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2019年3月の6件の記事

2019年3月31日 (日)

ジョージ・ベンソンの原点を探る伝記:『Benson: The Autobiography』by George Benson (2014)

Benson ギター奏者ジョージ・ベンソンの自伝。幼少の頃からの音楽キャリアを振り返る回顧録。共著は、音楽ジャーナリストのアラン・ゴールドシャーという人。ゴールドシャーの著作には、ゾンビーズ、アート・ブレイキー、ニルバーナといったミュージシャンをテーマにした評伝やフィクションがある。また、プロのベース奏者でもあるという。本書は、ストレートな物言いや、肩の張らない表現、リズム感のある文体で構成されていて、まるでベンソン自身の語りを聞いているような、臨場感のある伝記だ。

ベンソンがギター奏者として、70年代にCTIレーベルの諸作品で脚光を浴び、「Breezin'」(1976)の大ヒット、シンガーとしても大スターに上り詰めるのは、周知された成功物語だ。ヒット作品を連発する頃のエピソードはもちろん興味深いが、面白いのはスターになる前の若きベンソンの話。10代の頃や、新米ギター奏者としての体験、有名ミュージシャンとの交流談がとりわけ引き込まれる。

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2019年3月24日 (日)

Thom Rotella 「Storyline」(2019)

Storyline_1

トム・ロテラ。年季の入ったスムーズ・ジャズ・ファンならすぐに思い浮かぶに違いない名前。90年代に活躍したギター奏者。1987年から、12作のソロやリーダー・アルバムをリリース。セッション・プレイヤーとしても、リック・ブラウン、ジェラルド・アルブライト、グレッグ・カルーカスなどのスムーズ・ジャズ・アーティストとの共演、また、ドナ・サマー、ベッド・ミドラー、ライオネル・リッチーなど有名スターのレコーディングに参加している。作曲や演奏者としても、多数の映画やTV番組に関わった。

そのロテラの、なんと12年ぶり(!)になるという新作アルバムがリリースされた。12年前にクリスマス企画作品やストレート・ジャズ作品が出ているが、スムーズ・ジャズ・スタイルの代表作品「A Day In The Life」(2002)から数えれば17年ぶりの作品だ。

「A Day In The Life」は、今やスムーズ・ジャズのメジャー・レーベルとなったトリッピン・アンド・リズム・レーベル初期のリリース作品。ロテラの代名詞である、ウエス・モンゴメリーを継承するオクターブ奏法が冴え渡り、洗練されたサウンドとグルーヴは、今もって古さを感じない秀作だ。

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2019年3月22日 (金)

アート・ガーファンクルが歌った映画挿入歌

Sing_soundtrackアート・ガーファンクルは、「キャッチ22」や「愛の狩人」などの映画に出演した俳優でもある。シンガーとしても映画との関係が深く、映画や映像作品の主題歌や挿入歌を歌っている。それぞれのサントラ盤では聴くことができるが、彼自身のオリジナル・アルバムには収録されていない曲も多い。(※印が未収録曲)

 

1.「Bright Eyes」(1979)

アニメ映画「Watership Down(ウォーターシップダウンのうさぎたち)」(1978)の挿入歌。作詞作曲はマイク・バット。イギリスではチャート1位を記録する大ヒットになった。マイク・バットは、初めからガーファンクルを想定して曲を作ったが、了解してもらえるとは思っていなかったとか。ガーファンクルのアルバムは、英国盤「Fate For Breakfast」(1979)に収録。

1999年には、TVシリーズのアニメがリメイクされて、同曲を、アイルランドの大人気ポップ・グループ、ボーイゾーンのメンバーだったスティーヴン・ゲイトリーがソロで歌った。彼のソロ・アルバム「New Begining」(2000)に、そのバージョンが収められている。なお、ゲイトリーは、2009年に33歳で急死。

