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2016年12月の記事

2016年12月31日 (土)

Ken Navarro 「Bonfire」(2016)

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ケン・ナヴァロの23作目となる新作は、例によって彼自身のワンマン多重録音。彼のアイコンであるナイロン弦ギター演奏に限らず、今まで以上に多様な楽器をこなして、ワンマンのスタイルが進化したことろが聴きどころ。特に、ホーンセクションやストリングまでこなして、それらを効果的に使った重厚なアレンジが素晴らしい。 M1「My Best Friend」のアップビートな主題をサポートするホーン・セクションが、スリリング。M2「Refuge」は、ベスト・トラックだろう。イントロから始まるホーンセクションとストリングス、中盤からエレキギターで展開する曲想はドラマチック。 M5「One Summer Day」は、いつものナヴァロ節のロマンティックなメロディーで定番的1曲。それでも、上品なバックグランドのホーンセクションが新鮮。M6「Hammocks & Swings」の、ミュート・トランペット演奏。M9「A Dozen Roses」では、アコースティック・ピアノとベース・ギター。いずれも、ワンマンで演奏しているとは信じられないほど、完璧なオーケストレーション。M10「Glen Echo」は、ストリングスとホーンだけで奏でる、クラッシックの小品のような曲。これがワンマン演奏とは。感激。

2016年12月30日 (金)

第59回グラミー賞ノミネート作品

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59回グラミー賞の、「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門のノミネート作品は、次の5作品。受賞決定は、2017年2月13日。

「Human Nature」Herb Alpert
ハーブ・アルパートは、近年の「Steppin’ Out」(2013)で、「ベスト・ポップ・インストルメンタル・アルバム賞」を受賞。その後も、「In The Mood」(2014)、「Come Fly With Me」(2015)と、80歳(!)を超えて、精力的に新作をリリースしている。新作「Human Nature」は、マイケル・ジャクソンの表題曲や、オリジナルの「Doodle」など、打ち込みのディスコ・ビートを多用したアレンジが新機軸。個人的には、オリジナルの「Mystery Mann」がジャズ・ムードのポップ・チューンで、一番光っている。
「When You Wish Upon Star」Bill Frisel:
奇才のジャズ・ギタリスト、ビル・フリーゼルは、前作「Guitar In The Space Age」で、第58回グラミー賞候補作になったので、2年連続。前作ではビーチ・ボーイズやベンチャーズを取り上げたり、ジャズの範疇にとらわれず、進歩的にテーマに取り組むところが芸術的で、グラミーに評価されるのかな。今回は、映画音楽の作品集。タイトル曲や「The Shadow Of Your Smile」「Moon River」「The Godfather」などポピュラーな曲を取り上げている。フレーゼルのギターや、ビオラ奏者の入ったバンド・サウンドは、フォーキーで牧歌的。ボーカルは、ジャズ・ベーシストのチャーリー・ヘイデンの実娘、ペトラ・ヘイデン。
「Way Back Home 」Steve Gadd Band:
2015年に行われた、スティーヴ・ガッドの70才誕生日を記念したコンサートのライブ録音。バンドはマイケル・ランドゥ(g)、ジミー・ジョンソン(b)、ラリー・ゴールディングス(kbd)、ウォルト・ファウラー(tp)の4人。ガッドのリーダー名義のバンド編成としては、25年ぶりという「Gadditude」(2013)の演奏メンバー。「Gadditude」から数曲演奏している。メンバーの巧みな技量と、ライヴならではの奔放なパフォーマンスのフュージョン。
「Unspoken」Chuck Loeb:
チャック・ローブの新作は、曲ごとに、ジェフ・ローバー、ブライアン・カルバートソン、エヴェレット・ハープなど、大物ゲストを迎えての演奏集。どの曲も、ローブの繊細で流れるようなパッセージが美しい。ティル・ブレナーが客演した「Si Se Puede」や、奥様のカルメン・クエスタが歌う「Way Up High」、いずれもボサノバ・スタイルで聴かせるメロウなフレージングは、この人ならでは。
「Culcha Vulcha」Snarky Pappy:
スナーキー・パピーは、「Sylva」が2016年グラミー賞のベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバムを受賞しているので、2年連続のノミネート。このバンドの予想不可能なリズムやメロディーの展開は、攻撃的で終始スリリング。流動的なメンバー構成や、目まぐるしく展開するオーケストレーションは、演劇的でもある。この新作も、このバンドの「尖った」音楽性が発揮された秀作。収録曲の「Tarova」はレゲエとファンク、「Go」はファンクとロック、というように融合的なグルーヴは親近感がわく曲だが、展開は意表も突かれる。
受賞を予想するなら、スナーキー・パピー、ひょっとして、ビル・フリーゼル、かな。スムーズジャズのファンとしては、チャック・ローブのノミネートが嬉しいけれど、スムーズジャズから選ぶならもっといい作品があるのに。スナーキー・パピーの先進的な音楽性は、注目に値する。ただし、リスナーはリラックスすることは許されず、聴くためのエネルギーが必要。でも、聴き終わると爽快感を感じる、不思議で、ちょっと中毒性の魅力。

