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2015年4月の記事

2015年4月29日 (水)

The Sax Pack 「Power of 3」(2015)

Saxpack

ザ・サックス・パックは、ジェフ・カシワスティーブ・コールキム・ウオーターズの3人のサックス奏者によるプロジェクト・ユニット。この新作は、「The Sax Pack」(2008)、「The Pack is Back」(2009)の2枚のアルバムに続く、なんと6年ぶりのアルバム。サックス3管によるアンサンブルは、過去アルバム以上に、パワーアップしてダイナミック。サックスの編成で、ダンシング・チューンを奏でるビート感は、このユニットならではのもの。このユニットの復活は、昨年辺りから話題になっていた。キム・ウオーターズの代わりに、マーカス・アンダーソンが参加して、ツアーを行っていたので、その新生トリオで新作が出るかなと期待していた。理由は分からないけれど、やっぱりオリジナル・メンバー3人が復活してリリースしたのがこの新作。ジャケットにも3人が楽しそうに映っているから、ファンとしては安心。ところが、キム・ウオーターズに代わってマーカス・アンダーソンが参加した「新生トリオ」での録音が2曲入っている。M7「Power Of 3」と、M4「Shine On」の2曲で、おそらくアンダーソンのカラーが出て、ヒップでキャッチーなダンシング・チューン。皮肉にも、この2曲が注目に値するベスト・トラック。アルバム・タイトル曲「Power of 3」が、実はアンダーソン参加の「新生トリオ」だとは、ちょっと複雑な感じ。とは言え、「オリジナル・トリオ」の演奏も、期待以上の秀作が並んでいる。M1「Sooner Or Later」は、サックス・パックらしい、スカッとするスムーズ・ジャズ・チューン。M3「Disco Here」は、サックス・アンサンブルによるディスコ・チューン。M9「What’s the Time」は、ガツンと来ること間違いなしのファンク・チューンで、3管による複雑系アンサンブルのパワー・ブローが圧巻。おそらく、左に定位して聴こえるのがジェフ・カシワで、右がスティーブ・コールで、センターがアルトのキム・ウオーターズではなかろうか。最後の曲は、リック・アストリーの大ヒット曲「Never Gonna Give You Up」のカバー。この演奏は、ジェフ・カシワとスティーブ・コール、2人のサックス・パックによる演奏。ボーナス・トラック的ではあるけれど、ポップなボルテージ全開のなかなかに秀逸なカバー。今年ベスト級の作品。この際、マーカス・アンダーソンも正式に加わって4人のザ・サックス・パックで新作を作ってほしいなあ。

2015年4月26日 (日)

Blake Aaron 「Soul Stories」(2015)

Soulstory

ギタリスト、ブレーク・アーロンの4作目のソロ新作。前作「Desire」(2007)は、スムーズジャズのチャートでロングセラーになった傑作で、スムーズジャズの必聴盤と言っていい一枚だ。その後、「Encantadora」(2011)や、「Groove-O-Matic」(2013)など、シングルが出ていたけれど、やっと大望のフルアルバムの登場。全10曲中、既発表のシングル5曲を含んで、新録音5曲の内2曲がカバー(M4「Europa」とM7「Sara Smile」)で、オリジナル新作は3曲なので、ちょっと新鮮味に欠けるけれど、ポップスからコンテンポラリージャズまでバラエティに溢れる内容は完成度の高い傑作。多くのビッグアーティストのレコーディングギタリストとして、TVや映画音楽を手掛けるなど、コンテンポラリー・ミュージックの多彩な音楽性と、ウェスモンゴメリーや、サンタナに至るまで、ギター・ジャイアンツのエッセンスを吸収したギター奏者としての巧者ぶりを聴かせてくれる。アーロンは自身でDJをするラジオ番組を持っていて、スムーズジャズのアーティストが出演する内容は興味深い。アーロン自身のウェッブサイトでも紹介されているので、チェックされたし。この新作ジャケットの背景に映っているのは、実際のラジオ・ステーションなのかな。M2「Wes Side Story」は、ウェス・モンゴメリーのスタイルを踏襲したコンテンポラリー・ジャズ。アーロンのスウィングするオクターヴ奏法がクール。ジャズ・コンボの演奏で、ピアノはロブ・マリンズ。M8「Story of My Life」は、アコギ演奏で始まるメランコリックなバラード。ムーディーでリリカルなピアノは、これもロブ・マリンズ。カバー2曲、「Europa」と「Sara Smile」は、いずれもオリジナルのムードを逸脱しない正統派のカバーバージョン。サンタナと、ホール&オーツへのオマージュだろう。M10「Encantadora」は、ナジーがフルートで参加した曲。ラテン・ムードの曲調もキャッチーだし、アーロンのギターがスウィングするところが秀逸で、シングルで出ていたとはいっても、これがベスト・トラック。ストリング・アレンジは、クレイグ・シャーマット。二人は同じレコード会社(インナービジョン)ですね。

2015年4月12日 (日)

Diana Krall 「Wallflower」(2015)

