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2016年7月の記事

2016年7月18日 (月)

Elan Trotman's Tropicality 「Double Take」(2016)

Doubletake

エラン・トロットマンの前作「#liveanduncut」は、「エラン・トロットマン・グループ」と名付けたバンド・メンバーとの作品だった。自身の出身地バルバドスのルーツに回帰するような、トロピカルなリズムとアンサンブルが溌剌とした佳作。この新作は、その時以来のメンバーと作ったスタジオ録音。バンド名も、「エラン・トロットマンズ・トロピカリティ」と改名して、パーマネントとして活動するのかな。曲は、トロットマンの過去作品からのナンバーの再演奏。新曲は無いものの、トロピカルでクールな演奏で、どの曲も新しく生まれ変わった。メンバーは、エラン・トロットマンに、スティールパン奏者カリム・トンプソン、キーボード奏者マーク・コープランド、ドラム奏者アンソニー・スティール、ベース奏者ザック・ロチェスター、の5人。トロットマンの過去アルバム「This Time Around」(2009)から3曲、「Love and Sax」(2011)から3曲、「Tropicality」(2013)から2曲、シングル発表だった2曲の10曲が、アルバム発表順に並んだベストな選曲。「This Time Around」と「Love and Sax」は、当時の路線で、都会的なムードのアルバム。そのアルバムからのM3「Lil’ too Late」や、M5「Rain」、M6「Last Dance」などの、ミディアム・スローなR&B曲が、トロピカルなテイストを加わえて、グッとクールでアダルトなムードの曲にアップデイト。そして、どの演奏もオリジナルに比べてロングな演奏が嬉しい。M1「Lovely Day」は、ビル・ウィザースのカヴァー。「This Time Around」の時はインストだったが、今回の演奏では、トロットマンのボーカル入りが新鮮。圧巻は、M9「Smooth N’Saxy」で、10分を超えるバージョン。過去にシングルと「#liveanduncut」でも聴けた演奏より、洗練されたアンサンブルと、中盤からのピアノとスティールパンのアドリブが耳をひきつけるベスト・トラック。先行シングルで発表されていたM10「Thoughts of Summer」は、ウィル・ダウニングがボーカルを務めた曲。こちらもシングルより、ボーカルが入る前に、トロットマンのサックス演奏が入る長いバージョン。ところで、ビデオに映るメンバーは、出身国の国旗を付けていて、すべてカリブ海の国々。トロットマンが、バルバドス。他メンバーは、キューバ(キーボード)、ジャマイカ(ドラムス)、ガイアナ(ベース)、トリニダード・トバゴ(スティールパン)。ルックスはちょっとC調(死語かな)だけれど、もう直ぐオリンピックだから、応援なのかな。

2016年7月17日 (日)

The Rippingtons 「True Stories」(2016)

Jazzcat

ザ・リッピングトンズ(下記リップス)の新作は、結成以来30年を超えて、アルバムは22作目となる作品。ギター奏者ラス・フリーマンの主役は変わらないけれど、久々にバンドとしてのアンサンブル・サウンドが活き活きとしていて、新鮮な秀作になった。サックス奏者は、ジェフ・カシワが退いて、今作品からのサックス奏者は、かつてのメンバーであったブランドン・フィールズが復帰。ブランドン・フィールズは、リップスのオリジナル・メンバーで、デビュー作品「Moonlighting」(1987)から、「Welcome to the St.James’ club」(1990)まで、初期の4作品でメンバーだった。フリーマンと、フィールズ以外の現在のメンバーは、デイヴ・カラソニー(ドラムス)、リコ・ベルド(ベース)、ビル・ヘラー(キーボード)。でも、このアルバムには、ビル・ヘラーのクレジットは無い。アルバムの10曲中、フィールズのサックスが参加しているのは7曲で、それ以外はほとんどフリーマンのワンマン・トラック。M5「Reach Higher」は、フリーマン、フィールズ、ベルド、カラソニーの4人がクレジットされた、唯一のバンド演奏曲。この演奏のアンサンブルはフュージョンのバイブレーションだし、ブランドン・フィールズのサックスは、骨太でファンキーなフレージングで、新鮮なリップス・サウンド。このアルバムで、フリーマンは、ガット・ギターを多用していて、M1「Wild Tales」、M10「True Stories」やM6「Dreamcatcher」で聴ける。ジェフリー・オズボーンの歌声がフューチャーされたキャッチーなポップ曲、M4「My Promise To You」でも、ガット・ギター。特にM3「Flamenco Beach」は、ワンマン演奏のトラックで、フラメンコ・スタイルのソロ・ギターが素晴らしい。M8「Kings Road」では、片やエレキ・ギターが印象的で、フィールズのサックスはパワフルだし、カランスキーのドラム・ソロが「珍しくも」フューチャーされている、ロックのノリを感じさせる、リップスとしての新機軸の演奏。聴きどころが多い多彩な作品だけれど、今度は、メンバーだけのバンド・アルバムを作ってほしいなあ。