2016年12月25日 (日)

2016年のスムーズジャズ・ソング15(+1)曲

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今年のスムーズジャズ・ソング、オススメのゴキゲンな15と1曲。

①「Taking Control」ジェラルド・アルブライトの「G」から。グルーヴ全開のパワー・チューン。ホーンセクションもベースも彼の多重録音。サックス以上に、ベース演奏のファンキーなところが必聴。
②「Tuesday Swing」スーパー・ユニット「Juzz Funk Soul」の「More Serious Business」の1曲。ポップなメロディーに乗って、ジェフ・ローバー、チャック・ローブ、エヴァレット・ハープ、3人のスリリングな演奏がたまらない。
③「Overdrive」注目のデュオ「The JT Project」の「Moments of Change」から。疾走感のあるアンサンブルに惹き込まれること間違いなし。
④「Can’t Let Go」ロック・ヘンドリックスの同名デビュー・アルバムから。ポール・ハードキャッスル作品を支えてきた、サックス奏者のソロ作品。官能的なフレージングがたっぷり聴ける。
⑤「Wonderland」ブライアン・シンプソンの「Persuasion」から。共作のスティーヴ・オリバーのテイストがブレンドされた、上品なポップ・チューン。
⑥「Moving On」タイラー・リース「Reminiscence」からの、爽快なポップ・チューン。ポップな曲とはいえ、リースの超テクなギター演奏に注目。
⑦「Take Me Away」オリ・シルクの「Where I Left Off」から。客演ピーター・ホワイトのギターと、シルクのピアノのインタープレイが素晴らしい。
⑧「Soul Vibration」クリス・スタンドリング「Ten」から。浮遊するメロウなサウンドとギターなら、この人。ラウンジ的なグルーヴがカッコいい。
⑨「Bring It」キム・ウォーターズの「Rhythm and Romance」から。文句なしのスムーズなサックスならこの人。メロディ、演奏、鉄板の1曲。
⑩「Sassay」ポール・ジャクソン・JRの「Stories from Stompin’Willie」から。ソリッドなフュージョン・スタイルで、こんなにもポップなギターに感動の1曲。
⑪「East Moon」ドゥリュー・デビッドソンの新作シングル。オクターブ奏法で奏でるソウルフルなフレーズがたまらないミディアム・バラード。
⑫「Mr.Morris」ローマン・ストリートの「Bohemia」から、ヴィンセント・インガラのサックスと共演した曲。
⑬「Twelfth Night」ユージ・グルーヴの「Still Euge」から。ソプラノのメロウな音色がたまらない。
⑭「Triple Dare」BWBの「BWB」から。リック・ブラウン、カーク・ウェイラム、ノーマン・ブラウンのリラックスしたインタープレイが聴きどころ。
⑮ 「Joy Ride」アダム・ホーリーの「Just the Beginning」から。共作のグレッグ・マニングらしいメロディを、ファンキーでソリッドなギターが疾走するビート・ナンバー。
⑯「Midnight Drive」マイケル・リントンの「Second Nature」から。リントンのサックスが歌う、メロウなAORチューン。リントンの泣きのサックスが沁みる。

