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2019年5月の4件の記事

2019年5月28日 (火)

Dave Sereny 「Talk To Me」(2018)

Bb48df9996644ebe942e1a83f6f542f0 デイヴ・セレニーは、カナダ出身のギター奏者。カナダのスムーズ・ジャズ系のギター奏者というと、スティーヴ・オリバーや、ロブ・ターディック、といった巧者が思い浮かぶ。このセレニーも負けず劣らずハートに響くアーティスト。ジョージ・ベンソンのフォロワーといったスタイルで、カラッとしたグルーヴが持ち味のブルー・アイド・ソウルのような趣き。

2007年に「Take This Ride」を出して以来10年ぶりというこの新作アルバムは、RBムードの曲からポップな曲も並ぶ多彩な佳作だ。

About Her」は、ギブソンの骨太なフレージングや、コーラスが印象的な、メロウなソウル・ムードのハイライト曲。ファンキーなサックスは、同郷カナダ出身のウォーレン・ヒルの客演。セレニー本人が今回初めてボーカルを披露したというナンバー「Talk To Me」はキャッチーなメロディーが上質感を漂わせる佳曲。

Spotlite」はビート・ナンバーで、スピード感のあるフレージングがかっこいい。「Freedom」では、ブルージーなパッセージを披露して、ギタリストとしての本領発揮を聴かせる。カバー曲は、ボブ・マーレーの「Jammin」、スティーヴィー・ワンダーの「Id Be A Fool Right Now」の2曲。いずれも原曲のメロディーに忠実なプレイがなかなか良い感じ。

キャッチーなオリジナル曲の数々に作曲の才能も光る。ヒット性を予感させる好感度の高い作品。

 

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2019年5月19日 (日)

ノーマン・ブラウン作品の復習

ギター奏者ノーマン・ブラウンのキャリアはデビュー作品から数えて27年、名実共にスムーズジャズを代表するギタリストだ。彼の過去作品を振り返り<復習>してみよう。

 

Storm

ノーマン・ブラウンのソロ・デビューは29才の時。モータウンのMoJazzレーベルから『Just Between Us』92年)、『After The Storm』94年)、『Better Days Ahead』96年)と5年間で3枚の作品をリリース。

MoJazzは、92年に発足したモータウン傘下のジャズ(コンテンポラリー/スムーズ系)専門レーベル。ブラウンのデビュー作品が第1弾作品だった。新設レーベルとして、ブラウンをポスト・ジョージ・ベンソンとして売り込もうと力を入れた。続く2作品はブラウン自身によるプロデュース作品。その後、モータウンがユニバーサルに吸収されるなど経営の再編に直面して、MoJazz98年に閉鎖された。

デビュー作をプロデュースしたのは、ノーマン・コナーズ。コナーズは、ジャズ・ドラマー出身だが、80年代以降はR&B/ソウル路線で自身の作品や他アーティスト(アル・ジョンソン、アンジェラ・ボフィル、マリオン・メドウズなど)のプロデュースで実績を残した人。ゲストは、スティービー・ワンダー、ボーイズIIメン、アル・マッケイ(ギター)、ボビー・ライル(ピアノ)、ジェラルド・アルブライトなど、豪華な顔ぶれが脇を固めた。

デビュー作は、コナーズの手腕でビートに彩られたサウンドが際立つゴージャスな作品。豪華さもチャート・イン狙いだろうか、プロデューサーのカラーに染まった観が強い。ブラウンのギターは、初作品だから力が入り熱量の高いグルーヴを聴かせる。特に1曲目「Stormin’」はキャッチーなハイライト曲。客演するカーク・ウェイラムとロニー・ロウズ、両サックス奏者のパワーに負けじと、エネルギッシュな高速パッセージが衝撃的だ。

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2019年5月15日 (水)

Norman Brown 「The Highest Act of Love」(2019)

Actoflove

ノーマン・ブラウンは前作「Let It Go」(2017)で、「私たちは誰もが精神的な存在である。私のこのCDは地上の創造物としての精神的存在者の一つのチャプターを表現したものだ。生きる経験こそが精神的存在の本質的な営む能力を促す。それは平和、喜び、幸福、調和、そう愛である。」という趣旨のメッセージを書いている。

そしてこの新作ではシンボルとして、古代エジプト神話で正義の女神とされる「マアト(Maat)」を掲げている。マアトの正義(The Law Maat)とは「神の望みは最高位の愛の行為(The highest act of love)であり、それは他者への愛を満たすことで実現する。神の愛こそが世界を守れるのだ。」とライナーに説明を書いている。

マアトとは、創造神である太陽神ラーの娘とされる。ジャケットの右下に描かれた、頭上に羽根を掲げた女性神がマアトである。ブラウンは、前作から今作品でも、インスピレーショナルな、つまり啓示的なテーマを掲げている。彼のメッセージは宗教的で、私を含めて理解には至らないリスナーも多いだろう。とはいえ彼のメッセージのわずかでも知った上で、彼の音楽を深く味わいたい。

さて、この新作は1曲のカバー曲と共作を含めた11曲のオリジナル曲集。モチベーション喚起的な曲タイトルを見れば、込められたメッセージが少し理解できるだろう。ほとんどの曲がスロウもしくはミッド・テンポで、啓示的なムードを演出している。音楽的には、コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック的なアプローチといえるかな。多彩なゲストを迎えた前作と比べると、今回はブラウンのギターが主役で淡々と演奏する印象の作品だ。テーマを深読みせずとも、純粋にブラウンの上質な音楽を充分に楽しめるのは言うまでもない。

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2019年5月 4日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 2)

1. ボビー・コールドウェル:「Heart of Mine」(1989)

Heartofmine

アルト・サックスは、デイヴ・コーズ

同名アルバム『Heart of Mine』(1989)収録曲。初出はボズ・スキャッグスのアルバム『Other Roads』(1988)のバージョン。

コーズはコールドウェルのバンドのメンバーだった。コールドウェルのバンド出身のサックス奏者は、ボニー・ジェイムスマイケル・リントンアンドリュー・ニューなど、いずれも今やソロで活躍しているアーティストばかり。

コーズのソロとしてデビュー・アルバム『Dave Koz』(1990)所収の「Emily」はコールドウェルとの共作曲。2人はその後もお互いの作品で共演している。中でも、コールドウェルの『House of Cards』(2012)でコーズが客演した「Blue」も、「Heart of Mine」と共に2人のコラボを代表するベスト曲だ。

 

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