2016年7月 3日 (日)

Bob Baldwin 「The Brazilian-American Soundtrack」(2016)

Brazilian_american_soundtrack_cover

ボブ・ボールドウィンの新作、22作目にして初めてのCD2枚組は、「大作」にして「傑作」。前半は、ブラジルのアーティストが参加して録音もリオで行われたという、ブラジルがテーマの14曲。後半は、ニューヨークやアトランタで録音制作されたという、いわばニューヨーク・セッションの12曲。ちなみに、ボールドウィンは、2004年に「Brazil Chill」という作品で、ブラジルをテーマにアルバムを作っていて、今作品で改めてのブラジルというのも興味深い。今作のブラジル・セッションでは、ブラジルのコンテンポラリー・アーティストのカバーを取り上げている。イヴァン・リンスの3曲、M9「Anjo De Mim」、M10「The Island」、M13「Love Dance」、ジャバンのM11「En Te Devoro」、クラシックと言っていいアントニオ・カルロス・ジョビンのM5「Corcovado」も。そのカバーも必聴だが、オリジナルのM1「Funky Rio」、M2「Ipanema Fusion」や、M3「Teardrop」は、出色の演奏。特に「Ipanema Fusion」と「Teardrop」は、強力なハイライト曲。サンバとファンクを彼流にブレンドしたような軽快なリズムに、華麗と言っていいボールドウィンの鍵盤インプロビゼーションの心地よさはこの人ならでは。さて、一方のニューヨーク・セッションのサイドでは、コンテンポラリーなムードの曲が並ぶ。M17「My Soul」は、アコースティック・ピアノと、客演のマリオン・メドウズのソプラノ・サックスがブレンドして、沁みるミディアム・スロウのソウル・チューン。M19「Summer Madness」は、クール・アンド・ザ・ギャングの「名曲」のカバーで、弾けるローズ鍵盤の音色に、ソウルフルなコーラスと乾いたビートがアシッドなムードを漂わせるダンス・チューン。ビートルズの名曲、M20「Yesterday」も、ボールドウェインのエレピにかかれば、ゴスペルな解釈で変身する。この作品で、ボールドウィンは、今年2月に亡くなったモーリス・ホワイトにオマージュを表している。M26「The Message」は、自らホワイトへの賛辞を語ったトラック。M16「The Sound of His Voice」は、まさにホワイトに捧げたという楽曲で、モーリス・ホワイトを思わせるコーラスがグッとくる。M6「Greatest Lover」に至っては、終始のファルセット・コーラスが圧巻で、往年のアース・ウィンド&ファイアーを思わせる秀作。ボールドウィンの縦横無尽な鍵盤演奏と、サウンド・デザインは、2時間超える26曲でも退屈することなど無い、超ベスト級の作品。

2016年7月 2日 (土)

Dave Bradshaw Jr. 「Set Me Free」(2016)

Dave_bradshaw_set_me

フレッシュなキーボード奏者、デイブ・ブラッドショウ・ジュニアのデビュー作品は、注目に値する佳作。アタック感のあるピアノが終始印象的で、カリフォルニア出身だからか、爽快なサウンドと演奏は、カラッとした空気感と視野が広がるグルーヴに溢れている。ダーレン・ラーンがプロデュースと数曲でゲスト演奏に加わっている。ハイライトはM2「Jumpstep」で、ブラッドショウのオリジナルに、ラーンが手を加えた合作。スロウなメロディーを奏でるピアノがクールな曲。M1「West Coast Jammin’」は、ラーンのサックスが絡んでファンキーな曲。M3「Guys’ Night Out」も、ダーレン・ラーンのサックスと、縦横無尽にスウィングするピアノが聴きどころのビート・チューン。M4「Set Me Free」は、メランコリーなスロウ・バラード。ハートにグッとくるピアノも、健康的な表情なのが、この人の特徴。M5「Saboroso」は、哀愁的なメロディーのラテン・リズムの曲。この曲でも、バックのブラスセクションが印象的で、これもラーンのアレンジかな。M6「Back to the Top」は、ポップなメロディーの曲で、ボーカルのスキャットが絡んでピアノと掛け合って高揚する辺りはソウルフルでカッコいい。M10「Moon and Stars」は、リリカルな表情を見せたり、ゴスペル・ビートだったり、この人が多彩な才能のピアノ・プレイヤーであるところを認識できる曲。デビュー作品といえ、全11曲、粒ぞろいの曲と演奏が並んだ秀逸な作品。アウトドアで聴くのにぴったり、爽快な作品。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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