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2015年8月の記事

2015年8月23日 (日)

Chris Godber 「Starting Over」(2015)

Godber

チルアウトなサウンドは、熱い夏にもぴったりかもしれない。サックス奏者クリス・ゴッドバーの新作は、この人の持ち味といっていいチルアウト・ムードのサウンドに、終始クールなサックスの音色が、ヒートアップ気味な外気もハートも、少しは冷やしてくれる。デビュー作「One Breath at a Time」(2009)から数えて4作品目の新作。ジャケットの見るからに若々しい外見同様、サウンドもフレッシュだし、スムーズジャズ界の若手サックス奏者が多いといえども、注目株だ。チルアウトなムードだから派手さはないけれど、ファンキーなリズムやR&Bのテイストが抑え気味に見えるところが、都会的で洗練された音作りで、好感度の高い佳作。M10「Starting Over」はハイライト・チューン。ホップするリズムはファンキーで、サックスのR&Bなメロディーが印象的で、ローテーション必須曲。M5「Nu Jack Swing」も、このアルバムの中では比較的ファンキーなリズムとキャッチーなメロディーがグッとくる曲。M7「Lifetime」は、ソプラノで奏でるクールなチルアウト・チューン。ケニーGの大ファンとかで、この曲で奏でるソプラノにそんな影響もあるのかな。全12曲のうち、彼自身のオリジナル11曲に混ざっている1曲のカバーが、M8「At Last」で、ブルース・シンガー、エタ・ジェイムスの代表曲。短い演奏だけれど、ゴッドバーのブルース・ノートを使ったシブい演奏は必聴。次作は、ファンキー・サウンドをバックに、パワフルな演奏を聴いてみたい。

2015年8月15日 (土)

Theresa Grayson 「World Blue」(2015)

Worldblue

サックス奏者テレサ・グレイソンの4作目になる新作。地球を施したフェイス・ペインティングが何ともインパクトのあるジャケット。世界の平和を訴える彼女自身によるメッセージ・ラップで始まり、アフリカ、インド、アジア、ラテンアメリカなど異なる音楽文化を表現したバラエティに富んだ曲想と演奏を、コンセプト・アルバムとしてまとめた意欲作。 M2「Tranz 4 Nation」は、ユーロビートを下敷きに、ソプラノ・サックスが軽快な、ソフトなディスコ・チューン。M3「Radioactive」は、オルタナ系バンド、イマジン・ドラゴンズの2013年のヒット曲のカバー。M4「Sisi Ni Moja」は、始まりのコーラスがアフリカを思わせるけれど、グレイソンのソプラノ・サックスは、浮遊感のあるフレージングと、メランコリーな音選びがリリカルで、コンテンポラリーな演奏は、注目に値するベスト・トラック。M5「Je T’adore」は、グレイソン自身が歌うのはフランス語のボーカル曲。M7「Crane’s Dance」は、シンセで作った「琴」のアルペジオをバックに、ソプラノも「尺八」?。つまりは、日本をイメージさせる曲で、「ありがち」な解釈ではあるけれど、あえて突っ込みを入れるのもヤボかな。M9「Sway」は、ラテンのスタンダード曲、原曲「キエン・セラ」の英語題名曲。ストレートに超有名メロディーを吹くテナー・サックスは、意外に新鮮で爽快。M11「Twenty Five Seven」は、MCのグレイソンへのコールから始まる、ライブ録音(風?)、コンボ演奏によるジャズ・バラード。ストレート・ジャズのフォーマットで聴かせてくれるサックスもなかなかいいし、歌伴をするような枯れたピアノに耳を奪われる。この作品でも、過去作品でも、演奏やアルバム作りを共作している、キーボード奏者テレンス・フィッシャーという人のピアノ演奏かな。ラストに収録されたM13「We Are the World」は、今作品のテーマだろう。小学生を中心にした集団混成コーラスに、オリジナルの名曲を踏まえて、こちらは、グレイソンに続いて、マリオン・メドウズや、カイル・ターナー(サックス)、マイケル・ワード(バイオリン)らのゲスト奏者が、楽器インストでリレーする、まさに平和賛歌。ちなみに、マイケル・ジャクソンを含む40人超のビッグ・スターが一堂に会した「ウィー・アー・ザ・ワールド」が発表されたのは1985年で、今年が30周年ということで、その名曲へのオマージュでもある。これまた、ちなみに、グレイソンは10年以上に渡って小学校の音楽教師でもあるそうで、この曲のコーラスやメッセージに、「先生」としての指導的なコンセプトもあるのかな。かように、グレイソンがアーティストとして、メッセージの主張に加えて、音楽性の力量を示した力作で、評価は旧作「Live2Love」をはるかに超えるはず。

2015年8月 2日 (日)

Lebron 「New Era」(2015)

Newera

サックス奏者レブロン(レブロン・デニス)の新作。前作「Shades」(2013)はデビュー作にして、アダルトでアーバンなムードの好盤だった。新作は、さらに完成度の高まった充実した作品。メロウで、流れるように美しいサックスの音色を聴けば、この人は、いずれ、ジェラルド・アルブライトや、カーク・ウェイラム級のメジャーアーティストになるだろう予感を感じる。所属の「トリピン・アンド・リズム・レコード」の関連アーティスト、ニコラス・コール、ダーレン・ラーン、ジュリアン・バーン、リン・ラウントゥリー、ら「ファミリー」が参加している。従って、サウンドのムードは、彼らの作品と同傾向にあって、「トリピン・アンド・リズム・レコード」のこの「サウンド」が、今や、スムーズ・ジャズのメインストリームと言っていい。レブロンの前作は、ダーレン・ラーンとの共作を含めて、全曲を自身の作曲作品で固めていたけれど、この新作は、全11曲、他人の作品(ダーレン・ラーン、ニコラス・コール、デヴィッド・マンら。)を演っているのが、新機軸、つまり「New Era」かな。このあたりは、自作曲にこだわらず佳曲を並べて、サックス奏者としてパフォーマーと、サウンド・プロデュースに徹した意気込みなのか。M2「Red Hook」は、デビッド・マンの作曲作品で、ハイライト曲。メロウだけれど、センスの良い躍動感のあるメロディーが印象的で、聴いて以来しばらくハマっているヘビロテ・チューン。ブラス・セクションの品の良いバックアップが印象的。ちなみに、デビッド・マンは、80年代後半から活躍しているコンテンポラリー・ジャズのサックス奏者。彼の「Touch」(2001)は、スムーズ・ジャズ・ファンの必聴盤。M1「Shift Change」は、いかにものダーレン・ラーンのメロディー曲。少し情熱的なブロウを聴かせるレブロンのサックスと、躍動感のあるリズムが爽快。M9「Spotlight」は、ジュリアン・バーンが参加した、ビート感のあるスムーズ・ジャズ・チューンで、レブロンと、ニコラス・コール、リン・ラウントゥリー、ジュリアン・バーン、4人が組んだバンド「ジェネレーション・ネクスト」の「グルーヴ」を感じる曲。「ジェネレーション・ネクスト」は、まだシングル「Let It Ride」一枚しか出していなけれど、フル・アルバム出して欲しいなあ。

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