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2017年6月 4日 (日)

Kirk Whalum 「#lovecovers」(2017)

Lovecovers

カーク・ウェイラムの新作は、ゴスペルとポップスのカバー集。ウェイラムは、ソロに限らず、BWBユニットの活動など、スムーズジャズやコンテンポラリージャズのプレイヤーであるが、「The Gospel According to Jazz」シリーズを代表として、ゴスペル音楽をテーマにした演奏活動に取り組んでいる。今回の新作は、ゴスペルというのか、クリスチャン・ミュージックのカテゴリーに入るポピュラー曲集であり、全曲が歌入りのカバー集。クリスチャン・ミュージックというジャンル自体は、宗教的な違いもあり、日本では馴染みがないが、アメリカのポピュラー音楽界ではメジャーなカテゴリー。歌詞には信仰に基づいた啓示的なメッセージが強い内容ではあるが、カントリーやR&B、ジャズやロックなど多様なカテゴリーがクロスオーバーした音楽シーンで、その分野に特化したメジャー・アーティストも多い。 12曲中には、ビヨンセの「Love Top」(M1)や、スティービー・ワンダーの「Have a Talk with God」(M2)、マービン・ゲイの「God is Love」(M4)、ホイットニー・ヒューストンのカヴァーで有名な「I will Always Love You」(M10)など、ポップスの有名曲もセレクトされている。 参加ミュージシャンには、ゴスペルの名門ワイナンズ・ファミリーからビービー・ワイナンズ、同じくカルヴィン・ワイナンズ。男性歌手ドニー・マクラーキンや、女性歌手ニーア・アーレン、など、いずれもゴスペル音楽界のメジャー級アーティストが参加している。感動的で必聴のトラックは、M11「Tomorrow」。これはワイナンズの名曲(1984)で、メンバーでもあるカルヴィンがボーカルで参加したカバー演奏。過去のニュース速報が引用される演出で、マイケル・ジャクソン、モハメド・アリ、ホイットニー・ヒューストン、プリンス、スティーヴ・ジョブスなど、偉大な人たちの急逝をアナウンサーが伝える。ウェイラムのソプラノ・サックスのなんと美しい音色。ウェイラムがこのアルバムに名付けた「lovecovers」というタイトルは、聖書の言葉からの引用、「愛こそ多くの罪をおおう(cover)」に意味を込めている。つまりは、「love will cover」で、愛をテーマにした「カバー」曲集というわけ。この作品のウェイラムのサックスと演奏は、コンテンポラリーで、清々しく繊細なフレジージングとサウンドに満ちている。スムーズジャズの視線(いや聴線か)でも、ベスト級で魅力的な秀作。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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