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2018年3月の記事

2018年3月24日 (土)

Paula Atherton 「Shake It」(2018)

Shakeit

女性サックス奏者、ポーラ・アサートンの新作は、この人らしいパワフルなサックスが堪能できる秀作。冒頭の曲、M1「Low Rider」は、意表を突かれるカバー曲で、70年代のファンク・バンド、ウォーの代表曲。オリジナルは、1975年のアルバム「Why Can't We Be Friends?」の収録曲。重量級のボーカルが、オリジナルに忠実な構成だが、アサートンのパワフルなフルートが印象的。フルートで、ヘビー・ファンクと来たか。必聴に値します。M5「You Got It」は、ハイライト級のスムーズ・ジャズ・ナンバー。弾けたアサートンのサックスが爽快な演奏。キャッチーなピアノ演奏は、ザ・リッピングトンズのビル・ヘラー。アルバムでは毎回、彼女自身のボーカルも披露するのが定番になっている。M4「Good Love Gone Bad」がそのボーカル・ナンバーで、サックス同様にヘビー・シャウトするブルージーな曲。かと言えば、M7「Say Goodbye」は、ポップなジャンプ・ナンバーで、こちらも彼女のボーカルとサックスが、ノリの良いワンマン・アンサンブル。M8「Shake It」は、ホーン・セクションを従えてリードするサックスと、トランペット奏者シンディ・ブラッドリーの掛け合いが聴きもののファンク・チューン。二人の掛け合いは、同様に、骨太なファンク・ビートのM6「All About the One」でも聴ける。アサートンとブラッドリーは、「ジャズ・イン・ピンク」で共演したり、それぞれのアルバムに毎回ゲスト参加したりと、息のあったところを聴かせてくれる。M9「My Song for You」は、ギター奏者ニック・コリオーネの曲で、彼のギターとアサートンのサックスによるコラボ曲。メランコリーで都会的なメロディーと二人のフレージングが、ハートに沁みるいい曲です。「カリンバ・ミュージック」からのリリースだった前作「Ear Candy」(2015)は洗練された作品だった。今作は「カリンバ」からのリリースではないようだけれど、アサートンの活き活きとしたところが聴けるベスト級作品になった。

2018年3月18日 (日)

Marion Meadows 「Soul City」(2018)

Soulcity_2

スムーズ・ジャズは、定義の確立していないジャンルかもしれないが、それはコンテンポラリーな音楽として、時代と共に変容している音楽だからだろう。派生的には、ジャズを始まりとして、コンテンポラリー・ジャズ、クロスオーバー、果てはフュージョンといったスタイルを経たインストルメンタル(演奏中心の楽曲)が中心なので、ジャズのサブ・ジャンルのようなネーミングになったのではないのかな。今や、そのスタイルは、インストに限らず、ボーカル曲であれ、ジャズやフュージョン寄りから、R&Bやポップ・チューンまで様々だ。ちなみに、「Smooth」を付けたネーミングも、スムーズ・ソウルや、スムーズR&B、といった多々の派生形も生まれている。スムーズ・ロックや、スムーズ・ブルース、スムーズ・ラップなんて、あるのかもしれない。それらは、ジャンルというより、文字通り心地いいミュージックの「くくり」ではないかな。それでも、多様な「スムーズ・ジャズ」の中で、そのメインストリームは、ウェル・アレンジメントで構成されたインストメンタル楽曲で、グルーヴがなくてはならない、というのが筆者のこだわりです。さて、スムーズ・ジャズ界のスーパースター、サックス奏者マリオン・メドウズの新作は、いつも通り間違いのないグルーヴを聴かせてくれる作品。豪華なゲスト歌手を迎えて、ボーカル曲が大半をしめる今作は、「スムーズR&B」の秀作だ。M2「Dreamin」は、女性ボーカリストのマイーザを迎えて、ギター奏者ピーター・ホワイトも加わった、ラテン・スタイルのハイライト曲。M5「Time After Time」は、シンディ・ローパーの名曲カバーで、ボーカルは、ピーボ・ブライソン。M8「Samba De Playa」のボーカルは、ウィル・ダウニング。M9「No Wind, No Rain」は、女性ジャズ・ボーカリストのダナ・ローレンが歌うジャージーな曲。ローレンのハスキーなスキャットと、メドウズのムーディーなソプラノ・サックスに、シャープなアコースティック・ピアノの会話が美しい。歌伴でも、メドウズのリリカルなソプラノは魅了的だけれど、やっぱり彼が主役のインスト曲が聴きたい。インスト3曲の中では、M1「Sould City」が光っている。ゲストは、ギター奏者ノーマン・ブラウンと、トランペット奏者のジョーイ・サマービル。3人のインタープレイが聴きものの、スロウ・ファンクな曲。次作は、この路線でインスト・オンリーの作品を期待したい。

2018年3月10日 (土)

Lin Rountree 「Stronger Still」(2018)

Strongerstill

ビルボードの発表するチャートは100以上に上る。その中には、「Smooth Jazz Songs」というチャートがあって、スムーズジャズの最新ヒットをチェックするには最適の情報源だ。ラジオ局のエアープレイ頻度でチャートインするシングル30曲は、曲名とアーティストを眺めるだけで、最新のスムーズジャズの動きが一目瞭然に分かる。アルバムを対象とした「Jazz Albums」の方も、要チェックだ。今や、スムーズジャズ系作品のチャートインが目立っている。アドリブ主体の伝統的なジャズの固定観念では理解できない様相だけれど、現代に受け入れられているミュージックがJAZZならば、それはスムーズジャズではないかな。さて、最近まで、ほぼ20週間に渡ってチャートインしていた(最高位1位)のが、このリン・ラウントゥリーの「Pass the Groove」だ。キャッチーなメロディーと、彼のミュート・トランペットのクールな響き。ダンサブルなビートに、ドラマチックなエレピのフレーズとホーン・セクションのアレンジで、完成度の高い楽曲になっている。そのヒットしたシングルを一曲目に配した新作アルバムがこの「Stronger Still」で、彼のベスト級の秀作だ。アダルトオリエンテッドで、クワイエット・ストーム的なクールさが、この人のトランペットとサウンドの特徴。この新作は、全10曲が佳曲ぞろいで、統一感のあるサウンドに魅了される。アコースティック・ギターをフューチャーした M2「My Time with You」は、メランコリーなポップ・チューン。M4「Take It Back」は、ギター奏者アダム・ホーリーが参加したソフトなファンキー・チューン。M8「In My Soul」では、サックス奏者マーカス・アンダーソンとコラボするスロウ・バラード。艶っぽいアンダーソンのサックスと、クールなラウントゥリーの掛け合いが聴きどころだ。M10「It Gets Better」は、おおらかな楽曲で、オープンな吹奏法が殊更に爽快で美しい演奏だ。M6「Somthing More」は、ジェシカ・ジョリアのボーカルをフューチャーした最新シングル。さて、チャートインするかな。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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