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2019年8月11日 (日)

Mel Holder 「Music Book Vol. III - Magnificent」(2019)

Musicbook3

メル・ホルダーは、ニューヨーク出身のサックス奏者。ゴスペル/クリスチャン・ミュージックにカテゴリー分けされる人で、1999年のデビュー作から5枚のソロ・アルバムをリリースしている。ブルックリンにある教会の敬虔な信者であり、20年以上に渡り音楽を担当する聖職者として活動している。多くのゴスペル系アーティストとの共演や、教会が行う米国内外の布教/演奏活動を行なっている。

近年の教会は、メガ・チャーチと呼ばれる数千人超の信者を集めるコンサート規模の集会が大人気だそうだ。そのステージでは、ゴスペルはもちろんロックやカントリーをベースにしたバンドやシンガーが参加者を高揚させるという。そんなムーブメントも昨今のクリスチャン・ミュージックの多様化の一因と想像する。私は宗教的な解説を述べる知識はないが、音楽目線では近年のゴスペルやコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックは気になる存在だ。インストゥルメンタルの楽曲もあり、特にスムーズ・ジャズのアーティストが登場するのは聴き逃せない。

さて、ホルダーのこの新作は、ジャズやスムーズ・ジャズのファンも唸らせる作品だ。サウンドは、ストリングスやホーンセクションを配したリッチな仕上がり。ホルダーのサックスや、バックを固める演奏者のキレの良いグルーヴが最高だ。最近のビルボードでは、ジャズとゴスペルの異なるカテゴリーにチャートインしている。どちらのジャンルにも限定されない、クロスオーバーな秀作。

ゴスペル・シンガーを登用した3曲、「Magnificent」(兄弟コーラスグループのリーダー、ランス・アレン)、「Thats Grace」(トニー・マクレンドン)、「I Got Faith」(オージェイズに在籍したこともあるネーサン・ベスト)は、ボーカリストが主役なのでゴスペル色の濃い歌だが、ポップな味もあるところが印象に残る。その他の9曲はインストで、ゴスペル的というより、多彩で洗練された楽曲が、いずれも熱量の高いコンテンポラリー・ジャズで素晴らしい。

Crossroads」は、ベン・タンカード(ピアノ)をゲストに迎えて、ホーン・セクションのプレイヤーらとテンションが上がるアンサンブルが聴きどころのビート・チューン。「Lets Take It Back」は、ボブ・ボールドウィンが参加したメンフィス・ブルースの味を感じる曲。「Nehemiah」は、ホルダーが吹くフルートが終始パワフルな圧巻の演奏が必聴。「Somewhere in Between」のファンキーなグルーヴも特筆もの。「Worth」はカバー曲で、オリジナルはゴスペルシンガーのアンソニー・ブラウンの曲。ホルダーのソプラノ・サックスが美しく感動的に盛り上げて、アルバムの最後を飾るに相応しい。

数曲を除いてほとんどの曲がホルダーのペンによる楽曲。曲良し演奏良しベスト級の作品。

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