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2018年5月の記事

2018年5月27日 (日)

Jay Soto 「On The Verge」(2018)

Ontheverg

ジェイ・ソトは、2005年のデビュー・アルバム「Long Time Coming」から活躍しているギタリスト。この新作で、通算7枚目だから多作ではないけれど、スムーズジャズ・ファンなら押さえておきたい、ツウ好みのアーティストだ。デビュー作品は、ポップな楽曲が満載で、彼のギターのフレージングは爽快で、ドライビング・ミュージックにピッタリといった趣きの佳作だった。2枚目の「Stay Awhile」(2007)では、ジェフ・ローバーやポール・ブラウンといった一流どころをゲストに迎えて、さらに都会的で洗練されたサウンドを作り上げた秀作で、今聴いても古さは感じない、ベスト級のスムーズジャズ作品。クリアなシングトーンと、アクセントのオクターブのパッセージが、疾走感と清涼感を感じるグルービーなギター。そして、ポップでキャッチーな楽曲がこの人の特徴で、3枚目の「Mesmerized」(2009)も、そのスタイルが発揮されたスムーズジャズの秀作だった。4枚目の「Morning Glory」(2013)は、彼のピアノ演奏による、ニューミュージック・スタイルの異色の作品。残念ながら、ここでは彼のスムーズジャズ・ギターは聴けない。初期の3枚のスムーズジャズ作品からセレクションされたベスト・アルバム(2013)の後、6作目の「Veritas」(2015)は、またも異色な作品で、全編シンフォニックなオーケストレーションをバックに、ナイロン・ギターを演奏した作品。しばらくは、そんな異色の作品が続いたので、初期ようなスムーズジャズ・スタイルの作品を待望していた。さて、この新作は、なんと、彼自身の歌が中心のボーカル・アルバム。全12曲中、インストは2曲で、10曲がボーカル曲。全曲、彼のオリジナル曲で、70年代後半から80年代のAORやソフト・ロックの路線を踏襲するメロディーとサウンドだ。TOTOや、ケニー・ロギンス、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー、といった懐かしい曲想を彷彿とする曲の数々。彼の歌もなかなかで、歌声はバリー・マニロウ似の感じがするが、どうだろう。貴重なインストの2曲、M3「Yours Truly」、とM7「Got Groove」は、必聴のスムーズジャズ・トラック。特に「Got Groove」の、スピードのあるパッセージが素晴らしい。歌もいいけれど、この人のギターをインストで、たっぷり聴きたい。次作は、原点回帰の全曲インストの作品を出して欲しいなあ。

2018年5月18日 (金)

Greg Adams and East Bay Soul 「Conversation」(2018)

Conversation_2

トランペット奏者グレッグ・アダムスは、西海岸のファンク・バンド「タワー・オブ・パワー」のデビュー(1970年)から90年代初めまで中核メンバーであった人。1995年にソロ・デビュー(「Hidden Agendas」)して以来、2006年まで4枚のソロ作品をリリースしている。彼が率いる「イースト・ベイ・ソウル」は、2009年に「East Bay Soul」でデビューした10人編成のバンドだ。その後、「East Bay Soul 2.0」(2012)、「That's Life」(2015)をリリースして、今作が最新アルバム。編成的には「タワー・オブ・パワー」を彷彿とする、ホーン・セクションが中心となったバンドだけれど、パワフルなホーンのインパクトというより、R&Bをベースにした比較的クールなサウンドが特徴だろう。特に、今作は今まで以上にジャズのムードで、洗練されたアンサンブルが秀逸な作品。 M1「Look Book」は、タイトなリズム・セクションがダンサブルで、グレッグ・アダムスの枯れたフレージングが浮遊するファンキーな曲。M2「Conversation」は、レイド・バックしたムードがクールで、ビック・バンド・ジャズのアプローチを感じさせる曲。M7「Possibilities」は、ホーン・セクションが聴きどころの、ハイライト曲。ギター(マツモト・ケイタ)の終始続くカッティング・プレイがなんともファンキーで聴かせてくれる。M8「Send」は、グレッグ・アダムズのフリューゲルホーンを堪能できるキャッチーな曲で、スウィングするピアノ(ニック・ミロ)のアドリブも聴きどころ。 M3「Quiet Scream」は、ストリングスも入るムーディーな曲で、テナーサックス奏者ダリル・ウォーカーが「唄う」ボーカル曲。ダリル・ウォーカーは、テナーサックス奏者としてホーン・セクションにいるのだけれど、いわゆる「二刀流」で歌っていて、AOR的な歌声で、なかなかのシンガーぶりだ。M9「Where Do We Go from Here」の美メロ・バラード曲では、ノスタルジックな歌声で、スタンダード・ポップスのようなドラマチックな歌い方を披露するし、M10「Try a Little Tenderness」は、オーティス・レディングの名曲のカバーで、ソウルフルな熱い歌いっぷりを聴かせてくれる。ファースト・アルバムの「East Bay Soul」は、複数のゲスト・シンガーを迎えた作品で、ウォーカーの歌は1曲だけだったが、以降の作品では彼のボーカルだけをフューチャーして、今やこのバンドのサウンドに欠かせないシンガーになっている。グレッグ・アダムスは、おそらく70歳で、古希になろうかというベテラン・プレイヤーで、いまだに活発な演奏が聴けるのが嬉しい。ちなみに、タワー・オブ・パワーの方も、50周年を迎えていまも活動中で、エミリオ・カスティーヨ(サックス)やステファン・クプカ(バリトン・サックス)といった結成時からのオリジナル・メンバー多数が中心というから、まさにシルバー世代の、レジェンドなバンドだ。彼らの新作アルバム「Soul Side of Town」は、じきにリリース予定、そちらも聴かねばなるまい。

