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2015年7月の記事

2015年7月20日 (月)

Bob Baldwin 「MelloWonder: Songs in the Key of Stevie」(2015)

Mellowonder

ボブ・ボールドウィンは、「Betcha By Golly Wow」(2012)ではトム・ベル作品、「Never Can Say Goodbye」(2010)はマイケル・ジャクソンの作品、それぞれトリヴュートした企画作品が続いて、いずれも秀作。キャリア20周年の記念した「Twenty」(2013)でも、ハービー・ハンコックの名曲「Cameleon」のカバーも傑作な演奏だった。そして、この最新作は、スティービー・ワンダーへのトリビュート作品。スティービーの作品12曲と、ボールドウィンのオリジナル2曲からなる全14曲の素晴らしい力作。ボールドウィンは、曲中で、アコースティック・ピアノと、フェンダーを、持ち替えるように演奏していて、いずれも、その華麗なフレージングに酔わされてしまう。特に、フェンダーの流れるようなアドリブは、アルバム・タイトル通りのメローな音色にうっとりすること間違い無し。スティービーの珠玉の作品を取り上げているから、楽曲の良さで初めから企画勝ちと思いきや、「メロー・ワンダー」と題されているように、全曲スローやミディアム・バラードにアレンジして、メローなムードを演出している演奏内容こそ素晴らしい傑作。M1「The Real Thing」や、M3「Don’t You Worry ‘Bout a Thing」、M4「That Girl」、M5「Lately」、M6「Love’s Light in Flight」などの楽曲は、超有名と言っていい、聞き慣れたメロディーだが、いずれも演奏するボールドウィンのピアノやフェンダーの、フレージングやアドリブが、コンテンポラリー・ジャズとして名演の水準の完成度で、何と心地いいことか。M8「Wonder Wander」と、M9「Stevie」は、ボールドウィンのオリジナルの2曲で、いずれも、ピアノとフェンダーを交互に演奏する出色のバラード。客演のアーティストは、ボールドウィンの秘蔵っ子と言っていいいフルート奏者リーガン・ホワイトサイド、ギター奏者キエリ・ミヌッチ(スペシャルEFX)、サックス奏者マリオン・メドウズ、ギター奏者ユー・ナム、など。いずれも、素晴らしい客演だけれど、特に、ホワイトサイドの参加した、M1「The Real Thing」や、M12「Superwoman」での彼女のサポート演奏が光っている。ボールドウィンは、スティービーの4アルバム、「Music of My Mind」(1972)、「Talking Book」(1972)、「Innervisions」(1973)、「Fulfillingness’ First Finale」(1974)、を、フェンダーや電子鍵盤を多用した先進的な演奏という点で、印象的な作品としてあげている。今回の作品には、「Innervision」から「Don’t You Worry ‘Bout a Thing」、「First Finale」から「Creepin’」、「Music of My Mind」から「Superwoman」、「Talking Book」から「You and I」と「Lookin’ for Another Pure Love」、をそれぞれ選んで入れている。今年のコンテンポラリー・ジャズ作品で、キーボード演奏の傑作になるに違いない必聴作品。もちろん、ボブ・ボールドウィン自身のベスト級作品。

2015年7月19日 (日)

Phil Denny 「Upswing」(2015)

Upswing

「Crossover」(2012)は、アーバンなムードに、洗練されたサックスが印象的で、デビュー作品とはいえ、注目の作品だった、サックス奏者フィル・デニー。その後の「The Messenger」(2013)は、クリスマス企画のアルバムだったけれど、お祭り的なホリデイ・ソングだけでなく、ポップな雰囲気のオリジナルも入って、なかなかにクールな佳作だった。そしてこの新作は、派手なところは無いけれど、サックスとサウンドがさらにソフィスティケートされて、クールなムードがさらに磨きがかかった作品。M1「Diggin’On」で始まる、チル・アウト的で、ヒーリング・ムードのバラードが、このアルバムのカラーを代表している。マイナーなメロディーをタイトなリズムで奏でる、M3「Flutter」は、ゆったりとしたミディアム・バラード。ベース奏者ジュリアン・バーンが参加した、M4「Stand Together」も、低音が印象的なバラード。M7「Upswing」も、タイトルとは裏腹に、淡々としたミディアム・テンポから、セルフ・ダビングされたサックスが複雑に重なるところは、ちょっと未来的であっても、メランコリーなところがクールな演奏。ちょっとマイナーなメロディーを、ゆったりとしたミディアム・リズムで、クールに吹くのがこの人の特徴。M2「Soak It Up」は、比較的にビートを強調したスムーズ・ジャズ・チューンで、デニーのサックスもスィングしていてかっこいい。ピアニスト、オリ・シルクが参加した、M5「Shaken Not Stirred」は、ミディアム・テンポだけれど明るい曲調で、シルクのアコースティック・ピアノと、デニーの軽快なサックスとの、インタープレイが印象的なベスト・チューンで、聴きもの。サウンドのスタイルとサックス演奏も進化して、もう、枯れた感じさえ伝わってくる秀作。

