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2019年3月24日 (日)

Thom Rotella 「Storyline」(2019)

Storyline_1

トム・ロテラ。年季の入ったスムーズ・ジャズ・ファンならすぐに思い浮かぶに違いない名前。90年代に活躍したギター奏者。1987年から、12作のソロやリーダー・アルバムをリリース。セッション・プレイヤーとしても、リック・ブラウン、ジェラルド・アルブライト、グレッグ・カルーカスなどのスムーズ・ジャズ・アーティストとの共演、また、ドナ・サマー、ベッド・ミドラー、ライオネル・リッチーなど有名スターのレコーディングに参加している。作曲や演奏者としても、多数の映画やTV番組に関わった。

そのロテラの、なんと12年ぶり(!)になるという新作アルバムがリリースされた。12年前にクリスマス企画作品やストレート・ジャズ作品が出ているが、スムーズ・ジャズ・スタイルの代表作品「A Day In The Life」(2002)から数えれば17年ぶりの作品だ。

「A Day In The Life」は、今やスムーズ・ジャズのメジャー・レーベルとなったトリッピン・アンド・リズム・レーベル初期のリリース作品。ロテラの代名詞である、ウエス・モンゴメリーを継承するオクターブ奏法が冴え渡り、洗練されたサウンドとグルーヴは、今もって古さを感じない秀作だ。

この機会にそれ以前の作品を聴こうと思ったが、残念ながら全て廃盤で、配信サービスでも見つからなかった。ベスト・アルバムなどを除くと、「Thom Rotella Band」(1987)、「Home Again」(1989)、「Without Words」(1990)、「How My Heart Beats」(1996)、「Can't Stop」(1997)が、「A Day 〜」以前のソロ作品である。YouTubeでは見つかるので、聴いてみる価値あり。同世代でメジャー級のリー・リトナーにも劣らないグルーヴのあるプレイヤーだと思う。

さて、長い沈黙を破っての新作は、スムーズ・ジャズではなく、ストレート・アヘッドなジャズ演奏作品。「A Day〜」の後の作品、「Out of Blue」(2007)もストレートなジャズ作品だった。冒頭の「Odd Ball」から、モンゴメリーばりのオクターヴやコード奏法でグルーヴするジャズを聴かせてくれる。

演奏曲も、「Four On Six」(ウェス・モンゴメリー)、「Round Midnight」(セロニアス・モンク)、「Cristo Redentour」(ドナルド・バード、作曲はデューク・ピアソン)といったジャズ曲、それもハード・バップ時代の名曲を取り上げている。アルバム・タイトルの「Storyline」や、「Odd Ball」、「Monkey Bizness」など、彼のオリジナルも6曲。共演は、ボブ・シェパード(ベース・クラリネット)、ニック・マンシーニ(ヴィブラフォン)、ミシェル・フォアマン(キーボード)といったジャズのアーティスト。

「Besame Mucho」や「When I Fall in Love」のようなミディアム/スロウ曲を含めて、ストレート・ジャズに徹した演奏。ロテラのギターは、ウエス・モンゴメリーを彷彿とさせる演奏を聴かせるが、むしろケニー・バレルを彷彿とするバップ・スタイルの硬派ジャズ・ギターの趣き。特にスロウなシングル・トーンのフレージングは、枯れた感じでなんとも渋い魅力だ。

願わくば、次作はスムーズ・ジャズ系の作品を期待したい。

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