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2016年9月の記事

2016年9月19日 (月)

U-Nam 「Surface Level」(2016)

Surfacelevel

ユー・ナムの「C'est Le Funk」(2014)に続く新作は、いつものベンソン節ギターに磨きがかかった、エンジン全開の秀作。お決まりの路線、80年代のポスト・ディスコ時代をオマージュしたサウンドはさらにパワー・アップ。ユー・ナムの作品ではおなじみの、シャノン・ケネディ(サックス、フルート)や、ティム・オーエンス(ボーカル)等が参加しているが、客演のパフォーマンスは控え気味だし、ボーカルがメインの曲も無いのは、むしろ意外な仕上がり。全曲でギターが主役で、カラフルな音色のギター・リフが縦横無尽に疾走して、今まで以上に意欲的なプレイに感激。M1「Going for Miles」や、M5「Plus de Funk!」、M7「Surface Level」はハイライト・チューン。トレード・マークのベンソン風フレージングがたっぷり聴ける。いずれも、さりげないストリングスや、ホーン・セクションやベースにドラムスの、パワフルなビートは強力。M6「Spice of Life」は、マンハッタン・トランスファーの名盤「Bodies and Souls」(1983)に入っていた名曲のカバー。ブラス・セクションと、ギターの絡みが洗練されたポップ・チューン。M9「The Sound of Music」もカバー演奏で、オリジナルはファンク・バンドのデイトンの1983年のヒット曲。コーラスが絡む、ファンクのビートがたまらない。カバー曲に80年代の選曲をするあたりに、リスナーとしては通好みの志向をくすぐられる。ユー・ナムのギターは、いつもジョージ・ベンソンが代名詞で形容されるけれど、M10「Cool Blue」では、ロニー・ジョーダンを彷彿とする、アシッドなジャズ寄りの演奏が聴ける。このトラックは新鮮で、ファンは必聴。ユー・ナムのギター奏者としての力量が発揮された秀作だし、今年のベスト級のスムーズジャズ・ギター作品。

2016年9月11日 (日)

Tortured Soul 「Hot for Your Love Tonight」(2015)

Torturedsoul

トーチャード・ソウルは、ジョン・クリスチャン・ユーリック(ボーカル、ドラマー)、イーサン・ホワイト(キーボード)、ジョーダン・スカネラ(ベース)の3人によるバンドで、これは久しぶりの新作。2001年に、ユーリックが中心に活動を開始したバンドで、オリジナルメンバーのベース奏者は、Jason JKriv Kriveloffだったが、2010年に脱退して、スカネラに代わった。その音楽スタイルは、80年代のディスコを下敷きに、打ち込みやオーケストレーション無しに、3人の演奏のみでグルーヴするところが魅力。特に、ユーリックのドラムを叩きながらの、ブルーアイド・ソウルな歌声が魅力だし、ブラック・スーツで統一したトリオのルックスもクール。ダンス・ミュージックとはいえ、ファンク・ジャズやハウス系アシッド・ジャズのテイストもあって、ダンス・ビートだけの軟派な印象に惑わされなきよう。この小編成トリオが繰り出す演奏のキレの良さこそ、硬派なファンク・スピリットが魅力なバンド。コアなスムーズ・ジャズ・ファンにこそ聴き逃して欲しくない。リミックスなどを除くフル・アルバムとしては、6年ぶりで3作目となる待望の新作だが、直前にメンバーのイーサン・ホワイトが2015年3月に急死した直後のリリースとなった。クレジットにはイーサン・ホワイトの名前があるので、完成を終えての他界だったよう。初期の代表曲「Home to You」や、「Did You Miss Me」が今でも愛聴曲なファンとしては既視感を覚える曲が並ぶ。M1「I’ll Be There for You」のメランコリーなディスコ・チューンや、典型的なハンド・クラッピングが印象的なM4「Hot for Your Love Tonight」、キャッチーなM3「Don’t Lead Me On」など、踊らなくとも、トリオのグルーヴに感激するトラックが満載。スローなバラードなど無しの、12曲全曲ディスコ・ビートに終始する、これでもかという怒涛のダンス・ミュージック。これぞ、このトリオの主張を感じて爽快な佳作。

2016年9月 4日 (日)

Paul Jackson, Jr. 「Stories from Stompin' Willie」(2016)

Stompin

セッション・ギタリストとして、数々のビック・アーティストと共演している、ポール・ジャクソン・ジュニア。ソロ・アルバムは、1988年のデビュー作品「I Came To Play」を含めて7枚をリリースしている。この新作は、前作「Lay It Back」(2009)から、7年を空けての、久しぶりの作品。全編にフュージョンのバイブレーションが炸裂する傑作。彼のギターはもちろん、リズム陣や客演プレイヤーの演奏が、縦横無尽に交錯して生み出す緊張感は、まるでフュージョン・バトル。M3「B.F.A.M.(Brothers From Another Mother)」は、アルバム中のハイライト曲。ポップなメロディーは、ブライアン・カルバートソンとの共作。ビルボードのSmooth Jazz Songsチャートでも上位にランクインして、ただ今ヒット中。ポールのオクターブ奏法と、マイケル・リントンのファンキーなサックスは思い切りクール。M1「SaSsAY」も、コーラスを交えたヒット性のポップ・チューン。わくわくするようなポールのギター・フレージングは、やっぱり最高。M6「L.A.Express Yourself」は、サックス奏者トム・スコットがゲスト。そうです、70年代のフュージョンバンド「トム・スコットとL.A.エクスプレス」へのオマージュ。タイトルに偽りなし、これぞフュージョンというビートが最高。M2「Down The Road」、M4「Ocean Explorer」、M5「Jazz Police」は、いずれも、ジェフ・ローバーとポールの共作で、演奏もジェフ・ローバーが参加。まるで、「ジェフ・ローバー・フュージョン」に、ポールが参加して、パワーアップしたような演奏。後半の4曲は、ジョージ・デュークをオマージュした、「The Dukey Suite」と名付けられたセクション。M7「Geneva」は、ジョージ・デュークの「Snapshot」(1992)収録曲で、オリジナルにはポールも参加していた。M8「Hip Pockets」は、ビリー・コブハムとジョージ・デュークのバンドのライブ盤「Live On Tour in Europe」(1976)からの曲で、ビリー・コブハムのペンによるもの。オリジナルのギターは、ジョン・スコフィールドだった。このカバーは、文字通りヒップで超ファンクなバンド演奏。ベース奏者アレックス・アルのチョッパーも刺激的だし、ポールのギターの前衛的なインプロビゼーションが、意外だけれど、これが爽快。M9「That’s What She Said」は、ジョージのソロ作品「I love the blues, she heard me cry」(1975)の収録曲。オリジナル演奏に参加していた、ドラマーのレオン・チャンクラーと、ポールとはデビューからの親交というキーボード奏者パトリース・ラッシェンが参加した演奏。アルバム・タイトルの「ストンピン・ウィリー」とは、ジョージ・デュークが、ポール・ジャクソン・ジュニアに名付けた「あだ名」だそうである。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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