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2017年5月の記事

2017年5月27日 (土)

Valeriy Stepanov 「New Beginnings」(2017)

Newbeginning

「スカイタウン・レコード」は、ギター奏者ユーナムが創設したレーベル。スムーズジャズに特化した大注目の新興レーベルだ。ユーナム自身以外にも、サックス奏者シャノン・ケネディと組んだ「グルーヴ・リミテッド」も所属アーティスト。いずれも、ファンク・グルーヴに満ちた「音色」が、このレーベルの特色。そして、このヴァレリー・ステファノフが、スカイタウン・レコードの新たなアーティスト。ヴァレリーは、ロシアのイルクーツク出身、モスクワ音楽院の卒業という経歴の持ち主。ロシアや東ヨーロッパで演奏活動や、レコードのリリースもある、若干27才のキーボード奏者。「スカイタウン・レコード」からのこの新作は、素晴らしい才能の発掘であり、「大型新人」の表舞台での登場だ。チック・コリアを思わせるような、力強くかつ技巧派のピアノ・フレージングや、フェンダー・ローズの弾けるような音色とグルーヴが、この人の特色。M1「Happy People」は、チェロやホーン・セクションと絡んで、フェンダーのグルーヴィーな音色が印象的なトラック。M2「Tonight」は、リリカルで疾走感のあるピアノが爽快で、ユーナムも客演した曲。M3「Walk in the Park」は、前2曲からのビートを引き継いだ、ポップなメロディーを奏でるピアノに惹きつけられる曲。M9「In Common」は、明るいミディアム・バラード、ここで聴けるフェンダー・ローズの、流れるようなフレーズにうっとりさせられる。M10「Butterfly」は、比較的このアルバムの中では異色だけれど必聴の演奏。ヒップなコーラスを使ったアシッド・ジャズのムードで、中盤から展開する疾走するリズムでの、速弾きピアノ・フレージングは、この人の「本格派」な音楽性が聴けるトラック。今年のベスト級の作品であり、将来性有望なアーティストの出現。

2017年5月20日 (土)

Norman Brown 「Let It Go」(2017)

Letitgo

ギター奏者ノーマン・ブラウンのソロ10作目となる新作は、ギター・プレイはもちろんサウンド・プロダクション全て、「上質」という点で、右に出る進行形のアーティストは見当たらない、完成度の高いスムーズジャズ作品。アルバムのコンセプトは、ブラウン自身のライナー・ノーツから理解するに、生命や幸福、愛、といった奥深いスピリテュアルなテーマで作られた作品。ブラウン節のギター・フレーズとサウンドは、いつもどおりグルーヴを感じるが、上品で透明感のある音の奥行には、彼の精神的なメッセージが隠れているのだろう。M2「It Keeps Coming Back」、M3「Let It Go」の2曲はいずれも、ミディアム・スロウ・メロディのコンテンポラリー・インスト曲で、上品なギターとサウンドが秀逸なベスト・トラック。M10「Liberated」は、BWB名義のファンキー・チューンで、BWBファンには嬉しいハイライト・トラック。曲中から聴ける、カーク・ウェイラムリック・ブラウン、ノーマン・ブラウンのボーカルとギター、3者の「がっぷり四つ(三つ?)」の演奏は鳥肌モノ。ちなみにノーマン・ブラウンは、過去のソロ作品に、BWB名義の演奏を入れている。BWBのフルアルバムは3枚しかないけれど、それぞれのソロ・アルバムに「隠れた」BWB演奏が見つけられるので、ファンは要チェック。さて、M11「Remember Who You Are」も、BWB盟友のカーク・ウェイラムがソプラノ・サックスで参加した演奏で、ブラウンのフレージングがたっぷり聴けるコンテンポラリー・ジャズな曲。M4「Ooh Child」は、70年代ソウルのヒット曲、兄弟ソウル・グループの先駆け、ザ・ファイヴ・ステアステップスによるミリオンセラーのカバー演奏。こちらのボーカルは、トレイシー・カーターという人で、キーボードも演奏している。また、ノーマン・ブラウンの実娘である3人姉妹のボーカル・トリオ「S.O.U.L.(Sisters of Unbreakable Love)」が参加した、M5「Conversations」、M6「Living Out Your Destiny」の2曲が興味深い。いずれ、彼女たちもメジャー・デビューするだろうから、注目したい。もちろん、ノーマン・ブラウンのプロデュースだろうから。アルバム最後の曲、M10「Man in the Mirror」は、言わずと知れたマイケル・ジャクソンのカバー曲。ブラウンは、アコースティク・ギターを演奏している。ゴスペル・グループの「サウンズ・オブ・ブラックネス」が参加して、アルバムを締めくくる「賛歌」に仕上げている。ところで、BWBのアルバム「Human Nature」(2013)は、マイケルの作品集。そのアルバムの最後の曲も、「Man in the Mirror」だった。聴き比べてみてはいかがかな。

2017年5月 5日 (金)

Cindy Bradley 「Natural」(2017)

Naturalcoversmall

シンディ・ブラッドレイの新作は、サックス奏者デヴィッド・マンを共作者に迎えた作品。「Bloom」(2009)、「Unscripted」(2011)、「Bliss」(2014)の過去3作品では、マイケル・ブルーニングがプロデュースと楽曲の共作を手がけたサウンドのキーマンだったので、この新作での変化が注目。M1「Girl Talk」は、サックス奏者ポーラ・アサートンとの共演で、両者のファンキーな掛け合いが必聴。アサートンの「Ear Candy」(2015)で、ブラッドレイがゲスト共演したトラック「Between You & Me」があったので、今回はお返しということ。いつか、この2人でフル・アルバムを作って欲しいなあ。きっと傑作になるはず。M2「Category A」は、ギター奏者クリス・スタンドリングの共作とゲスト参加した曲で、これはハイライト・トラック。聴いたらすぐに分かる特徴的なスタンドリングのギター・サウンドとメロディ。ブラッドレイのフレージングも、ヒップでアシッドなところが新鮮な演奏。タイトル・トラックのM7「Natural」でも、スタンドリングが参加していて、ブラッドレイとのインタープレイがクールな味が印象的。M6「Clean Break」では、ファンキーなビートに乗るエコーの効いたトランペットが、彼女の傑作アルバム「Unscripted」のムードを思い出す。M9「She Bop」は、スウイング・ジャズを思わせるミュート・スタイルで終始演奏する意欲的な演奏。M3「Everyone But You」はメランコリーなメロディの曲、M10「Crush」は爽やかなメロディの曲、いずれもポップス・チューンと言っていい聴きやすいサウンド。このあたりは、今までに見られない新しい路線だろう。過去作品では、シャープでエッジの効いたサウンドが、この人の持ち味だった。それに比べると、今回は少しソフトなムードの印象が残る作品かな。次作では少しハードなビートの演奏が聴きたい。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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