2018年5月 3日 (木)

Chris Standring 「Sunlight」(2018)

Sunlight

イギリスのギター奏者クリス・スタンドリングの新作は、キャリア20年を祝しての記念碑的な秀作だ。デビュー・アルバム「Velvet」(1988)から数えて、スタジオ作品としては11作目。ほぼ2年にごと、コンスタントに佳作を届けてくれる、スムーズジャズ界の代表的ギタリストで、個人的にもフェバリット・アーティストの一人。アシッドで、ヒップなサウンドと、エレクトリックな音色の浮遊感あふれるギターは、クールなバイブレーションを感じさせてくれる、唯一無二のギタリスト。この新作は、彼のギター演奏、それもインプロビゼーションに比重を置いた内容で、そのクールなグルーヴにたっぷり酔える、素晴らしい作品。いつもの完成度の高い、ポップでダンサブルな曲も、彼の魅力だが、この新作で聴かせてくれるグルーヴ優先のパフォーマンスは、今まで以上にジャズ的で、個人的にはベスト級な内容だ。M1「Static In The Attic」は、レコードのスクラッチ音から始まるところが少し驚かされる曲。スクラッチのノイズと、トークボックスのボイス・エフェクトが絡んだ、ラウンジなムードの背景にファンキーなギターが浮遊するハイライト曲。M2「Aphrodisiac」は、ハンドクラッピングとボイス・エフェクトがヒップな曲。機械的なビートに乗ってスウイングするようなフレージングのなんとクールなこと。ベースとドラムスは、打ち込みではないのに、未来的なビートを感じるリズム・セクションだ。M4「The Revisit」で、ボブ・ジェームスのアコースティック・ピアノ。M6「God Only Knows」(ビーチ・ボーイズのカバー)で、ジョン・ノベロのアコースティック・ピアノ。M2「Aphrodisiac」では、ミッチェル・フォアマンのフェンダー・ローズ、などのゲスト・アーティストが参加した演奏も光っている。CDを買うと、2曲のボーナス・トラックがダウンロードできる。M9「Do Not Adjust Your Set」は、ブランドン・フィールズ(ザ・リッピントンズのサックス奏者)とピート・クリストリーブ(スティーリー・ダンの「Deacon Blues」でのソロ演奏が有名なジャズ・サックス奏者)、二人のテーナー・サックス奏者によるホーン・セクションがサポートする曲。CD本編のバージョンは、ブランドン・フィールズのソロなのだが、ボーナス・トラックは、ピート・クリストリーブがソロを取るバージョンが聴ける。もう1曲は、本編でボブ・ジェームスが参加した「The Revisit」で、ボーナス・トラックはボブのパートを、Hans Zermuehlenという人がシンセを演奏している。ファンにとっては、「お宝」のようなボーナス・トラックが聴けるのが嬉しい。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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