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2018年11月 9日 (金)

Paul Brown 「Uptown Blues」(2018)

Paul Brown Uptown Bluesポール・ブラウンは、今や、スムーズジャズ界屈指の売れっ子プロデューサーだ。ボニー・ジェイムス、ユージ・グルーヴ、ピーター・ホワイト、マーク・アントワン、リック・ブラウン、カーク・ウェイラム、ジェシーJ、などなど、ポールがプロデュースしたアーティストは、スター級だけでなく新人に至るまで、枚挙に遑がない。彼の手腕による作風は、アーバンで、メロウで、都会的なムードに溢れたサウンドと楽曲が特色だ。ポールはギター奏者として、ソロ・アルバムも「Up Front」(2004)を第1作として、「One Way Back」(2016)まで、数えて8作品をリリースしている。今までのソロ作品も、都会的なサウンドとコンテンポラリーな楽曲、メロウなギター・プレイが特色の秀作揃いだ。また、ポールは「ブラザース・ブラウン」という4人組のブルース・バンドを組んでいる。同性同名のポール・ブラウンというオルガン奏者と組んでいるバンドである。「Dusty Road」(2016)というデビュー・アルバムも出していて、こちらはポールがギターとボーカルを担当した、濃いーブルース作品となっている。バンドはリトル・フィートを思わせて、ポールのギターとボーカルも、BBキングかなと思わせるところも。
そして、この新作だが、そんなブルースへの傾倒を深めた内容になった。1曲目の「Boogaloo」は、ポールのブルース・ギターと、メンフィス・ソウルばりのホーン・セクションがガツンとくるハイライト・チューン。5曲目の「I Can't Stand the Rain」も、ホーン・セクションや女性コーラスをバックに、ポールがボーカルを披露するブルース曲。メロディーのキャッチーなところは、伝統的なブルースとの違いが現代的な楽曲。「Uptown Blues」は、ポールのギターが主役の演奏。オルガンとリズム・セクションをバックに奏でる、ギターのファンキーなフレージングが素晴らしい。「Blues for Jeff」は、2015年に他界したギター奏者ジェフ・ゴラブに捧げた曲。ゴラブの「Temptation」(2005)は、ポールのプロデュース作品だった。乾いたトーンのブルース・フレーズが、生前のゴラブの演奏を思わせる。
斯くも、今までのソロ作品の傾向と異なって、ほとんどブルース・アルバムと呼んでもいいような作品なのだが、異色の2曲が入っている。愛妻のシンガー、ジャキー・ブラウンの歌声が聴けるバラード「Somebody's Child」と、注目に値するのが4曲目の「Tomorrow Morning」。この曲のボーカルは、なんとケニー・ランキン。ケニー・ランキンは、2009年に肺癌のため他界した、レジェンドなボーカリスト。実は、2008年ごろ、ポール・ブラウンと、マーク・アントワン、ケニー・ランキンの3人は、一緒にコンサートを行っている。その時の模様の一部は、ユーチューブでも見ることが出来るが、ケニーにとっては最後のステージ・ギグだったのかも知れない。公開されているビデオでは、ポールとマークが入ったバンドを従えて、ケニーが、「In the Name of Love」と、この「Tomorrow Morning」を歌っている。ケニーは、ポールと一緒にアルバム制作を準備していて、録音していた1曲なのだろうか。このアルバムに入っているバージョンは、ケニーの歌とガット・ギター、ポールのギターだけのシンプルな演奏。10年を経て、聴くことが出来るケニー・ランキンの遺作が、心に沁みる。

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