2016年のベスト3+1

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今年聴いた作品の中から、独断で選んだベスト作品です。

1. ボブ・ボールドウィン 「The Brazilian-American Soundtrack」

2. ユー・ナム 「Surface Level」

3. フィリップ・ドック・マーティン 「Pocket Love」
(次点)デイブ・ブラッドショウ・ジュニア 「Set Me Free」
近年のボールドウィンは毎年のように新作を発表して、ますます脂がのった活動は精力的。今年の新作は、オリンピック・イヤーにブラジルをテーマにした作品。ニューヨークでの演奏セットを対にした企画も秀逸な内容。ほぼ2時間半に及ぶ全26曲のボリューム、全曲クオリティの高さは圧巻で感動の力作。ジョー・サンプル、ジョージ・デュークら巨匠に勝るとも劣らない、現役のプレイヤーとして突出した才能を聴かせてくれる。
ユー・ナムの新作は、彼がジョージ・ベンソンをフォローする演奏スタイルにかたくなに取り組んできて、現時点での頂点と言ってもいい力作。たとえベンソン・スタイルと形容されても、オリジナルの域に届くかのような演奏が情熱的。90年代のディスコ・ビートを下敷きに、グルーヴ重視のギター・リフが、怒涛のごとく全曲を貫く。ビートのみならず、縦横無尽なギター・テクに惹き込まれる。
フィリップ・“ドック”・マーティンの新作は、オーソドックスと言っていいスムーズ・ジャズの秀作。奇をてらわない、健康的なサックスの音色が魅力。名作「Two Of Us」も、原曲を崩すことなく、むしろ忠実なアプローチが潔良くて心地いい。R&Bやポップな曲も並んで、いずれも上品なマーティンのサックスは、グローバー・ワシントン・JRの再来と言ったら褒めすぎかな。
デイヴ・ブラッドショウ・JRは、デビュー作品とはいえ、完成度の高い作品。「このピアノは誰?」と聞かずにはいられない。サックス奏者ダーレン・ラーンの客演やプロデュースのサポートも好影響。ゴスペル・テイストを感じるアタックなフレーズや、ソフトでメロウなところもある、彼のピアノ・プレイに魅了される作品。
さて、毎年恒例の、「Sound of The Breeze」のマスター、「洋楽のソムリエ」さんによるベスト作品は。下記がそのコメント再録です。(当サイトと同時掲載です。下記のコメント内のリンクは、当サイトのレヴュー記事です。)

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1位 The Brazilian-American Soundtrack Bob Baldwin

内容の濃いアルバムを毎年途切れることなく発表するだ

けでも評価出来るのに、今回は二枚組 ! 二枚ともそれぞ

れに特徴があるのだが、筆者はブラジルがテーマである

Disc 1にぞっこんだ。「Ipanema Fusion 」は、今年のベ

スト・ダンス曲に認定した程である。「コルコヴァード」

やイヴァン・リンスの楽曲でもボールドウィンの編曲センス

は光る。横綱が横綱相撲を取ったということで1位認定。


2位 Where I Left OffOli Silk 

もはや彼にグレッグ・カルーカスやブライアン・シンプソンの

後継者といった表現は失礼だろう。むしろ、このアルバムで

両者を凌いだ観さえある。軽めのグルーヴが心地よいふたつの

ヴォーカル作品も秀逸だ。「今年の正統派スムーズ・ジャズはこ

! 」という作品を選ぶなら、このアルバムかも知れない。この

アルバムのように、一曲一曲に納得がゆくというものは極めて稀

である。

 

3位 Moments Of Change The JT Project

全曲をオリジナルで攻めて来たデュオの最新作は、今年

のスムーズ・ジャズ・シーンの質を底上げしてくれた一枚

だ。このような らしい作品 がシーンに存在する限りは

スムーズ・ジャズの行く手は、まだまだ明るい。特に「Limbo

と「Overdrive 」には、他のジャンルでは味わえない爽快

感がある。個人的にだが、マスタリングで友人のロン・ボー

ステッドがかかわっているのも、うれしい。

  

