこの路線で続くのかな。明るくファンキーでヒップ・ホップなジャレスの本領は、前作「On Top of the World」(2013)が必聴。ちなみに、そのアルバムの「Can’t Let Go」のプロモーション・ビデオは、クーリオが共演していて、俳優としても評価されている彼のコミカルな演技に注目。

2015年2月 1日 (日)

スムーズなシングル盤 ㉔

Jc Newbeginning Bounce

イギリスのキーボード奏者、ジェイムス・コラーは、今までシングルだけの作品発表。いずれもソフィスティケートされたスムーズ・ジャズ・チューンをリリースするので注目しているアーティスト。新作「Trippin On Your Smile」は、自らのキーボードプレイは控えめで、ギター(キャメロン・ピエール)をフューチャーした作品。アンニュイなムードの佳作。シングルだけでなく、コラーさん、フル・アルバムを出して欲しいなあ。ジョナサン・フリッツエンの待望のニュー・アルバム「Fritzenized」はリリース間近で、そのアルバムから先行シングルが「A New Beginning」。ポップなメロディーと、もうこの人だと聴いたらわかるピアノが嬉しくなってしまう。アルバムには、同曲のロング・バージョンが入るようなので期待。ギター奏者、クレイグ・シャーマットの新曲もなかなかの佳作。イントロは、ゴースト・バスターズを思わせて、 現代的なR&Bサウンドをバックに、ジャンゴ・ラインハルトを彷彿とさせるジプシー・スタイルのギターが冴え渡る。ちょっと異質な組み合わせが新鮮でオリジナルなサウンド。音作りにグレッグ・マニングが参加しているらしい、中判のピアノのソロがマニングかな。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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