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2018年12月23日 (日)

Gregg Karukas featuring Shelby Flint「Home for The Holidays」(1993、reissue 2018)

Gkarukas holidayグレッグ・カルーカスが、93年に出したクリスマス・アルバムが再発されました。これは、スタンダードを中心にしたクリスマス曲を、ピアノ・トリオのフォーマットで演奏した作品です。トリオのメンバーは、カルーカス(ピアノ)、ジョン・レフトウィッチ(ベース)、ジョエル・テイラー(ドラムス)。ボーカルとして、シェルビー・フリントが、12曲中の6曲で唄っています。

カルーカスの作品の中では、唯一のクリスマス・アルバムで、かつピアノ・トリオ演奏という、異色の企画作品です。今になって、日本で再発されるというのも珍しい。理由は、ボーカルで参加したシェルビー・フリントに注目した再発のようです。理由はともあれ、嬉しい再発です。(再発盤の日本語表記は、カルーカスでなく「カルーキス」?となって、ジャケットもおしゃれに新装されていますので、お見逃しないように。)

シェルビー・フリントは、女性シンガー・ソングライターで、61年に自作「Angel On My Shoulder」のヒット曲があります。同曲は、隠れた名曲として、今でも人気と評価の高い曲です。60年代以降はレコード・リリースが少ないこともあり、彼女にスポットを当てて、この作品の発掘リリースとなったようです。

フリントは、70年代には、映画の挿入歌などを歌っています。ウォルト・ディズニーのアニメ映画『The Rescures (邦題:ビアンカの大冒険)』(77年)の中の、「Someone's waiting for you」は、77年度アカデミー賞の「ベスト・オリジナル・ソング」にノミネートされました。80年代には、チック・コリア、アル・ジャロウ、トム・スコットなどのジャズ/フュージョン系のミュージシャンと共演しています。その後、自身のバンドに、グレッグ・カルーカスが参加しますが、それ以来の交流を経て、この作品の共演に至ります。この作品の録音時の彼女は、54才前後で、「Angel On My Shoulder」のキュートさはありませんが、いぜんとして透明感のある歌声が魅了的です。

8曲は、「The Little Drummer Boy」、「The Christmas Song」、「White Christmas」など、クリスマス定番の曲。小気味のいいオーソドックスなジャズ・トリオで、カクテル・バーで聴くような、ライヴ感があり、しゃれたスウィング・ムードが味わい深い演奏です。カルーカスの他作品では聴けない、貴重な演奏です。

フリントの自作曲3曲(うち1曲はカルーカスとの共作)を含む、4曲のオリジナルも演奏しています。いずれも、フリントが唄う曲で、彼女のボーカルもいいですが、歌伴のカルーカスのピアノが、愛着のあるスムーズジャズの味わいで印象的です。アルバム・タイトルの「Home For The Holidays」は、カルーカスとロン・ボーステッド共作による、ミディアム・バラードで、クリスマス定番曲の中では趣が異なりますが、都会的でR&Bムードのフック・メロディーが洗練された光る1曲です。

ちなみに、フリントはカルーカスの他作品にも客演しています。92年の「Sound of Emotion」の中の、「I Keep It Myself」のボーカル。14年の「Soul Secrets」の、「Rio Drive」ではスキャット・コーラスで、彼女の歌声が聴けます。

さて、カルーカスの、「Sould Secrets」以来の新作が待ち遠しい限りですが、今年の3月に、病床にあった愛妻を亡くしたと、悲しい知らせを発表しています。徐々に、前向きに音楽活動を再開したとコメントもあるので、必ずまた新作が聴けることを願っています。

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