次点 『Bonfire Ken Navarro

ケン・ナヴァロは1990年代後半から2000年代前半に一旦

ピークを迎えたギタリストだ。選者(=筆者) は当時、そん

な彼の作品をライセンス契約のもと日本で発売していたの

だ。この作品は、彼が再び当時の路線に戻り(One Summer

Day)、さらには新たな境地に果敢に挑戦したものと捉える

ことが出来る。ナヴァロを再評価する契機となる一枚として

推奨したい。

 

その他の「推奨盤」 

グラミーにノミネートされたChuck Loeb の『Unspoken 』は、グラミー獲得に値する一枚。本来であれば、このような作品がBest “ Smooth Jazz “ Albums というカテゴリーのもとに候補として挙がるべきなのだ。本来であれば” Best に食い込んでいい作品なのだが、完璧さが鼻について減点した。

Jazz Times誌」はKim Waters Rhythm and Romanceスムーズかつ完璧と評している。異性を恍惚に導く際の極めて上質なBGMとしても使えそう。

The Rippingtons True Stories も、ベスト級のデキだ。

Gerald Albright Gは、マイケル・マクドナルドが唄う「Lovely Day(ビル・ウィザース)が聴けるというだけでも買う価値あり!

いつもであれば上位に推すEuge Groove Still EugeMarc Antoine の『Laguna Beach 』は、前作以上には魅力的と思えず、今回はパス。

Peter White の『Groovin’ は彼のカバー作品が好きな人にはお薦め。筆者には書き下ろし作品がなかったことに不満が残った。

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奇しくも、同じ1位が、「The Brizilian-American Soundtrack」でした!スムーズジャズ・ファンなら必聴の作品です。もう一度聴き通して、今年を締めくくろうかな。

2016年12月11日 (日)

Tyler Reese 「Reminiscence」(2016)

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タイラー・リースは、ナッシュビルを拠点に活躍するギター奏者。この新作は、フルアルバムの4作目。15歳でデビューした、才能溢れるギター奏者。ギター・プレイは、パワフルでプログレ的ロック・ギターから、カントリー・テイストの弾むようなフレーズや、スピード感のあるアドリブのテクニックにコンテンポラリー・ジャズの志向も見える。過去作品には、歌手エリサ・ディースとの、デュオ「The Dease & Reese Project」としての「Life in 20」(2014)という作品もある。エリサ・ディースは、エリサ・フィオリーロ名でプリンスと作品共作やバック・コーラスを務めたこともある人。さて、このタイラー・リース新作。M1「Moving On」は、アコースティックギターで奏でるソフト・ムードのハイライト・チューン。そのポップなメロディーは、どちらかと言えばアルバム中で異色だけれど、流麗なアドリブ・フレーズは必聴。M3「Out of Orbit」は、疾走するリズム・セットとの緊張感のあるフュージョン・アンサンブル。パワフルな彼のギター・プレイこそ、この作品の代表作だろう。M5「Astrotermination」も、パワフルなフュージョン・チューン。プログレ・ロック的でもあるハードな1曲。M6「2Funk」は、ブラス・セクションを従えて、ジェームス・ブラウン的なファンク・チューン。突き抜けるギター・フレーズが爽快。M8「Reminiscence」は、メランコリックなメロディーを、ギターのロング・トーンで奏でるところはサンタナ風。M9「Headed Out」は、マヌーシュス・ウィングな曲で、ジャンゴ・ラインハルトを解釈したテクニックも聴きどころ。最後の曲、M10「Emancipation」は、ハードなロックのアルバムに入ってるような位置付けの、アコースティックギターの音色が清涼感溢れるコンテンポラリーな曲で、そのテクニックにも耳が離せない。まだ若干23歳というのだから、驚き。これからも期待のギタリスト。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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