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2019年7月28日 (日)

David Nevue 「in the soft light of grace」(2019)

Softlight

デイビッド・ネビューは、ニュー・エイジ系のソロ・ピアニストだ。この最新作まで、デビュー作「The Tower」(1992)から15枚のアルバムをリリースしている。ビルボードのニュー・エイジのチャートでは常連の人気アーティスト。

10代の頃はピンク・フロイドやカンサスといったプログレッシブ・ロックに夢中だったが、ジョージ・ウィンストンに魅了されてソロ・ピアノ演奏を目指したのだという。90年代にネビューはインターネット関連企業に努めるビジネス・マンをしながら、自主制作でアルバムを作り始めた。95年に、当時としては先駆けのオンラインで自身の作品を販売する。そのオンライン販売で人気を博して、2001年には会社勤めを辞めてプロのピアニストになる。

ソロ・ピアノのアルバム制作だけでなく、2003年からは、これもユニークな、ソロ・ピアノ専門のインターネット・ラジオ局「Whispering: Solo Piano Radio」の運営を始めた。2005年からはコンサート演奏も初めて、ソロだけでなくニュー・エイジ系の他のソロ・ピアニスト、デイビッド・ランツ、ピーター・ケーターらと共同コンサートも行なっている。オンラインの音楽販売や、インターネット・ラジオ曲の運営などの経験を書いた著作や、情報配信の活動もしている。

 

この新作も、ウィンストンのスタイルを継承した演奏が印象的な佳作。13曲全曲ネビューのオリジナル曲で、ウィンストンの初期の代表作、「Autum」(80年)をはじめとする四季のシリーズの頃の曲想を思わせて牧歌的で抒情的なメロディーが特徴的だ。ゆったりとした左手のアルペジオに重なる、流れるように優雅なメロディーを刻む演奏が基本のスタイル。

全曲が流れるような演奏と楽曲は、感情移入を促されることのない上質なピアノ・ミュージック。ニューエイジやヒーリング・ミュージックに典型なミニマルで同質的なムードもあるけれど、ハッと美しさに引き込まれる楽曲が多い。低音のアルペジオが歩調にシンクロするような「walking in trust」や、賛美歌のように静謐な「in the quiet alone」。思わず歌詞を付けて歌いたくなくなる美しいバラードの「at last night」、リズミカルに音色が交差する「a dance for heaven」、などが印象に残る。

CDのジャケットの表中裏を飾る数枚の写真は、ネビューが住んでいるオレゴンの風景で自身の撮影によるもの。ピアノが奏でる叙情を切り取ったように美しい。

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