2015年7月14日 (火)

Jim Adkins 「The Journey」(2015)

Journey

ギター奏者ジム・アドキンスの作品は、どこか懐かしいポップスやロックを思わせるメロディーに溢れた秀作。セミアコのシングル・トーンを、丁寧に紡いで奏でるギターが、心温まるグッド・ミュージック。アドキンスの過去作品は、「Just Chillin」(1998)、「Straight Ahead」(2000)、「Turning Point」(2002)、「License to Play」(2004)、「City Streets」(2008)の5作品。3作目の「Turning Point」は、ケン・ナバロのプロデュース作品。「License to Play」からは、アドキンスの自己のレコード・レーベル「クリア・イメージ・レコード」からのリリース。詳細は不明だけれど、この新作も、セルフ・プロデュースで、自己のレーベルからのリリースだろう。カバーが1曲以外の8曲は、アドキンスのオリジナルだと思われるが、いずれもメロディーが素晴らしい。M1「The Jorney」は、メランコリックなマイナー・メロディーがハートフルな曲。M3「So Far So Good」は、リズミックなメロディーがポップな曲。M6「Highway 12」は、軽めのブルースといった感じ。M8「No Ordinary Love」は、唯一のカバー曲で、シャーデーの曲。セミアコで奏でる、飾らないオリジナル・メロディーとパッセージが美しい。アドキンスの奏法は、リー・リトナーやラリー・カールトンの初期の頃の影響が見えるけれど、サウンドは飾りのない、シンプルなプロダクションで、この人の人柄が感じられる。聴いたら、終始、ホッとします。

2015年7月 4日 (土)

Randy Scott 「Serenity」(2015)

Serenity

サックス奏者ランディ・スコットは、スムーズ・ジャズ・ファンなら、押さえておきたいアーティストのひとり。ソロ作品は、「Randy Scott」(1994)から、メジャー・レーベルのトリピン・アンド・リズム・レコードに移籍しての「90 Degrees at Midnight」(2011)まで5作品。プロデューサーとしても、スムーズ・ジャズ・ギター奏者のティム・ボウマンら多数の作品に関わっている。そして、この新作がソロ6作品目。ほとんどの作品が、スコット自身の作曲で、サウンドはメロウなR&B。M1「Cabo」は、キャッチーなメロディーが印象的なハイライト曲。ファンキーなホーン・セクションをバックに、情熱的に盛り上がって行くスコットのサックスが聴きもの。M10「Side Steppin’」は明るくポップな曲だけど、スコットのフレージングに本流ジャズのスピリットが伝わってくる。M5「You’re My Joy」も、明るくポップな曲。サックスのフレージングも、爽快に明るくて、このテイストがスコットのキャラクターかな。M6「Copacetic」は、トランペット奏者リン・ラウントゥリーが参加した曲。二人の掛け合い演奏が聴きもののコンテンポラリー・ジャズ・チューン。スコットの抜けのいいサックスに、グローヴァー・ワシントン・ジュニアが見え隠れする。ソプラノを吹くメロウなバラードが3曲、M7「Heaven Sent」、M8「Mellow Flow」、M9「Serenity」。アルバム・タイトル曲「Serenity」は、ムーディーな佳曲で、スコットのヒューマンなソロ・フレージングに引き込まれる。最後の曲M12「Make Me Over」では、自身のボーカルを披露。多重録音(?)のコーラス・ワークも、サックス同様に爽快なところがいい。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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  • Phil Denny 「Crossover」