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2019年1月 6日 (日)

David Garfield 「Jazz Outside The Box」(2018)

Dg jazzキーボード奏者、デヴィッド・ガーフィールドは、フュージョン・グループ「カリズマ」の中心人物。カリズマ名義の作品としては、「Perfect Harmony」(2012)以降はリリースが無かったので、久々に登場したガーフィールドのソロ新作だ。彼の人脈の広さを証明するように、オールスターのミュージシャンが総出演する感激のセッション集。

「Outside The Box」と銘打ったプロジェクトの第1作で、続けて4作品がリリースされるという。この後は、既にリリースされている「Jammin'」。ボーカル曲が中心になるという「Vox」と、フュージョン演奏が中心の「Stretchin'」。最後は、「Holidays」と名付けられる予定というから、クリスマス・ソング集なのだろうか。

そのプロジェクトの始まりを飾る作品が、「Jazz」と名付けられたこの作品。フュージョン/スムーズジャズのファンにとっては、万華鏡のような内容だ。バージョン違いの3トラックを含む全17曲は、1時間半に及ぶ重量級のボリュームで、力を入れて聴きこまなければいけない。ガーフィールドのオリジナル3曲以外は、11曲がカバー作品。デューク・エリントンの「In a Sentimental Mood」と「Sophisticated Lady」に、「My Fevorite Things」、ホレス・シルバーの「Song for My Father」、といったジャズの名曲から、ジョー・サンプルの「Rainbow Seeker」や、スティングの「Fragile」と「Roxanne」といった選曲リストに、聴く前からワクワクする。

参加している演奏メンバーは総勢90人に及び、豪華絢爛の顔ぶれ。各曲のパーソネルはほとんど違っているので、それぞれのセッションを、長期間に渡って録音したのだろう。昨年、他界したラリー・コリエルとチャック・ローブの参加した曲もあって、記録的な価値のある演奏も並ぶ。マイケル・ランドゥ(ギター)、ラリー・クライマス(サックス)、レニー・キャストロ(パーカッション)、ベニー・カリウタ(ドラムス)、ジミー・ジョンソン(ベース)、ジョン・ペーニャ(ベース)ら、カリズマの主要メンバーはもちろん。アイアート・モレイラ、ランディ・ブレッカー、エリック・マリエンサル、トム・スコット、などなど、近年のジャズ/フュージョンを支える文字通りのオールスターだ。

冒頭を飾る「Fragile」は、重厚なストリングスを配したアレンジが秀逸な、オリジナルを凌ぐような完成度の高いカバー・バージョン。ハワイ出身のベース奏者/シンガー、ブルース・ハマダの唄うクールなボーカルが印象的。

「Harvest Time」は、ガーフィールドのオリジナル曲。彼のピアノが奏でるシンプルで開放感のあるリード・メロディと、エリック・マリエンサルのソプラノが美しい。

「Song For My Father」は、ハイライトの1曲。スティーリー・ダンの「Rikki Don't Lose the Number」の一節と歌詞が挿入される箇所が出てきて、思わず身を乗り出してしまう。知られたことだが、「Rikki 〜」のイントロとリズムは、「〜My Father」を拝借したもの。ガーフィールドのエレキ・ピアノも、「Rikki〜」のフレーズを挟んだりする。そのブレンドを秀逸に隠し味にしたところが、演奏の聴きどころ。コーラスは、シカゴのベース奏者だったジェイソン・シェフと、セッション・ベース奏者ウィル・リーが務める。そのシャープなコーラスは、スティーリー・ダンを彷彿とさせる。バップ時代のファンキーなピアニスト、ホレス・シルバーと、スティーリー・ダンの両者にリスペクトしたに違いない、ファンキーな演奏だ。

「Rainbow Seeker」は、チャック・ローブの流麗なギターが聴ける貴重なトラック。ガーフィールドのピアノも、ジョー・サンプルをリスペクトしながらも、ライバル心を燃やしているような、熱いインプロヴィゼーションが冴え渡る。

「Stolen Moments」は、トム・スコットのサックス・ソロが主役のストレートなジャズ演奏。サポートは、スティーリー・ダンのギター奏者だったデニー・ディアスに、ドラムスはジョー・ポーカロ。ジョーは、TOTOで活躍した、ジェフ(故人)、マイク(故人)、スティーヴのポーカロ三兄弟の父親で、今も現役のレジェンドなドラマー。

「Sophisticated Lady」は、ムード満点のラテン・ジャズ。ホーン・セクションをバックに、盛り上げるレスリー・スミスのボーカルの洒落っ気と、サックス奏者ピート・クリストリーブのソロも、つかみがあって引き込まれる。クリストリーブはジャズ畑の人だけど、スティーリー・ダンのレコーディングにも参加していた人。

「Prophecy」は、ラテン・ビートのフュージョン・ナンバーで、マイケル・ランドゥ、ベニー・カリウタ、ジミー・ジョンソン、レニー・キャストロのカリズマ・メンバーに、エリック・マリエンサルが加わった曲。久しぶりの、エネルギッシュなカリズマのグルーヴが聴けるトラック。

何しろ、聴きどころ満載の、聴き逃せない作品。これからリリースされる「続編」にも期待が高まります。

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