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2018年10月31日 (水)

Skinny Hightower 「Retrospect」(2018)

Hightower retrospectスキニー・ハイタワーは、キーボード奏者で、ドラムやベースも操る、気鋭のアーティストだ。デビュー・アルバム「Cloud Nine」(2016)の後、メジャー・レーベルのトリッピン・リズム・レコードと契約して、「Emotions」(2017)をリリース。そして、精力的に早くもこの新作「Retrospect」をリリース。全15曲、1時間超えのボリュームに、彼の力量が前作以上に発揮された力作だ。縦横無尽な彼のピアノ演奏が発揮された楽曲の数々が並ぶ。彼のピアノは、前作に比べて、よりパーカッシブで、エネルギッシュに響き渡り、圧倒される演奏。数曲のゲストに、サックス奏者コンスタンティン・クラストルニ(Kool & Klean)や、ジャズ・ドラマーのネイト・スミスらが参加しているが、ハイタワーがキーボードに関わらず、フルートやベースなど、多くの楽器演奏とアレンジをこなしている。

「From the Heart」は、コンスタンティン・クラストルニが参加した曲。Kool & Klean での十八番のチルアウト・ムードの印象を覆すような、情熱的なサックスと、グルーヴィーなピアノが交差する佳曲。「Retrospect」は、終始パワフルにフレーズを刻むピアノが圧倒的な演奏。後半の、オルガン演奏も聴きどころのベスト・トラック。「Next to You」は、女性ボーカル(Bebe Merrillsという人)をフューチャーした、メロウなR&Bバラード。ピアノも、メロウな味わいが新鮮だ。「One Way Street」は、ビルボード(Smooth Jazz Songs)にもチャートイン中の、ファンキーなビート・ナンバー。ビートに乗って踊るようなピアノに引き込まれる、キャッチーな曲。「Hold On」は、スロウでメロウな佳曲で、クラストルニのジャージーなサックスと、オルガンのインタープレイが印象的。アルバム中唯一のカバー曲は、「People Make the World Go 'Round」。ご存知、スタイリスティックスの名曲(トム・ベル作曲)。ヴィブラフォン(シンセかな?)が奏でるクールなフレージングを堪能できる、味わい深いカバー演奏。
前作のアルバム「Emotions」をリリースした時に、ハイタワー自身による「Emotions:The Narrative」という著作を出している(アマゾンのキンドル版あり)。内容は、アルバム「Emotions」の全曲の、曲作りの背景や彼自身の心象を著したもの。彼は、デビュー前、5年間に渡り陸軍に服役して、アフガニスタンで従軍していた経験を持っている。実母の他界や、服役後の心的ストレス障害、夫婦関係の苦悩、といったプライベートな事柄も披露している。「私の音楽が、スムーズジャズの世界の大勢から支持されなくても、ただ1人の誰かに楽しんでもらいたい。」と述べているのが印象的。この新作も、彼の音楽に込められた真摯なメッセージを感じ取りたい。

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