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2016年12月25日 (日)

2016年のベスト3+1

今年聴いた作品の中から、独断で選んだベスト作品です。

 

1. ボブ・ボールドウィン 「The Brazilian-American Soundtrack」

近年のボールドウィンは毎年のように新作を発表して、ますます脂がのった活動は精力的。

今年の新作は、オリンピック・イヤーにブラジルをテーマにした作品。ニューヨークでの演奏セットを対にした企画も秀逸な内容。ほぼ2時間半に及ぶ全26曲のボリューム、全曲クオリティの高さは圧巻で感動の力作。

ジョー・サンプル、ジョージ・デュークら巨匠に勝るとも劣らない、現役のプレイヤーとして突出した才能を聴かせてくれる。

2. ユー・ナム 「Surface Level」

ユー・ナムの新作は、彼がジョージ・ベンソンをフォローする演奏スタイルにかたくなに取り組んできて、現時点での頂点と言ってもいい力作。たとえベンソン・スタイルと形容されても、オリジナルの域に届くかのような演奏が情熱的。

90年代のディスコ・ビートを下敷きに、グルーヴ重視のギター・リフが、怒涛のごとく全曲を貫く。ビートのみならず、縦横無尽なギター・テクに惹き込まれる。

 

3. フィリップ・ドック・マーティン 「Pocket Love」

フィリップ・“ドック”・マーティンの新作は、オーソドックスと言っていいスムーズ・ジャズの秀作。奇をてらわない、健康的なサックスの音色が魅力。名作「Two Of Us」も、原曲を崩すことなく、むしろ忠実なアプローチが潔良くて心地いい。

R&Bやポップな曲も並んで、いずれも上品なマーティンのサックスは、グローバー・ワシントン・JRの再来と言ったら褒めすぎかな。

 

 

(次点)デイブ・ブラッドショウ・ジュニア 「Set Me Free」

デイヴ・ブラッドショウ・JRは、デビュー作品とはいえ、完成度の高い作品。「このピアノは誰?」と聞かずにはいられない。サックス奏者ダーレン・ラーンの客演やプロデュースのサポートも好影響。ゴスペル・テイストを感じるアタックなフレーズや、ソフトでメロウなところもある、彼のピアノ・プレイに魅了される作品。

 

 

さて、毎年恒例の、「Sound of The Breeze」のマスター、「洋楽のソムリエ」さんによるベスト作品は。下記がそのコメント再録です。(当サイトと同時掲載です。下記のコメント内のリンクは、当サイトのレヴュー記事です。)

 

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1位 『The Brazilian-American Soundtrack 』Bob Baldwin


内容の濃いアルバムを毎年途切れることなく発表するだけでも評価出来るのに、今回は二枚組 ! 二枚ともそれぞれに特徴があるのだが、筆者はブラジルがテーマであるDisc 1にぞっこんだ。「Ipanema Fusion 」は、今年のベスト・ダンス曲に認定した程である。「コルコヴァード」やイヴァン・リンスの楽曲でもボールドウィンの編曲センスは光る。”横綱が横綱相撲を取った” ということで1位認定。

 

 

2位 『Where I Left Off』Oli Silk


もはや彼に”グレッグ・カルーカスやブライアン・シンプソンの後継者” といった表現は失礼だろう。むしろ、このアルバムで両者を凌いだ観さえある。軽めのグルーヴが心地よいふたつのヴォーカル作品も秀逸だ。「今年の正統派スムーズ・ジャズはこれ! 」という作品を選ぶなら、このアルバムかも知れない。このアルバムのように、一曲一曲に納得がゆくというものは極めて稀である。

 

3位 『Moments Of Change 』The JT Project


全曲をオリジナルで攻めて来たデュオの最新作は、今年のスムーズ・ジャズ・シーンの質を底上げしてくれた一枚だ。このような”らしい作品 “ がシーンに存在する限りはスムーズ・ジャズの行く手は、まだまだ明るい。特に「Limbo」と「Overdrive 」には、他のジャンルでは味わえない爽快感がある。個人的にだが、マスタリングで友人のロン・ボーステッドがかかわっているのも、うれしい。

 

 

次点 『Bonfire 』Ken Navarro


ケン・ナヴァロは1990年代後半から2000年代前半に一旦ピークを迎えたギタリストだ。選者(=筆者) は当時、そんな彼の作品をライセンス契約のもと日本で発売していたのだ。この作品は、彼が再び当時の路線に戻り(「One SummerDay」)、さらには新たな境地に果敢に挑戦したものと捉えるとが出来る。ナヴァロを再評価する契機となる一枚として推奨したい。

 

その他の「推奨盤」

グラミーにノミネートされたChuck Loeb の『Unspoken 』は、グラミー獲得に値する一枚。本来であれば、このような作品がBest “ Smooth Jazz “ Albums というカテゴリーのもとに候補として挙がるべきなのだ。本来であれば” Best 3“ に食い込んでいい作品なのだが、完璧さが鼻について減点した。

「Jazz Times誌」はKim Waters の『Rhythm and Romance』を”スムーズかつ完璧” と評している。異性を恍惚に導く際の極めて上質なBGMとしても使えそう。

The Rippingtons の『True Stories 』も、ベスト級のデキだ。

Gerald Albright の『G』は、マイケル・マクドナルドが唄う「Lovely Day」(ビル・ウィザース)が聴けるというだけでも買う価値あり!

いつもであれば上位に推すEuge Groove の『Still Euge』やMarc Antoine の『Laguna Beach 』は、前作以上には魅力的と思えず、今回はパス。

Peter White の『Groovin’』 は彼のカバー作品が好きな人にはお薦め。筆者には書き下ろし作品がなかったことに不満が残った。

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奇しくも、同じ1位が、「The Brizilian-American Soundtrack」でした!スムーズジャズ・ファンなら必聴の作品です。もう一度聴き通して、今年を締めくくろうかな。

 

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