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2015年3月26日 (木)

Bickley Rivera 「Breaking the Mold」(2015)

Rivera

スティールパン(もしくはスティールドラム)は、トリニダード・トバゴ共和国の国民楽器。その音色を聴いただけで、カリヴ海に行ったような気分になる。民族楽器の枠を超えて、ジャズやポップスでもポピュラーな楽器で、アーティストも多い。ポップスでは、ビーチボーイズの「Kokomo」(1988)はスティールパンが効果的な名曲の一曲だった。ジャズ界では、モダンジャズのスティールパン奏者ルディー・スミスという人や、フュージョン系ではアンディ・ナレルが有名プレイヤー。パーカション奏者のラルフ・マクドナルドも、トリニダード出身のドラマーであった父親からスティールパンを手ほどきを受けたのがキャリアの始まりという。そのラルフ・マクドナルドが曲作りに関わったグローヴァー・ワシントン・ジュニアの「Just the Two of Us」(1980)は、スティールパン演奏がフューチャーされた名曲。その曲でのスティールパン・プレイヤーはロバート・グリニッジという人で、ラルフ・マクドナルドのソロアルバム「Sound of a Drum」(1976)で、グローヴァーと一緒に客演していた人。さて、そのスティールパンの新鋭女性プレイヤー、ビックレイ・リヴェラの新作がこれ。プロデュースがスティーヴ・オリバーで、参加アーティストは、ウィル・ドナート、トム・シューマン(スパイロ・ジャイラ)、そしてアンディ・ナレルら、スムーズジャズ・アーティストが固めている。スティールパンは、音色だけでカリビアンという感じがいいところでもあり、でも時には鼻に付くところもあるかな。この作品は、そのスティールパンで、あまりカリビアン臭がしない、コンテンポラリーなスムーズジャズのスタイルになったユニークな秀作。M1「Let’s Kick It」は、サックス(ウィル・ドナートかな)とコーラスがフューチャーされたキャッチーなベスト・ソング。M3「Morning Dance」は、ご存知、スパイロ・ジャイラの名曲のカバー演奏で、スティールパンはクールなところが特色。クレジットは無いけれど、エレピはもちろんトム・シューマンだろう。M2「Latin Ride」の曲想とギターは、これは聴いたら分かる、間違いなくスティーヴ・オリバー。ちょっとマイナーなメロディーを、スティールパンで奏でるところが、この作品のオリジナリティなところ。M5「Cool Like Dat」や、M6「Emerald Flow」も同様に、クールでチルアウトな曲想と、スティールパンの組み合わせがなかなかの妙。作品タイトルの「こころ」は、そんな意味かな。

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