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2015年8月15日 (土)

Theresa Grayson 「World Blue」(2015)

サックス奏者テレサ・グレイソンの4作目になる新作。地球を施したフェイス・ペインティングが何ともインパクトのあるジャケット。世界の平和を訴える彼女自身によるメッセージ・ラップで始まり、アフリカ、インド、アジア、ラテンアメリカなど異なる音楽文化を表現したバラエティに富んだ曲想と演奏を、コンセプト・アルバムとしてまとめた意欲作。

M2「Tranz 4 Nation」は、ユーロビートを下敷きに、ソプラノ・サックスが軽快な、ソフトなディスコ・チューン。M3「Radioactive」は、オルタナ系バンド、イマジン・ドラゴンズの2013年のヒット曲のカバー。M4「Sisi Ni Moja」は、始まりのコーラスがアフリカを思わせるけれど、グレイソンのソプラノ・サックスは、浮遊感のあるフレージングと、メランコリーな音選びがリリカルで、コンテンポラリーな演奏は、注目に値するベスト・トラック。

M5「Je T’adore」は、グレイソン自身が歌うのはフランス語のボーカル曲。M7「Crane’s Dance」は、シンセで作った「琴」のアルペジオをバックに、ソプラノも「尺八」?。つまりは、日本をイメージさせる曲で、「ありがち」な解釈ではあるけれど、あえて突っ込みを入れるのもヤボかな。M9「Sway」は、ラテンのスタンダード曲、原曲「キエン・セラ」の英語題名曲。ストレートに超有名メロディーを吹くテナー・サックスは、意外に新鮮で爽快。

M11「Twenty Five Seven」は、MCのグレイソンへのコールから始まる、ライブ録音(風?)、コンボ演奏によるジャズ・バラード。ストレート・ジャズのフォーマットで聴かせてくれるサックスもなかなかいいし、歌伴をするような枯れたピアノに耳を奪われる。この作品でも、過去作品でも、演奏やアルバム作りを共作している、キーボード奏者テレンス・フィッシャーという人のピアノ演奏かな。

ラストに収録されたM13「We Are the World」は、今作品のテーマだろう。小学生を中心にした集団混成コーラスに、オリジナルの名曲を踏まえて、こちらは、グレイソンに続いて、マリオン・メドウズや、カイル・ターナー(サックス)、マイケル・ワード(バイオリン)らのゲスト奏者が、楽器インストでリレーする、まさに平和賛歌。ちなみに、マイケル・ジャクソンを含む40人超のビッグ・スターが一堂に会した「ウィー・アー・ザ・ワールド」が発表されたのは1985年で、今年が30周年ということで、その名曲へのオマージュでもある。これまた、ちなみに、グレイソンは10年以上に渡って小学校の音楽教師でもあるそうで、この曲のコーラスやメッセージに、「先生」としての指導的なコンセプトもあるのかな。かように、グレイソンがアーティストとして、メッセージの主張に加えて、音楽性の力量を示した力作で、評価は旧作「Live2Love」をはるかに超えるはず。

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