バットが自身の作品を集めた「A Songwriter's Tale」(2008)では、セルフ・カバーした同曲が聴ける。

余談だが、ネットフリックスと英BBCが、同作品を3Dアニメーションで新作リメイクして、去年の12月に公開。テーマ曲は、サム・スミスの歌う「Fire on Fire」という曲(作曲はサム・スミスとスティーヴ・マックの共作)。

 

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2019年3月17日 (日)

Nelson Rangell 「By Light」(2019)

By lightネルソン・ランジェルは、80年代後半から活躍するサックス奏者。多種のサックスに加えて、フルートやピッコロも多才にこなす。キャリアは30年におよび、90年代のGRPレコードからの作品(7つのソロ・アルバムや客演)で、コンテンポラリー・ジャズのサックス奏者として実力を知らしめた。

ランジェルは、最近のラジオ・インタビューでこのアルバムを「ポップ・ジャズ」と呼んでいた。ブレッカー・ブラザース、デイヴィッド・サンボーン、ザ・クルセイダーズといった、70年代から80年代に活躍したクロスオーバー/フュージョンのスター達が彼のヒーローだったという。ジャズが、ポップスのフォーマットを取り入れたインスト曲が人気を博した時代。ランジェルがGRPで活躍した90年代も、トム・スコット、ザ・リッピントンズ、ボブ・ジェイムス、リー・リトナー、デイヴ・グルーシンといったアーティストが、さらにポップでキャッチーな曲を、何よりグルーヴのある演奏で進化させた。そんな系譜を「ポップ・ジャズ」と呼んでいるのだろう。さて、この新作は、ランジェルのソロ作品として18枚目の会心のアルバム。

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2019年3月12日 (火)

Phillip Doc Martin 「Colors」(2019)

Colorsサックス奏者フィリップ・ドック・マーティンは、現役の歯科医(だから愛称がドック)であり、演奏家でもあるという、ユニークな二刀流キャリアの人。前作「Pocket Love」(2016)は、小気味の良いサックスと、品の良いサウンドがとびきりに心地いい、繰り返し聴いた愛聴盤だった。待ち遠しかった新作が届いた。前作のムードを引き継いで、洗練されたサウンドとキャッチーな楽曲、何よりキレが増したようなマーティンのサックスが魅力を増した秀作だ。

前作同様、プロデュースはマーヴィン・トニー・ヘミングスで、サウンド作りのキー・マンだ。大半の曲のサポート・メンバーは、アーロン・バッキー・バッキンガム(dr)、ジャマール・アンドリューズ(b)、ダニエル・ケリー・ハワード(g)という布陣で、馴染みが無いミュージシャンだが、おそらく日頃の演奏メンバーなのだろう。クレジットは無いが、キーボードの演奏やその他楽器は、おそらく全てヘミングスが手がけたと思われる。大半のオリジナル曲も、前作同様、マーティンとヘミングスの共作に違いない。

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2019年3月 3日 (日)

Al Turner 「This Is」(2018)

This Isベース奏者アル・ターナーは、アール・クルーのバンド・メンバー。クルーの、「Sudden Burst of Energy」(1996)以降のアルバムでは、常連のベース奏者。「The Journey」(1997)、「Peculiar Situation」(1999)でのほとんどの曲のベースは、この人。

90年代初めから、セッション・プレイヤーとして活躍。ボブ・ジェイムス、ティム・ボウマン、ジーン・ダンラップ、リン・ラウントゥリー、トム・ブラクストン、といったスムーズ・ジャズ系のアーティストとの共演や、アレサ・フランクリン、ウィル・ダウニング、といった大物シンガーの作品にも参加。ターナー自身のソロ・アルバムも、「It's Good To Have Friends」(2005)、「Movin'」(2009)、「Sunny Days」(2011)、「Simply Amazing」(2015)と、コンスタントにリリースしている。そして、この新作が、5作目のソロ・アルバム。

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