Krall

多方面で絶賛されている、ダイアナ・クラールの新作。70年代中心のヒット・ポップスを歌ったカバー集で、選曲もいいし、デヴィッド・フォスターのアレンジ、クラールのボーカル、と3拍子が揃った素晴らしい内容の秀作。何といっても、フォスターのオーケストレーションが素晴らしい。個性の強い名曲のオリジナル・バージョンのムードをそのままに、ストリング中心のオーケストレーションで表現したアレンジメントはまるでマジックのよう。10CCの名曲「I’m Not In Love」は、オリジナルの「シート・オブ・サウンド」が、ストリングスやピアノで表現されて、かつ室内楽のような品位もある解釈で仕上げた感動のバージョン。クラールのボーカルは、低音の魅力が輝いている。スローテンポでストリングスをバックに歌う「Superstar」は鳥肌ものだし、「Don’t Dream It’s Over」の囁くような低音の導入部、「I Can’t Tell You Why」のハスキーな歌い方、それぞれほとんどフェイクせずにオリジナルメロディーを忠実に歌うところも、かえって枯れたところも持ち合わせた、巧者なヴォーカリストであることを聴かせてくれる。取り上げている選曲もいい。イーグルスに、ギルバート・オサリバン、ジム・クロウチ、エルトン・ジョン、ボブ・ディラン、カーペンターズに、なんとクラウデッド・ハウスと来るんだから、もう涙もの。ベビーブーマーが青春時代を過ごした黄金ポップスで、久しぶりに出会った旧友ような懐かしさと感傷を、思わずにいられない。クラールも、1964年生まれだから、リアル・タイムに思い出のある曲の数々なのかもしれない。クラールは、「When I Look In Your Eyes」(1999)や、大ヒットした「The Look of Love」(2001)、傑作ライブ盤「Live In Paris」(2001)など、スタンダードを歌う、正統派ジャズ・ボーカリストだし、ピアニストとしても巧者。今回のポップス・カバー集は、意外な企画のようだけれど、実は、クラールは以前から、同時代ポップスをカバーしていて、それぞれ光った録音を残している。「Live In Paris」(2002)では、弾き語りで歌ったアンコール曲、彼女の同郷カナダ出身のジョニ・ミッチェルの「A Case of You」が何といっても素晴らしい。同じアルバムの最後に入っている、この曲だけがスタジオ録音の、ビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)」は、マイケル・ブレッカーのサックス演奏も必聴の素晴らしいカバー。「Quiet Nights」(2009)では、ビー・ジーズの「傷心の日々(How Can You Mend a Broken Heart)」と、ディオンヌ・ワーウィックで有名な「Walk On By」。クラールがエルヴィス・コステロと結婚した後に作った、「The Girl in the Other Room」(2004)には、ジョニ・ミッチェルの「Black Crow」、トム・ウェイツの「Temptation」、コステロの「Almost Blue」。その7曲を集めたら、”Another Wallflower”といった趣の、いいコンピレーションになるはず。ところで、今回の作品に、ポール・マッカートニーの未発表曲「If I Take You Home Tonight」が収録されていて、話題だけれど、クラールは以前に、ポールと共演している縁があってのことだろう。ポール・マッカートニーが、ジャズ・スタンダードをカバーした「Kisses on the Bottom」(2012)では、クラールと彼女のバンドが録音に参加していたから。ポールはそのアルバム用に3曲を書き下ろして録音したらしい。その時のアウト・テイクがこの曲。マッカートニーの曲というだけで話題だけれど、個人的には、他のカバー作品の方が秀逸だ。今度は、クラールのピアノ演奏をフューチャーして、スムーズ・ジャズの作品を作って欲しいなあ。

2015年4月 4日 (土)

James Lloyd 「Here We Go」(2015)

Lloyd

「ピーセス・オブ・ア・ドリーム」(下記POD)のキーボード奏者ジェイムス・ロイドのソロ作品。バンド「POD」としては、デビューから40年、近作「In The Moment」が20作品目、というロング・キャリアなのに、今作がソロ名義としては初めての作品というから意外。全10曲、電子鍵盤でやるファンク・ジャズ系の数曲を除くと、ポップなムードの曲が多く、そのほとんどでロイドのアコースティックな鍵盤サウンドが堪能できる。M3「Play It Forward」は、ハイライトなポップ・チューン。躍動的なロイドのピアノが何度聴いても飽きないし、作曲を共作したネーザン・ミッチェルのコーラスが開放的で気持ち良い。ミッド・テンポで、フィリー・ソウルっぽいテイストもある、M4「Granted Wish」、M6「Almost There」、M8「Within Reach」、の3曲は、ソロ作品ならでは、ロイドのリリカルなピアノ演奏が堪能できる。「Alomost There」は、美メロのバラードで、作曲者は、チェリー・ミッチェルという人。かつてPODの過去アルバムで曲を提供していたり、サポート・メンバーだったらしい。M5「No Holds Barred」は、ジェラルド・アルブライトが参加した、ファンキーなナンバー。アルブライトとロイドの、いずれもパワフルなフレージングと掛け合いは必聴。PODのもう一人のメンバー、カーティス・ハーモンも、そのうちにソロを出すかな。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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